茶飲み話39 ストーリーあれこれ(7)

一鉄工房のブログにおこしいただき、ありがとうございます。
管理人のOIGUMO(老雲)です。

さて、今日の茶飲み話は、前回までに引き続き、「被虐闘姫シスカ」に
ついて。その中でもゲームの「尺」に関するお話となります。
ゲームのネタバレが含まれますので、ご注意ください。

関心のある方は、以下の「続きを読む」をクリックされてください。



(続き)
続きを開いてくださり、ありがとうございます。

前々回の茶飲み話「ストーリーあれこれ(5)」で少し触れたのですが、
「シスカ」の制作にあたっては、ゲーム尺、言い換えればゲームの
ストーリーの長さについて、考えさせられたことがありました。





「シスカ」はリョナのバトルをお楽しみ要素と
しつつ、そこに至るまでのストーリーパートが
少し長め、というスタイルでした。そして、
ストーリーは「Scene」と呼ばれるパートに
細かく分かれていました。



ゲームを設計するにあたっては、オープニングで、あの出来事があって、
Scene1でこういう展開になって・・・と、ストーリーの流れを考えます。
この作業を行ったときには、すでに「淫魔戦記マリカ」である程度の
経験があったので、作業自体は比較的スムーズに行ったのですが・・・。




事前に考えた「ストーリーの流れ」に沿って、実際の会話シーンのテキストを
打っている時、また、出来上がったアドベンチャーシーンを読み返している時、
ふと、こんなことを感じ始めました。




ゲームの尺が足りないんじゃないか? と。




確かに、各Sceneで起きるイベントは予定通り収めることができました。
プレイヤーに読んでもらうテキスト量も、所要時間も想定の範囲内。
でも、管理人が自分で読み直すと、少し違和感を感じます。
展開が早い。というか、説得力が少し弱い、そんなことを感じました。




作品の基本的なストーリーラインは、道を踏み外しかけたシスカが、
この戦いを通じて自分の異常な状態に気付き、ナオミらに支えられて
回復していくことです。その意味で、Scene6がかなり重要な役割を果たします。
勝利可能ルートに入った場合、ここでシスカの「気付き」が表明されるわけですが、
実は管理人本人が、そのシーンに満足をしていなかったりします。




ちょっと一般論に寄り道しますが、物語では、主人公の成長や変化が描かれることが
少なからずあります。その場合、その物語の長さにもよりますが、最初の段階での
主人公の性格と、それを育んだ物語より以前のバックストーリーが描かれ、次いで、
物語の中で起きる出来事があり、そこで主人公が何を感じ、または何を考えたかが
記述されて、その結果、主人公が成長したり変化したりするわけです。




なぜ主人公はそこにいるのか、そして、どんな出来事を経て、どう変化するのか。
その論理の過程は、見る人にとって理解できるか、共感できるものか、
成長を題材とした創作物語の面白さは、ここに尽きるような気がします。



そんな管理人の考えから見て、シスカの変化は早すぎる、言い換えれば
シスカが変化するには、まだ材料が不足しているように見えたんですね。




同じことは、サブヒロインのナオミにも言えるんじゃないかと疑っています。
ナオミは、なす術なく座り込んでいた博士に、進むべき道を指し示し、
悪行を重ねるフェンリルの心理を推測し、シスカの苦しみを受け止めようとします。
ストーリー展開上では重要な役割を果たす彼女が、どうしてそんな考えを
持つようになったのか、一応、彼女のバックストーリーも紹介されますが、
少し説得の材料が不足しているように感じています。




このあたり、ゲームの完成に向けていろいろ悩んだり、追加のエピソードを
温めたりもしたのですが、それを加えるタイミングがゲーム展開上にないことや、
アドベンチャーパートが必要以上に膨らむと考え、変更を断念しました。




・・・なにか、いろいろ書いてきましたが、結論を言えば、
「短編に詰め込むにしては、テーマが重すぎた」と、
しみじみ感じさせられました。いい勉強になったと思います。




ほぼ制作が同時進行だった「淫魔戦記マリカ」は長編だったので、ストーリーも
思う存分入れられたのですが、短編の場合は、あまり詰め込みすぎないように
する必要を感じた、そんな制作過程でした。




では、今日はこのあたりで失礼します。



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