時 自若 2022/11/09 20:35

今生のローダンセ 第10話「怨霊怪異でさえも彼女の人生は憐れむ」

ほんのりと薫るぐらいならば、いい匂いだと思うのだろうが、ここまでになると、マスクをしていて良かったと思うだろう。
(う~ん)
彼女は歪みのある場所を歩いていた。
だんだんと歪んでいくことから、その元は奥にあるのだろう。
彼女の仕事は確認することである。
「たぶん確認するだけならば何も起こらないだろうから、お願いするよ」
それは自分でも思ったので、引き受けた。

これは人が引き起こしている。

最初は心から、そして今は現実へと続き始めていた。
依頼はなくともある程度はこのような話を治めるというのは、魔法使いの義務のようなものだ、違うものも多いが、彼女はそう思ってる。
それ故に、最初から生きるの死ぬのだのの話にはなることは少なかった。
怨霊怪異でさえも彼女の人生は憐れむと、昔陰口を叩かれたことはあるのだが、上手いこと言うなと思ったものだ。
深部まで無事にたどり着く、なるほど…とキョロキョロしてから、そのまままた来た方へ帰るのだが。
常人ならばその身は汚れ、何日かは食事も喉を通らないものなのだ。

「相手は女性でしたね」
「ああ、やっぱりか」
「どうも遊びが酷かったようで」
「面目ない」
「後はこちらの書面でご確認ください、ささやかではありますが、私が思う解き方も纏めさせていただきましたので、この件の解決に一役立ててください、それでは失礼します」
魔法使いとの関わりはこのぐらいからがいいということをおすすめする。
最初から大金がかかる話をするにも、相手を見てからというわけだ。

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