2020沢井えみお誕生日記念SS「えみのおいわいてりんぐ ~1」(進行豹
2020年5月5日 沢井えみお誕生日記念SS
『えみのおいわいてりんぐ ~1~』 進行豹
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「♪ やねよ~り~ た~か~い こいのぉぼぉり~ おおき~いまごい~は おとうさん~
ちいさ~い ひごい~は こどもぉたぁち~ おもぃしろ~ そ~に およい~で~る~
んゆ! うたえたのー!!!!」
「うん。えみちゃんとっても上手やのし。
ひよ先生、花丸あげちゃうぞね」
「わーい! はなまるもらったのー!!!」
「それとな? もひとつ。
えみちゃん、今日お誕生日やろ?」
「うん!」
「やけん、ひよ先生からお誕生日カードのプレゼント。
えみちゃん、お誕生日おめでとさん」
「わーい! かわいい! すずめさんのえのかーど!!!
うたれちゃんにもみせたげ――あ……きょううたれちゃんおやすみなんだったー
つまんないのー……んゆ??」
「あ、気づかはったねー」
「んゆ~。かーどのうらに じがかいてあるの。『え』!」
「そ。あんな? 今日はえみちゃんのお誕生日のお楽しみに、あるひと……
あるあやかしが、オリエンテーリングを準備してくれてはるんよ」
「おり――おい――てー――んゆ?」
「『おりえんてえりんぐ』」
「おり――おい――『おいわいてりんぐ!』」
「まぁまぁそれでかまへんのし。
で、そのおいわいてりんぐの地図が、これ」
「ん……あ! えみわかる! ものべのべののちず!!
ここがおおとちで、こっちがえみのおうち!!!
それでね、あのね、げんじいのおうちはここなの! はしっこ!!」
「地図よめるんなら、話はやいなぁ。
そん地図にな? シールがはってあるやろお」
「えみわかった! こういうのしたことある!!!
ひよせんせい! ありがと!!! えみ、ぜんぶあつめてくる!!
またあしたね! ばいばーい!!!」
*
「しーるのばしょ、しーるのばしょ……
あ! えみ! ここしってる! おせんたくやさーん!!」
「あら、えみちゃんいらっしゃい。
今日は、何を汚しちゃったの?」
「おこんさん! こんにちわー!
あのね! えみね! 今日はなんにもよごしてなくて、
おり――おい――あ! 『おいわいてりんぐ』なの」
「おいわい……ああ、オリエンテーリング。
はいはい、あのちっちゃいのに頼まれた」
「んゆ」
「ああ、なんでもないの。うふふっ、えみちゃん、お誕生日おめでとう。
早く素敵なお姉さんになって、初めてのデート服とかお洗濯させてね。
はい、カード」
「わ! おせんたくやさんのめんばずかーど! かあたんももってるやつ!!
これ、えみの? えみのめんばずかーど??」
「ええ。えみちゃん専用の。『洗濯屋・お紺』の最年少のメンバーズカード」
「わ! すごーい! えみ、たからものにする!!!
うたれちゃ――は、いないんだっけ。
えと、あ、そだ、うらをみて~ 『み』!!!」
*
「しーるのばしょ、しーるのばしょ……
んゆ? あれれ? ものべのがわのかわらにでちゃった。
えみ、ちずのみかた まちあがえた?」
「まちがえてないっしょ。ここはパロポロの秘密基地の場所だもの」
「あ! えと、パロポロちゃんは~――ぢめんのほうをみて~――
いた!!! こんにちわー! あのね、えみね」
「あははっ! お誕生日おめでとう!!!
お祝いに、また今度ポンポンアイヌしてあげるさ」
「わーい! あれたのしー! すっごくうれしい!!
こんどっていつ? あした? あさって???」
「今度は今度さ。っと――カード渡すんだよね。
オッカイに頼んでつくってあるのがそこの木の枝にささってるしょ」
「きのえだ? んゆ……あ、あった!!!
かっこいい! きのかーどだ!!」
「コタンコロカムイに持ってきてもらった、レタッタッニ――シラカバの樹皮のカードさ。
パロポロたちコロポックルは船を使うのにつかうくらい脂分の多い皮だから、
いざというときは焚付けにもつかえるっしょ」
「えへへー! えみ、たからものにする!!
あいがと――って! そだそだ、カードのうらは~ ――『ち!!』」
*
「しーるのばしょ、しーるの――わ!!?
ここ! やったぁ! ゆきさんのあいすくりーむやさんだー!!」
「けんけんけんけんうるさいけん! 人の店の前で騒ぐのは――
って――ああ、あかしゃぐまの家の、えみちゃん」
「うん! えみはえみだよ! こんにちわ、いんがめおねーさん。
ものべのにはもうなれた?」
「あははー、いんがめは招かれてきたわけじゃなかけんね。
なかなか厳したとこはあるとよ?
ばってん、ゆきちゃんのお店で働けることになったけん――って!
いけんいけん! 頼まれごとしとったっけ」
「んゆ?」
「はい、えみちゃん。お誕生日おめでとう!
いんがめはまだ貧しかけんね。カードも手作りでわるかけど」
「わ!!! かっこいい!!! おおかみのあしあとがぺったんしてある!!」
「おおかみやのーて、いんがめについとる狗のやけんど。
ほら、手、こぎゃんすればわんこの手になるけん」
「わ、わ、わ! すごいすごい!!」
「って、こんなところで油売っとってよかと?
聞いた話だと、結構たくさんまわらなくっちゃいけんのでしょお」
「そだった! えと、かあどのうらは~ 『ゃ』!」
「ゆきちゃんもカード準備しとるけん。
お店んなかにもはいってはいって」
*
「ゆきおねーさん、こんにちわー!!!」
「うふふっ、えみちゃん。お誕生日おめでとお。
はい、カード」
「わ! アイスクリームやさんのけん!!!
んゆ? ゆきおねーさん、これ、ぺったんぜんぶおしてあるよ?」
「あらまぁ、えみちゃんおおあたり!
スタンプ全部あつまっとるけん、お好きなアイスをひとつプレゼント」
「わーい! えみね、おすきなあいすね、ゆずあいす!!!」
「はぁい――ん……しょ……っと――どうぞ! 柚子アイス」
「えへへー! いただきまーす! あむっ! ……
んふ~! あまぁい! ゆずのにおいがおはなのなかがぷ~んてする~!!」
「うふふっ、そぎゃんよろこんでもらえると、うちも作りがいが……
って、えみちゃん。カード、ちゃあんともってかえらないけんよ?
だって」
「あ! そーだった! えと、んと――カードのうらは~…… 『ん』!!」
*
「ちずのばしょ、ちずのばしょ――んゆ~ こんどのばしょはとおい――うひゃ!!?」
「こっただわらすこが、サキの山ん中はいっくっとはええ度胸だ。
なーんてな。よーきたべな、えみ」
「わーーーい! サキちゃん!!! えみね! おすもうね!!
とこたんにたくさん けーこつけてもらって つよくなったの!!!」
「お? おもしれーこというだな。したらいっちょ揉んでやっから、来!」
「はっけよーい! のこった! どーん!!」
「ほいっ」
(ころーーーん)
「あれえ!? またまけたーーーー!!!」
「まんずは、百年ほど早ぇだな。もちっと肉つけて出直して――
っと、えみ、今日お誕生日だってな。おめでとさん。
サキもバースデーカードやらいうの、用意さしとったど。ほれ」
「わーい! サキちゃんありがと――わああああ!
てつのかーど! ピカピカ! つよそう! かっこいい!!!」
「ケガしねぇよに、角っこさ丸めてあっげど、手に持って歩ぐと危ねがら、
お財布かなんかにしまっとけ、な」
「うん! しまう!! えみ、たからものにする!!!
あ! そのまえに――カードのうらがわは~~ ――『へ』!!」
;つづく