ナーロッパ的小説
王族スタートか貴族スタートか。
ナーロッパ世界の場合、概ねどちらかでスタートすることが多い。
実際、現行アニメの「売国しよう」「現実主義者」は王族スタートであるし、「賢者」は貴族スタートに近いだろう。
これらの利点は即時国政に影響力を発揮出来、スタートダッシュが容易であり、下積み時代の最小で10年、最大30年節約出来るわけだ。その利点は小説を書くにおいてとても作者サイドにとっては大きなアドバンテージになる。
もっとも、勇者スタートとか転生スタートに比べると内政や戦争にその人生ステージが偏るわけで、冒険ステージがないという部分が否めない。あとご都合主義な展開が出てくるためにワンパターン化しやすいというデメリットもある。まぁ、これは作者サイドにしてみれば物語全体の計画が立てやすいというメリットがあるわけだが。
では、王族スタートと貴族スタートの違いは何かと言えば、下剋上シナリオを使えるか否かという点になるだろう。
王族スタートと貴族スタートは、その立ち位置や役割が一緒なだけに、下剋上をしなければ貴族スタートの場合、単純に地方領主の物語で終わってしまうわけだ。それって、簡単にあらすじを書けば、以下の通りになるだろう。
1,地方領主の爵位を継いだ
2,自領が貧しいので殖産興業をした
3-A,発展したら中央政府に目をつけられた
4-A-A,中央政府にひと泡吹かせた
5-A-A,下剋上シナリオ
4-A-B,中央政府にひねり潰された
5-A-B,滅亡シナリオ
3-B,発展したら中央政府に抜擢された
4-B-A,中央政府で活躍した
5-B-A,下剋上シナリオ
5-B-B,能吏エンドシナリオ
4-B-B,中央政府で失脚した→3-Aへ
まぁ、だいたいこうなるわけだ。
国外勢力が絡んできたりしても、条件やフラグが変わるだけで殆ど大筋は変わらないだろう。
王族スタートの場合はもっとシンプルだ。極論、2つだからね。英邁な君主ルート、滅亡ルートである。そういう意味では貴族スタートの方があらすじを見る限り起伏があるとは言えるだろう。
しかし、王族スタートの場合、貴族スタートでないメリットがある。それは国家財政と国軍を最初から扱えると言うことだ。その規模は貴族スタートの数倍であるわけだから、出来ることが大きく違うわけだ。最初から対外戦争のシナリオ構成が可能だ。それは前述の「売国しよう」「現実主義者」で示されている通りだ。
でも、一つ問題がある。君主は孤独である。ナーロッパ世界の場合、概ね文字通り絶対君主であるわけで、やることなすこと全責任を負う必要があり、全知全能的なチートスキルでも無いと途中で死ぬ。なんせ、従う連中は隙あらば外国と密通するし、国家財政を食い物にする。反乱だって企てるし、平気で挙兵するし、暗殺だって日常茶飯事だ。
貴族スタートの場合、そういった事情を幾分かは軽減出来る。生き残ることを優先するなら、赤字にならない程度に目立たない範囲でやり過ごすという選択肢があるからだ。人材不足も中央政府におんぶに抱っこで派遣して貰うというやり方も可能だし、横のつながりで紹介して貰える利点もある。
それらをひっくるめて、スタートをどこにするかでストーリー展開の自由度が決まってくると言えるだろう。
どちらで執筆するにしても、ストーリーの応用が利く部分はブロック工法のMEKOシステムを使えると考えているので、汎用性のあるイベントは順番を変えることで前後させて運用可能だろうと思う。
例えば、先のナーロッパ空中戦のそれなんかはMEKOシステムで物語の序盤にもおけるし、中盤にもおける、ましてフラグにも活用出来るわけで、その配置はそれぞれのシナリオの展開次第というところだろう。
言い換えれば、話のネタはブロックコアで、それはどちらのシナリオにも使えるが、そのためにはジョイントを必要とする。そのジョイントが話のネタへの導入や橋渡しの部分になるわけだ。そのジョイントはシナリオに合わせて変えれば良いのだからそれほど無理なく使えるわけだ。
そうだな、それが科学技術の話でどうこうするとか、魔術や魔法との整合性とかの話題、運用方法の確立と言った話がジョイント的な役割になるだろう。
まぁ、そうだな、例にしてみると・・・・・・。
1,敵対国家が航空戦力としてグリフォンを運用している
2,グリフォンは俊敏な行動が可能であるため先に始末しておかないと苦労する
3,自国の航空戦力は少数のワイバーンと少数の対空兵器
4,ワイバーンは長大な航続性能を有するがグリフォンのような俊敏さがないため空中戦には不利
王族、貴族ともに以下のような展開が可能だろう。
1,グリフォンに対抗出来る航空戦力を用意する
2,ワイバーンを空中戦に対応出来るように工夫する
3,対空兵器の増産を行う
これをブロックコアとする。
で、王族ルートの場合、方法論としては上記の対策が取れるだろう。だが、どうやって?という話がある。
1→傭兵や同盟国からの戦力提供
2→科学、魔法、魔術を用いる
3→工廠の生産能力を増やす、資金力による解決
貴族ルートの場合、そもそも国家規模で出来ることをするわけにもならんから、他の方法を考えないといけない。
1→諦める
2→諦める
3→科学、魔法、魔術を用いて個別性能を強化する、運用を変える
そもそもの話として貴族がグリフォンだのワイバーンだのを抱えていることを中央政府が許すとは思えないから余程の特権貴族でない限り、1と2は端から無視した方が良いだろう。よって、3を工夫したシナリオ構成を考えるわけだ。
こういった王族貴族問わずに共通するイベントは割とあるはずだから、事前に思いつくだけ思いついてモジュール化してしまえばあとは配置を換えるだけで運用可能になるだろう。
そういう面では「このはと」のイベント確立の手順はえらく活用出来そうだなと思う。
今の時点で頭の中で浮かんでいるモノを仮組みすると多分40~50万字規模で書くことになりそうだなと改めて思った次第。