時 自若 2022/11/25 08:53

今生のローダンセ 第31話 今の好感度のまま、好感度ゼロ対応して!

「どうかしましたか?」
「あっ、マリちゃん」
「お帰りにならないので?」
「そうね…」
「お母様、お父様には連絡はもうしましたから」
パタパタ
そこに彼女の姿を必死に探す式神の姿が。
見つけなかればクビか焼き鳥の危機に。
「一度は戻ってくださいね」
「わかったわよ」
彼女はそこで姿を消すつもりでもあったらしい。

「俺の愛のために切られてくれ」
「こいつ意味わからん」
手配中の魔法使いの最後の言葉はそれだった。
その手続きが終わり、マリからの連絡で、電話しても繋がらず、そこで式神を頼んだ。
式神は見つけ出さなかったら、食われるという危機を感じながら急いで飛んできたという。
命の危機から抜け出した後、マリからもらったら木の実を止まり木の上で、ポリポリと美味しいそうに食べている。


「いやになったのか?俺のこと」
怒るでもなく悲しむでもなく、彼は最初にそう聞いた。
「それは…」
「今の好感度のまま、好感度ゼロ対応でいうと?」
「よーし、じゃあ一緒に地獄に行こうか」
「はい!」
「何を言わせるんだ」
そして男はときめいている。
(相変わらず仲がよろしい)
「そんなのやりたくないからに決まってるでしょうに」
「でも好感度ゼロならば」
「捨て駒させるしか使い道ないものね」
「結構ひどいことをいっているけども、安心するよ、なんというか、優しすぎてそういうのを感じれないのかと思ってるから」
「ここで別々の道を行った方が幸せよ」
「忘れて、毎日泣いてやる」
「うわぁぁぁ」
「俺の手を握り返すことに、そんなに躊躇いがあるのか」
「あるよ」
「そうか、じゃあ俺は握っていよう」
「離してよ」
「イヤ」
「子供みたいに」
「君はどうせこの苦悩でさえも解決する、その時共にいないことを後悔するだろうし、一生の傷にする気か?」
「傷になるの?」
「加害者はいつもそういう、恋の痛みは…」
「あなたは優しいだけ、いや、私に甘いだけなのよ」
「甘くて何が悪いんだ?」
「示しというものが」
「俺の素ってこっちだぞ」
「知ってる、だからこそだよ」
「…」
「…」
「俺の気持ちは変わらない、むしろいない時はお前のことを考えてばかりだ、とりあえず運命を定めた神がいるならば切らなきゃなって思って」
「はっ?」
「いや、そりゃあ切るだろう、生涯の目標にしてた」
「いやいや、そんなことしなくても」
「十分だろ、俺から好きなものを奪うということは」
「駄々こねてもさ」
「駄々じゃないもの」
「この辺が駄々でしょうが」
「ラブだもん」
「まあ、感謝はしてる」
「お二人とも、寒くなって参りましたので、どうぞ室内へ、談話室をお使いください」

『あっはい』

「体、大丈夫じゃないのか」
「業を断ち切ったらなんかあるとは思っていたけども、結構持っていかれたわ、でもまあ、このぐらいなら」
ヒョイ
「えっ?」
「すまんが、布団を、妻が体を冷やしていてな」
「かしこまりました」
「妻じゃないよ」
「ま・だ・な」
減らず口というやつである。
「重いだろ」
「このぐらいは持てるぞ、試し石はもっと重い」
流派の高弟になるときに持ち上げる石。
「あれと一緒にされても困る」
「鍛えているから大丈夫さ、まあ、これからパパ修行もしなければならないと思ってる」
「パパ修行?」
「立派なお父さんになるための修行だ、奥さんだけの負担にならないような家庭生活を営むために」
「あっ、誰かと結婚するんだ、おめでとう」
「お前と結婚するんだよ」
「いいよ、そういうのは」
「嫌なのか」
「まっ、そうだね、結婚するとなると勝手が違うし、こう見えて我慢が好きじゃないんだ」
「そのわりには夜は」
「まあ、あなたは信頼おけるからな…ただまあ、結婚するならちゃんと奥さん大事にしなさいよ」
「はい、いや、お前だよ、奥さん」
「あなたと結婚すると揉めるしな」
「揉めごとがないならしてくれますか?」
「それはあなたが剣を捨てるぐらいの」
「お世話になったな、だが家庭円満のためには…」
「おい、やめろ、剣が泣く」
「いや、長い付き合いだし、わかってくれるんじゃないか?」
「バーカ、んなわけあるか、今あるもの大事にしろよ」
「本当にわかれるつもり、いや、相討ち覚悟で生きてたんだな」
「そうだね、あなたの愛はとても良かった」
「だからなんでそう別れの挨拶みたいなんだよ」
「ここで寝たら、そのままになりそうで」
「布団をお持ちしました、お医者様も呼びますから、寝かせてください」

「うん、健康だね、気落ちはあるから、ええっと旦那さん、このまま大事にしてあげてください」
「わかりました」
「あれ?健康、あんなに苦しんでいたのに、健康?健康ってなんだっけ?」
「リハビリだな、しっかり食べて、運動して、体を作っていかなければならない」
「なんでそうやる気なのよ」
「希望があるからだ、俺じゃどうしようもならないことが解決したから」
「ねえ、なんでさ、そんなに悲しそうな顔するのさ」
「悲しかったさ、悔しかったさ、俺じゃ助けることができないことが」
「そこまで悔しがることはないんじゃない?」
「好きな人が苦しんでいて、何とかしたいのに、どうにもならないよってずっと言われてたんだよ、それでも諦めなかったんだけども、俺が見つかる前に君が自分で何とかしてしまった、情けない俺」
「情けなくはないわよ、ごめんね、心配かけた、もう心配しなくていいから」
「野に帰れみたいに言われてもさ、嫌だよ、ずっと君のそばにいる」
「寿命来たらどうせ離れることになる」
「その間、共にいたことを無駄だとは思わない」
「思い出だけでお腹いっぱいよ」
「もっともっと幸せはあるんだよ」
「知るか」
(勝った)
ゴロゴロゴロ
甘えてきたが、彼は彼で疲れていたようで、彼女はそこで寝顔を見守ったいたのだが。
(はっ、いけない、情に絆されるところだった)
何かに気付いたのを察知した辺りで、彼は彼女のを手を握り、抱き寄せた。
「もう離してあげない」
「どうせ飽きるに決まってる」
しばらく二人にしてくれと、談話室受け付けに連絡が来るのはすぐ後のこととなる。

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