おかず味噌 2020/10/19 16:00

ちょっと悪いこと… 第二十五話「私の視点 ~因果と応報~(4)」

(第二十四話はこちらから↓)
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「昼前」に起きて、「支度」を始める――。

「休日」といえども、いつもなら「九時前」には起きるようにしているのだが――、今朝はどうしても目を覚ますことが出来なかった。きっと「夜更かし」のせいだろう。
 昨夜はなかなか「寝付け」なかった。「ベッド」に入ったのがそもそも遅かったせいもある。彼との「やり取り」を終えて、「二度目」の「おやすみなさい」を返した頃には「深夜三時」を回っていた。

――こんな事なら、いっそ「電話」にしておけば良かったな…。

 彼からの「返信」は早かったが、それでも。「文字を打つ」時間を考えれば、やはり「直接」話していた方がいくらかの「短縮」にはなっただろう。
 いやむしろ、昨夜の「目的」とは、一体何だったのか?ただ今日の「予定」を話し合うだけならば、別に「メッセージ」だけでも良かったはずだ。早々に「切り上げて」、明日に「備えて」ゆっくり「眠る」ことだって出来たはずなのだ――。

「寝惚け」た目をこすりながら「辺り」を探り、手繰り寄せた「スマホ」を開く。その中には昨夜の「やり取り」が「そのまま」残されている。「寝起き」の頭にその「内容」は少々「刺激」が強すぎた。

 恐る恐る「見返して」みると――。彼からの「返信」は「一夜」明けた「今」となっても、「赤面」したくなるものばかりだった。そして問題は、私の「送信」だった。
 あくまで彼の「期待」に応えるためとはいえ――、私の送った「文章」は、あまりに「馬鹿げている」というか、「羞恥」にまみれたものだった。
 その上私は、あろうことか「自撮り」を――しかもただの「自撮り」ではなく、いわゆる「エロ写メ」を――彼に送り付けたのだ。
「メッセージ」を閉じて、今度は「画像フォルダ」を開く。そこには「昨夜の私」が自ら「撮影」し「保存」し「送信」した「画像」が残っている。「一枚目」は「ショーツ」の上からの「陰部」、「二枚目」は「ショーツ」をずらした「お尻」。そして「三枚目」はというと――、自らの手で「尻肉」を拡げ、晒した「アナル」が写っている。
 主に「空」や「風景」や「食事」からなる「フォルダ」の中で、その「三枚」だけ一際「異彩」を放っている。幸い「顔」が写り込んでない「匿名」の「画像」は、紛れもなく私の「一部」であるはずなのに、どこか自分と「切り離された」ものであるように感じられて、あるいは「ネット」から拾った「赤の他人」の「エロ写真」のようにも思えた。

――昨夜の私はどこか「オカシかった」のだ…。

 少々「調子」に乗り過ぎたことを「反省」しつつ――。「画像」を「拡大」することなく「選択」し、「自戒」を込めてまとめて「削除」する。だがすでに「送信済み」のものについては、どうしようもなかった。
「会話」自体を「消去」することは出来る。だがそれでもあくまで私の「スマホ」からは「見れなくなる」というだけで、昨夜の「やり取り」そのものが「無かったことになる」わけではなく。相変わらず、彼の「スマホ」に「履歴」は残ったままなのだ。
 彼もそれを「見返した」りしているのだろうか。あくまで彼に「乗せられる」ことで、すっかり「その気」になってしまった私。「羞恥」と「エロ」にまみれた、その「発言」一つ一つを切り取り。あるいは昨夜の「興奮」そのままに、「臨場感」たっぷりに、何度だって「反芻」しているのだろうか。
 彼は私の送った「写メ」を「保存」したのだろうか。そうだとしたら、その「画像」はやはり彼の「フォルダ」の中でも「異質」なものとなりながらも。彼にとって「定番」の「オカズ」になり得たのだろうか。彼は「あの後」も、何度か私で「ヌいた」りしたのだろうか――。
「想像」しただけで、また顔が「熱く」なってくる。私を「慰みモノ」にして、それを「滋養」に変えつつ、「おちんちん」を「しごく」彼。「嬉しい」ような「恥ずかしい」ような、「複雑な気分」だった。

 だが、あくまで「ヌキ過ぎ」には「注意」。彼にはちゃんと、「今日の分」の「精子」は残しておいてもらわなければ――。
 もし今日会った時。「僧侶」のように「落ち着き」払い、「賢者」のようにすっかり「為し終えた」彼だったら――、私はこの「感情」を一体どこに持っていき、誰にぶつければいいのだろう。

 そう私は「今日こそ」――、「処女」を「捨てる」のだ。
 相変わらず彼の前で「お漏らし」をして、その「羞恥」に身を焦がし、その「興奮」の冷めやらぬまま――、その「体のまま」で、彼に「抱かれる」のだ。
「今度こそ」は――、「非正規」ではなく「正規」の穴で。「肛門」ではなく「性器」を「姦通」されるのだ。

 私は「ベッド」からようやく起き上がり、「彼に会う」べく「準備」を始めた――。

 まずは「洗面所」に行き、「顔」を洗い「歯」を磨く。「休日」であり、もう「昼前」だというのに、「家の中」は「静か」だった。

「そういえば――」と。昨晩「夕食」の時、「両親」が「明日は朝が早いから」と言っていたことを思い出す。どうやら「父親」の「部下」の「結婚式」らしい。
「父親」だけならまだしも――、あくまで「他人の結婚式」に、わざわざ「夫婦」揃って「出席」する必要があるのか、と少し「疑問」に思った。だが聞くところによると――、「新郎」は「社長の息子」らしく、「新婦」は「重要な取引先」の「専務の娘」らしい。
 だからそこには色々と「付き合い」なんかもあるのだろう、と。「事情」は分からないまでも、私は「察する」のだった――。

 それにしても。若い「カップル」が「門出を迎える」という「記念」すべきこの日に。私はといえば――、「恋人」ですらない「相手」と「逢瀬」を重ね、あまつさえ「処女」を「捧げよう」としているのだ。なんだか「不思議」な気分だった。
 彼らにとっての「結婚」がそうであるように、私にとっての「それ」もいわば「儀式」であることに違いはないのかもしれない。だが、「あちら」は「大勢」に「祝福」されるのに対して――、「私の方」はあくまで「二人だけ」で「ひっそり」と執り行われるものであり、果たしてそこに「福音」があるのかさえ「不明」である。
「両者」のあまりに異なる「通過儀礼」に思いを馳せたとき。私はなんだか自分がひどく「穢れて」しまったような――、もはや「正常」には「戻れない」ような――、決して「普通」に「帰れない」ような――、ある種の「怖さ」のようなものを抱くのだった。

 幸いなことに、私に「お呼び」は掛からなかった。(「誘われた」ところで「断る」つもりだったのだが…)
「純君」も家で「お留守番」のはずだ。まだ寝ているのだろうか。「ママ」が居ないのをいいことに、きっと思う存分「惰眠」を貪るつもりなのだろう。ここは「姉」として「弟」にビシッと言ってやらなくては、と思いつつも――。正直、今は彼が「眠った」ままでいてくれる方が都合が良かった。

 そういえば昨夜、純君は「ママも行くのよ」と言った「母」に対して、
「ママとも『知り合い』なの?」
 と、「無邪気な質問」をしていた。「中学生」の彼には、「大人の事情」というものが分からないのだろう。「『付き合い』よ」と母は苦笑しつつ答え、会話を聞いていた私は思わず「吹き出して」しまった。彼の「発言」に私が「リアクション」するのは、随分と「久しぶり」な気がした。
――そうだ、純君はまだ「そんなこと」知らなくて良いのだ。
 未だ「無知」な彼を――、そんな「純粋」な「弟」を――、私は「愛しく」思った。

 ひと通りの「作業」を済ませ「洗面所」を後にし、次に「メイク」に取り掛かるべく「部屋」に戻る――。
 その「途中」、私はふと「廊下」で足を止める。眼前には「トイレ」のドアがあった。

 それもまた私の「モーニングルーティン」に含まれている重要な「儀式」だ。あるいは「動画」にする時なんかは「省かれる」のだろうが――、紛れもなくそれは私にとって「日常」の「一部」となり、もはや「習慣」と化している。

 私は「毎朝」、「用を足す」ことにしている――。

 これまで「意識」したことなどなかったが。思えば――、「顔を洗う」→「歯を磨く」→「用を足す」という「一連」の「流れ」が、すっかり「自然」のものとなっている。
 本来ならば「朝食後」に「出した」方が「効率が良い」のだろうが。私の「健康な体」は「夜」の内に存分に「消化」を進め、「起きた」頃にはすでに「腸内」に「それ」が「蓄積」され、「食べる」よりもまず「催して」しまうのだった。
 そして「今朝」も――。

 私は「ドア」の前で「逡巡」する。
――果たして、「出して」しまっていいのだろうか…?
「便意」はある。「尿意」についても「そこそこ」に。あるにはあるのだが、そこで私は彼との「約束」を思い出す――。

「じゃあ、今から『トイレ禁止』ね!」

「無邪気」な、彼の「命令」。だがその「無邪気さ」は純君の「純粋さ」とはかけ離れたものだ。彼は「何も知らない」で言っているのではなく、「全てを分かった」上で言ったのだ。その後に待ち受ける、彼の「願い」を――、私の「望み」を――、二人の「願望」を――、あくまで「熟知」した上での、多分に「邪気」の含まれたものなのだ。

 私は今日、彼の前でまた「お漏らし」をする――。

「我慢」に「我慢」を重ねた上での「失禁」。「耐え」に「耐えた」末の「解放」。
 だからこそ、私は「溜めて」おかなければならないのだ。「おしっこ」を――、そして「尿意」を――。もはや自分の「意思」では「抗えなく」なるほどに、「堪えきれなく」なるくらいに――。
 いわば、この「忍耐」もまた「プレイの一環」なのかもしれない。全てはある「瞬間」のために――、「私の」あるいは「二人の」、「未来」のために――。

 あるいはそれが「尿意」だけであったなら――。私は彼の「指令」に「従って」いただろう。彼に言われた通り、きちんと「トイレに行かず」に、その場から歩き去っていたことだろう。

 私は「ドア」を開けた――。
「カギ」を掛け、それから「下着」を下ろし、「便座」に腰かける。

――そう、「したい」のが「おしっこ」だけだったなら…。
 私は「お腹」に「力」を込める。

――プスゥ~。

 と、まずは「出口付近」の「ガス」が「放出」される。そして――、

――メチチチチ…。

「お尻の穴」が拡がり、そこから「物体」が生み出される。「太く」「固い」ながらも、私の「意思」のままに「押し出される」それは――、「うんち」だった。

――ボチョン!!

 まるで「しっぽ」みたいに――。私の「お尻」から伸びた「それ」はやがて「重力」に「耐えきれず」に「切れて」、「便器内」に「産み落とされる」
 跳ね返った「水」が「お尻」に当たる。思わぬ「冷たい感触」に思わず声を出しそうになりつつも堪え、それから「深い息」を吐く。

――「うんち」、気持ちいい~!!

「快感」の「歓声」は上げずとも、「達成感」が込み上げてくる。

――まだ、出そう…。

「巨大」な「一本」を「ひり出し」ながらも、「便意」は未だ収まることなく――。
「注意深く」力を込めて、「次々と」生み出してゆく――。

――ブチッ!!
――メリメリメリ…。
――ピチョン!

「初発」には及ばないまでも、それなりの「塊」が「落下」する。
 ようやく「便意」が鎮まりつつも、だがまだ「半分」といったところだった。「股間」に「ムズムズ」とした「気配」がある。

 私はやや「迷い」ながらも、やがて「そちら」さえも「解放」してしまう――。

――ショロ…。シュイィィィ!!

「勢い」よく「放たれた」のは――、「おしっこ」だった。昨晩から「溜め込まれ」、「満タン」となった私の「尿」だった。

――やってしまった…。

 これにて、彼との「約束」を完全に「破って」しまったことになる。彼から与えられた「命令」を、私は「守る」ことが出来なかったのだ。
 出続ける「放尿」の「感触」を得ながらも――。あるいはこれが「便器」にではなく「ショーツの中」に「放たれて」いたなら、と想像する。
 きっとすぐさま「ショーツ」を突き破り、脚を「伝う」ことさえなく、「直接」足元に「水溜まり」を形成していたことだろう。それを「眺める」彼の「視線」を思う――。私に「与えられる」限りない「羞恥」を想う――。

 だが「後悔」はそれほどなかった。「安直」に私は考える。
――きっと、すぐにまた「したくなる」だろう…。
 と。「時間」が経てば――、それなりに「水分」を摂取すれば――。また何度だって「自然」に「催す」に違いない。それこそが「生理現象」というものなのだから。
 だから私はあくまで「スッキリ」としたまま、「排泄」を「終えた」のだった――。

 最後まで「出し切った」ことを「確認」しつつ、「ペーパー」に手を伸ばす。
「カラカラ」と手でそれを「巻き取り」、そして「お尻」にあてがう。

「一回目」は――、当然の如く「べっとり」と「付く」。「ペーパー」が「うんち」で「茶色」く染め上げられる。それを「便器」に捨てる。
「二回目」も――、やはり「それなり」に「付く」。「うんち」で「汚れた」ペーパー。少しばかり「マシ」になりつつも、まだ「拭い」きれていないことを報せる。
 そして「三回目」――、「微か」だが「付く」。私の「肛門」はまだ「汚れて」いる。
 さらに「四回目」――、ここにきてようやく「ほとんど」付かなくなった。とはいえ、「ペーパー」には「わずか」ながらも「痕跡」が刻まれている。薄く、茶色い「線」。

 さすがに、これ以上「消費」するのは「もったいない」という「節約心」が、私の中に生じる。「もういいだろう」と半ば「妥協」気味に「諦め」つつ「ショーツ」を上げる。だが――。

――ヌチャ…。

 確かな「感触」が与えられる。微かな「予感」が「的中」する。
 慌ててもう一度「ショーツ」を脱ぎ、確かめてみる。よく見てみないと分からないが、そこにはやはり「ウンスジ」が付いていた。ちゃんと「拭いた」にも関わらず。あれほど入念に「気を付けていた」というのに――。
「ショーツ」に刻まれた「排泄の痕跡」。「尻の部分」に――、その「中央」に描かれた「形跡」に鼻を近づけ、「匂い」を「嗅いで」みた。

「案の定」というか、やっぱり「クサい」。「ショーツ」から紛れもなく「うんち」の「ニオイ」がした。「清浄」であるはずの「乙女」とは、あまりに「かけ離れた臭い」。
 またしても私は「ショーツ」を「ウンスジ」によって「汚して」しまったのだった。

――どうして…。

「疑念」と「憤慨」を抱きつつ、けれど私には「心当たり」があった。
 それもまた、きっと「彼のせい」だ。彼が私の「お尻の穴」を「弄ったり」するから――、指を「突っ込んだり」、ペニスで「犯したり」するから――。だから私の「穴」は、すっかり「拡げられて」しまったのだ。
 もはやきちんと「閉じられなく」なるほどに、拭いても拭いても「拭き残して」ほどに――。だから「ショーツ」に「うんち」が「付いてしまう」のだ。

 私は「嘆息」しつつ、レバーを「大」の方に向かって捻る。「便器」の中の「モノ」が「水流」によって押し流されてゆく。それで「便器内」はすっかり「キレイ」になった。だが私の「肛門」はそうはいかなかった――。

「トイレ」を出て一度「部屋」に立ち寄り、「着替え」を持って「浴室」に向かう。
 汚れた「お尻」を「シャワー」で洗い流す。「指」には、未だに「ヌルヌル」とした「感触」があった。しつこいそれを何度も指で「拭い」「確かめて」、ようやく「感触」が無くなったところで水を止め、「清浄」な下着に穿き替えて、「浴室」を出る。

 そこで「純君」と鉢合わせた――。

 私は「驚き」のあまり、一瞬「声」を失う。彼は一体いつからそこに居たのだろう。
 私の――「姉」の再びの「失態」を、その「一連」を、「目撃」していたのだろうか。
 あるいは彼はまたしても「姉の下着」を「拝借」しようと企てていたのだろうか。ついさっき私が脱いだ「下着」を、またも「ウンスジ」の刻まれた「下着」を――。

「純君、起きたの?」

「疑い」を抱きつつ、彼の「真意」を探りつつ、私は「平静」を装って訊ねる。

「うん、さっき起きたところ…」

 純君は答える。「さっき」とは果たして「いつ」なのだろう。

「てか、お姉ちゃんどうしたの?」

 今度は純君に訊ねられる。「どうして、シャワーなんか浴びてるの?」と、確かに彼の「疑問」はもっともだった。

「いや、なんか『汗』かいちゃって。昨日の夜、ちょっと『暑く』なかった?」

 とっさに思いついた「返答」だった。あまりに苦しい「言い訳」。実際、昨夜はむしろ「肌寒い」くらいだった。「汗をかく」なんてことは全くない。
 それに第一、私は「服」を「着たまま」なのである。「下」はもちろん「脱いだまま」だが(「ショーツ」だけは穿いている)、「上」は「着たまま」だった。

――と。そこで私は自分の「下半身」が「下着姿」であることを思い出す。

「!!!」

 慌てて、手で「下」を隠す。「パジャマ」の裾を引っ張り、露わになった「ショーツ」を隠そうと試みる。だけど「無駄」だった。全てを「覆う」には、「両手」と「裾」だけではやや「物足りず」、あまりに「心許なかった」。
 私は純君に、穿いている「下着」を――、「ショーツの色」を知られてしまう。

「穿き替えた」私の下着は「水色」だった。「引き出し」から「選ぶ」とき、どうせなら「汚れ」の目立たない「黒」にしようかとも考えたが、それだと「お漏らし」の「染み」まで埋もれてしまう。それはなんだか「もったいない」ように思えた。
 あるいは今日は「デート」なのだから――、とせっかくなら「勝負下着」にでも穿き替えたいところだったが。あいにく私は「そんなもの」は持っておらず、「形」については「一定」のものばかりで、せいぜい「色」を選ぶくらいが関の山だった。
「Tバック」でも持っていたなら――、と思ってもみたが。ただでさえ「ウンスジ」を付けてしまう私が、そんな「お尻に食い込む」ような下着を穿こうものなら――、もっと「悲惨」なことになるのは目に見えていた。
 だからこそ私は、持ち得る「選択肢」の中で――。なるべく「淡い色」の、出来るだけ「可愛らしい」ものを選ぶことにしたのだった。

 私が「慌てた」様子を見て取って、純君も少しばかり「動揺」したらしかった。私から目を背け、「見ないように」と「視線」を逸らす。

「あっ、ごめん…!!」
「ごめんなさい…!!」

「謝罪」の言葉がぶつかりつつも、私は純君の横をすり抜けて自分の部屋へと向かう。
「後ろ」に純君がいることを感じながら、彼は果たして私の「後ろ姿」を目で追っているのだろうか。未だに「パンツ剥き出し」のままの私の「お尻」を――。

――お姉ちゃん、純君の言ってた通り。また「パンツ」を「汚し」ちゃったよ…。
――でも、これは「お漏らし」とは違うんだからね!!
――「ウンスジ」が付いちゃっただけなの!!

「ツンデレ」かどうかも分からない、あるいは「告白」とも取れる「台詞」を「心中」で発する。またしても私の新たな「秘密」を彼に「知られていない」ことを願いつつ――。

 ようやくパジャマの「下」を穿き終えた私は、再び「洗面所」に戻る。純君はまだそこにいた。どうやら顔を洗っているらしい。

「今日は『パパ』と『ママ』、居ないみたいだね」

 分かりきったことを、純君の「背中」に向かって語り掛ける。ついさっきの「出来事」をまるで「無かったこと」にするみたいに――。

「うん。『結婚式』って言ってたよね」

 純君は答える。水を止めて、私の方を振り向いた。

「純君、今日は何するの?」

 それもまた「普通」の「質問」。だけど彼は少しばかり「身構えた」らしく――。

「べ、別に…!!『ゲーム』でもしようかなって…」

 そっか。あるいは私が彼の「犯行」を悟ったとでも思っているらしい。そんなつもりはなかったのだが、そこまで「動揺」されると逆に怪しい。彼はまたも私の居ない間に、「洗濯機」を「漁る」つもりなのだろうか。
 彼のすぐ横には「それ」がある。そして「中」には、私の「脱ぎたてホカホカ」の、「汚したてホヤホヤ」の「うんすじショーツ」が入っている。彼にそれを見られてしまうことに「抵抗」を覚えつつも、どこか彼を「信じたい」気持ちがわずかに上回り、私はそれを「そのまま」にしておくことにした。(というか、一度脱いだ下着を再び「回収」するのはどう考えても不可解で、それではまるで彼を「疑って」いるみたいだった)
――きっと「大丈夫」だ。
 それは「汚れ」についてではなく、あくまで「純君」についてだった。彼は「あの晩」ちゃんと「約束」してくれたのだ。「もうしない」と――。「返事」はやや曖昧だったが、「彼との約束」を「守れなかった」私と違って、「純粋」で「真面目」な彼はきっと「姉との約束」を「守って」くれるはずだろう。

「そっか。ちゃんと『勉強』もしなくちゃダメだよ?」

 全ての「期待」と「信頼」を込めて、私は言う。

「お姉ちゃんは、今日も『アルバイト』?」

 今度は私の「予定」について、純君に訊ねられる。

「うん…、そうだよ」

 私は「嘘」をつく。本当は「デート」なのだが。
「お姉ちゃん」も「年頃」なのだから、それくらい別に「普通」なのだろうし、あえて「隠す」必要もなかったのかもしれないが、それでも。純君の「嫉妬」と、今日私がしようとしていることを思えば――、どうしても「正直」に答えることは出来なかった。

――今日、お姉ちゃんはまた「お漏らし」をしちゃうんだよ…。
――男の人の「前」で。自分の「意思」で。
――「わざと」お漏らしをして、その「姿」を見られちゃうんだよ…。
――しかも今日は、ついに「外で」お漏らしをしちゃうの!!
――きっと、すごく「恥ずかしい」だろうな。

 そんなこと言えるはずもない。そして――。

――お姉ちゃんは今日、やっと「処女」を奪われちゃいます!!
――純君はきっとまだ「童貞」だよね?
――分かるよ。ツラいよね?苦しいよね?
――本当は純君も、「女の人」の「中」に「入りたい」んだよね?
――でも、まだ「我慢」だよ。
――きっと、いつか純君にも「そういう相手」が現れるから。

「一足先」に、と。私は自分だけが間もなくそれを「終える」ことを思う。「姉弟」であることと「年齢」を考えればまさしく「順当」なのだが、なんだか少し「申し訳ない」気持ちになる。

――もし、純君が「したい」と思って…。
――それでも、「相手」を見つけられなくて…。
――もしも、純君がどうしてもって「望む」なら。
――「その時」は…。

――「お姉ちゃん」が「相手」になってあげる!!

 なんて、そんなことを言えるはずもない。それこそ彼に消えない「トラウマ」を植え付けてしまうことだろう。「初めて」を「お姉ちゃん」と「してしまった」という、決して癒せぬ「瑕」を与えてしまうだろう。それでも、いざとなったら私は――。

「遅くなるかもしれないから、『晩ごはん』一人で食べられる?」

 私はあくまで「面倒見の良い姉」として、純君に訊く。

「ママは『そんなに遅くはならないから』って言ってたよ」

 確かに、わざわざ「他人の結婚式」でまさか「二次会」に参加したりはしないだろう。「式場」はやや遠方にあるらしいが、それでも「夕方」くらいには帰ってくるはずだ。

「ちょっと待ってて」

 私は今一度部屋に戻って、「財布」を持ってくる。

「はい、これ!」

「千円札」を取り出し、純君に渡す。

「いいよ。ママに貰ったから」

 純君は「遠慮」する。

「いいから、もし使わなかったら『漫画』でも買いなさい」

 私は半ば強引に、純君に「お小遣い」を託す。それが「姉」として私に出来る、せめてもの「償い」のつもりだった。

 純君は知らない。私が「バイト」ではなく、本当は「デート」に行くことを――。
 今日また「新たな経験」をすることになるだろうことを――。帰ってくる頃には、あるいは「違う私」になっているかもしれないことを――。
 いや、彼は「知る必要」などないのだ。

「ありがとう…」

 そう言って、渋々純君は「お金」を受け取る。私は「笑顔」で頷きそれに応え、少しばかり「満たされた」ような気持ちになる。わずかばかり「罪悪感」が拭えたような、そんな気がした。

 純君との「会話」を終えて。早速、私は「準備」の「続き」に取り掛かる。「メイク」を済ませ、「髪」をセットし、「服」を着替えて、それからほぼ「予定通り」に家を出たのだった――。


続く――。

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