時 自若 2022/11/12 08:21

今生のローダンセ 第15話 このドアが開かない

ドアを開けようとしても開かない。
ガチャガチャ
「?ああ、○○、大変なんだ、このドアがあかない」
○○…○○って誰だ?
何か抜けている。
誰に向かって今、俺は話した。
ガバッ
目を覚ます。
「ん~起きた?」
朝からお咥えになっておられます、美味しそうで、あっ、気持ちいい、ブルッと来ちゃうから!
「それでスッキリは?」
「しました」
よろしかったです。
「昨日、退治したやつが最後に俺に忘却仕掛けて来たみたいだ」
「何か忘れたかしら」
「一番触れてほしくないところに触れた」
「ここかしら」
ピクッ
「そこもいいけどもさ」
鋭敏になった濡れた部分を的確に当ててくる、好き!
「これ、結構強いぞ」
「どのぐらい」
「俺がまさか精神的な備えをしてると思わなかったやつだな」
「前衛務められる人間は、備えてないことが多いからでしょう」
このごちそうさまでしたフェイスはいい。
「それは面目ない、お前をなんとか助けたいと思って、色々と集めた」
パンツをはき直した後に、部屋から出ていく。
「ああ、やっぱり」
外から声がして。
「いくつか割れてるか」
他にもあるが、丸に三日月を現す皿にヒビが入っていると見せてくれた。
「これはお高いやつでは?」
「ワゴンセールだな」
「このクラスがワゴンセールとは?」
「不況って怖いな、ちょうど仕事が一緒になったやつが」

あっ、お土産いいですか?
彼女なんですよ。
それは大事にしなきゃいけないな。
ですよね。
あれ?なんかセールやってますよ、珍しいな、でもこういうのっていいものがあるっていうか。
???
どうした?
とんでもないものが売りに出てる。

「さすがに小声で教えてくれた」
なんでもいつもは一般販売されていない、お守りや魔法に使う道具が蔵出しワゴンセールといった形であるという。
「そうなのか?結構俺はそういうとき見かけるから、今は…そんなときに、ちょっと言ってくるからって参戦する子がいたんだがな」
「なんですか、そういう運とか…いや、あるか、呼ばれる人っていますからね、なんかいいものあるなら、買った方がいいですよ」
そういってその時の同行者が選んだのがこれ。
「結構これすごいわよ」
「安かったんだがな、カレー皿にしようか迷ったぐらい」
効果としては飾ると、生霊は目を奪われる、比喩ではなく、注目してしまうの方。
「今は力を感じないから、直して、カレー皿にしましょうか」
「どういうカレーにするの、炒めた玉葱のってるやつ?それとも目玉焼き?」
「どうしようかな」
「野菜の下ごしらえならば任せろ」
「しばらくぶりにちゃんとやっていたか見せて貰おうかしら」
目玉焼きが乗った具材たっぷりのカレーになりました。
「しかし」
「何かしら?」
「もしも備えなく、お前のこと忘れてしまったら、嫌だったな」
「嫌だなって気持ちすら忘れるわよ」


それこそ食われてしまうのだ。
クチャクチャ
汚い音を立てて、食べかすをペッと捨てた。
あれは記憶。
人が生きてきた証しというやつ。
奪われたのは槍の使い手だった。
昨日まで、酒を飲むと笑いながら自分の槍の話をするのが好きなやつで、友人たちもまたかよなんて…

「助けたいんだが」
「難しいですね」
知らせを聞いた男が彼女に相談した。
「自分の人生は槍しかねえよとか言っている野郎が、槍を忘れてしまってるのは…辛い」
「…人の記憶を食うので、物の記憶は食わないようですから、寝食を共にした槍から、逆算して、記憶を移せばいいでしょうね」
「それが出来るか?」
「私ではできませんが、愛用している時期分の記憶は埋めれますからね、どのぐらいだろう」
「すまんが計算してくれるか?」
「ああいいですよ」
「払いは俺の体で」
「皿洗いはしてもらってますし、ゴミ出しもやってもらってるから…」
「そっちも、夜の方もわかるが、これはプライドの問題でな」
「わかってますよ、まあ、少し遊びましたが」
「もう!」
「槍の他の持ち物があればそれ、夢の中で食われたのならば、夢の中で戻せばいいですから…これが得意な方が」
更々と必要なものを書いていく。
「これができる人に頼んでください、一気に戻すと、嘔吐しますから、一ヶ月ぐらいで戻るように組んでくれたらベストですね」
「ありがとう、すぐに連絡する」
そのまま男は夕方まで帰らず。
「これはまずお礼だってな」
菓子折を一つもってきた。
「お金は期待しない方がいいかもな」
「まあ、そういう件もありますよ、飲み物はお茶で?」
「ああそうしてくれるか?」
そういいながら彼は上着を脱いで、どかっとソファーに座り込んだ。

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