おかず味噌 2020/10/29 16:00

ちょっと悪いこと… 第二十六話「私の視点 ~因果と応報~(5)」

(第二十五話はこちらから↓)
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「駅」に着いて「時計」を見る。時刻は「一時半前」。
 待ち合わせ時間は「二時」だから、まだ三十分以上ある。
――さすがに早すぎたかな…。
「余裕」をもって家を出たつもりだったのだが――、それにしてもここまでの「道程」で「早歩き」になってしまったのは、やはり「焦燥」と「期待」の「表れ」なのだろうか。

 それでも――。「待つ」方が「待たせる」よりはずっといい。私にとって「人を待つ」というのはそれほど「苦」ではなかった。「遅れる」なんてのは以ての外だし、それに「待ち時間」というものはいわば「相手」に捧げる「気持ち」であり、あるいは最低限の「礼儀」だというのが私の「考え」だった。

 彼を待つ間、私は「最終確認」をする。今日の「服」は「ヘン」じゃないだろうか?「髪」は、「メイク」は、「地味」過ぎたり、逆に「派手」過ぎたりしないだろうか?
 とはいえ、すでに「手遅れ」なのだが――。それでも「最後」まで「気になる」というのが、やはり「乙女心」というものだった。

 今日は「黒タイツ」を穿いて来なかった。無論、「濡れる」ことを懸念してのことだったが――、それならばいっそ「そちら」の「替え」も持ってくれば良かっただろうか。
 彼は「がっかり」するだろうか。彼は私の「黒タイツ脚」が「好き」だと言っていた。彼は「脚フェチ」なのかもしれない。「好き」という言葉には色んな「意味」が含まれるが、ここでいうそれは単に「嗜好」というものだろう。彼の「興奮」を高め、「劣情」を煽るため、それは必要な「装備」であり「小道具」だったのかもしれない。

 私の「バッグ」の中には、ショーツの「替え」が入っている。「丸められた」それは「ハンカチ」くらいの「大きさ」で、ほとんど「場所」を取ることはなかった。あるいは「着替え一式」持ってきていたなら、もう少し「大きめ」のバッグになっていただろう。

「待つ」こと、およそ「十五分」――。ようやく彼が現れた。それでも「予定時刻」より随分と「早い」。あるいは彼もまた「逸る気持ち」を抑えきれなかったのだろうか。
 簡単な「挨拶」を交わし、私達は「並んで」歩き始めた――。

「券売機」で彼は「切符」を買う。私は通学用の「定期」があったので必要なかった。
「改札」を抜け、「ホーム」で「電車」を待つ。その間、彼は「一言」も喋らなかった。果たして彼の「脳内」には、どのような「想像」が渦巻いているのだろう。どのような「プラン」で、これから私を「羞恥」へと誘い、結果「失禁」へと追い込むのだろうか。
 それはともかくとして――。私としては、少しくらい「今日の服装」に対する「言葉」が欲しかった。「可愛い」とか「似合っている」とか何でも良いから何かしらの「感想」を言ってもらいたかった。

「電車」がホームに「停車」し、それに乗り込む。「休日」のせいか、「満員」とはいかないまでもそれなりに「混んで」いた。私達は「扉」付近で留まり、私は「車窓」に向かって立ち、彼は私の「後ろ」に陣取った。やがて、すぐに電車が動き始める――。

「降り立つ駅」までは、ものの「二十分」。出来ることなら「座り」たかったが、別に「わがまま」を言うつもりはなかった。途中の駅で「停車」する度に、私はわずかに身を躱し、降りる「乗客」のために道を空けた。その時、ふと――。

 私の「お尻」が彼の「前」に当たった――。

 それは「不可抗力」であり、いわば「仕方のない」ことだった。だけど、確かに私は「お尻」に当たる「感触」に気づいたのだった。「固く」、けれどどこか「柔らかい」彼の「一部分」に――。

 彼はすでに「勃起」していた――。

「スカート越し」の私の「割れ目」に、彼の「ペニス」が突き立てられる。いや、彼にそのつもりはなかったのかもしれない。やはりあくまで「不可抗力」であり、それはほんの「一瞬」のことに過ぎなかった。
 だがそれでも――。私に「感触」があったように、彼にもまたその「感覚」はあったのだろう。やがて訪れる「未来」に至る、「予感」をはっきりと抱いたのだろう。

 次に電車が「揺れた」時、私は「わざとらしく」彼の体に「背中越し」にもたれかかってみた。再び「固い感触」がもたらせられる。彼は「腰を引く」ことなく、あくまでバレない程度にむしろ腰を「突き出し」、そこにある私の「お尻」に押し当てた。
 それだけで、私は少しばかり「ショーツ」の中が「湿る」のを感じた。私の「花弁」が今はっきりと「開かれる」のを悟った。

 出来ることならば、もう「今すぐ」にでも「入れて」欲しかった。「スカート」を捲り上げ、「ショーツ」をずり下げ、「準備万端」の私の「ヴァギナ」に彼の「ペニス」を「突き入れて」もらいたかった。だが、ここでそんなこと出来るはずもない。
 であれば、いっそここで「お漏らし」をしてしまおうか。「外」といっても「屋外」である必要はなく、あくまで「公衆の面前」で「粗相」をしてしまう。「我慢」できるのに「我慢」せず――、「我慢出来ませんでした」という「設定」だ。
 だけど、それも出来なかった。もしもここで私が「お漏らし」なんてしようものなら、きっと他の「乗客」は大いに「戸惑う」ことだろう。もしくは予期せぬ「事故」のため、「一時運休」となってしまうかもしれない。あるいは本当にどうしても「無理」だったのなら、致し方ないことなのかもしれない。いくらか「同情」の余地だってあるだろう。だけど私は――、「故意」にその「行為」をしてしまうのだ。
 それはもはや「事故」ではなく「事件」だ。自らの「過失」によって、一般の方々に多大な「迷惑」を掛けてしまう。あるいは電車を「止めた」ことへの「賠償金」は、果たして「いくら」くらいになるものなのだろう。あまり考えたくはない「想像」だった。
 それに――。「現時点」で私は、少しも「尿意」を感じていなかった。やはり、家で「してきた」せいだろう。私の「膀胱」はすでに「カラ」であり、「下腹部」に力を込めてみたところで「気配」すら「微塵」も感じられなかった。

 それでも。「ムズムズ」とする「尿意」とはまた違う「焦燥」によって、私の「股間」は「疼き」を覚えていた。「おしっこ」ではない「液体」によって、確かに「アソコ」は「湿り気」を帯びていた。まるで「痒み」を感じるように。だから私は――。
 次に電車が大きく「揺れた」時、私はまたしても自らの「体」を彼に「触れ」させた。出来るだけ「自然」に、けれどやや「不自然」になりながらも尻を「突き出し」、彼の「股間」にぶつけた。それから――。

 私はスカート越しの「お尻」を、彼のズボン越しの「ペニス」にこすりつけた。

「円を描く」ように――。ちょうど「尻文字」で「の」を描くみたいに――。私は自分の「柔らかい部分」を彼の「固い部分」へと「なすり付けた」のだった。
 まるで「マーキング」でもするが如く。それはある種の「求愛行動」ともいえた。
――うっ…。
 その「瞬間」、彼は思わず「感じた」ような「声」を発した。小さく抑えられた「音」はけれど、私の「耳元」にしばらく残り続けた。

 私はふと、今自分が「穿いている」ショーツの「状態」を思う。今朝の「排泄」の後、一度「穿き替えた」ばかりのそれを――。
――きっと、「大丈夫」なはずだ。
 今ばかりは「ウンスジ」は付いていない。だから「臭い」もないはずだ。だからこそ、彼の「ズボン」に「うんちクサさ」を付けてしまう心配はない。そして、私の「アナル」も今はまだ「キレイ」なままなのだ。

 私の「お尻」に、その「割れ目」に、彼の「ペニス」が当たる。まるで「挿入」を待ちわびているかのように。そして私は「かつて」のあの「瞬間」を思い出す。すでに彼に「犯された」、そちらの「穴」のことを。だけど今日は――、

――「そっち」じゃない!!

 私が「入れて」欲しいのは――、「犯して」欲しいのは――、あくまで「こっち」なのである。今やすっかり「準備万端」となりつつあり、わかりやすく「涎」を「ダラダラ」と垂らしている「性器」の方なのだ。
 たとえ今は「汚れていない」とはいえ、「不浄の穴」と呼ぶべき「アナル」ではなく――、やがて「おしっこ」によって「汚れる」ことになろうとも、「清浄」であるべき「ヴァギナ」の方なのだ。

 果たして、彼に私の「想い」が通じたのだろうか。あるいは「フリフリ」と「しっぽ」を振るみたいに「お尻」を擦り付けたことで、「今日も『そっち』に入れて欲しい」と、彼にあらぬ「誤解」を与えてしまったかもしれない。
 昨夜の「やり取り」の中でも彼は終始、私の「お尻」に「執着」していた。「執拗」なまでに私のお尻の「汚れ具合」に、ショーツに付けた「ウンスジ」についての「話題」が上げられた。彼はすでに「気づいて」しまっているのだ。私の「うんちクサさ」を――、「乙女」にあるまじき「羞恥」の存在を――。
 彼は今日、本当は私に「うんち」を「お漏らし」させたかったらしい。「おしっこ」より遥かに「恥ずかしい」、あるいは「絶望」を私に与えるつもりだったらしい。
 それについては当然、私は断った。だが昨夜「絶頂」を迎えた直後、私が「おしっこ」のみならず「そちら」さえも「チビって」しまったことを彼は知らない。「純白」のショーツに「くっきり」と描かれた「ウン染み」を――、より「はっきり」とした「うんち」「痕跡」を――。
 たとえ彼に一度は「知られて」しまっているとしても――。「見られ」、「嗅がれ」、「舐められ」ているとはいえ。だからといって「平気」なはずなどなく。
「うんちお漏らし」だけは――いくら彼が「望もう」とも――それだけはどうしても「嫌」だった。私にとって、その「未来」だけはあり得なかった。


 ようやく「駅」に「到着」し、私達はホームに降り立つ。階段を上り、改札を抜けて、「街」に出る。
 ここに来て、やっと彼と「会話」が生まれた。それは今日の「行先」を確認し合うものであり、今日の「目的」についてはあくまで互いに口を「閉ざした」ままだった。
「車内」での「行為」についても、彼はその「意図」を尋ねはしなかった。きっと彼は「解って」いるのだろう。私の抑えきれない「発情」を――。あるいは私からのちょっとした「サービス」くらいに思っているのかもしれない。

「ここ、です…」
 街を「数分」歩いた後、私が足を止めたのは――、ある「カフェ」の前だった。
「黒」と「暖色」を基調とした「店構え」。店先には「テラス席」もいくつか並んでいる。そしてそこで「くつろぐ」人々はというと――、皆一様に「流行」を身に纏い、まさに「お洒落感」丸出しであった。
「ノートパソコン」を広げ、さらに片手で「端末」を操作する「スーツ姿」の男性。「着る」のか「脱ぐ」のかはっきりしない、肩だけで「ジャケット」を羽織っている女性。
 ただ「お茶をする」というより、ただそこに存在しているという「スタイル」自体が彼ら彼女らにとっては意味を持ち、ある種の「ステータス」を主張しているように思えた。

 私にとってあまりに「無縁」とも感じる、まさしく「リア充」達の「世界」に――。
 私は一瞬、店に入るのを躊躇い、臆してしまう。あるいは「お一人様」ならば「無理」だったかもしれない。だけど今日は彼と「二人」。「実情」がどうであれ、「一見」したところ間違いなく「デート」である。「遥か彼方」に居ると思っていた「リア充」達――。だがこれにて私も、めでたくその「仲間入り」を果たすわけである。だからこそ、私は今や「大手」を振って「入店」したのだった――。

 すでに「雑誌」で「予習」は済ませてある。問題は「注文の仕方」だった。「L」とか「M」とか、そういう「表記」ではないかもしれない。あるいは「ホット」や「アイス」にも、この店ならではの洒落た「言い回し」があるのだろうか。全然分からない…。
 だが私の「杞憂」は「取り越し苦労」に過ぎず、ごく「普通」に「注文」を終えることが出来た。というか「メニュー」は当たり前に置いてあったし、そもそも「注文」自体は彼がしてくれた。

 彼は「ホットコーヒー」を、私は「アイスコーヒー」を頼んだ。滅多に来ることもないのだし、せっかくなら「期間限定メニュー」の「マロンなんとか」にすれば良かったが、私は「カフェイン」の「利尿作用」に期待することにした。彼のように「ホット」ではなく、「アイス」にしたのも同じ「理由」からだった。

 空いた「席」を見つけてそこに座り――、それからしばらく私達は「談笑」に耽った。「会話」は「バイト先」のちょっと変わった「社員さん」や、面倒くさい「お客さん」に始まり、やがて私の「大学」での「専攻」についてなど、「話題」には事欠かなかった。
 話の合間にふと「店内」を見回すと――、ほとんどは「女子会」らしき「若い女性達」か、「カップル」ばかりだった。あるいは傍から見れば私達も、「平凡」な「恋人同士」に見えているのだろうか。私がこれから「しようとしている事」を思うと、あまりの「場違い」さに「不安」になりつつも――。まさかそれを「気取られる」心配はないだろう。

 会話が「一段落」する度、私は何度も「おかわり」をした。「過剰」に「水分」を摂取し「催す」ためだったが、だが別に意識せずとも「喋る」ことで、自然と「喉が渇いて」くるのだった。

 やがて――。およそ「二時間」ほどが経過した頃、私は「下腹部」に鈍い「違和感」のようなものを抱いた。
――もしかして、この「感じ」は…。
「日常的」に、もはや慣れ親しんだ「感覚」。そこに少し力を入れてみると、すぐに鋭い「痛み」のようなものへと変わる。
――ようやく「溜まってきた」みたいだ。
 私は「会話」を止め、それから彼の「耳元」に顔を寄せて「他の客」に聞こえないよう「小声」で呟く――。

「あの…。『おしっこ』したくなってきちゃいました…」

「尿意」の「訪れ」を告白する。「いよいよ」である。果たして、彼の「反応」は――。

「そろそろ、出よっか!」

 彼は言い放ち、席を立った。私も立ち上がり、彼に連れて店を後にするのだった――。


「カフェ」を出て、彼の「後ろ」を歩く。彼はひたすら「無言」で歩き、「尿意」を抱えた私は彼に「ついて行く」のがやっとだった。
 一体どこに「向かって」いるのだろう?少なくとも「トイレ」ではないはずだ。彼が「行かせてくれる」とは思えなかったし私自身「行きたい」けど「行きたくなかった」。

 やがて。彼が「裏路地」に入ったことで、私は「覚悟」を決める。
――まさか、ここで「しろ」ということか…?
 確かにそこは紛れもなく「屋外」であり、であれば「目的」とも合致する。
「外でお漏らし」。これまで幾度となく「室内」及び「彼の前」でしてきた「その行為」を今度は「野外」で、より「大勢の人」に見られながら――。
 だがしかし。「この場所で」というのは果たしてどうなのだろう。「日の光」すら差し込まない「路地裏」に、「衆人環視」が届くことはない。相変わらず彼の「視線」はあるけれど、あくまで「それだけ」。せいぜい「鼠」か何かの「気配」を感じるのみだった。
 それだと、これまでと何ら「変わらない」、その程度の「刺激」ではもはや私の心は「満たされなかった」――。
 それでも。私は「消化不良」ながらも、「下腹部」に力を込めた。「尿意」を「解放」するべく、再び自らに「羞恥」を与えるべく。だがそこで――、

「結衣には、これを『入れて』歩いてもらいます!!」
 そう言って彼は、「小石」くらいの「大きさ」のものを取り出す。
「何ですか…、それ?」
「真面目」ぶって私は訊き返す。だが本当は――、それが何であるかを私は知っていた。
「『ローター』だよ!」
「予想通り」の「答え」が返ってくる。
「『ローター』…」
「名称」を聞くのは「初めて」ではなかったが、目にするのは「初めて」だった。そして口に出すのもやはり「初めて」のことだった。
「こうやって、スイッチを入れると、ほら!」
 彼の手の中で「振動」する。「ブィィン…」と「モーター音」を立てながら、小刻みにその小さな「物体」が揺れ動く――。
「『どこに』ですか…?」
 訊き返して、すぐに「マズった」と思った。これでは「答え」を知っているみたいではないか。そして、当然のように彼は「答え」を示す――。

「結衣の『オマンコ』に、だよ」

「はっきり」と、私の「陰部」の卑猥な「俗称」を口にする。分かりきっていたことだった。だが改めてそう言われると――いくら「人が来ない」とはいえ、ここがまだ「外」であることも相まって――私の体は(「ローター」ほどではないにせよ)わずかに震えた。

「分かりました…」

 そこで「拒否」の「演技」を、「八百長」の「ラリー」を何度かすることも考えたが、私は素直に彼の「提案」を飲むことにした。もはや「抵抗」したところで無駄なのだろう。すでに私の「運命」は決まっているのだ。
 それに。私としてもその「未知」の「道具」に――、あるいはそれを「使用」することによって、やがて私が行き着く「末路」に――、「興味」がないわけではなかった。

 彼の手から「ローター」を受け取る。いざこうして改めて「手に取って」みると、それなりの「大きさ」に思える反面、「それ」はとても「軽かった」。何だか「玩具」みたいだ。「見た目」もなんだか「可愛らしく」、どこか「児戯」じみた「印象」すら与える。
 果たして彼は「どこで」こんなものを手に入れてきたのだろうか。元々「持っていた」ものなのだろうか、あるいは――。今日の「デート」のために、わざわざ「買ってきた」のだろうか。だとすると彼はあまりに「用意周到」というか、今日の「プレイ」に賭ける彼の並々ならぬ「意思」を垣間見たような気がした。

 今はまだ単なる「プラスチックの塊」に過ぎないそれを――、私は「スカート」の中に手を突っこみ、指で「ショーツ」をめくって「陰部」にあてがう。
「ひんやり」とした「無機質」な感触。その「冷たさ」だけで、また不意に私の「尿意」は高められる。その「予感」をすんでのところで「押し留め」、徐々に「体温」に馴染ませたそれを「ゆっくり」と少しずつ、「中」へと「押し込んで」ゆく。
 さすがに体が少しばかりの「抵抗」を示すと思っていたが、すでに「濡れ」「潤った」私の「蕾」に、それはやがて「ヌルリ」と滑り込んでゆく――。

 確かな「異物感」と同時に私は、今はっきりと「挿入感」を抱いた。
「それ」は私の「ヴァギナ」に「入って」いる――。ここ「数日」、「数週間」あるいはもっとずっと「前」から、私が「求めて」いた「場所」に。自分の「指」ではないものが――自らの「手」によるとはいえ――今確実に「挿入」されている。
 だけど「それ自体」は、私の「求めた」ものではなかった。決して「男性のモノ」ではなく、「柔らかさ」も「温かさ」も、あるいは「愛」すら感じられぬ「それ」は――、私にとって「望む」べくものではなかった。

 私はここである「危惧」を抱いた。あるいはこれで「喪失」とならないだろうか、と。私にとっての「初めて」を――、「二度」とは訪れない「一度きり」を――、こともあろうに「無機物」などに「奪われて」なるものか、と。
 私は「挿入部」に「意識」を集中し、「感覚」を尖らせる。「痛み」はない。であれば「ノーカン」なのだろうか。私の「処女膜」は「破れたり」していないだろうか。
 ここまで来て、まさか「人ならざるモノ」によって「姦通」に至るなど。これほどまでに「情けなく」「哀れ」なことはない。「経験談」として後に語られる際に――、

――私の「初めて」の「相手」は「彼」です…。

 などと言って、「ローター」を見せろとでもいうのだろうか。それではあまりに――、「あんまり」だった。
 私はどこかの「ハンチョウ」さながらに、往生際悪く「主張」し「連呼」したいところだった。

――ノーカン!ノーカン!!

 と。

 それにしても――。彼は私にこれを「入れさせて」、次にこれから「どうする」つもりなのだろう。「最初」こそ「異物感」もそれなりであったが、今では徐々に「同化」し、もはや私の「一部」となりつつある。このまま「入れ続けて」いたとして、あるいはその「存在」すら「忘却」してしまいそうだった。
 やはり「振動」こそが「重要」なのだ。彼の手の中で「震えた」それ。あの時みたいに「刺激」を与えれなければ――、「それ」は単なる「凡庸」な「物体」に過ぎない。

 果たして「スイッチ」はどこにあるのだろう。先ほど私が「見た」ところ、「表面」に「突起」のようなものはなく、「ツルツル」とした「手触り」があるのみだった。
 もし「本体」自体に「電源」があるならば、今一度「取り出して」から改めて「起動」させなくてはならない。そしていざ「振動」が加えられたそれを、再び「挿入」するとなると――、今度ばかりは巧く「入れる」ことが出来るだろうか。
 だがそんな私の「疑問」と「懸念」は、やがてすぐに「解消」されることになる――。

 私が「挿入」を終えたのを見て取って、彼はまたしても「別の機械」を取り出した。
 それは、一昔前に流行った「小型音楽プレーヤー」を思わせる「見た目」だった。
「簡素な造り」のその「中央」には、大きく目立つ「ボタン」が「一つ」だけ「配置」されている。そして彼はおもむろに――、「お試し」とばかりに「スイッチ」を入れた。

――ブゥゥゥン…!!

「くぐもった音」を立てて、「ローター」が「振動」し始める。彼の「掌」にあった時とは違い、「モーター音」はいくらか抑えられている。だけど、その「刺激」は――。

「一瞬」にして、私は「異物感」を取り戻す。「そこ」にある「それ」を、はっきりと「意識」する。私の「膣内」で確かに「小刻み」に「動く」それ――。その「直撃」に「下腹部」はおろか「全身」さえも揺さぶられ、やがて「脳」すらも「支配」される。

――あっ…!!ウソ…、何これ!?こんなに、「激しい」ものなの…?

 私の「驚き」も「喘ぎ」も、けれど「声」にはならない。思わず「スカート越し」に「股間」を押さえながら「葛藤」と「衝動」を必死で堪える。この「姿」はまるで――。

――こんなの、されたら…、私もう…。

――「お漏らし」しちゃいそう…!!

「身体」の「力」が抜ける。「意思」が失われてゆく。それと同時に「筋肉」が――、「括約筋」が緩められる。

――もうダメ!!出ちゃう…!!

「覚悟」を決めた次の「瞬間」――、「羞恥」と「快感」の到来を「予感」して、やがて私は「足元」さえおぼつかなくなる。そして――。

「倒れそう」になった私を、彼の腕が「支えて」くれる。尚も彼の腕の中で「震える」私をしばらく「観察」した後――。それから、ようやく彼は「ローター」の「スイッチ」を切ってくれた。

「大丈夫?」

「心配」そうに彼は私に訊く。「振動」と「尿意」、果たしてその「問い」は「どちら」に掛かるものなのだろうか。

「なん…とか」

「二つの意味」を込めて、私は答える。「幸い」というか「惜しい」というか、まさに「ギリギリ」のところで私は何とか「決壊」を免れたのだった。

「良かった」

「安堵」したように彼は言う。それはどういう「意味」なのだろう。だが、どちらにせよ――。
 優しげな「声音」。あるいは彼の「善意」。だがそれとは裏腹に「悪意」に満ち満ちた彼の「表情」。私の「命運」は、今や彼の「手中」に「握られて」いるのだった――。

「歩けそう?」

「たぶん…」

 少なからず「不安」を感じつつも私は答え、彼の腕を離れてかろうじて「自立」する。
 再び「尿意」を「堪える」体勢を整えつつ、すでに歩き出した彼の「後ろ」に連れる。
 次に「いつ」、「スイッチ」が入れられるかは分からない。だが、今はまだ「静か」なままの「それ」。それでも――。

 私の「股間」は確実に、「振動」の「余韻」を覚えていた――。


続く――。

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