おかず味噌 2020/10/10 16:00

ちょっと悪いこと… 第二十二話「私の視点 ~因果と応報~(1)」

(第二十一話はこちらから↓)
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 新たな「刺激」を、私は求めていた――。

「この期に及んで」と思われるだろうが、まさに「その通り」である。
 ここ「数か月」――、ぎゅっと凝縮すれば、ほんの「数日」のこと。私が「経験」したことはあまりに「不真面目」というか――、「悪いこと」の連続だった。

 全ては「あの夜」から始まった――。
 そう言えば、いくらか「聴こえ」は良いかもしれないが。要は「初めて」「お漏らし」をしたというだけの話である。
 だがその「体験」は、「退屈」だった私の「人生」に、新たな「彩り」をもたらせた。
 主に「羞恥」からなる「一度目」の「失態」は、私から多くのものを「奪い去り」、「失わせ」つつも、同時に何かを「与えた」のだった――。

 それから「二度目」の「失禁」。直後「アナル」による「性行為」。そして、ついには「弟」である「純君」とも――。「姉弟」として「あるまじき行為」。「不可侵」であるべき互いの「性器」を慰め合い、「秘密」の「告白」と「共有」により、あまつさえ彼を「射精」へと導いてしまった。と、同時に私自身も「絶頂」を迎え、彼の顔の上で――、彼の顔めがけて「放尿」するという、さらなる「醜態」を晒したのである。

 あれ以来、純君と「会話」と呼べるようなものはしていない。「同じ家」に暮らしている都合上、最低限の「言葉」を交わす必要はあるが。それでもやはり「仲の良い姉弟」という、これまで通りの「関係性」を保つにはいささか無理があり。「気まずさ」を抱えたままお互いに「避け合う」ことがむしろ、「男女」をより「意識」させるのだった――。

 全ては私が「イケない」のだ。純君の「せい」ではない。確かに彼のしたことは――、抱えていた「秘密」は――、「褒められる」ものでは決してなく、むしろ「責められる」べきものであり。あくまで「たまたま」「あの夜」が「不覚」となっただけで、もし彼が「懲りず」に「繰り返して」いたならば――、やがていつかは「発覚」したことだろう。
 それにしたって。私はもっと「上手く」やることだって出来たはずだ。きちんと優しく「間違い」を「諭す」ことで、「弟」である純君を「正しく」「導いて」やることこそが「姉としての責務」だったのだ。けれど私は――。

「姉の下着」に、「姉の体」に、「姉のお漏らし」に興味を抱き、興奮を覚えること。
 果たしてそれが「正常」であるかは分からない。「男の子」における「思春期」とは、あるいは「そういうもの」なのかもしれないが。やはり「最後」に至っては「異常」だと言わざるを得ないのだろう。
 それは「性的興味」と呼ぶには、あまりに「回りくどい」「屈折」したものなのだ。「恥じらい」といえば確かに――、「異性間」における、あらゆる「行為」に付随する「感情」という見方も出来るのだろうが。問題はその「原因」となる「行為」なのだ。
「排泄行為」。「人」として、「動物」として当然の「行為」。「生理現象」の一つ。
 あるいは「動物」であれば、まさしく「人目」を憚らずする「行い」なのだろうが。「人」であれば、そこに「恥じらい」が生まれ、だからこそ「隠そう」とする。その本来「秘めたる」べきものを「見たい」「させたい」と願い、さらにはあくまで「人」としての「羞恥」を保たせたまま、それを「冒したい」と思うその「感情」は。もはや相手の「体」ではなく「魂」を穢し、「尊厳」を弄び、「○す」という意味では、「レ○プ」に近いものなのかもしれない。

 どうして純君が――、まだ「中学生」であり、ほんのつい「最近」までは私の後ろを「付いて回っていた」、愛しい「弟」であるはずの彼が。私がちょっと「目を離した隙」に、「正常」たる「成長」の道から外れ、「異常」なる「性癖」を「獲得」するに至ったのだろうか。あるいはそれも、私の「せい」なのだろう――。

 そもそも、その「前段階」ですでに私は「過ち」を犯していた。いや、「悪意」はなく「善意」もない、「故意」ではないそれは――、「過失」と呼ぶべきなのかもしれない。だがそこに――「故意」と「過失」に――果たして、どんな「違い」があるというのだろう。どちらにせよ、私は彼に「きっかけ」を与えてしまったのだ――。

「深夜」の「洗面所」で私は「下着」を「洗って」いた。人に見られたくない、誰にも知られたくない姿。純君はそれを「目撃」し、私の「秘密」を知ってしまったのだという。
 あくまで、その時点では「傍観者」でありながらも。その「事件」は、彼を「目覚め」させるのに十分なものだったのだ。

「姉の下着」に――。「姉のお漏らし」に――。

 私は純君がまだ「小学生」の頃から「気を付けている」ことがあった。それは、彼の前で不用意に「下着姿」になったり、「着替え」を見せたりしないことだ。
「低学年」の頃までは、一緒に「お風呂」に入っていたこともあったが。「高学年」ともなるとそれも無くなり。それからは彼の前で「裸」になることはおろか、「下着」になることさえもなるべく控えていたつもりだ。
 いくら「家族」であっても「男女」である。たとえそこに「劣情」の介在する「余地」がなくとも、むしろ「無いからこそ」、余計な「不快感」を与えてしまう。
 いくら「姉」であっても「女」である。「母親」を含めて「二番目」に――、「母親」除けば「初めて」――、彼が接する「女性」が私なのだ。
 もしそこで私が、最低限の「恥じらい」もなく暮らしていれば――、純君がその「姿」を見て、それに「慣れて」しまったとしたら――。私は彼に誤った「女性認識」を与えてしまうかもしれない。
 すなわち――、「女性」というものは「だらしない」ものなのだと。「憧れ」には遠く及ばず、むしろ「軽蔑」の対象なのだと。
 過度な「神聖視」はそれはそれで問題だが。かといって「軽視」もまた問題である。
 だから私は、純君の「情操教育」のため――。なるべく「羞恥」と「慎み」をもって、努めてきたつもりだ。

 けれど、あるいはそれが「良くなかった」のかもしれない――。

 彼は私の「ショーツ」を「盗んだ」のだという。「枕の下」から出てきたものが――、まさしく「それ」だった。だが私はそこで、ある「違和感」を覚えたのだ。
 私はてっきり、彼が「洗濯機」から下着を「拝借」したものだと思っていた。
 もし彼が単なる「姉の下着」にではなく、そこに含まれる「情報」に、あくまで「私」が「穿いた」という「事実」に興味を抱いているのだとすれば――、その「犯行」こそ、より自然のものだといえる。実際、彼自身もそう「表現」していた。「おチビりパンツ」「お漏らしパンツ」と――。

 だが。「行為」の後で私が「没収」した下着は、「真っ新」な「洗い立て」のものだった。そこには危惧すべき「染み」も、忌避すべき「汚れ」も付いてはいなかったのだ。
――にも関わらず、彼は「熱」に浮かされ興奮のままに「告白」した。私が「ショーツ」に付けた「小便染み」も「ウンスジ」も彼は知っていたのだ。それこそまさに「連続犯」としての「自供」、「確信犯」たる確固たる「証拠」だった。

 彼の「初犯」がいつ行われたのかは定かではない。というか、それについてはあまり「知りたくなかった」。やがていつ、「再犯」に至ったのかも――。
 それでも。彼は少なくとも「二度」以上は「犯行」を重ねていたことになる。そして、最低でも「一度」は――、私の「穿いて」「脱いだ」下着を見たのだろう。
 その時の私の「下着」は、果たしてどれだけ「汚れて」いたのだろう。私は「あの夜」以来――「洗面所」でまじまじと「観察」してからというもの――自分の下着には最大限「配慮」し、その「汚れ」に「デリケート」になっていたつもりだ。 
 それでもやはり「汚して」しまう。「ショーツ」に「ウンスジ」を付けてしまう。何度「拭いて」も――、きちんと「拭けた」と思っていても――。
 トイレに行った時、お風呂の前、ほぼ毎回、必ずといっていいほど「チェック」する。
「白」「ピンク」「黒」と、下着の色は様々だけれど。そこには紛れもなく、「茶色」が描かれている。私の「お尻の穴」は、そんなに「緩い」のだろうか?

 だからきっと「その時」も――。彼が「くすねた」私の「ショーツ」は「汚れていた」に違いない。「クロッチ」の部分に染み込んだ「ションベンジミ」も、「お尻」の部分にこびりついた「ウンスジ」も、見られてしまったに違いない。だとしたら、果たして彼はそこにどんな「想像」を描いたのだろう――。

 もはや姉としての「威厳」も、女性としての「尊厳」もなく。「シミ」と「スジ」の「創造主」たる私。つまりは「お漏らし姉ちゃん」なのである。
 そんな私を、純君はどう思っているのだろう。さらに「羞恥」はそれだけに留まらず。
 私は彼に「尻」と「性器」さえも晒し、「おなら」までもかましてしまった。「挿入」こそなかったものの、結局は「最後まで」してしまったのだ――。
「あの晩」の私は「どこかオカシかった」のだと、あくまで「一時」の言い訳にしてみたところで、もはや決して「弁解」できないほど――、「取り返しがつかない」ほど――、私は「狂って」いたし。その「結果」こそが、今の私と彼との「現状」であり、気まずい「関係性」であった。

 彼の「射精後」、私の「放尿後」。彼と私は「ベッド」に並んで横になった。互いに「裸」であることを除けば、何とも「懐かしい」風景である。一体いつぶりだろう?純君とこうして「一緒」に緩やかな「時の流れ」に身を任せるのは。ずいぶん「久しぶり」である気がした。それは「遥か遠く」に「置き去り」にされた「記憶」であり。彼と私が、とっくの「昔」に「失って」しまった「過去」だった。
 私の「掌」と彼の「掌」とを「重ね」ながら――、昔に比べて、もう随分と「大きく」なったな、と思った。少し「ゴツゴツ」とした彼の「指」と、今や「長さ」で追いつかれつつある私の「指」とを「絡めて」。それから私は純君を「抱き寄せた」。

――私の「たった一人」の、愛しい「弟」…。
 純君の「髪」は「シャンプー」の「香り」がした。それは「家族共有」のものであり、だから私の「髪」からもきっと、同じ「匂い」がするのだろう。でもそれ以外の「部分」はもう――、私は「穢れて」しまっているに違いない。
「成長した」としても、未だ「幼い」純君の体を抱きながら――。願わくば「この時」が「ずっと続けばいい」と、儚い「想い」を私は抱き続けていた――。

 だがそれもあくまで「一時」のものであり。やがて彼が「身を起こした」のと同時に、やがて「姉弟」の「団欒」は失われた。
「これ、どうしよう…」
 純君は自分の「ベッド」を見て「困り果てた」ようにそう言った。「シーツ」は当然、私の「おしっこ」で濡れている。もはや「世界地図」とさえ「比喩」し難い、あるいは「パンゲア」とも呼ぶべき「超大陸」が出来上がっている。
 今夜、彼は「このベッド」で寝るのだ。私の「温もり」に包まれながら――、私自身の「匂い」に抱かれながら――。「拡張」された、あるいは私の「一部分」と「一夜」を共にし「眠る」のだ。
「問題」は「翌朝」である。果たして彼はこの「染み」を、どう「言い訳」するつもりなのか。まさか「お姉ちゃんが来て『おしっこ』をした」なんて言えるはずもない。かといって「『おねしょ』をした」なんて、彼の「年齢」にしてはあまりに恥ずかし過ぎる。
 だけどあくまで「問題」は「先送り」にして――というよりそれは、彼が越えるべき「試練」であり、私自身のものではない――私はベッドから立ち上がり、服を着直す。

「今日のことは誰にも『内緒』だからね」
 純君の部屋を出る間際、私は彼に「釘を刺す」。またしても、私に「秘密」が生まれ、それは彼と「共有」するべきものだった。
 ドアのところで振り返り、「思い出した」ように再び彼の元に行き、床に落ちたままの「ショーツ」を「回収」する。純君が「盗んだ」ものだ。全ての「元凶」。彼はそれを、「今晩のおかず」にするつもりだったのだろうか。だが彼にとっては「思いも寄らぬ」、「ご馳走」にありつけたらしい。

「もうこんな事、しちゃダメだよ…?」
「ショーツ」を取り上げながら「最後」に、「今更ながら」私は問う。ここに来て、私は「姉としての責務」をわずかに取り戻したのだった。だが果たして、その「説教」が今や「何を」差し、「誰に」向かって言っているのか、それは私自身にも分からなかった。
「うん、わかった…」
 と、純君は「渋々」というか、「一応」ながらも「返事」をしてくれた。「今夜限り」「改心」するつもりなのかは分からないが、それでも私はあくまで「姉」として「弟」に「微笑み」掛けたのだった。それは実に「姉らしい」、「弟」に向けるべき「微笑み」に違いなかった。

 だが。とっくに私は「姉失格」なのである――。


 大学の「キャンパス」で「同年代」達とすれ違いながら――。
「彼達」ないし「彼女達」がしてきたであろう、「経験」について「想像」する。
 皆が「十代」ないし「二十代」であることを思えば――、「未熟」もしくは「途上」であろうとも、きっとそれなりの「体験」を経てきたに違いないだろう。そこには当然、「性体験」も含まれる。「能動的」あるいは「受動的」、そのどちらにしたって「行為」に違いはなく。果たして、その内の「幾人」がすでにそれを「終えて」いるのだろう。

――私は未だに「処女」のままだった。

「彼」が「犯した」のは、私の「ヴァギナ」ではなく「アナル」だった。「どうして?」「なんで?」と疑問符ばかりがいくつも浮かぶ。一体どこに、「初めて」を「そっち」で「済ませた」者がいるというのか。
 そういう意味では、私はもう「処女」ではないのかもしれない。「姦通」においては「まだ」でも、「貫通」についてはすでに終えている。あるいは「広義」の範囲でいえばそれもまた「性行為」なのかもしれない。

 だが、それを一体誰に「話せる」というのか。

 そもそも、私が「早く『処女』を捨てたい」と願ったのは――。「大学生にもなって」未だに「『処女』である」という現実に「後ろめたさ」を感じ、その事実を「隠蔽」するという「沈黙」に耐え兼ねたからだ。あるいはそれが「よくある事」だったとしても、それくらい「普通」であったとしても。まるで自分だけが「遅れている」ような、周囲から「取り残されている」ような「孤独」を味わったからだ。
 ところが、今の私は――。「予期せぬ形で『処女』を終える」ことによって。さらなる「秘密」を抱える事となった。決して人に言えず、打ち明けることのできない「性体験」は新たなる「沈黙」を私に与えたのだった。

 こんなことなら、あの夜「強引」にでも「○○さん」に「抱かれて」いれば良かった。そこに彼の「意思」などなくとも、あくまで私の「事情」で「正当なる行為」を済ませておけば良かった。
 あるいは「純君」でも良かったのだ。いや、それはダメだ。「初めて」の相手が「弟」など――、それこそ「初体験」について、「生涯」誰にも話せなくなる。

 とにかく、早く「『処女』を捨てなければ」――。
 そう思いながら、「今度こそ」と願い、私は○○さんとの「逢瀬」を重ねる。たとえ「初めて」が「羞恥」にまみれたものであれ「二度目」を、本来の意味での「初めて」を重ねることで「上書き」出来る。そうすることで、私は晴れて「正常の身」となることが叶うのだ。
 だが、もはやそれ自体「正常」とは言い難かった。彼と「逢う」時、私が決まってする「行為」――、今や「当然」のものとさえなりつつある「習慣」――、「お漏らし」。
 彼はそれを「期待」し、私自身もどこかでそれを「望んで」いる。まさに「異常」なる「性癖」。彼と逢い続けることは――、彼の元に通い詰めることは――、そうした私自身の「異常性」を「告白」することに他ならず。それこそ「恥の上塗り」に違いなかった。

 それでも。まるで「転げ落ちる」ように、「坩堝」に飲み込まれるように――。
 私は、今やすっかり「羞恥」と「興奮」の「虜囚」となっていた。もはや「正常」では飽き足らず、さらなる「異常」へと足を踏み外し。新たなる「刺激」にこそ身を焦がし、「焼かれる」ことでしか今の私は「満足」を感じることが――、「快楽」を得ることさえ出来なくなっていたのだ。
 とはいえ、真の意味での「快楽」。私は「まだ」それを知らないのである――。


続く――。

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