2017/06 キャララ朗読劇台本『日々姫せんせーのお絵描き教室!』(進行豹
こんばんわです! 進行豹でございます!
今日は「レイルロオド・マニアックス」書こうと思ってたのですが、
なんだかあれこれバタバタしちゃって全然無理でした!!
のですが、二日続けてなんもかかないのもあれなので、
過去の台本から、2017年6月! ゲストはヒマリさんでお送りしましたキャララ! 内朗読劇、
『日々姫せんせーのお絵描き教室!』の台本を公開させていただきます!!!
お絵かき教室、楽しかった!!!
残念ながらそのときご一緒いただけなかった方におかれましても!
ぜひ、台本でどぞどぞです!!!!
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キャララ六月朗読劇台本
「日々姫せんせーのお絵描き教室!」
2017/05/28 進行豹
;備品:
;クリップペンシル、ハガキサイズ用紙・各三百(来場ノベルティ配布時にあわせて配布)
;SE 開幕ブザー
;(ブーっ)
【日々姫】
「にぃににくっついて憧れの帝都!
やーっとこれた!! って思うたばってん~」
【日々姫】
「にぃに、帝大時代のお友だちにお呼ばれだとか!
しかも、そのお友だちのバイトの穴埋めで、私、お絵かき教室の臨時の先生だとか~」
【日々姫】
「先生なんて、私絶対むいてなかとよ! しかも――しかも秋葉原の教室!」
【日々姫】
「みぃんな絶対、わたしより絵、うまかとよー!
毎日毎日エッチな絵ば描いて、それを薄い本にまとめて、
夏とか冬とか売りまくってるにきまっとるんだから!」
【日々姫】
「にげたい~ 投げたい~ 御一夜に帰りたかとよ~!!」
【日々姫】
「ばってん、にぃにに頼まれたけんねー。
『すまん。日々姫。助けてくれ。この埋め合わせは必ず、近いうちに』って!」
【日々姫】
「にぃにぃそぎゃんと言われたら断れんし~。 それに、それに――埋め合わせ!
にぃに、『この埋め合わせは必ず、近いうちに』
に続く言葉はやっぱり『僕の体で』だし、きっと! きゃーーーーー!!」
【日々姫】
「わわ!? わたしこんな大通りで寄声ばあげちゃって!
って……あれれ? 誰も気にしとらんと?」
【日々姫】
「はー、さすが大都会。さすが秋葉原ばい!って、そろそろお絵かき教室いかんと!」
【日々姫】
「えーと、『キャララお絵かき教室』――って、ここか!」
【日々姫】
「中の様子は~~ こそ~っと――
あ! なぁんだ! ちびっこばっかり!」
【日々姫】
「ちびっこなら怖くなかとよ!
レールショップやなんやらで、わたし、ちびっこに結構人気あるけんね!」
【日々姫】
「いけるいける! よしっ―― (こほん)
『みなさん、こんにちわー!』」
【日々姫】
「あれれ? お返事ちいさいな。『みなさん、こんにちわー!!』」
【日々姫】
「うん! いいお返事!
今日は、いつもの先生に代わって、わたし、右田日々姫。
日々姫先生が、みんなにお絵描きを教えちゃいます!」
【日々姫】
「ええと、この中に――お絵かき大好き! っていうこ、どのくらいいるかな~?
手をあげて!」
【日々姫】
「うんうん。それじゃあ、そのなかで、
『薄い本出してるよ』ってこは、どのくらい? こっそりでいいから、手をあげて?」
【日々姫】
「ほうほうなるほど~。
それじゃ、その薄い本、あとで先生にも見せてね!」
【日々姫】
「で、今日のお絵かき教室は――
みんながどのくらい描けるかとか全然わからないから、
[速描'そくびょう]――クロッキーをやります」
【日々姫】
「日々姫先生が、一分間をカウントするから、
その間に、先生が指示したものを描いてください!」
【日々姫】
「モデルを描く――だとちょっと難しいかもだから、最初は指ならしもかねて、
みんなが知ってる動物を、思い出しながら描いてみよー!」
【日々姫】
「みんなが知ってて描けそうな動物……」
【謎の観客】
「サーバルキャット!」
【日々姫】
「サーバルキャット!? そぎゃんとマイナーな動物――
あれ? みんな、『サーバルちゃんなら描ける』って顔してるね、
すごーい!」
【日々姫】
「けど、一分だと厳しいかもだから……ええと、最初はキリンさん! キリンさんの絵、
描いてみよー!」
【日々姫】
「じゃ、一分カウントするからねー。 3,2,1――スタート!」
;実際、1分クロッキーさせる
【日々姫】
「残り10秒,9、8――――はい! おしまい!!」
【日々姫】
「みんな、描けたー? それじゃ、日々姫先生に見せてみて~」
;お客さんの絵みて、いじってあげてください
【日々姫】
「うんうん。なかなかいいね。それじゃあ、次は――ネコさん描いてみよー!
さっきリクエストがあった、サーバルキャットでもおっけーだよ!」
【日々姫】
「また一分! いっくよー! 3,2,1、スタート!」
;また一分クロッキー
【日々姫】
「残り10、9,8――――はーい、おしまーい!」
【日々姫】
「じゃ、また日々姫せんせーにみせてみよー!
ほうほう、なるほどなるほど――んんん~?」
【日々姫】
「なんでかな? キリンさんのときとくらべて、全体的に線の勢いが――――え?
あ、そっか、ねむたくなっちゃったのかー」
【日々姫】
「あー、いっつもだったら今はお昼寝の時間? そかそか、それなら――んん?
『お昼寝のときは先生が読み聞かせしてくれてる』の?」
【日々姫】
「そっか。よかとよ! 今日は私が先生やけんね!
読み聞かせも、ちゃーんとしてあげる!」
【日々姫】
「それじゃあ、日々姫せんせーの想い出のお話し、
読み聞かせてあげるとね――こほん」
【日々姫】
「長靴をはいたネコ」
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『貧しい粉屋が、貧乏なまま、死にました』
『残されたのは、三人の息子と、粉をひくための水車小屋と、
引いた粉を運ぶためのロバと、
粉を狙うネズミを退治するためのネコだけでした』
『長男は、水車小屋をもらいました。
次男は、ロバをもらいました。
末っ子には、ネコしか残りませんでした』
『兄さんたちから追い払われた末っ子は、とほうにくれてしまいました。
「ネコをもらってもパンも買えない。僕はどうやって食べていこう」』
『末っ子が思い悩んでいると、
ネコがひょこひょこやってきました。
「ご主人様には私の他に、何も財産がないのですか?」』
『「着ている服と、冬の服。
はいている靴と、長靴ひとつ。
それから袋。ちいさいのと大きいのがひとつずつ」』
『「長靴だったらちょうどいい。私に譲ってくださいな。
おまけに袋もつけてくれたら、
このネコがなかなか役にたつところ、きっとご覧にいれましょう」』
『「どのみちこのままじゃ餓え死にだ。長靴と袋をネコにあげるよ」』
『末っ子と別れたネコは、長靴をカポカポ鳴らして、
大きな野原までやってきます』
『「今日はすばらしいお天気だ。
うかれたウサギが、遊びに出るにちがいない」』
『ネコはふくろを大きく広げて、
オオバコとハハコグサ、それからアザミのやわらかいところを、
つみとって中へ入れました』
『ネコはそのまま姿を隠し、のんびり待っておりますと、
クンクン鼻を鳴らしたうさぎが、袋の中に入ります』
『「はい、ご苦労さん」
袋の口をしめて捕まえ、ネコはウサギの入った袋をかつぎます』
『「ウサギだったらちょうどいい」
ネコは長靴をカポカポ鳴らして、
大通りをまっすぐまっすぐ、王様のお城までやってきます』
『「[衛兵'えいへい]、衛兵、王様に取次を願い出る。
私は長靴をはいたネコ。カラバ[公爵'こうしゃく]様のお使いだ」』
『「長靴をはいたネコとは珍しい。
カラバ公爵なる人物は、面白い使者を仕立てたものだ」
面会を許してもらえたネコは、王様の前でかしこまります』。
『「王様、初めてお目にかかります。私は長靴をはいたネコ。
こちらは、カラバ公爵様からの贈り物です」』
『「やわらかそうな野ウサギだ。受け取ろう。
カラバ公爵殿に、[御礼'おんれい]申し伝えてくれ」
「必ずお伝え申し上げます」』
『次の日にはうずらを捕まえ、
その次の日にはつぐみを捕まえ、
次の次の次の日にはまた野ウサギを捕まえて。
一週間、毎日毎日、ネコは王様に贈り物をしました。』
『「野生の美味を、これほど毎日、生け捕りにしてお贈りくださるとは。
カラバ公爵殿は、狩猟を得意とされているのか?」』
『「カラバ公爵様のご領地は、見回りに一週間かかります。
そのあいだの食べ物をまかなうために、狩りもお上手になりました」』
『「なんと、それほどに広い領地を持つのか。
カラバ公爵にお会いしたい。ご都合はいつがよろしいか」』
『「今はご領地の見回り中です。
戻られましたら、必ずお伝えいたします」』
『王様とわかれお城を出ると、ネコは末っ子に会いにいきました。
末っ子は、やっと見つけたパン屋の仕事になじみ始めているようでした』
『「ご主人様ご主人様。
あなたはパン屋と公爵と、どちらの仕事をやりたいですか?」』
『「やれるのだったら公爵がいい。
僕にできるかわからないけど」』
『「さて忙しい!」
末っ子の返事をきいて、
ネコはふたたび、外へ飛び出していきました』
『お城とは反対の方角へ、長靴カポカポ歩いて歩いて、
知らないところまでやってきます。
そこでは痩せた農夫たちが、麦をつくっておりました』
『「私は長靴をはいたネコ。カラバ公爵様のお使いだ。
このあたりを今おさめているのはいったい誰だ?」』
『農夫の一人が、頭を下げて答えます。
「このあたりを今おさめているのは、人食いのオーガにございます」』
『「それでは聞くが、カラバ公爵様と人食いのオーガ、
どちらにここをおさめて欲しい?」
「人食いのオーガはごめんです。カラバ公爵ならありがたい」
「人食いのオーガがごめんなら、なぜ追い払ってしまわない?」』
『「人食いのオーガは、変身の術が自慢です。
熊になったり、ライオンになったり。あれには誰もかなわない」』
『「カラバ公爵様ならかなう。
だから、これよりここはカラバ公爵様のご領地だ。
誰かに尋ねられたのならば、そう答えなさい」
「わかりました。これからここは、カラバ公爵様のご領地です」』
『行く先行く先で、人に合うたびそのやりとりを繰り返し、
やがてネコは、古いお城につきました』
『「どうやらここが、人食いのオーガのお城だな。
衛兵のひとりもいやしない。きっと端から食べたんだろうな」』
『ネコは勝手にお城に入り、大声で人食いのオーガを呼び出します。
「私は長靴をはいたネコ。カラバ公爵様のお使いだ。
ここは今日からカラバ公爵様のお城だ! 荷物をまとめてさっさと出て行け!」』
『「なにをぬかすかこのネコめ!!」
怒り狂ったった人食いのオーガは、立派なライオンに化けました。
「長靴ごとぺろりと食べてやる」』
『怖がるどころか、ネコは安心した様子。
ライオンの爪をひらりとかわし、ヒゲの形を整えます』
『「ごじまんの変身の術がその程度ならちょうどいい。
象に化けるカラバ公爵の相手ではない」
「なんと、象だと?」』
『ライオンでは象にかないません。
人食いのオーガは困ってしまい、ぴたりと動きを止めました』
『オーガを気にするふうもなく、ネコは安心しきっています。
「小さなものに化けられたなら怖かった。
この袋に入る生き物よりも小さなものには、カラバ公爵様は化けられないから」』
『「勝ったぞ! オレはもっと小さく化けられる」
人食いのオーガは喜びいさんでハツカネズミに化けました。
「はい、ご苦労さん」』
『ハツカネズミを頭から食べ、ネコは長靴カポカポいわせ、
いま来た道を戻ります』
『「人食いのオーガはカラバ公爵様がやっつけた。
お城にいって確かめてこい。
確かめてきたら明日のお昼に、お祝いの[宴'うたげ]を開くのだ」』
『来た道々で、会う人会う人にそういいつけて、
ネコはようやく、末っ子のもとに戻ります』
『「ここから西にいったところに橋があります。
明日のお昼に、その橋を、王様の馬車がわたります」』
『「王様の馬車のひづめの音が聞こえたら、
失礼することがないように、橋の下で、川の水で、体を洗ってくれませんか?」』
『「どうしてだい?」
「カラバ公爵になりたかったら、そうしてください。
パン屋の手伝いの方がよければ、しなくていいです」
「カラバ公爵になってみたいから、ネコに言われたとおりにするよ」』
『次の日です。朝からネコはお城に行きます。
王様の馬車の先頭にたって、案内します』
『知らない土地に来た王様は、
「このあたりは誰の領地か」と訪ねます。
会う人会う人「カラバ公爵様のご領地です」と答えます』
『「なるほどカラバ公爵殿は、
これほどのご領地をもっておるのか」』」
『感心しきりの王様を、ネコは橋まで案内します。
ついた途端に、しっぽをぴいんと逆立てます。
「なにかおかしい。私が様子を見てきます」』
『橋の下、川では約束したとおり、末っ子が水浴びをしています。
ネコは早口で訪ねます』
『「ご主人ご主人、
服を失くして領地を得るのと、
服はそのまま領地もなしと、いったいどちらがいいですか?」』
『「服は失くしても領地が欲しい」
「それならあと少しの我慢です」』
『そういうなり、ネコは末っ子の服を川に沈めてしまいます。
驚いた末っ子が声をあげると、ネコも大声で叫びます』
『「大変だ! カラバ公爵様が族に襲われてしまったようだ!
服も馬車も、なにもかも持っていかれてしまったぞ!!』
『声を聞きつけた王様は、おつきのものに命令し、
上等の服と気付けの酒とを届けさせました』
『驚く末っ子に、ネコはこっそりささやきかけます。
「おめでとうございます。
これでご主人は、カラバ公爵になれました」』
『ネコの言うままに服をきて、馬車に乗り込み、
人食いのオーガのものだった、カラバ公爵のお城につけば、
大歓迎の宴です』
『大喜びの王様を、王様のお城に送り届けて、
カラバ公爵になった末っ子は、自分のお城に戻ります』
『「やれやれ、これで当分は飢え死にせずにすみそうですね」
「ネコのおかげだ、ありがとう」
カラバ公爵になった末っ子は、ネコを撫で撫で、聞きました』
『「僕はお前の主人になって、カラバ公爵になった。
父さんもお前の主人だったのに、どうして公爵にならなかったの?」』
『「とても簡単なことです、ご主人」
前足を舐め、顔を洗って、ネコはのんびり、答えます』
『「前のご主人は、私に長靴をくれなかったんです」』
「――おしまい!」
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