ぶるがり屋 2022/09/19 00:21

鎌倉殿の13人 36話 の感想

鎌倉殿の13人 36話
「武士の鑑」の感想です。


見逃し・同時配信 - 鎌倉殿の13人 - NHK

【作】三谷幸喜
【音楽】エバン・コール
【出演】小栗旬、新垣結衣、菅田将暉、小池栄子、片岡愛之助/坂東彌十郎、宮沢りえ、大泉洋、西田敏行 ほか
(C)NHK

鎌倉殿の13人

 散る次郎、残る小四郎
多くのものが死んでもなお、晴れやかさが残る回でした。
畠山重忠、強く美しく気高く、武士の鑑よ。

 そして負け、殺されず地に履い、生き残らされた北条義時は。
残酷に後ろ暗く醜く、支配者にならなければいけない……

気の良いおじさん和田義盛

 ずっと口喧嘩ばかりで一緒だった畠山殿が討たれるとなり、和田義盛がどう応えるのか、気になってましたが、期待通りでした…
素晴らしい!可愛い!!
 追討策に反対し、降伏の使者となって生き延びようと懇願し。
畠山の誇りの高さを知るからこそその決意の重さを悟り、それでも腕相撲を断られ(笑
戰となれば全力で一番得意な策で臨み、小四郎との一騎打ちを、三浦義村とともに守る。
 ああ、我々が愛する、和田義盛殿でした。

 同時に、この良いおじさんだからこそ、気づいてないんだろうなぁ。
かつて畠山殿が比企邸前で言ったことを、義村が理解していることを。
次は和田かもしれない、ということを。

戰上手・畠山重忠とその死

 戰など誰がしたいと思うかぁ!
当代一の武士とも讃えられ、非常に軍を進めてきた畠山重忠。
だからこそ、叫びが重く悲痛でした。
壇ノ浦で水夫や女子供を殺し、戦友梶原景時を追い、比企一族を滅ぼし。
それでもなお、誇り高くあろうとした男の、本当の心の叫び。

 多勢に無勢の合戦でも存分に戦い、兵数差を見切って本陣に向かい、一騎討ちへ。
小四郎と次郎、旧友だからこそ理解し合い、戰を読み切った次郎が導いた、そして必然の決着。
白と赤、黒と金。
2人だけの世界で戦い、勝っても殺さず、なお笑顔で去る。
憎しみも、無念も、友情も、悲願も、全力で託して。
きっと、この先も分かって、戦って死んだのでしょう。

 それでも、最後だと、小四郎の一縷の望みの首検分は逃げられた。
年若い源実朝は、それでも未熟を知り、己の罪と知り、罪を飲み込んだ。
父・北条時政は、己の罪を見届けさえしない……
 小四郎に時政を追い落とす他は、無い。

 誇りと道理を貫いた、なんて清々しい、小四郎への呪いなのだろう。
多くの者が、小四郎に願いと無念を残して死んでいく。
幾つも幾つもの願いが無念が、呪いとなってへばりついて黒くなって。
重忠の遺した笑顔をまとって、小四郎はまた黒くなる。

姉と弟

 一幡を殺し、頼家を殺し、小四郎の苦しみを理解できても、信じられなくなった政子。
今度は父を落とすと決めた小四郎に、政子は理由も犠牲も、頼朝への想いも全て理解して、その罪の重さに驚き苦しみながらも、背負うと決めた政子。
ああ、久しぶりに2人が手を結んだんだなぁ。
結べたんだなぁ。
 その絆は嬉しいけれど、それは鎌倉を守るための最後の手段だから。
父を落とす、ただ一つの道だから。
頼朝の意思を継ぐと、鎌倉を守ると、2人は背負うのだ。

父と子

 次郎を殺せず、それでも父に望みをかけた小四郎は、消えた。
消えてしまった。
姉・政子と悪友・義村を共犯に、北条義時となった。
なってしまった。

 愛息子に「小便ちびった」と、父に教わった優しい嘘をつけるようになった小四郎が愛らしく、同じ日に父を見限った義時が、悲しい。

時政パパはくじけない

 んで時政パパも、陥れられても笑い、このまま終われないのがまた愛らしくも困ったちゃんだよ!
いやずっと困ったちゃんだったけど!
 皆に笑って欲しい、家族が大事、という自らの拠って立つ生き方を自ら壊してしまったことを理解して、それでも降りるなんて出来ないおっちゃんだよなぁ。

 決して近く居て欲しくないタイプですが、格好良く可愛いのですよね。
全てを読んで失敗の可能性も十分に理解して、それでも博打うって失敗しちゃった表裏比興の者・真田昌幸と、ついつい比べてたくなっちゃいます(笑

旧友4人

 鎌倉殿の13人はなった回で2人欠けるスピード瓦解でしたが、主人公同世代、旧友4人がついに欠けてしまいました……
だからこそと言うべきか、4人の友情、絆、関係性が具に描かれ、胸を暖かくもしてくれました。
 重忠と義時の理想と清廉さの理解、重忠と義盛の喧嘩ップル(違)、義時と義村の悪友っぷり。
特に今回は、理解して、尊敬し合うからこその北条義時と畠山重忠の一騎討ちの気高さと泥臭い本気っぷり、また2人だけの戦いを守る義盛と義村の息の合いっぷりに胸が熱く、切なくなりました。

 だからこそ、殺し合う理由なんて無かったんだ、この先も続いてしまうんだと、重苦しくなるのです。

小四郎と平六

 理解しあっている4人の中でも異質な小四郎と平六。
今回で「下がっていろ」と言われた義村が笑った理由が怖いなぁ(笑
「お前もそんな口が聞けるようになったか」の不遜な笑いか、「やっと俺好みの(多分超えるに値する)男になったなぁ」の破顔か。
いやー怖い怖い、楽しみー!
 この2人は敵対してからが本番なよーな気がしてます(笑

次も地獄 …あれ?

 そして、北条義時は地獄の道を突き進む…
かと思ったら楽しげな北条姉弟たちの宴会?風景に「オンベレブンビンバ」?
これは…予想がつかないぜ!!??

他、ちょこちょこ。

 畠山重忠の妻であり重保の母、ちえ。
娘の苦しみと憎しみの重さを、時政パパは気づいてないんだろうなぁ……
稲毛重成に嫁いだあきは死んでるからまだ良いけど(良くない)。

 足立遠元と北条政子の語らい。
ちょっと切なくて微笑ましくて笑っちゃったけど、大江広元に見せた優しさ美しさも合わせて、政子の権力を求めない真摯な優しさが、これから大きな力になっていくのだと理解出来ました。
 義時は大義で、政子は情で鎌倉を支えるんだ。


 今回で横田栄司さんで張飛、中川大志さんで関羽or関平で三国志演って欲しくなりました(笑

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