茶飲み話43 「マリカ」キャラクタ-余録(2)

一鉄工房のブログにおこしいただき、ありがとうございます。
管理人のOIGUMO(老雲)です。

今日はまず、事務連絡から。
DLsite.comの半額セールに、「魔法剣士アリサ」が参加しています。
期間は5月9日(水)の正午までです。

今日は前回に引き続き、マリカがテーマです。
彼女の物語上の役割を中心に解説をさせていただきます。
ゲームのネタバレが含まれますので、ご注意ください。

関心のある方は、以下の「続きを読む」をクリックされてください。



(続き)
続きを開いてくださり、ありがとうございます。

さて、以前ご紹介した「マリカ」のストーリーラインは以下のようなものでした。




さまざまな理由で生まれ故郷に適応できなかったヒロインたちが、さまざまな
偶然を経て出会い、絆を紡いでいく。そして羽を休め、生きる力を回復する。
そして同様に故郷で苦しみながらも奮闘する、淫魔三姉妹と出会い、
自らの生き方を考え、それぞれの故郷へと帰っていく。




この中で、最初の2行が各キャラクターのバックストーリー、
最後の1行がエンディングとなり、3行目がゲーム部分となります。




このゲーム部分では、ミッションの謎解きはもちろん、各キャラクターのストーリーや
様々なイベントなどが発生し、雑多で賑やかな印象があったかもしれません。
でも実は、この部分のテーマというか、物語が展開する原動力は
いたってシンプルで、その内容は、マリカの願望と重なるものでした。




故郷で他人との関係を築くことができなかった彼女は、人と仲良くなることに
強い憧れがあり、そしてまた、その夢が叶った王都での修行生活を経て、
きっと誰とでも仲よく、一緒に幸せになれるのだと純粋に信じています。
そして、それを実践しようと思っています。




例えれば、誰かひとり、仲間の輪に加わることができない人がいたら、
わざわざそこに駆け寄って、「一緒にごはん食べよっ!」と声を掛ける、
それが、管理人が抱く、マリカのキャラクター像です。




ここまで読み進められて、違和感を感じた方もいらっしゃるかもしれません。
現実の人間関係とは、そんな単純なものではないですよね。
それぞれの価値観、記憶と感情、経済的理由、第三者も含めた人間関係、
さまざまな要因が関係構築を阻んでいます。
差しのべられた手を疎ましく思う、それも自然な反応のはず。




でもマリカは、まだそのことを知りません。
そのため彼女は、良く言えば真っ直ぐに、悪く言えば無遠慮に、
相手の心にズカズカと踏み込んでいきます。
そしてこれが、結果として上手くいく。
それが「淫魔戦記マリカ」のストーリーなのです。




この物語を時系列で並べなおすと、こんな感じでしょうか。




まずボスが、異常な状態にあったファムを、弟子名目で受け入れた。
でも独力では解決困難と判断し、偶然出会ったマリカとレンも引き入れます。
これはボスにとっても賭けだったでしょう。そして、最初は4人の関係は
ぎこちなかったはずです。でも、安住の地を得て「調子に乗った」マリカが、
全員の仲を良くしようと積極性を発揮し始め、他の3人を引っ張るように
勉強に、それ以上に遊びに励み、中心的な存在へと成長していきます。




賑やかなマリカの存在は、家族に捨てられたと信じていたレンの心を慰めた
ことでしょう。また、縦の関係しか理解できていなかったファムの常識をも
容赦なく破壊し、次第に人間らしさを取り戻していきます。そんな変化を
目の当たりにして、きっとボスも、賭けに勝ったと喜んでいたと思います。
ただマリカは、それらを意識して行動したわけではありません。
自分の心の赴くまま行動したら、たまたまそうなった、ということです。




そんな幸せな生活を得た時、エステル島での事件に巻き込まれます。
出張の目的は淫魔退治、他の3人はそう認識しており、マリカも目的は
知ってはいましたが、マイペースで自分の信ずるままに行動する彼女は、
頭の片隅では、淫魔とも仲良くなれると思い込んでいました。退魔師に
あるまじき彼女の「非常識」が、物語を意外な方向へと導いていきます。




敵役として登場する淫魔三姉妹は、人間と仲良くやっていきたいと
強く願いながらも、過去の経緯から、それは不可能だとあきらめていました。
島の変化に追いつめられた彼女たちは、ついに今回の事件を起こすに至り、
ヒロインたちを陥れようとしますが、マリカの「非常識」にさんざんに
振り回された挙句、思いもよらない大団円を迎えることになるわけです。




・・・この物語では、マリカが主人公になっていますが、その理由は、ただ単に
存在感が大きいとか、面白いから、というだけではなく、マリカの願望が
他のヒロインや、そして淫魔三姉妹との願いと実は同じであって、
その願望をストレートに表現し、物語を牽引してくれるからです。




レン、ファム、そしてボスの力で幸せなったマリカが、
調子に乗ってお節介をして、周囲の人たちを敵味方なく幸せにしていく。
だから、マリカが正しいことをしている、という物語ではなく、
登場人物みんなの願いを、マリカが引き出していくという筋書きです。
この物語は、そんな都合のよいフィクションでもあります。




ただ、管理人自身も含めて、多くの人は周囲の人たちと仲良くなったり、
お互いに幸せになることを、心のどこかで願っているのではないでしょうか。
このストーリーを面白いと感じていただいた人は、この物語の底にある、
マリカの願いを感じてくださったのではないかと、そう思っています。




最後は、ちょっと管理人の独断に満ちた結論でしたね。
違ったらごめんなさい。




というわけで、今日はマリカの物語上の役割についてのお話でした。
では、このあたりで失礼します。




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