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おかず味噌 2020/11/08 16:00

ちょっと悪いこと… 第二十九話「私の視点 ~因果と応報~(8)」

(第二十八話はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/389455


――○○さんの、バカ…!!

「心の中」で彼を罵る。
 私は「一人」、「孤独」と「後悔」を抱えたまま「とぼとぼ」と街を歩いている――。
「勢い任せ」に「飛び出した」まではいいものの、思えば今の私は「ノーパン」だった。「お漏らしショーツ」は彼に奪われたままである。「羞恥」と「粗相」の「証拠」は彼の「手中」にあった。

「下」が「スカート」だからこそ、「穿いていない」状態というのは「スースー」する。
 それに。あるいは「一陣の風」でも吹こうものならば、すぐさま「丸見え」の「危機」というのは、私をとても「落ち着かない」気持ちにさせた。
 それこそが「お漏らし」をしてしまったことによる「代償」であり、「因果」に対する当然の「応報」である。最初から「分かっていた」ことだ。「予め」「想定」された、「既定」の「結末」だった。

 私はふと、思い出す。「初めて」彼の家で「お漏らし」をした「あの夜」のことを。
 その「直後」、同じく「後悔」に打ちひしがれながら「帰路」についたことを。
 だけど、何故だろう?あの時は不思議と「孤独」は感じていなかった。取り返しのつかない「過ち」を「犯して」しまったという「憂鬱」を抱きながらも――、私の心はどこか「高揚」に満ちていた。あるいは子供が「万引き」をしてしまった後というのは、こんな「気持ち」なのだろうか。

 あの時は確か「制服ズボン」を穿いていた。だから「スースー感」はそれほどではなく。あくまで多少の「違和感」と、「衣服」が「直接」「そこ」に「触れる」のをとても「イケないこと」をしているみたいに感じた。

 そして、今現在の私は「スカート」を穿いている。「剥き出し」なのは先述の通りで、その上私は――、未だに「おしっこ」に「濡れたまま」の状態だった。
 彼の家で「シャワー」を借りて「洗い流す」ことが出来た「あの夜」とは違い。私の「股間」は「キレイ」にはなっておらず、「汚れ」を「清算」することも叶わず。私のそこは「水温」になだめられることもなく、微かな「熱」を帯びていた。それなのに。

 どうしてだろう?「高揚感」というものは「全く」といっていいほど感じられなかった。多少「形」は違えど、あくまで私の「望んだ」「結果」であるはずなのに。そこに「達成感」はなく「充足感」もなかった。ただただ「後悔」だけが「残る」のみだった。

――あのまま「続けて」いたなら、今頃どうなっていただろう…?

 彼はまたしても私の「アナル」に「挿入」を試みたのだろうか。いや、私があれほど「拒絶」したのだからさすがに、彼だって「普通」にしてくれたかもしれない。
 私の「ヴァギナ」が彼の「ペニス」によって「突かれた」ことだろう。

 それであえなく――、めでたく――、「処女喪失」というわけだ。

 そんな「予定」もあり得たかもしれない。というより、もはや「確定」だっただろう。「あのまま」行けば間違いなく私の「悲願」は達せられ、今頃「寂しく」街を歩くことも、「あり得た」はずの「未来」に苛まれることも、なかったはずだ。それでも。

――これで良かったんだ…。

「強気」な私は言う。「あんなヤツ」に私の大事な「初めて」を「捧げて」なるものか、と。「迎え入れられなかった」のではなく、むしろあえて「守り抜いた」のだ、と。

 それに。「場所」にだって少なからず「不満」はあった。
 何たってそこは「トイレ」なのだ。「排泄」をする場所であり――あるいは「化粧室」ともいうが――決して「和姦」をする場所などではない。しかも、その上「公衆便所」。
 見たところ、比較的「キレイ」ではあったがそれでも。「タイル」には「誰のもの」とも分からない「飛沫」が散っているかもしれない。
(そういえば、私の作った「水溜まり」は今頃どうなっているだろう。「清掃」の人に「嫌な顔」をされながらも、すっかり「始末」されているだろうか)

 いかに「立ったまま」でするとはいえ。手を突くことになるだろう「壁」さえ「不浄」に満ちていて、正直言ってあまり「触れたく」はない。そして。「いつ」「誰が」、本来の「目的」のために「入ってきて」もおかしくはないのだ。
 そんな「場所」で果たして「存分」に「最後まで」、「満足」のいく「行為」が出来るだろうか。いや、そもそも「集中」さえ出来ないだろう。

 そうした「理由」は、いわば「後付け」のものだった。あくまで自らの「正当性」を「主張」するために、「都合よく」書き換えられた「真相」であり、捻じ曲げられた「真意」に他ならなかった。
 だが。だとすれば、私は一体どうすれば良かったのだろう。果たして、「あの先」どうすることが、どう「振舞う」ことが「正解」だったのだろう。私には解らなかった。

「電車」に乗る前にまず。「駅のトイレ」に立ち寄り、持ってきていた「ショーツ」に「穿き替える」。
「個室」に入り、先に念のため「陰部」と「お尻」と「太腿」を「ペーパー」で拭う。「そこら」はすでに「乾いて」いた。
「バッグ」から取り出した「下着」に足を通し、「清浄」なそれを穿く。「いつから」私の部屋の「タンス」に眠っているかも分からない、恐らく「母親」が「セール」か何かで買ってきたであろう「簡素」な「白」の「ショーツ」。
「こちら」については彼の「興奮」を高めるためのものではなく、あくまで「事後」の「着替え」のつもりだった。所々に「皺」が寄っており、「ゴム」は少しばかり伸びていて、いかにも「使い古された感」が漂っている。

 だけど私がそれを「気にする」ことはなかった。後はただ「帰る」だけなのだ。
「粗相」をしつつも、けれど「肝心」な「展開」を経ることなく、「無残」にも「敗走」するのみだった。あるいは「失態」を犯した私には、それこそが「お似合い」なのかもしれなかった。

「電車」に「揺られ」ながら――、「全身」に掛かるその「振動」に、「ローター」との「共通点」を見出す。だけどやっぱり違う。あくまでそれは「私だけ」のものではない。
「お尻」にふと、彼の「感触」を思い出す。「あの頃」の私はまだ、「期待」と「焦燥」に満ち溢れていた。「失って」みて初めて分かる、あるいはそれこそが「幸福」というものなのだろうか。

「駅」に着いて、また「一人」歩き出す。

――「行き」は「二人」、「帰り」は「一人」。な~んだ?
――「答え」は「処女」でした~!!

 下らない、何にも「掛かって」いない「冗談」を思いつくほど、その時の私は「余裕」だった。
「家」まで「十五分」。少しばかり「軽く」なった「足取り」で向かう。そして、ようやく「半ば」を過ぎた頃――、私の「お腹」は盛大に「下り」始めたのだった。

――ギュルルル~!!!

「突如」として聴こえた「悲鳴」に、思わず私はその場で立ち止まる。あまりに「突然」の「訴え」に、私の「理解」は追いつかなかった。
 だけどすぐに「急激」な「腹痛」によって「それ」を知らされる。「経験」から言って間違いない、この「感じ」は――、

「便意」だった。

 私は「『うんち』がしたくなってきた」のである。私の「胃腸」はそれを「出したい」と、まさしく「直情」に「主張」していた。その上しかも単なる「便意」ではなかった。
 もはや居ても立っても居られないほどの「強烈」な「便意」。「お腹」と「相談」するまでもなく、あくまで「経験上」私には分かる。この「気配」は紛れもなく――、

「下痢」の「予感」だった。

「普段」の「サイクル」とは異なる「リズム」、「突拍子」もなく訪れる「排泄欲求」。
「健康便」とは違いそれは「音」もなく忍び寄り、いつの間にか「近く」に迫っている。そして「気付いた」時には、もはや「後手」に回ってしまっている。

――どうして急に…?

 いや、その「原因」には「心当たり」がある。きっと「先のお漏らし」のせいだろう。
「濡れたショーツ」を脱がされ「ノーパン」になったことで、さらに「おしっこ」を拭くこともなく歩き続けたことで、「お腹」が「冷えて」しまったのだろう。
 それに。「水分」を多量に「摂取」したのも、今にして思えばいけなかった。「余分」な「水分」は「尿意」のみならず「便意」すらも「誘発」してしまうことを、私は知っていたはずなのに。

 私の「腸」は「過剰摂取」によって巧く「機能」せず「悲鳴」を上げている。「吸収」し切れなかったそれが「便」と混ざり合い「緩いうんち」を「形成」している。もはや「水流」にも等しいその「衝動」が「出口」を求めて「押し寄せて」いるのだ。

 少しでも気を抜けばすぐに「漏れ出て」しまいそうだった。「流れ出る」といった方が適当だろうか。「水分」を「多分」に含んだ「下痢便」はさながら「小便」の如く――。

 そんな「状況」だからこそ、「おなら」も「厳禁」だった。僅かでも「楽になりたい」と「誘惑」に負けて、「緩めた肛門」からそれを「解き放った」なら――。「気体」のみならず、もはや「液体」じみた「固体」さえも「一緒」になって「溢れて」しまうことは「必定」だった。そして「容赦」なく「ショーツ」の「お尻部分」を「染め上げる」ことになるだろう。「不可視」の「ガス」とは違い、「うんち」の「カス」が「ショーツ」に刻まれ、「おチビり」の「瑕疵」として残り続けることになる。

――なぜ、よりにもよって「白」を選んでしまったのだろう。

 ここに至って、やはりその「選択」は「間違い」だったと気づく。これでは「茶色」が「丸わかり」ではないか、と。
「下着」の「替え」は持っていなかった。さっき穿き替えた「これ」で「最後」である。
 にも関わらず、私は再び「汚して」しまいそうだった。今度は「うんち」によって。「おしっこ」より何倍も恥ずかしい「うんち」によって――。

 私はふと、昨晩の「自慰行為」の「結末」を思い出す。「絶頂」の「脱力」によって、はたまたほんのちょっとした「気の緩み」によって、私の「肛門」から漏れ出たモノ。「うんちおチビり」――。
 あの時も「水っぽい便」だった。だから「失便」の瞬間、私には「実感」というものがまるで湧かなかった。それでも確かに私の「ショーツ」にそれは「刻まれて」いたのだ。
 あるいは今のこの「衝動」もまた、気付いた頃には「終わって」いるのかもしれない。あくまで「一部」を「汚す」のみで、後は勝手に「治まって」くれるのだろうか。

 いや。「あの時」とはもはや「レベル」が違う。そもそも昨日は「便意」を感じることさえなかったのだ。だが今は「はっきり」とそれが「腹痛」となって襲い掛かっている。
「気配」から察するに。これはきっと、「ちょっと汚す」程度では済まされないだろう。「ショーツ内」を盛大に満たし、さらには「収まる」ことなく「零れ出して」しまうことだろう。

――どうして、私ばっかりこんな目に…!!

 私は自らの「不幸」を呪い、「憤り」すら覚えた。

――本当なら今頃、「処女」を「捨てていた」であろうに――。

「破瓜」の「痛み」に耐えることもなく、「莫迦」みたいな「腹痛」に抗っている。

――どうして、こんな事に…。

 果たして、「どこ」で「間違った」というのだろう。この「報い」もまた、私自身の「因果」に結びつけられたものなのだろうか。
 いや。元はと言えば「彼のせい」だ。「根拠」もなく、私は「責任転嫁」する。

――そう、「責任転嫁」だ。

 私はある時期まで、その「四字熟語」を「責任転換」だと思い込んでいた。だって、「そっち」の方が「意味」は通るし、しっくり来る。
 そもそも、どうして「嫁」なのだ?なぜ、よりにもよって「奥さん」に「罪」をなすり付けなくてはならないのだろうか。
 あるいは「男性」というのは、いつだってそうなのかもしれない。あくまでも自らは「知らん顔」をして、「女性側」に全ての「原因」を「押し付ける」のだ。
 まさに彼が「お漏らし」の「責任」を「転嫁」し、私を「罵って」きたように――。

「嫁」。そういえば「結婚式」はどうなったのだろう。それこそ私には「無縁」のことである。「父親」の「取引先」の「専務」の「娘」。「お相手」は「会社」の「部下」。「社長」の「息子」。「厳粛」な「結婚式」。やがて築かれる「幸福」な「家庭」。
「両親」はもう「帰宅」しているだろうか。そして「純君」は――。

 次々と「脈絡」のないことを思い浮かべる。今の私はそんなことに「脳」を「割いて」はいられないはずなのだが。

――こういう時は、少しでも「楽しいこと」を考えないと!!。

 純君がまだ幼い頃、私はよく彼を連れて「本屋」に行っていた。母親から「毎月」の「お小遣い」を貰っても特に「使う宛」のなかった私は。当時まだ「低学年」で「収入」が少なく、にも関わらず「欲しいもの」のいっぱいある純君に「本」を買い与えていた。
 出来ることなら「小説」とはいかずとも、「児童文庫」くらい読んでもらいたかったが
それでも。純君が「欲しい」と頼むのなら、「漫画」だって構わなかった。
(さすがに「ゲーム」を買ってあげるだけの「財力」は「中学生」の私にもなかった)

 傍から見れば、どこからどう見ても「仲の良い姉弟」。そして、私にとって「そこ」は「特別な場所」となっていた。あるいは「聖地」とさえ呼べるかもしれない。
 だからこそ。「大学生」になって「バイト」を始めることになった私が、まず最初に「本屋」で「働きたい」と思ったのは「必然」だった。そこには、その頃にはやや失われ掛けていた「姉弟」の「面影」が確かに「残って」いたのだ。

「引っ込み思案」な純君は、よく私の「後ろ」に「隠れる」ようにして歩いた。少しばかり私が先に行くと、彼はすぐに追いついてきて私の「腰」に抱きつき、「お尻」にしがみついた。お尻にもたらせられる「小さく」「柔らかい」感触。もちろん私に「不快さ」は全くなかった。だけど――。

 私の「お尻」に顔をうずめ、やがて顔を上げた純君は言う。

――お姉ちゃんの「お尻」、何だか「ヘンな匂い」がするよ…?

「幼い彼」にも「指摘」されてしまう。そう、それは――。

――ごめんね、お姉ちゃんまた「ウンスジ」付けちゃったの…。

 私は「羞恥」を、自らの「不始末」を「告白」する。それから――。

――あっ、ダメ!!純君、そんなに「刺激」したら、お姉ちゃんもう出ちゃう!!

 彼の触れた部分に「予感」を抱く。そして――。

――純君、見ないで~!!!

 私の「お尻」が「異音」を発する。瞬く間に「ショーツ」が、さらに「スカート」さえも「盛り上がり」。私の「うんち」が――、私がいつも「モップ掛け」をしている「床」に零れ落ちる。

 儚い「思い出」はけれど、「茶色いモノ」によって「塗り潰されて」しまう。そして、いずれは「現実」さえも――。

 そういえば。「純君」は「家」にいるだろうか?
「今朝」会ったばかりなのに、彼と顔を合わせるのは随分「久しぶり」な気がした。
 今日の「出来事」によって、私は「変わって」しまったのだろうか。それでも純君は「変わらず」そのままで居てくれる。「思春期」ならではの「興味」に、多かれ少なかれ「穢され」ようとも――。

 けれど。出来ることなら、今は純君に家に居て欲しくはなかった。
 私の「お腹に抱えたモノ」は恐らく、とてつもない「勢い」を「内包」しているに違いない。いざ「解放」したならば、きっと「豪快」な「排泄音」を立ててしまうことだろう。「女性」として、「姉」としてあるまじき「轟音」を響かせてしまうことになる。
 それを彼に「聴かれて」しまうかもしれない。「姉の排尿」ならぬ「姉の排便」を彼に「報せて」しまう。それを「知る」ことによって「まさか」とは思うが、またもや彼に「イケない興味」を植え付けてしまうことにもなりかねないのだ。

 純君が居ようとも居まいとも、私が「目指す場所」は「家」に変わりなかった。
 そして、そこにある「トイレ」こそ、「傍若無人」に振舞える「自宅のトイレ」こそ、私の「目的地」に他ならなかった。
 途中で、あるいは「コンビニのトイレ」に立ち寄ることを考えないわけではなかった。だが「異変」を感じた頃にはすでに「通り過ぎて」いたのだった。

 もし「可能」ならば、手で「お尻」を思いっきり「押さえ」たかった。だけど、それをすることは出来なかった。
 私の「欲求」が「通行人」に「バレて」しまう。私が「うんちしたい」ことを、必死で「漏れそう」なのを「我慢」しているのを知られてしまうことは「必至」だった。

「手で押さえる」代わりに「歩幅」を縮めることで、なんとか「対処」する。
 それが「距離」を引き延ばし、あるいは「ゴール」を遠ざけると知りつつも――。

――プチッ…。
――プシュ…。

 あれほど自らに「禁じて」いた「おなら」が、もはや幾度となく漏れていた。「水気」をたっぷりと含んだ「放屁」が「尻たぶ」の「隙間」から溢れ出す。まるで「プルタブ」を開けた時みたいに――。
 すでに私の「ショーツ」は「悲惨」なことになっているだろう。「微か」だが「確実」に漏れ出た「液状便」が「広範囲」に渡って「お尻部分」に描かれていることだろう。
 こんな事なら、やはり「黒」を穿いてくれば良かった。だがそれだって「ニオイ」までは「誤魔化せない」だろう。いや、あくまで「バレ」なければいいだけの話なのだ。

「帰宅後」の私の「道順」は決まっていた。
 まずは「玄関」の「ドア」を開けて、そこから「一直線」に「廊下」を進む。すぐさま「トイレ」に入り――「鍵」を掛けるのも忘れずに――それから「下着」を下ろして、「便器」に跨り、そしてそのまま思いっきり「ブチまける」のだ。

「シミュレーション」は「ばっちり」だった。だけど何か、心に「引っ掛かる」ものがあった。何だろう?私は再び「記憶の扉」を開く。それはごく「最近」の事だった。

 確かあの日は――、「土曜日」なのに「店」が「暇」で。だから私は「早上がり」したのだった。いくら「稼ぎたい」とは言っていてもやはり「休みたい」と思うのが、その「矛盾」が「人間」というものである。早々に自分の「業務」を済ませ、「意気揚々」と私は「帰路」に就いたのだった。

「尿意」を感じ始めたのは――、やはり「半ば」を過ぎた頃だった。「自転車」の私は、「サドル」に「股間」を「押し付ける」ことで何とかそれに「抗った」。その頃はまだ「失敗」は「一度だけ」であり、あくまで「一度きり」の、決して「繰り返して」はならないものだと思っていた。
 そして、家のドアの前に立ったところでようやく気づいた――。

 私は少しでも「急ぎたい」ところを一旦立ちどまり、バッグの中を漁り始める。
 もはや「手元」すらも覚束なかった。片手は「尻」を押さえたまま、もう片方の手だけで「探る」。家を出る前、確かにそこに入れたはずのものを。だが――。

――ない…!!

 私はどうやら「鍵」を忘れてきてしまったらしい。「あの時」と同じだ。
 犯した「過ち」に、それを「繰り返す」自分に「嫌気」が差す。「真面目」と言われつつも、どこか「間の抜けた」私。
 いや、「真面目」と「抜け目なさ」は本来「別物」なのだ。「あざとさ」が今となっては「聡明さ」を表わすものではなくなったように――。
 そもそも、今の私はもはや「真面目」とすら言い難いのかもしれない。

「再三」に渡る「お漏らし」。そしてついに「今日」は「外でお漏らし」をしてしまった。人々が行き交う中、日々の営みの中、そんな「日常」の中に「非日常」をぶちまけてしまったのだ。たとえ「少量」とはいえ、「本流」についてはあくまで「トイレ」まで「耐えた」とはいえ。あくまで「未遂」に終わったとはいえ、一度は「してしまおう」と考えた時点で「情状酌量」の余地はなかった。

 ほんの「数十分前」の私は、「尿意」を「堪えて」いた。そして今の私は、かつての「欲求」を遥かにしのぐ「便意」に「抗って」いた。
 もはやいつ「決壊」してもおかしくはない、とうに「安全圏」を通り越した「衝動」に。あとほんのちょっと「傾倒」するだけで、「分水嶺」を越えるのは容易かった。
「我慢」を止めてしまうことで、私は「楽」になれるはずだった。だがその代わりに、何か「大事なモノ」を「失って」しまうのは確実だった。

 くしくも「あの日」と同じ「シチュエーション」だった。「おしっこ」と「うんち」の違いはあれど。あくまで「ピンチ」に変わりはない。それもかなり差し迫った「危機」。
 今となっては「懐かしい」感情を思い出す。「初めて」彼の前で「お漏らし」した時と同じものだ。あの時は「人生終了」と思った。「死んだ方がマシ」とさえ感じた。
 だが私の「人生」は終わらなかった。終わってはくれなかった。むしろ、そこから私の「日常」に「変化」がもたらせたのだった。

 あるいはこのまま――。

 もし「漏らして」しまったなら。「おしっこ」ばかりでなく「うんち」さえも「失敗」してしまったとしたら。またしても私は「絶望」に打ちひしがれつつも、新たな「扉」を開いてしまうのかもしれない。
 いや、そんなはずはない。あくまで「おしっこ」については、あるいは「潮吹き」と呼ばれるものと大差ないのかもしれないが。「うんち」は別だ。それはどうしようもなく「汚く」、決して「興奮」の「材料」にはなり得ないはずなのだ。
 それに、私は純粋に「嫌」だった。自らの「排泄物」によって、服を「汚して」しまうなんて。「ショーツの中」に「うんち」を解き放ってしまうなんて――。

 純君は家にいるだろうか。きっと、いるはずだ。もはや彼だけが「頼り」だった。
 もし居なかったとしたら――、その時はもう「諦め」よう…。それだって、彼や純君の「目の前」で「漏らす」よりかは何倍も「マシ」だと思えた。

「牛歩」並の「鈍さ」で、それでも「着実」に「歩」を進める。そして――。
 私自身の「日頃の行い」のためだろうか。あるいは、これまで「真面目にやってきた」が故の「忍耐」のためだろうか。
 ついに――。下から「見上げる」ようにして「自宅アパート」を望む。

「真面目にやってきたからよ!」

 と、昔観た「CM」の「台詞」が蘇ってくる。

 ここまで来れば。だが、あくまで油断は「禁物」だ。ここまで来て、ほんのちょっとした「気の緩み」から「敗北」してしまうわけにはいかなかった。
 すでに、私は「何度」も「負けて」しまっているのだ。「真面目」に培った「忍耐」は打ち破られ、「日頃の行い」さえもそこでは「無力」なのだった。

 私の「家」は「五階」にあり「エレベーター」はない。「○問」にも感じる階段を上りながら、それはまるで「処刑」に向かう「十三階段」のように思えた。

「死に体」を引きずりながらも、ようやく「目的地」の「二つ前の扉」へと辿り着く。
 私は「願い」を込めて、「インターフォン」を押下した――。


続く――。
(果たして、彼女は「間に合う」のだろうか…)

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おかず味噌 2020/10/19 16:00

ちょっと悪いこと… 第二十五話「私の視点 ~因果と応報~(4)」

(第二十四話はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/381523


「昼前」に起きて、「支度」を始める――。

「休日」といえども、いつもなら「九時前」には起きるようにしているのだが――、今朝はどうしても目を覚ますことが出来なかった。きっと「夜更かし」のせいだろう。
 昨夜はなかなか「寝付け」なかった。「ベッド」に入ったのがそもそも遅かったせいもある。彼との「やり取り」を終えて、「二度目」の「おやすみなさい」を返した頃には「深夜三時」を回っていた。

――こんな事なら、いっそ「電話」にしておけば良かったな…。

 彼からの「返信」は早かったが、それでも。「文字を打つ」時間を考えれば、やはり「直接」話していた方がいくらかの「短縮」にはなっただろう。
 いやむしろ、昨夜の「目的」とは、一体何だったのか?ただ今日の「予定」を話し合うだけならば、別に「メッセージ」だけでも良かったはずだ。早々に「切り上げて」、明日に「備えて」ゆっくり「眠る」ことだって出来たはずなのだ――。

「寝惚け」た目をこすりながら「辺り」を探り、手繰り寄せた「スマホ」を開く。その中には昨夜の「やり取り」が「そのまま」残されている。「寝起き」の頭にその「内容」は少々「刺激」が強すぎた。

 恐る恐る「見返して」みると――。彼からの「返信」は「一夜」明けた「今」となっても、「赤面」したくなるものばかりだった。そして問題は、私の「送信」だった。
 あくまで彼の「期待」に応えるためとはいえ――、私の送った「文章」は、あまりに「馬鹿げている」というか、「羞恥」にまみれたものだった。
 その上私は、あろうことか「自撮り」を――しかもただの「自撮り」ではなく、いわゆる「エロ写メ」を――彼に送り付けたのだ。
「メッセージ」を閉じて、今度は「画像フォルダ」を開く。そこには「昨夜の私」が自ら「撮影」し「保存」し「送信」した「画像」が残っている。「一枚目」は「ショーツ」の上からの「陰部」、「二枚目」は「ショーツ」をずらした「お尻」。そして「三枚目」はというと――、自らの手で「尻肉」を拡げ、晒した「アナル」が写っている。
 主に「空」や「風景」や「食事」からなる「フォルダ」の中で、その「三枚」だけ一際「異彩」を放っている。幸い「顔」が写り込んでない「匿名」の「画像」は、紛れもなく私の「一部」であるはずなのに、どこか自分と「切り離された」ものであるように感じられて、あるいは「ネット」から拾った「赤の他人」の「エロ写真」のようにも思えた。

――昨夜の私はどこか「オカシかった」のだ…。

 少々「調子」に乗り過ぎたことを「反省」しつつ――。「画像」を「拡大」することなく「選択」し、「自戒」を込めてまとめて「削除」する。だがすでに「送信済み」のものについては、どうしようもなかった。
「会話」自体を「消去」することは出来る。だがそれでもあくまで私の「スマホ」からは「見れなくなる」というだけで、昨夜の「やり取り」そのものが「無かったことになる」わけではなく。相変わらず、彼の「スマホ」に「履歴」は残ったままなのだ。
 彼もそれを「見返した」りしているのだろうか。あくまで彼に「乗せられる」ことで、すっかり「その気」になってしまった私。「羞恥」と「エロ」にまみれた、その「発言」一つ一つを切り取り。あるいは昨夜の「興奮」そのままに、「臨場感」たっぷりに、何度だって「反芻」しているのだろうか。
 彼は私の送った「写メ」を「保存」したのだろうか。そうだとしたら、その「画像」はやはり彼の「フォルダ」の中でも「異質」なものとなりながらも。彼にとって「定番」の「オカズ」になり得たのだろうか。彼は「あの後」も、何度か私で「ヌいた」りしたのだろうか――。
「想像」しただけで、また顔が「熱く」なってくる。私を「慰みモノ」にして、それを「滋養」に変えつつ、「おちんちん」を「しごく」彼。「嬉しい」ような「恥ずかしい」ような、「複雑な気分」だった。

 だが、あくまで「ヌキ過ぎ」には「注意」。彼にはちゃんと、「今日の分」の「精子」は残しておいてもらわなければ――。
 もし今日会った時。「僧侶」のように「落ち着き」払い、「賢者」のようにすっかり「為し終えた」彼だったら――、私はこの「感情」を一体どこに持っていき、誰にぶつければいいのだろう。

 そう私は「今日こそ」――、「処女」を「捨てる」のだ。
 相変わらず彼の前で「お漏らし」をして、その「羞恥」に身を焦がし、その「興奮」の冷めやらぬまま――、その「体のまま」で、彼に「抱かれる」のだ。
「今度こそ」は――、「非正規」ではなく「正規」の穴で。「肛門」ではなく「性器」を「姦通」されるのだ。

 私は「ベッド」からようやく起き上がり、「彼に会う」べく「準備」を始めた――。

 まずは「洗面所」に行き、「顔」を洗い「歯」を磨く。「休日」であり、もう「昼前」だというのに、「家の中」は「静か」だった。

「そういえば――」と。昨晩「夕食」の時、「両親」が「明日は朝が早いから」と言っていたことを思い出す。どうやら「父親」の「部下」の「結婚式」らしい。
「父親」だけならまだしも――、あくまで「他人の結婚式」に、わざわざ「夫婦」揃って「出席」する必要があるのか、と少し「疑問」に思った。だが聞くところによると――、「新郎」は「社長の息子」らしく、「新婦」は「重要な取引先」の「専務の娘」らしい。
 だからそこには色々と「付き合い」なんかもあるのだろう、と。「事情」は分からないまでも、私は「察する」のだった――。

 それにしても。若い「カップル」が「門出を迎える」という「記念」すべきこの日に。私はといえば――、「恋人」ですらない「相手」と「逢瀬」を重ね、あまつさえ「処女」を「捧げよう」としているのだ。なんだか「不思議」な気分だった。
 彼らにとっての「結婚」がそうであるように、私にとっての「それ」もいわば「儀式」であることに違いはないのかもしれない。だが、「あちら」は「大勢」に「祝福」されるのに対して――、「私の方」はあくまで「二人だけ」で「ひっそり」と執り行われるものであり、果たしてそこに「福音」があるのかさえ「不明」である。
「両者」のあまりに異なる「通過儀礼」に思いを馳せたとき。私はなんだか自分がひどく「穢れて」しまったような――、もはや「正常」には「戻れない」ような――、決して「普通」に「帰れない」ような――、ある種の「怖さ」のようなものを抱くのだった。

 幸いなことに、私に「お呼び」は掛からなかった。(「誘われた」ところで「断る」つもりだったのだが…)
「純君」も家で「お留守番」のはずだ。まだ寝ているのだろうか。「ママ」が居ないのをいいことに、きっと思う存分「惰眠」を貪るつもりなのだろう。ここは「姉」として「弟」にビシッと言ってやらなくては、と思いつつも――。正直、今は彼が「眠った」ままでいてくれる方が都合が良かった。

 そういえば昨夜、純君は「ママも行くのよ」と言った「母」に対して、
「ママとも『知り合い』なの?」
 と、「無邪気な質問」をしていた。「中学生」の彼には、「大人の事情」というものが分からないのだろう。「『付き合い』よ」と母は苦笑しつつ答え、会話を聞いていた私は思わず「吹き出して」しまった。彼の「発言」に私が「リアクション」するのは、随分と「久しぶり」な気がした。
――そうだ、純君はまだ「そんなこと」知らなくて良いのだ。
 未だ「無知」な彼を――、そんな「純粋」な「弟」を――、私は「愛しく」思った。

 ひと通りの「作業」を済ませ「洗面所」を後にし、次に「メイク」に取り掛かるべく「部屋」に戻る――。
 その「途中」、私はふと「廊下」で足を止める。眼前には「トイレ」のドアがあった。

 それもまた私の「モーニングルーティン」に含まれている重要な「儀式」だ。あるいは「動画」にする時なんかは「省かれる」のだろうが――、紛れもなくそれは私にとって「日常」の「一部」となり、もはや「習慣」と化している。

 私は「毎朝」、「用を足す」ことにしている――。

 これまで「意識」したことなどなかったが。思えば――、「顔を洗う」→「歯を磨く」→「用を足す」という「一連」の「流れ」が、すっかり「自然」のものとなっている。
 本来ならば「朝食後」に「出した」方が「効率が良い」のだろうが。私の「健康な体」は「夜」の内に存分に「消化」を進め、「起きた」頃にはすでに「腸内」に「それ」が「蓄積」され、「食べる」よりもまず「催して」しまうのだった。
 そして「今朝」も――。

 私は「ドア」の前で「逡巡」する。
――果たして、「出して」しまっていいのだろうか…?
「便意」はある。「尿意」についても「そこそこ」に。あるにはあるのだが、そこで私は彼との「約束」を思い出す――。

「じゃあ、今から『トイレ禁止』ね!」

「無邪気」な、彼の「命令」。だがその「無邪気さ」は純君の「純粋さ」とはかけ離れたものだ。彼は「何も知らない」で言っているのではなく、「全てを分かった」上で言ったのだ。その後に待ち受ける、彼の「願い」を――、私の「望み」を――、二人の「願望」を――、あくまで「熟知」した上での、多分に「邪気」の含まれたものなのだ。

 私は今日、彼の前でまた「お漏らし」をする――。

「我慢」に「我慢」を重ねた上での「失禁」。「耐え」に「耐えた」末の「解放」。
 だからこそ、私は「溜めて」おかなければならないのだ。「おしっこ」を――、そして「尿意」を――。もはや自分の「意思」では「抗えなく」なるほどに、「堪えきれなく」なるくらいに――。
 いわば、この「忍耐」もまた「プレイの一環」なのかもしれない。全てはある「瞬間」のために――、「私の」あるいは「二人の」、「未来」のために――。

 あるいはそれが「尿意」だけであったなら――。私は彼の「指令」に「従って」いただろう。彼に言われた通り、きちんと「トイレに行かず」に、その場から歩き去っていたことだろう。

 私は「ドア」を開けた――。
「カギ」を掛け、それから「下着」を下ろし、「便座」に腰かける。

――そう、「したい」のが「おしっこ」だけだったなら…。
 私は「お腹」に「力」を込める。

――プスゥ~。

 と、まずは「出口付近」の「ガス」が「放出」される。そして――、

――メチチチチ…。

「お尻の穴」が拡がり、そこから「物体」が生み出される。「太く」「固い」ながらも、私の「意思」のままに「押し出される」それは――、「うんち」だった。

――ボチョン!!

 まるで「しっぽ」みたいに――。私の「お尻」から伸びた「それ」はやがて「重力」に「耐えきれず」に「切れて」、「便器内」に「産み落とされる」
 跳ね返った「水」が「お尻」に当たる。思わぬ「冷たい感触」に思わず声を出しそうになりつつも堪え、それから「深い息」を吐く。

――「うんち」、気持ちいい~!!

「快感」の「歓声」は上げずとも、「達成感」が込み上げてくる。

――まだ、出そう…。

「巨大」な「一本」を「ひり出し」ながらも、「便意」は未だ収まることなく――。
「注意深く」力を込めて、「次々と」生み出してゆく――。

――ブチッ!!
――メリメリメリ…。
――ピチョン!

「初発」には及ばないまでも、それなりの「塊」が「落下」する。
 ようやく「便意」が鎮まりつつも、だがまだ「半分」といったところだった。「股間」に「ムズムズ」とした「気配」がある。

 私はやや「迷い」ながらも、やがて「そちら」さえも「解放」してしまう――。

――ショロ…。シュイィィィ!!

「勢い」よく「放たれた」のは――、「おしっこ」だった。昨晩から「溜め込まれ」、「満タン」となった私の「尿」だった。

――やってしまった…。

 これにて、彼との「約束」を完全に「破って」しまったことになる。彼から与えられた「命令」を、私は「守る」ことが出来なかったのだ。
 出続ける「放尿」の「感触」を得ながらも――。あるいはこれが「便器」にではなく「ショーツの中」に「放たれて」いたなら、と想像する。
 きっとすぐさま「ショーツ」を突き破り、脚を「伝う」ことさえなく、「直接」足元に「水溜まり」を形成していたことだろう。それを「眺める」彼の「視線」を思う――。私に「与えられる」限りない「羞恥」を想う――。

 だが「後悔」はそれほどなかった。「安直」に私は考える。
――きっと、すぐにまた「したくなる」だろう…。
 と。「時間」が経てば――、それなりに「水分」を摂取すれば――。また何度だって「自然」に「催す」に違いない。それこそが「生理現象」というものなのだから。
 だから私はあくまで「スッキリ」としたまま、「排泄」を「終えた」のだった――。

 最後まで「出し切った」ことを「確認」しつつ、「ペーパー」に手を伸ばす。
「カラカラ」と手でそれを「巻き取り」、そして「お尻」にあてがう。

「一回目」は――、当然の如く「べっとり」と「付く」。「ペーパー」が「うんち」で「茶色」く染め上げられる。それを「便器」に捨てる。
「二回目」も――、やはり「それなり」に「付く」。「うんち」で「汚れた」ペーパー。少しばかり「マシ」になりつつも、まだ「拭い」きれていないことを報せる。
 そして「三回目」――、「微か」だが「付く」。私の「肛門」はまだ「汚れて」いる。
 さらに「四回目」――、ここにきてようやく「ほとんど」付かなくなった。とはいえ、「ペーパー」には「わずか」ながらも「痕跡」が刻まれている。薄く、茶色い「線」。

 さすがに、これ以上「消費」するのは「もったいない」という「節約心」が、私の中に生じる。「もういいだろう」と半ば「妥協」気味に「諦め」つつ「ショーツ」を上げる。だが――。

――ヌチャ…。

 確かな「感触」が与えられる。微かな「予感」が「的中」する。
 慌ててもう一度「ショーツ」を脱ぎ、確かめてみる。よく見てみないと分からないが、そこにはやはり「ウンスジ」が付いていた。ちゃんと「拭いた」にも関わらず。あれほど入念に「気を付けていた」というのに――。
「ショーツ」に刻まれた「排泄の痕跡」。「尻の部分」に――、その「中央」に描かれた「形跡」に鼻を近づけ、「匂い」を「嗅いで」みた。

「案の定」というか、やっぱり「クサい」。「ショーツ」から紛れもなく「うんち」の「ニオイ」がした。「清浄」であるはずの「乙女」とは、あまりに「かけ離れた臭い」。
 またしても私は「ショーツ」を「ウンスジ」によって「汚して」しまったのだった。

――どうして…。

「疑念」と「憤慨」を抱きつつ、けれど私には「心当たり」があった。
 それもまた、きっと「彼のせい」だ。彼が私の「お尻の穴」を「弄ったり」するから――、指を「突っ込んだり」、ペニスで「犯したり」するから――。だから私の「穴」は、すっかり「拡げられて」しまったのだ。
 もはやきちんと「閉じられなく」なるほどに、拭いても拭いても「拭き残して」ほどに――。だから「ショーツ」に「うんち」が「付いてしまう」のだ。

 私は「嘆息」しつつ、レバーを「大」の方に向かって捻る。「便器」の中の「モノ」が「水流」によって押し流されてゆく。それで「便器内」はすっかり「キレイ」になった。だが私の「肛門」はそうはいかなかった――。

「トイレ」を出て一度「部屋」に立ち寄り、「着替え」を持って「浴室」に向かう。
 汚れた「お尻」を「シャワー」で洗い流す。「指」には、未だに「ヌルヌル」とした「感触」があった。しつこいそれを何度も指で「拭い」「確かめて」、ようやく「感触」が無くなったところで水を止め、「清浄」な下着に穿き替えて、「浴室」を出る。

 そこで「純君」と鉢合わせた――。

 私は「驚き」のあまり、一瞬「声」を失う。彼は一体いつからそこに居たのだろう。
 私の――「姉」の再びの「失態」を、その「一連」を、「目撃」していたのだろうか。
 あるいは彼はまたしても「姉の下着」を「拝借」しようと企てていたのだろうか。ついさっき私が脱いだ「下着」を、またも「ウンスジ」の刻まれた「下着」を――。

「純君、起きたの?」

「疑い」を抱きつつ、彼の「真意」を探りつつ、私は「平静」を装って訊ねる。

「うん、さっき起きたところ…」

 純君は答える。「さっき」とは果たして「いつ」なのだろう。

「てか、お姉ちゃんどうしたの?」

 今度は純君に訊ねられる。「どうして、シャワーなんか浴びてるの?」と、確かに彼の「疑問」はもっともだった。

「いや、なんか『汗』かいちゃって。昨日の夜、ちょっと『暑く』なかった?」

 とっさに思いついた「返答」だった。あまりに苦しい「言い訳」。実際、昨夜はむしろ「肌寒い」くらいだった。「汗をかく」なんてことは全くない。
 それに第一、私は「服」を「着たまま」なのである。「下」はもちろん「脱いだまま」だが(「ショーツ」だけは穿いている)、「上」は「着たまま」だった。

――と。そこで私は自分の「下半身」が「下着姿」であることを思い出す。

「!!!」

 慌てて、手で「下」を隠す。「パジャマ」の裾を引っ張り、露わになった「ショーツ」を隠そうと試みる。だけど「無駄」だった。全てを「覆う」には、「両手」と「裾」だけではやや「物足りず」、あまりに「心許なかった」。
 私は純君に、穿いている「下着」を――、「ショーツの色」を知られてしまう。

「穿き替えた」私の下着は「水色」だった。「引き出し」から「選ぶ」とき、どうせなら「汚れ」の目立たない「黒」にしようかとも考えたが、それだと「お漏らし」の「染み」まで埋もれてしまう。それはなんだか「もったいない」ように思えた。
 あるいは今日は「デート」なのだから――、とせっかくなら「勝負下着」にでも穿き替えたいところだったが。あいにく私は「そんなもの」は持っておらず、「形」については「一定」のものばかりで、せいぜい「色」を選ぶくらいが関の山だった。
「Tバック」でも持っていたなら――、と思ってもみたが。ただでさえ「ウンスジ」を付けてしまう私が、そんな「お尻に食い込む」ような下着を穿こうものなら――、もっと「悲惨」なことになるのは目に見えていた。
 だからこそ私は、持ち得る「選択肢」の中で――。なるべく「淡い色」の、出来るだけ「可愛らしい」ものを選ぶことにしたのだった。

 私が「慌てた」様子を見て取って、純君も少しばかり「動揺」したらしかった。私から目を背け、「見ないように」と「視線」を逸らす。

「あっ、ごめん…!!」
「ごめんなさい…!!」

「謝罪」の言葉がぶつかりつつも、私は純君の横をすり抜けて自分の部屋へと向かう。
「後ろ」に純君がいることを感じながら、彼は果たして私の「後ろ姿」を目で追っているのだろうか。未だに「パンツ剥き出し」のままの私の「お尻」を――。

――お姉ちゃん、純君の言ってた通り。また「パンツ」を「汚し」ちゃったよ…。
――でも、これは「お漏らし」とは違うんだからね!!
――「ウンスジ」が付いちゃっただけなの!!

「ツンデレ」かどうかも分からない、あるいは「告白」とも取れる「台詞」を「心中」で発する。またしても私の新たな「秘密」を彼に「知られていない」ことを願いつつ――。

 ようやくパジャマの「下」を穿き終えた私は、再び「洗面所」に戻る。純君はまだそこにいた。どうやら顔を洗っているらしい。

「今日は『パパ』と『ママ』、居ないみたいだね」

 分かりきったことを、純君の「背中」に向かって語り掛ける。ついさっきの「出来事」をまるで「無かったこと」にするみたいに――。

「うん。『結婚式』って言ってたよね」

 純君は答える。水を止めて、私の方を振り向いた。

「純君、今日は何するの?」

 それもまた「普通」の「質問」。だけど彼は少しばかり「身構えた」らしく――。

「べ、別に…!!『ゲーム』でもしようかなって…」

 そっか。あるいは私が彼の「犯行」を悟ったとでも思っているらしい。そんなつもりはなかったのだが、そこまで「動揺」されると逆に怪しい。彼はまたも私の居ない間に、「洗濯機」を「漁る」つもりなのだろうか。
 彼のすぐ横には「それ」がある。そして「中」には、私の「脱ぎたてホカホカ」の、「汚したてホヤホヤ」の「うんすじショーツ」が入っている。彼にそれを見られてしまうことに「抵抗」を覚えつつも、どこか彼を「信じたい」気持ちがわずかに上回り、私はそれを「そのまま」にしておくことにした。(というか、一度脱いだ下着を再び「回収」するのはどう考えても不可解で、それではまるで彼を「疑って」いるみたいだった)
――きっと「大丈夫」だ。
 それは「汚れ」についてではなく、あくまで「純君」についてだった。彼は「あの晩」ちゃんと「約束」してくれたのだ。「もうしない」と――。「返事」はやや曖昧だったが、「彼との約束」を「守れなかった」私と違って、「純粋」で「真面目」な彼はきっと「姉との約束」を「守って」くれるはずだろう。

「そっか。ちゃんと『勉強』もしなくちゃダメだよ?」

 全ての「期待」と「信頼」を込めて、私は言う。

「お姉ちゃんは、今日も『アルバイト』?」

 今度は私の「予定」について、純君に訊ねられる。

「うん…、そうだよ」

 私は「嘘」をつく。本当は「デート」なのだが。
「お姉ちゃん」も「年頃」なのだから、それくらい別に「普通」なのだろうし、あえて「隠す」必要もなかったのかもしれないが、それでも。純君の「嫉妬」と、今日私がしようとしていることを思えば――、どうしても「正直」に答えることは出来なかった。

――今日、お姉ちゃんはまた「お漏らし」をしちゃうんだよ…。
――男の人の「前」で。自分の「意思」で。
――「わざと」お漏らしをして、その「姿」を見られちゃうんだよ…。
――しかも今日は、ついに「外で」お漏らしをしちゃうの!!
――きっと、すごく「恥ずかしい」だろうな。

 そんなこと言えるはずもない。そして――。

――お姉ちゃんは今日、やっと「処女」を奪われちゃいます!!
――純君はきっとまだ「童貞」だよね?
――分かるよ。ツラいよね?苦しいよね?
――本当は純君も、「女の人」の「中」に「入りたい」んだよね?
――でも、まだ「我慢」だよ。
――きっと、いつか純君にも「そういう相手」が現れるから。

「一足先」に、と。私は自分だけが間もなくそれを「終える」ことを思う。「姉弟」であることと「年齢」を考えればまさしく「順当」なのだが、なんだか少し「申し訳ない」気持ちになる。

――もし、純君が「したい」と思って…。
――それでも、「相手」を見つけられなくて…。
――もしも、純君がどうしてもって「望む」なら。
――「その時」は…。

――「お姉ちゃん」が「相手」になってあげる!!

 なんて、そんなことを言えるはずもない。それこそ彼に消えない「トラウマ」を植え付けてしまうことだろう。「初めて」を「お姉ちゃん」と「してしまった」という、決して癒せぬ「瑕」を与えてしまうだろう。それでも、いざとなったら私は――。

「遅くなるかもしれないから、『晩ごはん』一人で食べられる?」

 私はあくまで「面倒見の良い姉」として、純君に訊く。

「ママは『そんなに遅くはならないから』って言ってたよ」

 確かに、わざわざ「他人の結婚式」でまさか「二次会」に参加したりはしないだろう。「式場」はやや遠方にあるらしいが、それでも「夕方」くらいには帰ってくるはずだ。

「ちょっと待ってて」

 私は今一度部屋に戻って、「財布」を持ってくる。

「はい、これ!」

「千円札」を取り出し、純君に渡す。

「いいよ。ママに貰ったから」

 純君は「遠慮」する。

「いいから、もし使わなかったら『漫画』でも買いなさい」

 私は半ば強引に、純君に「お小遣い」を託す。それが「姉」として私に出来る、せめてもの「償い」のつもりだった。

 純君は知らない。私が「バイト」ではなく、本当は「デート」に行くことを――。
 今日また「新たな経験」をすることになるだろうことを――。帰ってくる頃には、あるいは「違う私」になっているかもしれないことを――。
 いや、彼は「知る必要」などないのだ。

「ありがとう…」

 そう言って、渋々純君は「お金」を受け取る。私は「笑顔」で頷きそれに応え、少しばかり「満たされた」ような気持ちになる。わずかばかり「罪悪感」が拭えたような、そんな気がした。

 純君との「会話」を終えて。早速、私は「準備」の「続き」に取り掛かる。「メイク」を済ませ、「髪」をセットし、「服」を着替えて、それからほぼ「予定通り」に家を出たのだった――。


続く――。

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おかず味噌 2020/10/15 16:00

ちょっと悪いこと… 第二十四話「私の視点 ~因果と応報~(3)」

(第二十三話はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/378969


「『お漏らし』しちゃっていいですか?」

 彼に「許可」を求める。

「ダ~メ!」
「お願いします!!」
「自分の部屋の中で『お漏らし』する気?」
「そうです!『トイレ』に行きたいけど、もう『間に合わない』です!!」
「床、汚れちゃうよ?」
「はい…。『ショーツ』もビショビショになっちゃいます!!」
「『お漏らしパンツ』だね」
「はい!結衣はまた『お漏らしパンツ』をこしらえちゃいます…」
「結衣の『おしっこ』はどんな色?」
「いっぱい我慢してたから。きっと『真っ黄色』です…」
「『匂い』は?」
「すごく『クサい』です!!『アンモニア臭』たっぷりの『激臭おしっこ』です!!」
「結衣の『パンティ』、『おしっこクサく』なっちゃうね!」
「はい…。今日は『白』だから、『ション便染み』が目立っちゃいます…」
「恥ずかしいね?」
「すっごく!!でもすでにもう、ちょっと『黄色い』です…」
「あれっ?『茶色』いんじゃなくて?」

 ここに至っても、彼はあくまで「そっち」を「指摘」する。
 彼の「根気」に折れて、そして私は――。

「『うんち』は漏らしません!!でも、『ウンスジ』は付いちゃってるかも…」

「告白」してしまう。自らの「恥ずべき汚れ」を――。だがそれも「嘘」だった。「今」は付いてなどいない。あくまで「今だけ」は――。

「だと思った!」

――ん?それは「どういう意味」だろうか…?
 彼はまるで「予想」が「的中」した、というような「反応」を示した。それはあたかも「知っていた」というような――。だがそれはおかしい。あくまで、彼は私に「羞恥」を与えるため、「当てずっぽう」を述べていただけではないのか。そこには「確信」に至るべき「核心」など、彼がそれを「知り得る」はずなど――。「まさか」――。

「だって、結衣の『アナル』舐めた時、正直めっちゃ――」

「『付いてた』よ?」

 ついに、「指摘」されてしまう。「何が?」とは今さら問うまい。もはや分かりきったことだ。「あの時」、やはり私は「汚して」いたのだ。

「ちゃんと『拭いた』のかって思うくらい、『うんち』が付いてた」

 私が「言わず」とも、彼からそれが「報せられる」。私が「忌避」し、「懸念」したものが、紛れもなく「そこにあった」のだと――。

「ねぇ、あの時実は…『大きい方』も漏らしてた?」

 私の「返答」を待つことなく、次々と彼は私を追い込んでいく――。

「『パンティ』にも『ウンスジ』付いてたし…」
「『お尻の穴』の『周り』も『ヌルヌル』したよ?」

 やっぱりそうだったのか。でも、だとしたら彼はどうして――。「舐める」のを止めなかったのだろう。そんなに「汚かった」なら――、「クサかった」なら――、たとえそうじゃなくとも、私は止めて欲しかったのに。

「『おなら』だってしたしね?」

 それについては「周知」の事実だ。その「羞恥」は「既知」のものとして――、すでに私の中に刻まれている。

「結衣は『お尻の穴』も『緩い』のかな?」

 そうなのかもしれない。「普通の子」はきっと、こんなにも「ショーツ」を「汚した」りしないのだろう。

「そんな事ないです!!」

 そう「返す」のがやっとだった。というより、他に返すべき言葉を私は持たなかった。

「ねぇ、明日は『おしっこ』じゃない方を『漏らす』ってのは?」

 彼の言わんとしていること――、私にもそれが分かった。だけど「そっち」は、それだけはどうしても――。

「それはイヤです!!」

 何の「工夫」も凝らさず、ただただ私は「拒絶」する。
「駄目」なのだ、どうしても――。そちらについては、私の「羞恥」の「許容」を越えている。というよりもはや「羞恥」ですらない。いや紛れもない「羞恥」には違いないのだろうが、そこに「興奮」の介在する余地はない。ただ「絶望」があるのみだ。
 いやそれは「小」の時も――、「最初」はそうではなかったか。「初めて」の「瞬間」その「直後」、私の眼前には「暗い色」をした「それ」があるだけだった。それが「今」となっては――。
 それでも。やっぱり「うんち」は駄目だ。今度こそ本当に、私は「終わって」しまう。「処女」を終える前に――、それ以前に「女子」として終わってしまう。
「真面目」とか「不真面目」とかの問題ではない。「変態」もここに極まれり、である。
 だが彼は――、あるいは「そっち」さえも私に「求めて」いるのだろうか。だとしたら私は――。

「どうしても?」

「駄目押し」とばかりに彼が「もう一度」だけ訊いてくる。私に明日、「おしっこ」ではなく「うんち」を「漏らせ」と――。

「『どうしても』です!!」

 やっぱり「無理」だった。これについては彼に「諦めて」もらう他ない。彼は「残念」に思うかもしれない。だが私は彼の「期待」に応えることより、ここでは自らの「尊厳」を優先することを選ぶのだった――。

「そっか、残念…」

 まさしく彼は、私の思った通りの「反応」をする。わずかな「申し訳なさ」を感じつつも、それでも私の「答え」が覆ることはなかった。

「じゃあ、いいよ」

――えっ…?

 一体何に対する「許可」なのだろうか。あるいは「いいよ」というのは「もう結構」という意味なのだろうか。彼に「見放されて」しまったのだろうか。たかだか一度「拒否」したというだけで、もう「これっきり」なのだろうか。それではあまりに――。
 だが、彼の「意図」は違った。
 
「『おしっこ』。『そっち』は漏れそうなんでしょ?」

――そうだった…。

 思わぬ「寄り道」のせいか、私自身「忘却」していた。そちらの「羞恥」については、まだ「有効」であったことを――。

「はい…。もう出ます!」

 私は「宣言」する。「解放」を「宣告」する。
 そういえば、少しばかり「尿意」を「催して」きた気もする。今ならば、「出る」かもしれない。「わずか」とはいえ「漏らして」しまうかもしれない。

「俺ももう『出そう』だから…」

 彼が言っているのは恐らく、「白濁」の「液体」のことなのだろう。私がそうであったように、彼も自らを「慰めて」いたのだ。私の「偽装お漏らし」によって――。

「私も、もう『イッちゃいそう』です…」

 それは「本当」だった。というより、さっきから何度も「イキ」掛けていた。「背中」を這い上がる「ゾクゾク」とした「気配」と、「脳」にもたらせられる「ふわふわ」とした「予感」を抱いていた。あとは――ほんの少し、「きっかけ」を与えてやるだけだ。
 その「感覚」は、あるいは「お漏らし」する時にも「似て」いた。私の中で、目の前に「薄い膜」のようなものがあって、それが「鼻先」にまで迫っている。「通り抜ける」ことそれ自体は容易い。ほんのちょっと、足を「踏み出す」だけだ。
 そして私は。ついにそれを「越える」べく、「追い越す」べく、指を「加速」する。「ズボズボ」と幾度となく指を「出し入れ」し、そこから「快感」だけを取り出す。次々と「溢れ出す」、私の「愛液」。今や「お漏らし」とそう大差ない。あるいは「水分」には「おしっこ」だって含まれているのかもしれない。

「いいいよ。いしょにいこう!」

 再び「承認」が与えられる。文章が「乱れて」いるのは、彼の指が「ブレ」ているからだろう。自らの与える「振動」によって――。彼自身の「衝動」によって――。

「結衣の『お漏らし』、みてください!!」

「震える」指で私も返す。すでに「変換候補」にある「単語」は「ブレ」ようがない。

「みてててあげるから。いぱい出して!」

 相変わらずの「乱れっぷり」。彼も「限界」が近いのだろう。何だかちょっとばかり「可愛く」思えてくる。

「結衣の『ウンスジ』ショーツに、『おしっこ』もいっぱい付けちゃいます…」

「最期」の「大サービス」だ。さらに彼の「射精」を後押しする。「不本意」ながらも、それで彼が「気持ちよく」出してくれるのなら――。

「結衣の『うんち』にいぱいかけてあげるよ!」

 彼の「変換候補」にも、その「単語」はあるらしい。

「こんなにカワイイ結衣が、まさかあんなに『ウンスジ』つくてたなんて」

――それほどまでに「付いて」いたのか。

 確か「あの日」は「黒」のショーツを穿いていたはずだ。にも関わらず、そんなにも「はっきり」と分かるくらいに、私は「茶色」い「スジ」を描いていたのか。

「結衣の『うんち』、すごくくさかたよ!」

――そりゃ「クサい」だろう。「うんち」なのだから…。

「でも、めちゃこうふんした!」

――それは良かった。

「結衣の『うんち』で、いっぱい出してください!!」

――私は、あくまでも「そっち」は出さないけど…。

「ダメだ、もう出る!!」
「私も出ちゃいます!!」

 来る「衝撃」に備えて、「脚」に力を込める。「つま先」が「ピン」と「上」を向く。そして――。

――ビク、ビクン…!!!

 私の体は大きく「脈打った」。それと同時に、「膣」が激しく「痙攣」する。それから間もなく――。

――チョロロ…。

 何かが「溢れ出す」のを感じた。ショーツの中に「わずか」だが「水流」が迸る。そう間違いない、この「感じ」は――。
「おしがま」でもするみたいに、「突っ込んだまま」の「掌」に「おしっこ」が当たる。その「灼熱」の「液体」は、少しも「受け止められる」ことなく、掌から「零れ落ち」、やがて「穿いたまま」の「ショーツ」へと滲んでいく――。
「ショーツ」の中が「温かい感触」に包まれる。「あの夜」ほどではないにせよ――、だが確実にショーツを「濡らす感触」。もはや「慣れ親しんだ」「懐かしい感覚」だった。

――私、また「お漏らし」しちゃった…。

 少なからず「後悔」はあるつつも――、もはやそこに「罪悪感」はなかった。ただ、「快感」があるのみだった。

「少量」の「おしっこ」はすぐに「出終えた」らしい。それでも「余韻」の残った私の「部分」は相変わらず「麻痺」したままだった。
 やがて「麻痺」は「全身」へと――、主に「下半身」全体へと「波及」する。
「腰」に全く「力」が入らない。試しに「立とう」としても「無駄」だった。あるいは「腰が抜ける」というのは、こんな感じなのだろうか。

 私は「無力」だった。「精神的」な意味においてではなく、あくまで「肉体的」に。体に「力を込める」ことが出来なかったのだ。だが、それでも――。
 ある「一か所」だけはなぜか、私の「意思」に反して――、まるで私を「あざ笑う」かのように自然と力が込められるのだった。
 その「一か所」とは「括約筋」であった――。

――プスゥ~。

「間抜け」な音が文字通り「漏れる」。まるで「呼吸」をするみたいに、「天然ガス」が漏れ出す――。

――プゥ~!
――プッ!!
――プピ…。

「可愛らしい音」に笑いそうになり、さらに力が抜ける――。

――ブチィィ!!!

「可愛げのない音」。「はっきり」と、「気体」ではない何かが「出た」感触があった。「まさか」――。

 恐る恐る「尻」を浮かしてみる。思わぬ「衝撃」によって、私は「自由」を取り戻していた――。

――ヌチャ…。

「嫌な感触」がもたらせられる。「お尻」と「ショーツ」が「ひっつく」ような――。
 慌てて「ショーツ」をめくり「裏側」を――「お尻の部分」を確認する。

――「べっとり」と、「うんち」が付着していた。

 とはいえそれは「固形物」では決してない。あくまで「液状」のものに過ぎなかった。
 それでも私は――。

――「うんち」を「チビって」しまったのだ!!

 もはや「ウンスジ」などではない。「拭き残し」などではなく、それは今まさに私の「肛門」から「漏れ出た」ものだ。ごく「少量」であるとはいえ、私は―。

――「うんち」を「漏らして」しまったのだ!!

「白い」ショーツに描かれた「茶色」。より「はっきり」とした「便跡」。
 ショーツを「揺すった」ことで、やがて「ニオイ」が漂い始める。明らかな「不快感」をもたらす、私の「うんち」の「匂い」――。

――ついに、「やってしまった」!!

「おしっこ」のみならず、私は「うんち」を漏らしてしまったのだ。

「確かめる」ように、恐る恐る私は「指」を「肛門」に近づける。そして――、そっと「触れる」。確かな「異物感」。「ヌルッ」とした感触。再び「戻した」時には――、「指」に「うんち」が付いていた。
 その指を「鼻」に近づけることを――、私は「躊躇い」つつも、決して「抗う」ことは出来なかった。鼻を鳴らして、「匂い」を嗅ぐ。

――クサい!!!

 私の指はとんでもなく「クサかった」。だが「当然」だ。そこに「コーティング」されているのは、「うんち」なのだから――。

「燻製」のような、濃い「芳香」がまずは鼻腔を満たす。「本能的」に顔を背けたくなるような――、鼻をつまみたくなるような、圧倒的な「不快感」。だがそこには何かしら、私を「惹き付ける」ような「魅力」が含まれている。
 あるいは「香水」がそうであるように。確か、「製造過程」において、あえて「悪臭」を「調合」するのだという話を聞いたことがある。それにも似ていた――。
 私は「勇気」を出して、「決意」を込めて、今一度自分の「指」を嗅ぐ。そこに付いた自分の「うんち」の「匂い」を「確かめる」――。

 やはり「クサい」!!紛れもない「悪臭」。――だが、その「奥」に、「微か」だが「別の匂い」を嗅ぎ取る。「排泄物」となるべく「老廃物」に至るまでの「歴史」――、その「名残」を「わずか」ばかり「覚えて」いる。
 それは例えば、かつて「夕食」として「食卓」に並んだ「食材」たち――。「消化」の「過程」において、けれど「かき消される」ことなく「残った」彼らの「成れの果て」。
 あるいは、いよいよ「排泄」の段階において、共に「排出」された「腸液」――。少し「酸っぱい」ような香りのする、私自身の「体液」。

 それらが「幾重」にも混ざり合った――、「クサい」けれど、どこか「落ち着く」ような、「名残惜しさ」さえ思わせるような、不思議な「匂い」。
「おしっこ」とは比べ物にならないほどの「情報」が――、そこには「詰まって」いる。
「嗅ぐ」度に少しずつ「形を変える」それは――、あるいは「万華鏡」みたいだった。
 私は自らの「出したモノ」に、その「芳香」にしばらくの間「夢中」になり、「脳」を「痺れ」させていた――。

 床に投げ出された「スマホ」には、彼からの「射精報告」が届いているのだろうか。ならば私もきちんと「報告」しなければ――。
 そう思いつつも、私は今それどころではなく。今はただ自分のしてしまった「行為」、「うんちお漏らし」の「余韻」に浸っていた。
 それはごく「少量」であったが、それでも限りなく私を「穢し」、あるいは「蝕んで」いた――。

 ふと、自ら「汚して」しまった「ショーツ」を想う。かつて「純白」だったそれには、もはや「おしっこ」や「愛液」の「染み」ばかりではなく、「ウンスジ」よりも明らかな「ウン染み」が刻み付けられている。
 本来であれば明日、彼の前で「染め上げられる」ことになるはずだった「お気に入り」は、惜しくも「志半ば」で潰えることとなった。「予定調和」の「黄色」ばかりでなく、もはや「予期」せぬ「茶色」にさえ「その身」を染めながら――。

 まさか、これをそのまま明日「穿いていく」わけにはいかないだろう。それどころか「今夜」を乗り切ることさえ叶わないだろう。
 早く「穿き替え」なければ――。あるいは「床」を汚してしまうかもしれない。
 そして――。

「あの晩」の私がそうであったように、「彼」が――、「純君」が私の部屋を訪ねてくる「可能性」だって否めない。もし、「この姿」を見られでもしたら――、一体どう言い訳すればいいのか。次は「私の番」かもしれない、「秘密」を暴かれるのは。私にとって、それは「二度目」となる――。ふと「弟」の顔がよぎったことで、彼を思い出す。

――純君。お姉ちゃん、ついに「うんち」を「お漏らし」しちゃったよ…。

「姉」の情けない「告白」はけれど、誰にも聞かれることなく。それはあくまで「独白」に過ぎなかった。けれどその「事実」は、決して消えることなく私の中に残り続け――。
 新たな「示唆」を与えるのに十分なものだった。

――私はいつか「彼の前」で、「うんち」さえも漏らしてしまうのだろうか…?

 不意に浮かんだ「疑問」は「問い掛け」となる。だがそれを「聞く者」も今は居なかった。

 私は尚も、「股間」を弄り続ける。「うんち」の付いた「指」で、それに構うことなく自らを「慰め」続ける。私の「愛液」と「うんち」とが混じり合う。「ヌチャヌチャ」とした音は、果たしてその「どちら」からもたらせられるものなのだろうか。

 未だ彼への「返信」をすることもなく、私は開きかけた「扉」の前でそのまましばらく「佇んで」いた――。


続く――。

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おかず味噌 2020/09/27 16:00

ちょっと悪いこと… 第二十話「彼の視点 ~追憶と願望~(2)」

(第十九話はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/371294


「四つん這いになって」

 僕は結衣にそう「指示」した。「脱がせる」だけなら「そのまま」でも充分であるはず――。にも関わらず、僕はあえて彼女に「体勢を変える」ことを「要求」したのである。
 言われた通り、結衣はベッドから身を起こし、それから「焼いた肉を裏返す」みたいに百八十度「反転」し、「手」と「膝」を突き「腰」を浮かせた。ちょうど結衣の「尻」が突き出された「格好」である。
 結衣は僕の「提案」に、何の「疑い」も「不審」も抱いてはいないようだった。その時まだ彼女は――、この後にどのような「羞恥」が(あるいは「お漏らし」さえも凌ぐような)待ち受けていようかなど、知る由もなかった。

 結衣の腰に手を回し、「肌」と「布」との境界に手を掛ける。そして、そこから「ゆっくり」と、だが一気に「ずり下ろす」――。

 締め付けられた「黒タイツ」と「パンティ」の「反動」で、「ぷりん」と「小気味」良く、結衣の「尻」が現れる。僕の「眼前」に、僕の「鼻先」に――。
 結衣の「尻」はとても魅力的だった。やや「褐色」で小振りの「尻」。程よく引き締まり、けれど「柔らかさ」は失わず、触れた手にちょうど「しっくり」と収まるような彼女の「お尻」。微かに付いた「下着の跡」とそれに沿うように「くっきり」と分かれた肌の色の「境界線」。さらにその中央に「ぱっくり」と刻まれた「尻の割れ目」。手で「こじ開ける」ように開くとそこには「きっちり」とすぼめられた「肛門」が待ち構えていた。

 それこそが僕の「待ち望んだ」ものだったのだ。「剥き出し」になった結衣の「下半身」。当然そこにはやはり露わになり、今や「涎」を垂らし盛大に潤っているであろう彼女の「性器」もあった。だが僕の興味は「そちら」には向かわず、あくまで「こちら」にのみ「収束」した。

 まずはじっくりと「観察」してみる――。
 肉の「双丘」に阻まれ隠されていたためか、「谷間」のその「一帯」は「陽の光」が当たらず、やや「薄い色」をしている。まさに「不毛の地」ともいえる地域には、文字通り「尻毛」が生えることもなく「まっさら」だった。
 そして、結衣の「アナル」。あるいは「クレーター」を思わせるその「穴」はけれど、「窪む」のではなくむしろやや「盛り上がり」、そこには「山脈」のような「皺」が無数に刻まれている。彼女の「力の入れ方」のほんの些細な「違い」によって、彼女の「肛門」はまるで「呼吸」をするみたいに、若干「閉じたり」「開いたり」を繰り返す――。

――なんて「綺麗」なんだろう…。

 ある種の「生命の神秘」を感じさせるその部分に、僕はただただ「感嘆」するしかなかった。
 本来の「用途」について考えたとき、紛れもなく「不浄の穴」に過ぎないそこはけれど、むしろ「性器」よりも「清純」で「清廉」であるように思えた。彼女はきっと、「こちらの穴」においてはまだ一度の「侵入」も許していないのだろう。確かにそう思わせるほど、彼女の「尻穴」はきつく「引き結ばれ」、「堅牢」な「構え」を見せるのだった。
 だからこそ――。「守り」が「強固」であるからこそ。その「歴史」を「不敗神話」に彩られているからこそ。それを「侵し」、「犯したい」と思うのがやはり「男」というものである。その時すでに僕の「心」は決まり、「照準」は定められていたのだ――。

 だがそこで僕は「寄り道」をした。とはいえそれは、あくまで「視線」においてのものだったのだが――。
 結衣の「尻」から伸びた「脚」。膝をついたその「太腿」には、僕がずり下ろし、「途中」で「そのまま」になった「黒タイツ」と「パンティ」がある。
 僕はふと、この期に及んで「それ」が気になった。これまで彼女の尻を包み、覆い隠していたその「布」に、今さらながら強い興味を惹かれたのだった。

 僕は結衣の尻から手を離し、足元に「留まった」ままのそれに手を伸ばした――。
 脚に掛かった「脱ぎ掛け」のパンティの「内側」を広げ、こっそりと「裏地」を確かめてみる。「おしっこ」と「愛液」の「染み」についてはもはや言うまでもなく、そこには――、

「ばっちり」と「ウンスジ」が描かれていた。

 結衣のパンティは「黒」で――。「黒」とはそもそも、全てを「塗り潰す」色だ。にも関わらず、彼女の穿いていたその「黒」に「茶色いもの」が「こびりついている」のが、「はっきり」と見て取れた。その「正体」が何であるかはもはや言うまでもない。それは結衣の「うんち」であるに違いなかった。

 まさかとは思っていたが、その「まさか」が「的中」した。結衣はあろうことか、自らの「下着」に。「液体」のみならず――「固形物」とまではいかないまでも――微かではあるが「固体」の「カス」を付着させていたのだ。
 その「汚れ」を認めて、僕はすっかり「萎えてしまった」――のではなかった。というよりむしろ、その「事実」は僕をより「高める」ものだった。

 僕は「嗅いで」みた。結衣の「尻穴」を、その「周囲」を。何だか「いやらしく」、「素敵な香り」がすることを期待して――。だが「予想に反して」というか「予想通り」というか、結衣のそこは――、

 とても「うんちクサかった」。

「鈍器」で殴られ、「脳天」を穿つような「衝撃」があった。紛れもない「うんち臭」が僕の鼻腔を満たしたのだった。
 結衣は「大」をした後、「拭いていないんじゃないか」と思えるほどに。「拭く女子」ではなく「拭かない女子」かと思わせるほどに。あるいは、元々「アナル」が「緩い」のだろうか。
 いや、そんなはずはない。顔をより「近づけた」ことで、今や僕のすぐ「眼前」にある彼女のそこは相変わらず、「外部」からの「侵入」のみならず「内部」からの「脱出」を決して許さぬよう、「丁寧」に「引き結ばれた」ままだった。
 そこから「出ずるモノ」の「予感」も「気配」すらもなく、まるでそうした「穢れ」からは無縁であるみたいに、結衣の「肛門」は「キレイ」だった。だが。やはり僕の「認識」は誤っていたのだろう。「『女性』=『キレイ』」という、ある種「信仰」じみた僕の考えは。「だから」「であるべき」で結ばれる「等式」はけれど、「反証」によって「覆された」のである。そして、やがて次の「一撃」によって――、「覚醒」へと至ったのである。

 僕はいよいよ、結衣の「アナル」を「舐め」に掛かった。自分の「消化器官」の「始点」が、彼女のそれの「終点」に触れることに少なからず「抵抗」と「忌避」を感じつつも、すでに「麻痺」し掛けていた僕の「脳」はもはやすんなりとそれを「受け入れた」のだった。

「シャワー」を浴びていないのだから、ある程度は仕方ないのかもしれない。だがそれだけでは「説明」がつかないほどに、結衣の「肛門付近」には「ヌルヌル」とした「舌触り」があった。かといって「形」があるわけではない。あくまで「視認」できない「正体不明」の「何か」であった。
「腸液」なのか、あるいは「うんちのカス」なのか、どちらにせよ本来「味わうべきでないもの」を、舌で「舐め取り」、「こそぎ落として」ゆく――。「唾液」で「洗い落とす」ことで「キレイ」にしてゆき、それと共に彼女の「そこ」は少しずつ「開いて」いった――。

 結衣が何かを「堪えて」いるのは分かった。僕の舌が「触れる」度に、彼女の「尻」があるいは「全身」が微かに「震える」様子が見て取れた。
 僕は彼女がまた、「おしっこ」が「漏れそう」になっているのかと思った。与えられた「刺激」によって、再び「我慢」が「出来なく」なりそうなのかと――。
 だが、それは違った。彼女が「出そうなモノ」は「おしっこ」ではなかった。それは「液体」ではなく「気体」だったのだ。

「ちょっと、止めてください!恥ずかしいですよ…」

 結衣は今さらながら、「アナル舐め」に「拒絶」を示した。その「行為」を「中断」し「中止」させようと、僕の「頭」を手で「押しのけよう」としてきた。彼女は自分の「肛門」が「汚れている」ことを、そこを「汚してしまっている」ことに「心当たり」があるのかもしれない。「気づいていない」のかと思っていたが、実は「気づいている」のだろうか。そう感じさせるほどに、彼女の「抵抗」は――あくまで「建前」としての「演技」ではなく――まさに「真に迫った」ものだった。
「『うんち』の付いた『アナル』」を「舐められる」のが恥ずかしいのだろうか。当たり前だ。それこそ僕は「お構いなし」だったが、普通は「舐める側」も拒否して然るべきである。
 彼女の「羞恥」と「拒絶」の理由は――、けれど違っていた。それは新たにもたらせられる、さらなる「放出」に対するものだった。

「本当に嫌なんです!!」

 結衣はもう一度だけ、今度ばかりはより「強い言葉」で、はっきりと「意思」を表明した。だが、それでも僕がそれを「止める」ことはなかった。僕の「唾液」によって、すっかり「洗い清め」られた「そこ」を舐めるのを「継続」した。そして、ついに――。

――ブボッ!!

 と。盛大な「破裂音」と同時に、僕の顔に「ガス」が吹きかけられた。
 僕は当初、ついに結衣は「やってしまった」のだと、「おしっこ」のみならず「うんち」を「漏らして」しまったのかと思った。だがそうではなかった。それは「実体」を持たない、やはり目に見えぬ「気体」であった――。

 結衣が「おなら」をしてしまったのだと、僕がそれを知るのに「数秒」を要した。それほどまでに「唐突」に、「突然」に、それは行われたのである。
 とはいえ。たとえ予期せぬ「放屁」であったとしても――、「避ける」ことは不可能でもすぐに「逃げる」ことくらいは出来たはずだった。けれど僕はそうしなかった。むしろ、少しも「躱す」ことなく、口を開けたまま「真正面」から結衣の「放屁」を浴びたのだった。

「暴発」であり「爆発」――。
 一瞬にして、僕の「口内」が結衣の「体内」の「空気」によって満たされる。「アニメ」なんかでよくある「爆発シーン」の描写のように、「鼻」からも「耳」からも「噴き出し」そうになりながらも、僕はその「全て」を吸い込み飲み下した。
 結衣の「腸内」で「醸成」された「塊」。当然のことながら、それは「醜悪」な「臭気」を含んでいた。「強烈」に「凶悪」に、ある種「暴力的」ですらあるその「芳香」。彼女によって発せられた、彼女の「中」の「臭い」――僕は「温泉」を思い浮かべた――に一瞬「意識」が遠ざかりそうになりつつも、僕はそれを一心に受け止めた。

 突然の「放屁」を終えて――。気まずい「空気」が流れる。「ガス」のように決して「軽い」ものでなく、「重い」「沈黙」が――。
 何か「言わなければ」。声を「発さなければ」。そう思い、僕の脳は「フル回転」した。誤魔化すべく、沈黙を埋めるべく、やがて僕の発した「一声」は――。

「結衣の『おなら』食べちゃった」

 という、あまりに「馬鹿げた」ものだった。今にして思えば――、後から思い出せば――、何と「羞恥に満ちた」ものだっただろう。思い返しただけでも「のたうち回り」、「転がり回りたくなる」――、まさしく「黒歴史」の「誕生」である。
 自分でも、なぜそんなことを言ってしまったのか分からない。「冗談」じみた、あくまで「茶化した」物言いでありながらも、僕ははっきりと自分の「変態性」を「暴露」してしまったのだった。

「ガス」とはいえ「放出」である。「おなら」とはいえ、広義で見ればそれは「お漏らし」の一種である。「不可抗力」とはいえ、それを「許してしまった」という「既成事実」に変わりはなく。「被疑者」であり「過失者」たる、その「元凶」である結衣の「アナル」はすでに「開いて」いた――。
 かつてはあれほどまでに「引き結ばれていた」にも関わらず。今やその部分は、すっかり「だらしなく」口を開けていた。もちろん、多少はすぐに「収縮」を始めたのが、やはり完全には「閉じ切らず」、むしろ僕を「誘う」ように――。

「もう挿入れていい?」

 僕は堪らず、そう訊いた。結衣は頷いた。だが、まさか「そちらに」とは思っていないのかもしれない。彼女はきっと「普通に」、「性器」に挿入されることを望んでいたのだろう。まだそこついては、あまり「ほぐされて」いないにも関わらず――。

「電気を消してください」

 と、結衣は言った。「明るい」ままだと「恥ずかしい」のだという。実に「女の子」らしい「反応」だったが。もはや「今さら」という感じである。彼女はすでに――、それ以上の「羞恥」を幾つも「経験済み」なのだ。それでも僕は彼女の言うとおりにした。

「暗がり」の中、結衣は僕の「ペニス」に手を伸ばしてきた。今度は「自分の番」というわけである。
 結衣はトランクスの上から僕の「ペニス」を強く握った。少しの「痛み」から僕が腰を引くと、彼女は詫びた。それで一度は手を「離した」ものの、かといって決して「遠慮」することはなく、彼女は僕のトランクスを脱がし、すでに「はちきれん」ばかりに「勃起」した僕のそれを見た。まるで「初めて」男の「モノ」を見たように、しばらく「放心」しているようだった。(あくまで「推定」であるが、僕のはきっとそれほど「大きく」はないはずなのだが…)
 やがて結衣の口が僕のペニスを頬張る。「短小」ではなく、とはいえ決して「極太」とはいえない僕のそれでも、やはり口に「含む」には多少の「無理」が生じるようだった。

 結衣の口が「前後運動」を開始する。彼女の「口内」と「舌」によって、僕のペニスに「刺激」と「快感」がもたらせられる。
「気持ちいいですか?」
 彼女は訊いてきた。あくまで「自信なさげ」に、僕の「快感」について問うように。
 確かに彼女の「フェラチオ」は「及第点」には程遠かった。恐る恐る触れる「唇」はくすぐったく、唾液を「すする」たびに時折当たる「歯」は痛かった。
 あるいは彼女にとってその「行為」は「初めて」なのかもしれないと思った。普通に「あり得る」ことだ。かつての「彼氏」や「相手」がそれほど性に「貪欲」でなければ――、それを経ずにあくまで「手淫」と「挿入」のみに終始していたとしてもおかしくはない。だとすれば、僕はまた一つ彼女の「初めて」を奪ったということになる。それはむしろ「光栄」なことに思えた。

「めっちゃ気持ちいいよ」
 僕は答える。多少の「配慮」も「ヨイショ」もやむを得なかった。あくまで結衣を「その気」にさせ、「乗せ」続けるために。この場において僕は「皮肉屋」に、エラそうな「批評家」になるつもりはなかった。それに。彼女の「ぎこちなさ」もそれはそれで、あるいは「初めて」によるものなのだとしたら――、いささか「新鮮」であるようにも思えた。

「もう、大丈夫だよ」
 僕は言った。「固辞」するためのものでなく、次なる「ステップ」に移るための「糸口」として――。
 いくら「単調じみた」ものとはいえ、さすがに「危ない」ところだった。結衣の「口」と僕の「ペニス」が触れ合う音。彼女の「唾液」と僕の「カウパー」が混ざり合う音。もはやそれだけで、僕は「達して」しまいそうだった。
 だが、そうするわけにはいかない。まだここで「無駄打ち」してしまうわけにはいかない。今夜こそ「最後」まで――、それに至るために僕は何とか「暴発」を必死で堪えたのだった。

 僕は再び、彼女をベッドに押し倒す――。

「結衣」
 僕は彼女の「名前」を呼ぶ。確かめるように、最後の「同意」を求めるように。書面への「捺印」を、あるいは「署名」を、それによる「契約」を交わすために――。
 彼女は何も言わなかった。それを「同意」と受け取ることにする。やや「強引」ではあるが、むしろその方が都合が良かった。もしここで「性器への挿入」を言葉にされたならば――、「契約不履行」となってしまうことは否めなかった。
 あくまで必要だったのは「挿入」それ自体の「確認」であり、「どこに」とは言っていない。まさに「詐欺まがい」の論法である。

 僕は結衣を強く抱き締めた――。
 彼女の体は「折れてしまいそう」なほど「華奢」で、「小柄」で。僕の「欲望」を受け止めるには、少しの「頼りなさ」を思わせた。
 彼女の「肌」から、あるいは「髪」から発せられる、「石鹸」もしくは「シャンプー」の香り。あるいは「ボディクリーム」か「化粧品」の匂いだろうか。「香水」のような「強い香り」ではない。あくまで「優しく」「仄かな香り」――紛れもない「女の子の匂い」だった。
「首元」に顔を近づけて、「周囲」に漂うその「匂い」を嗅ぐ。思いきり吸い込む。僕の鼻腔が「結衣の体温」で満たされる。少しも「不快」ではない。むしろ、どこか「落ち着く」ような、けれど同時に「焦燥」を駆り立てられるような――。

 だからこそ、僕は「混乱」した。「不思議」でならなかった。そんな「素敵な香り」を漂わせる彼女が――、まさに「女性らしさ」を思わせる彼女が――、日々「排泄」を繰り返しているという「現実」が。「拭き残し」によって「肛門」を汚し、さらにはその「穢れ」をパンティにまで付着させているという「事実」が。今目の前にいる彼女と、ついさっき見知り「嗅ぎ知った」彼女とを結びつけるのに、「齟齬」が生じるのだった。

 結衣のパンティに刻み込まれた「ウンスジ」。紛れもない排泄の「痕跡」。
 結衣のアナル。そこから発せられる「うんち臭」。
 僕はそれを知ってしまった。彼女の「秘密」に気づいてしまった。彼女の「羞恥」なる「真実」を――。

 あるいは「普段」から、結衣はそうなのかもしれない。職場で僕と話すとき、今日のデートの最中もずっと。彼女はその黒タイツの「内側」に、パンティの「裏側」に、「うんち」を付けたままだったのだ。
 おどけた表情を見せながらも「うんち」。快活な仕草をしながらも「うんち」。恥じらいを窺わせながらも「うんち」。パンティに「うんち」。
 一体いつから、結衣はそれを「携えて」いたのか。一体いつ、「うんち」をしたのだろうか。あるいは今日はまだしていないのかもしれない。だとしたら、不意に「チビ」ってしまったのかもしれない。例えば「おしっこ」を「お漏らし」した時に、思わぬ「力み」によって「そっち」も出てしまったのだろうか。

 結衣の「排便姿」を思い浮かべた。便器に跨り、下着を下ろして、尻を突き出し、腹に力を込める様子を――。
 やがて彼女の「肛門」が盛り上がり、そこから徐々に「うんち」が顔を出し始める。
 結衣は「快便」だったろうか。それとも「便秘」気味なのだろうか。
 それは彼女の「体つき」に似合った「細い便」なのか。あるいは顔に似合わず「極太」をひり出したのだろうか。
「排便」を終えて、結衣はちゃんと「拭いた」のだろうか。いや「甘かった」に違いない。でなければ、あれほどまでに「残る」はずがない。

 結衣の「股間」からではなく、「肛門」から出る、もう一方の「排泄」。「液体」ではなく「固体」の、よりはっきりとした「実体」を持つそれに、その「行為」に。今や、僕はすっかり興味を奪われていた――。

 僕は結衣に「キス」をした――。
 最初は軽く唇を重ね、けれどすぐに「貪る」ように舌を入れた。彼女の「口」は、反対側の「口」に比べると、ずいぶん「素直」なものだった。
 彼女の「意思」によってそこは開かれ、すぐに僕を迎え入れてくれた。もちろん、不快な香りは全くない。「腸液」の代わりに「唾液」が次々と溢れ出し、僕の舌に絡みついた。「ウンカス」の代わりとなるものには――思い当たらなかった。

 僕はこれから結衣を抱くのだ。「抱く」という曖昧じみた、ぼかした言い方には幾つもの意味が含まれるだろうが。そこにはきっと、これから僕のしようとしている「行為」は該当しないだろう。それでも僕は今から彼女を「抱く」――。
 そう考えただけで、「期待」と「焦燥」から、僕の「愚息」は「ムクムク」と反応し、そこからさらに痛いくらいに「勃起」した。

 そして、いよいよ。僕は「挿入」の「準備」を開始する――。
 またしても結衣を「四つん這い」にさせる。最初からの「後背位」に、彼女は少しの「戸惑い」を覚えたようだった。だが、あくまで僕に従う。

 再び、結衣の「尻」が眼前に来る。僕の願い、求めた「アナル」もそこにある――。
 僕がそこに「指」を差し入れたのは、まさしく「必然」だった。そうすることが当然の「流れ」のように思えた。

「ひっ!!」

 と。結衣は「ヘンな声」を上げた。「驚き」からか「意外性」からか。「痛み」か、それとも「違和感」からだろうか。だが、それに構わず僕は彼女の「中」に入り、そこを指で「かき回した」――。

「ねっとり」と指に絡みついてくるような「感触」がある。それは彼女の「腸壁」と「腸液」によってもたらせられるものでありながら、「膣壁」と「愛液」のような「錯覚」を与えるのに十分なものであった。
「執拗」な「一混ぜ」の後。「一息」に引き抜く。僕の指は結衣の「腸液」で「コーティング」されていた。だが不思議なことに、「肛門周り」には、「入口」にはあれほど「付着」していたはずの「うんち」が僕の指に付くことはなかった。
 次に「二本」、やがて「三本」と、入れる指の「本数」を徐々に増やし、少しずつ「拡張」していく――。
 そうして「仕上がった」結衣の「アナル」は、すっかり「性器」と見紛うほどになっていた。


続く――。

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おかず味噌 2020/08/30 20:42

クソクエ 女僧侶編「着衣脱糞 ~救済へと至る道~」

(前話はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/358447
(女戦士編はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/311247


「今日はここまでにしましょう!!」

「勇者」の声で「歩み」を止める。「日暮れ」にはまだ少し早いが、すでに空は「茜色」に染まり始めている。
 今日の「冒険」は「ここまで」のようだ。「頃合い」だろう。「野宿」をするのにだって、それなりの「準備」がいる。完全に「昏く」なってしまってからでは遅いのだ――。

「野営」においてもやはり、それぞれの「役割」というものは自ずと決まっている。
 ヒルダは辺りの「森」から「薪」を調達し、アルテナは「糧」となるべく「料理」に取り掛かる。「指示」を出されるわけでもなく、「話し合う」までもなく、まるでよく「訓練」された「兵士」のように、各自黙々と与えられた「仕事」をこなす。
 彼は――、周囲の「見回り」をしている。傍から見れば、あるいは単に「サボっている」だけのように思われるかもしれないが。実にそれは重要な「任務」である。
 ここは「安全」な町の中ではなく、いつ「敵」に襲われてもおかしくはない「フィールド」のど真ん中。いくら「警戒」しようとも、し過ぎるということは決してない。まさに「危険」と隣り合わせの「現場」なのだ。

 アルテナは「食材」の下拵えをしている。今宵の「献立」は「肉と野菜のスープ」。簡素な「メニュー」であるが「栄養」の面からすれば申し分ない。「味」については――、まさしく彼女の「腕の見せ所」である。
 昼間にヒルダが運よく狩った「野兎」と、道中アルテナが根気よく採集した「野草」が、その「材料」となる。「杖」を「短刀」に持ち替えて、早速料理に取り掛かった彼女であったが、そこですぐに「障壁」に行き当たることになる――。
「肉」と「野菜」は十分に揃っていたが、それだけでは「料理」にならない。そして、「肉」はその「血」を洗い落とすのに、「野菜」についても「土」を洗い流すのに、さらには「食後」に「皿」を洗うにしたって、どうしたって「それ」は必要となってくる。まさに「生命」の源であり、「生活」においても「必要不可欠」というべきそれは――、

「水」だった。

 まずはそれを「調達」してからでなければ。とても料理に取り掛かれそうにない。
――近くに「川」でもあれば良いのですが…。
 アルテナは考える。一旦「短刀」を置き「食材」をそのままにして、「水」を探すべくその場から離れようとする。
――何か「汲むもの」を…。
 アルテナは近くを見回す。「鍋」があればそれで十分だったが、やはり「必需品」であるはずの「調理器具」はなぜか見当たらない。
――あら?さっきまであったはずでしたのに…。
 アルテナが怪訝に思っていると――、

――ドカッ!!

 目の前に「水の入った鍋」が置かれた。彼女の「祈り」が天に届いたのだろうか。突然現れたそれにやや困惑気味になりながら、置かれた鍋のその「向こう」をゆっくりと見上げる――。
 そこには。「か細い腕」と「華奢な体」、「あどけない表情」の愛しい人がいた。
「勇者様…?」
 アルテナは鼓動が早くなるのを感じながらも、なるべく冷静を装って彼の「名」を呼んだ。
「探索していたら『川』を見つけたんです!料理するのに必要ですよね?」
 彼は言った。まるで「子供」が気を利かせて「親」の手伝いをして、「褒められる」のを「期待」しているみたいに。その表情は「得意げ」だった。
「あ、ありがとうございます!とても助かりますわ」
 アルテナは謝意を述べた。これで無事料理に取り掛かることができる、とそれ以上に。自分の「思っていたこと」が彼に、口に出さずとも「伝わった」ことが嬉しかった。
 まるで「以心伝心」。「魔法」なんて使わずとも、二人の「距離」を繋ぐそれは「テレパシー」のようだった。(離れてたって「以心電信」)
 アルテナはふと。またしても、「将来」についての大いなる「展望」を「夢想」していた――。


 彼女は「家」で夕食の支度をいながら「夫」の帰りを待っている。やがてドアをノックする音が聴こえると、すかさず手を止めて。まさしく「犬」のように「しっぽ」を振って、小走りで玄関へと向かう。
「おかえりなさいませ、あなた」
「労う」ように言い、単なる「二人称」である、その「呼び名」に意味を込める。
「ただいま!」
 彼は応える。変わることない「無邪気」な表情で、そこにいくらかの「逞しさ」を携えて。自らの「帰るべき場所」に還ったのだと、「安堵」して見せる。
「相棒」である「剣」を、「パートナー」である自分が預かる。今日一日彼の命を守ってくれた「相棒」に感謝しつつも、けれど今や彼の「命に次に大切なモノ」は「自分」なのだと、その「感慨」と「優越」に浸る。そしてやや冗談まじりに訊ねる。
「すぐに『ご飯』にしますか?『お風呂』にしますか?それとも――」

――ワ・タ・シ?

 言うだけで赤面しそうになる、お決まりの「台詞」である。あまりに「ありがち」で、けれど現実には言わないであろうと「夢の言葉」に、けれどアルテナは「充足」と「幸福」を感じるのだった――。


「アルテナさん?どうしたんですか?」
 彼の言葉で我に返る。「妄想」はそこで打ち止めであった。にも関わらず、アルテナの眼前には、夢と同じ「現実」があった。
「え、えぇ…。大丈夫です。少しばかり疲れているだけで…」
 アルテナは未だ「夢と現」の間を彷徨いながらも、「動揺」を抑えてなんとか答える。旅の「消耗」はそれなりにあったが、彼女の「動悸」はそれが「動機」ではなかった。
「そうですか…。今日はなるべく早く休みましょう!」
 彼はあくまでアルテナを気遣い、そう言った。どこまでも「優しい」彼。
「あ、それと――」
 彼はそこで、アルテナにある「提案」をする。
「流れがそんなに「速く」なくて、「入れそうな」場所があったんです!」
 それがさも「大発見」であるかのように、彼は言う。彼の言わんとしていることがアルテナには分かった。
「『水浴び』でもしてきたらどうですか?」
 彼は言った。それはアルテナにとって「願ってもみない」ものでありながら、けれど彼女は「迷い」を感じた――。

 確かに今日一日の「冒険」といくつかの「戦闘」を経て、アルテナは相当程度の「汗」をかいていた。体中は「ベタついて」いるし、ローブの下はひどく「蒸れている」。
「身だしなみ」にはそれなりの気を配っているつもりだし、自分ではあまり感じていないけれどやはり、「臭い」だって少なからず発生しているだろう。
 特に「下穿き」については――。「汗」とは違うもので「濡れ」、「発酵」し掛けたより強い「刺激臭」を放っているに違いなかった。
 彼の「提案」を聞くまではさほど気にならなかったが。一度その「可能性」を示唆されたとなると――、今すぐにも汗にまみれた体を洗い流し、汚れた「下穿き」を履き替えたいという衝動を抑えられなかった。

 とはいえ。自分「だけ」が良いのだろうか?アルテナは思う。
――「集団生活」において、「個」を優先するべきではない。
「神の教え」を説くまでもなく、それは人として当たり前の「ルール」だ。
 今の自分には「パーティ」の「一員」として与えられた「仕事」がある。それを「放り出して」まで、自らの「娯楽」に走るなど――。
 アルテナは「鍋」を見た。まだ「火」の入っていない静かな「水面」を見つめがら、「葛藤」が「煮詰まる」様子を眺めた。そんな彼女を見て「勇者」は――。

「あとは僕がやっておくので。これでも『ソロ』の時はよく自分で作ってたんですよ」

 彼は「腕まくり」して見せる。「任せておいて!」と、自信満々に言ってのける。アルテナはしばし逡巡したが結局、せっかくの「厚意」に甘えることにした。
「では申し訳ありませんが…、よろしくお願いします」
 アルテナは「提案」に乗り、その場を彼に任せることにした。自らの「責務」を放り出すことに少しの抵抗を感じたが、それでもやはり乙女としての「矜持」を優先することにしたのだった。

 彼におおよその「方角」を聞いて、アルテナは「水浴び」に向かう。森の木々をかき分け少し進んだ先に、目的の場所はあった。
 見るからに清浄そうな「川」が流れていた。川幅が広く、けれど「折れ曲がる」ことでそこで一旦「流れ」が停滞しているため、「勢い」はそれほど強くはない。そして何より、周囲の木々が「目隠し」の役目を果たしてくれているため、容易に「人目」につかなそうであった。
 つくづく彼は、「女心」というものを理解してくれている。彼の深い「思いやり」に感激し、またしても「惚れ直しそう」にながらも、けれどアルテナはやや「不安」にもなった。もし、同じだけの「思いやり」が別の「女性」に向けられたなら――、きっとその「相手」も彼に自分と同じ「想い」を抱いてしまうかもしれない、という危惧だった。 
 だがそんなことを今考えても仕方がない。アルテナは今は「自分だけ」に向けられたものである「厚意」を素直に受け取ることにした。

 アルテナは早速、「木陰」で衣服を脱ぎ始めた。「杖」を置き、「前掛け」を外し、「法衣」を下ろす。くしくも「あの時」と同じ手順は、彼女の「体」に「錯覚」と「混乱」をもたらす。
――少々、「催して」きましたわ…。
「下腹部」と「股間」に感じる、じんわりとした「違和感」。そういえば今日、町を出てからはまだ「一度」もしていない。これまで気づかずにいたけれど、彼女の「膀胱」には確実に「おしっこ」が蓄積され、今やはっきりと「尿意」を自覚していた。
――先に済ませてから…。
 アルテナは「水浴び」をする前の「準備」について考えた。今一度、周囲を見回してみる。辺りは「静寂」に包まれていて「水音」以外せず、どこにも「人影」は見当たらなかった。そうした「状況」が、彼女に甘い「誘惑」をもたらす。
――「ついで」に、しちゃいましょうか…。
 確かな「決意」を新たにして、アルテナは残った「下穿き」を脱ぎ去り、そのまま「川の中」へと入っていく――。

 川の水は冷たく、一瞬心臓が止まりそうであったが、彼女の「火照った体」にはちょうど良かった。「足先」から順番に、「下半身」「上半身」と慣らしていき、馴染んできたところで一気に「頭」まで水に潜る。

――――――。

 周囲の「音」が消え、完全な「静寂」に飲み込まれる。しばし「外界」から閉ざされたことで、アルテナの「心」は「空っぽ」になる。
――バシャ!!
 呼吸の限界を感じて、アルテナは水中から顔を上げる。「周囲の光景は『一変』していた」なんてことはなく、そこには数秒前と同じ「静寂」があった。
「心地良さ」のまま少しばかり泳ぐ彼女の姿は、傍から見るとまるで水の「女神」かはたまた「精霊」のようであったが。けれど、その姿を「目撃」し「目に焼き付ける」者はいない。少なくとも彼女の「知る限り」では――。(一瞬、草影に何か「動くもの」があったが、アルテナがそれに「気づく」ことはなかった)

 しばらく泳いでいると、やはり「冷たさ」のせいもあって、いよいよ「予感」が「確信」めいたものになる。かろうじて足の立つ場所まで移動し、そこでアルテナは「直立」する。
 何をしようとしているのか、彼女だけがそれを知っている。水中にある彼女の「股間」に「指令」が出される。それが「届いた」瞬間、彼女はわずかに「身震い」した。そして――。

――シュイ~!!!

 アルテナの「股間」の周囲に、新たな「水流」が加えられる。わずかに違う「色」の「液体」はやや「温かく」、確かな「匂い」を持っている。けれどそれもすぐに周囲の「水」と同化し、立ち消え流され分からなくなる。

 アルテナは「水中」で「排尿」をしていた――。
 
 あるいは「人としての『禁忌』を犯している」という実感がある。不用意に「自然」を「汚す」というその行為に、アルテナは少しばかりの「罪悪感」を抱くのだった。だがそれもあくまで「建前」であり、決して人に知られてはならないがけれど決して人に知られることはないというその「安堵」と、何より行為自体のその「解放感」と「快感」の前では、いかなる「理性」すらも文字通り「押し流されて」しまうのだった。

――あぁワタクシ、このような静謐な場所で「お小水」を…。

 内心でアルテナは「自戒」する。「しゃがみ込んで」ではなく「立ったまま」でする行為に、「地面」や「便器」に打ち付けられることのない「放尿」に、まるで「お漏らし」のような感覚を抱く。だがアルテナのそれは、決して「下穿き」を濡らすこともなく、その場に留まることもない。「行為」と同時に、「汚れた」部分が「清浄」に洗い流されていく。むしろ「正規」の手順を踏んだ、「排尿行為」と呼べるのかもしれない。

 やがて「水流」が打ち止められる。アルテナは再び「身震い」をして、自らの「体温の一部」が川の中に溶けていったことを自覚した。「出したもの」はすでに遠くへと流れ去り、「出した部分」を拭う必要さえなかったが。それでもやはり「習慣」からか、あるいは「念のため」、今一度よく洗っておくことにした。
 アルテナの「指」が股間に触れる。残存する「臭い」を取り去るべく「割れ目」にあてがわれた指が「何か」に触れ「濡れる」。
「川の水」によるものではない。「おしっこ」とも違う。やや「粘り気」を帯びたその「液体」はまさしく、大いなる「生命の神秘」によるものだった。

 アルテナの「ヴァギナ」は「愛液」を溢れさせていた――。

 冷たい水中にありながらも、けれどその部分は確かな「熱」を持っていた。まるで「海底火山」のように、「温水」ならぬ「女水」を噴出していた。いや「粘度」でいえば、「マグマ」と呼んだ方が的確かもしれない。その「流体」は、それだけは――、「水中」においても「流される」ことはなく、「冷たさ」の中にあっても決して「冷やされる」ことはなかった。むしろアルテナの指がそこを「まさぐる」度、それは続々と溢れ出てきて、「ヌルヌル」とした感触をいつまでも保ち続けていた。
「愛液」が「潤滑油」となって。ますますアルテナの指は「加速」する。最初は付近に触れるだけで甘んじていたが、彼女の「探求心」はやがて「水中洞穴」の深部へと向かうことになる。
 そこは他者にとって「未知」の空間でありながらも、彼女にとっては「既知」の場所。どんな「構造」をしているのか、どこに「快楽」というべき「財宝」が眠っているのかを熟知している。「ダンジョン」と呼ぶにはあまりに「探索」の進んだ「マップ」に、けれど彼女は未だに「冒険者」としての「興味」を失うことはない。
 何度も「行き来」し、「出し入れ」し、「壁」を擦り、時に「強く」時に「優しく」、あくまで「ソロ」での「冒険」を続ける。
 それだけでは物足りずに、もう一歩の手は「洞穴」からやや離れた場所にある「双丘」へと伸びる。その「頂き」に建てられた「尖塔」を、まるで「巨人」が弄ぶが如く「コリコリ」とこねくり回す――。

 やがて「ダンジョン」に、ある「変化」が訪れた。全体が小刻みに「振動」する。アルテナは「予感」を悟った。
 本来ならば――、それが本当の意味での「探索」だとしたら。紛れもなく危険の「兆候」であり、まさしく「危険信号」に他ならない。いかなる深部にいようとも、目指すべきは「出口」であり。何をおいても真っ先に「脱出」を考えるべきである。
 だがアルテナはそうしなかった。彼女の「指」はあくまで「中」に留まったまま、来るべき「衝撃」に備えるべく――むしろここにきてより「激しく」、「探求」を続けるのだった。
「振動」はついに、アルテナの体「全体」に波及する。アルテナは「つま先」に力を込める。そうでもしないと、とても立っていられそうになかった。そうしていても尚、足を滑らせてしまいそうだった。
――ああ、ワタクシ「逝って」しまいます…!!
 まさに「昇天」すべく、アルテナの「心」と「体」は身構えた。思わず目を閉じたアルテナの「瞼の裏」にあったのは――、まさしく「天国」と呼べる光景だった。

――ビクン…!ビクン!!

 アルテナの体が大きく揺さぶられる。突き抜けた「快感」に耐えるべく、アルテナは今一度足に力を入れて、「足の裏」で川底の「石」を掴んだ。

 徐々に「波」が引いていく。少しばかりの「感傷」を残しながらも、まるで「海」のそのように。何事もなかったかの如く、穏やかに去ってゆく――。
 アルテナは静かに目を開いた。そこにはやはり、さっきまでと同じ景色が広がっていた。だが心なしか全ての「音」が、「色」が、「明瞭」に感じられた。
 穏やかな「川の流れ」が、彼女の「火照った体」を冷まし、その「汚れた魂」さえも洗い清めてゆく――。

 出来ることならいつまでもそうしていたかった。だけどそういうわけにはいかない。いい加減「上がらないと」、あまり体を冷やし過ぎてしまっては「風邪」をひいてしまうかもしれない。それに、いつまでも戻らないとなると、彼に余計な「心配」を掛けてしまうだろう。アルテナは名残惜しさを感じながらも、そろそろ「引き上げる」ことにした。

 川から上がって、持ってきていた「布」で体を拭く。吸水性はあまり良くはなく、体はやや「湿った」ままであったが、あとは「自然乾燥」に委ねることにした。
「全裸」を終えるべく、足元の「衣類」を探る。そこで彼女は「あること」に気づいた。

――あら?おかしいですね…?

 アルテナのそばには彼女が「脱いだ」衣服がある。もちろん「脱ぎ散らかす」こともなく、きちんと「折り畳まれて」いる。
「前掛け」に「法衣」に、それから――。「あるもの」が「消失」していた。
 一番「最後」に脱ぎ、一番「最初」に着るべきものが――。

 それは「下穿き」だった。

「衣服」の間に挟んでおいたはずのそれが無くなっている。
――確かに、ここに置いておいたはずなのですが…。
 怪訝に思いながら、一度全ての衣類を広げてみたがやはりない。彼女の「装備」のうち、最も人目に触れることなく、最も「隠したい」その布だけが消えていた。
 やや「困惑」を感じながらも、けれど彼女はさほど「途方に暮れる」ことはなかった。
 アルテナはもう一枚の「下穿き」を取り出した。体を拭いた布に挟んでいたものだ。無くなってしまった方と同じ「純白」のそれ。(アルテナは主に「白」の「下穿き」ばかりを好んでいた)
 まだ「穿いていない」方のそれ。「汚れ」も「染み」もなく、まさに「純白」である「下穿き」に穿き替える。元よりそうするつもりだった。いくら体を「きれい」にしたとはいえ――、きれいにしたからこそ、「同じ下穿き」を穿くことは躊躇われた。
 当然だろう。「汗」と「おしっこ」にまみれたものをわざわざ穿き直したくはなかった。出来ることならついでに「汚れた下穿き」を洗ってしまいたかったが、無くなってしまったものは仕方がない。
 おそらく「小動物」か何かの仕業だろう。アルテナは考える。ずいぶんと「いやらしい」獣がいたものだ。だがそれにしては、あまりに「手口」が「鮮やか」だった。他の衣服は荒らされることはなく、「下穿き」だけを見事に抜き取られている。まるで最初からそれだけが「目的」であったかのように――。
 けれどそれはむしろアルテナにとって、好都合だった。もし「それ以外」もやられていたとしたら――。彼女は「全裸」でパーティの元へと戻らなければならなかった。そういう意味では何とか「最悪の事態」だけは免れ、まさに「不幸中の幸い」であった。

 服を着終えたアルテナは、元来た道を引き返す。

――それにしても…。
 アルテナは盗まれた「下穿き」について考えを巡らせる。
 いくら「理解」を持たぬ「獣」の「所業」とはいえ、「汚れた下着」――「おしっこ」まみれの「下穿き」を見られてしまったことを思い浮かべると、少々気恥ずかしかった。
 

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