投稿記事

宝生稀咲の記事 (11)

whisp 2021/07/01 22:10

2021稀咲お誕生日記念SS「今年のピザはホームメイドで」(進行豹

「ピザを、焼く?」

なんとも不思議そうな声。
ああ、いや──そうか。

「稀咲。ピザというのはピザ窯などの特殊な設備を用意せずとも──
例えば、オーブンレンジなどでも焼くことが可能なそうなのだ」

「いや、双鉄。さすがにそのくらいはボクでも把握しているよ?
ボクが疑問を覚えたのは、だ」

稀咲の指が僕へ向く。
そうして、稀咲自身へ向けられ、くるくると動き、やがて天井に向けられる。

「『誰が?』というその一点なのだけれども」

「無論、僕が焼く。稀咲へのバースデープレゼントのひとつとして」

「双鉄が!?」

うむ?
ハートマークはありえんだろうが、
『双鉄が♪』くらいの反応はあるかと予想していたのだが──

「うーん、双鉄がか。嬉しいよ。すごく。気持ちは。
だけど……その──
専門の職人がいるくらいだし?
ピザを焼くのは、素人にはなかなか難しいんじゃないのかな」

「それはもちろんそうだろう。
ゆえ、協力な助っ人を用意してある」

「助っ人! なんだ、それならそれと早くいってよ。
で、その助っ人さんは」

「こちらだ」

「え? あ──ああ、なるほど。
確かに『用意』だね。買ったの?」

「うむ。凪からな。
ピザ生地を作れるとの売り込みで、実にお安く中古品を譲ってくれた」

「中古品……っていっても、年式、去年のものじゃないか。
と、いうことは──」

ニヤリに苦笑がまじったような、愛情を感じさせる笑み。

「『これで毎日焼き立ってパン食べるばい』からの
『もう飽きたばい!』のコンボあたりなのかな」

「すごいな。ふかみが補足説明してくれたとおりだ」

「ふぅん。まぁお得な買い物ならなによりだけど──
実際、どこまでやれるの? そのホームベーカリー」

「うむ。もう少しで──」

(ピピッ! ピピピッツ!)

「わ!?」

「ちょうど生地ができたところらしい。どれ」

「ぁ──へぇ──ふぅぅぅん。
むっちりもちもち、なかなかよさそうな生地じゃないか」

「いや、まだ生地としては未完成だ。
説明書によると、これを二等分して、軽くガス抜き──
つまりは潰してから丸めて」

「面白そう。ボクやっていい?」

「無論だ。ならば僕は説明書を読む係にまわるとしよう」

……生地を休ませている間にオーブンレンジを予熱する。

休んだ生地を綿棒を使い丸く伸ばして、その上に──

「ピザソースぬって~ チーズ敷き詰めて~ サラミと~ベーコンと~ウィンナーと~」

「肉ばかりではないか。もう少しこう、バランスを」

「あいかわらずお母さんみたいなことをいうねぇ、双鉄は。でもまぁ、あんまり単調になってもだし、ね」

稀咲が冷蔵庫をあけ、中を漁る。

「ああ、しらすはよさそうだね、散りばめて──
あとはピーマンとミニトマトでいいかな」

「ほほう、なかなかに旨そうだ」

「ピザ焼くってあらかじめ聞いてたら大葉も用意したんだけど。
ミニトマトはミニトマトで多分合う」

「すごい自信だな」

「まぁね。食べてる数が違うから」

稀咲とぐだぐだ話していれば、15分などは一瞬だ。

(チンっ!)

「焼けたっ──どれどれ──
おおおお! いい匂い、おいしそう!
それに見た目も──」

「これは……予想を遥かに上回る出来だな」

「生地は──ふふっ! さくっと切れるのにふっくらもちもち。
ハンドトスよりもーちょっとパンピザよりかな。
こういうのもボクは好きだよ」

「ならなによりだ」

「とはいえ、時間、ちょっと使いすぎちゃったかな。
次のミーティングまでに、大急ぎで資料をまとめないとだ」

「ああ」

稀咲が喜んでくれたとはいえ、結果的には仕事を邪魔してしまったか。

「まぁ、ピザだ。
いつもどおりに、仕事がてらにつまんでしまえば」

「もちろん、仕事がてらにつまむつもりなんだけどね、双鉄」

「うむ?」

稀咲の声が甘くなる。
その頬が、ほんの一瞬僕の胸板に擦り付けられる。

「せっかくこんなに綺麗に焼けた、ふたりで作ったはじめてのピザなんだよ?
二つ折りに畳んじゃったら、もったいなくない?」

「確かにだ」

ゆえ、うやうやしくピザの1切れを捧げ持つ。

「稀咲。お誕生日おめでとう。──あーん」

「ふふっ、ありがとう。あーん」

(はむっ!!!!)

そうして稀咲の白皙が、幸せのバラ色に染め替えられる。

「んふふっ! おいひっ♪」


;おしまい

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

whisp 2020/11/27 22:39

【R18台本公開】『まいてつLR ポーレット&稀咲バイノーラル「金と白金と6と9」』(進行豹

『まいてつ Last Run!!』
https://lose.jp/maitetsu/

数多ある店舗様専売特典
https://lose.jp/maitetsu/maitetsu_shopgoods/

その全てを網羅いただくことはなかなかに困難!

ということで、現在『ASMRボイスドラマの台本だけでも、順次「会員登録だけでどなたにもご覧いただけるコンテンツ」として順次紹介していこう!』というキャンペーン(?)を開催しております。


このキャンペーンも残すところ多分、あと三作でございますね!

そのうちR18台本は一つだけですので、ここでご紹介まいりましょう!!!

と、いうわけで本日ご紹介いたしますのは、ポーレット&稀咲ののバイノーラル/ASMRボイスドラマ!
『金と白金と6と9』の収録台本でございます!

読みは「ゴールドプラチナシックスナイン」
内容もまぁ、タイトル通りでございます!!!



なおこちらはアニメイト様で

< まいてつ Last Run!! アニメイト限定セット>
https://www.animate-onlineshop.jp/pn//pd/1754461/?nrdp=1&man_view=1&adult_view=1


在庫残りわずか! だそうでございます!!!


本編セットのみとのことでございますが、
台本お読みいただき! ポーレット&稀咲の声で聞きたい!!! と思ってくださった方におかれましては、ぜひぜひご検討くださいましです!!!


では、まいります!!!!!!!!!!!!

フォロワー以上限定無料

「金と白金と6と9」(収録台本&レーベル。レーベルデザイン:佐藤ねこ丸)

無料

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

whisp 2020/07/01 22:19

2020年宝生稀咲誕生祝い書き下ろしSS『右田家のピザ』 (進行豹

2020年宝生稀咲誕生祝い書き下ろしSS『右田家のピザ』 (進行豹


///

*2020年稀咲誕バースデー記念書き下ろしSSは、"ASMRバイノーラルボイスドラマ台本"形式で執筆することにしました。
ぜひぜひ脳内再生してお楽しみいただけますと幸いです!!!

///


;SE 玄関チャイム
;SE ドア開き

;9/前遠
「いらっしゃい──って、双鉄。随分凄い荷物だね。ふふっ、これ、もしかして全部ボクへのバースデープレゼントだったりするのかな」

「(呼吸音)(呼吸音)──!!? え? ほんとにそうなの? それほどかさばるプレゼントだとか──あ、じゃないや。とにかくあがって?」

;SE ドア閉

;F.I. 環境音。高級な室内(天井ファン、アクアリウム)

;足音(廊下→カーペット)
;SE ソファ座る(二人並んで)

;3/右
「いらっしゃい。そして、ボクのバースデーパーティーへようこそ! って、いっても──ふふっ」

;3/右(接近囁き) “ああ”で→;3/右
「今年は双鉄──キミとふたりの、ふたりっきりのバースデーパーティだけれども。
ああ!」

「わかった気がする。もしかしてケーキなのかな? その大荷物。
ボクの方でも取り寄せをしてあるんだけど……でも、ヴィスパパンのアントルメ グラッセ──アイスケーキだから、よっぽど気があわない限りは被るとかはないよね……(呼吸音)
あ、違うんだ──ケーキじゃない」

;SE ガサゴソ→取り出してテーブルに置くをセリフ合わせで

「それじゃあ一体……(呼吸音)(呼吸音)──ん? なにその袋──強力粉? っと──(呼吸音)──また小麦粉──薄力粉──
それに……(呼吸音)──赤い……これは? ん……(呼吸音)──『ドライイースト』……」

「ドライイーストって、アレだよね。パンを焼くときとかにつかう……(呼吸音)(呼吸音)──え? あ、うん。
オリーブオイルとピザソースは常備してるよ、もちろん。ピザトーストくらいはボクでも焼くし……って、まだ荷物あるんだ」

「(呼吸音)(呼吸音)──チーズ、わ、これ、モッツアレラ──しかも水牛のモッツアレラじゃないか。それに──パプリカ──
ドライトマト──それに、おナスも……って、あ──わかったかも。もしかして、キミ──」

「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)──ああ! やっぱり!!!!
うん、楽しそう! やってみたい!!!
コンベクションオーブン、ボクはトースト焼くだけだけど、確か、機能的にはピザも焼けるヤツだったはずだし。
ちょっとまってて!」

;SE 足音小走り ;3/右→;11/右遠→;10/右前遠

;11/右遠 うつむいて
「えっと──(呼吸音)(呼吸音)──あ、あった! やっぱり!
ピザストーン! いや、まさかボクがこれを使う時がくるだなんて!!! それに──」

;SE はずんだ足音 ;10/右前遠→;9/前遠→;16/左前遠
;SE 冷蔵庫あける

;16/左前遠
「赤ワインに、おつまみ用に買ってたサラミに、ボローニャソーセージに、牛タンの真空パック──
ん……牛タンとチーズって合うかな? 合うよね、っと、缶詰もいろいろあったっけ──(呼吸音)(呼吸音)──
ああ、うん。アンチョビに、焼き鳥缶のタレと塩──そうだそうだ、いただきもののキャビアもあるよね。
うん。よし! じゃあ、決まり!!」

「双鉄! 来て来て! キッチン、結構いろいろある! ピザの具になりそうなもの!
……バジルだけないのが残念だけど──(呼吸音)(呼吸音)──え!? 持ってきてるの!
うっわ、天才! 今日の双鉄、すっごい気がきく……って」

;双鉄が近づいてくるのを待つ呼吸 ;16/左前遠→;8/左前→;7/左
「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」

「もしかして、日々姫か誰かの入れ知恵なのかな。
そうだとしても、もちろん嬉しい──
(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)──ああ」


「(幸せいっぱいの微笑)……そう、なんだ。
双鉄がボクに、手作りピザをプレゼントしたいって思ってくれて……
それで、真闇さんの特訓を」


「って、待って双鉄。真闇さんってピザ──ああいや、つくるか、あの人なら。
ピザでもケーキでもパンでも、なんでも」

「特訓をつけた以上真闇さんは双鉄に絶対失敗させたくない。
それで準備が完璧なんだね。納得した。
それに──あー、ちょっとだけ。だけど、ね?」

;7/左 (接近囁き)
「安心もした。だってボク──ふふっ、日々姫から聞かされてるからさ」

;7/左
「『兄さんあれほど完璧なのに。お料理だけは──なんでかしらないけどレシピまもらないんですよ!
すごく微妙な工夫しちゃって、レシピ通りなら絶対おいしいはずなもの、
台無し……まではいかないんですけど、びみょ~に残念な感じのものにしあげちゃうんです』って」

「けど。真闇さんの特訓だったら、教わったとおりに絶対つくってくれるはずだし。
それなら絶対おいしいだろうし! とっても楽しみ! どんなピザが焼き上がるのか……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)──わ!」

「すごいね。ボクの希望にあわせるために、両方特訓してくれてたんだ。
ありがと、双鉄。
なら、もっちもっちのパンピザにしてもらえるかな?
クリスピーも悪くないけど、パンピザの方がごちそう感が出るじゃない」

「(呼吸音)──ふふっ、うん。
それじゃあお手並み拝見だ。まずは──(呼吸音)(呼吸音)──ああ、調理器具まで……
それりゃあ あの大荷物になるよね。ほんと、ありがと。おつかれさま」

「で? ──(呼吸音)(呼吸音)──あ、お湯を沸かすくらいはボクでもできるよ。
ちょっとまってて──」

;1/前 (マイクに背中)
;SE 蛇口ひねって水出す→銅ポットにいれる→水とめ→コンロにかけて着火
「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)──っと──ん? (呼吸音)(呼吸音)──
ああ、沸騰させなくていいんだね。わかった。じゃ、ぬるま湯になったら火、とめる」

;1/前(マイク向き)
「その間に……(呼吸音)(呼吸音)──わ、それ──粉ふるいってヤツだよね。
強力粉と薄力粉を──(呼吸音)(呼吸音)──なるほど」

;SE 粉ふるい
「粉ふるいの中でまぜあわせちゃって、それをボウルにふるっていくのか。
それなら確かに、むらなくまじりそうだよね──とと」

;SE コンロ止め
「双鉄。ぬるま湯できたけど──(呼吸音)(呼吸音)──うん。
わかった。そのくらいならボクがやってみる。タイミングだけ教えてくれれば」

;SE 粉いれ
「それまでは見てる……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)──
ふるい終わったボウルの小麦粉に、端っこに塩……
ふーん、ドライイーストは、塩とは反対側の端っこにいれるんだ……で──」

;SE まぜあわせ
「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)──いい手付きだね。楽しそう。
ざっくりって感じに軽く混ぜて──
わ!? 今? あ、うん、わかった。ボクの手番だね」

「まず、大きなスプーンに一杯のサラダ油を……(呼吸音)(呼吸音)──と、って──。
これ、そのままいれちゃっていいんだね? 位置指定とかは──(呼吸音)──ないならいいや、
真ん中にいれる。──えいっ」

;SE お湯をマグに、慎重に
「で……ぬるま湯を、マグカップに半分──(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)──なるほど。
マグカップは300CC入るから、半分だと150CCになるわけか」

;SE 湯をボウルに注ぐ

;1/前 “わ!?”で →;7/左
「これも、真ん中に──だばぁ──(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)──出来たけど──って、わ!? わ!」


;SE 手でボウルの中捏ね
;7/左
「うわ、手で捏ねちゃって、くっついたりとか ──(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)──
ふんふん、はじめのうちだけはくっつくけど? ──(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)──わ!
ほんとだ、なんかどんどん固まってきた」

「すごい……結構手付きいいね──(呼吸音)(呼吸音)
特訓──これ──(呼吸音)(呼吸音)
相当時間、かけてるよね──(呼吸音)(呼吸音)
うれしい、すごく──ボクのため、ここまで──(呼吸音)──って、ひゃっ!?」

;SE 生地をまな板にうちつける バシン!
「生地、まな板に投げつけて──ひゃう!?」

;生地叩きつけ(繰り返し)
「そんなに──ばんばん──たたきつけて──(呼吸音)(呼吸音)──
ああ──(呼吸音)(呼吸音)──そうして、のばして──(呼吸音)(呼吸音)」

;生地まとめ
「伸びたところをまるめなおして──っ!」

;SE 生地叩きつけ
「またたたきつけて──(呼吸音)(呼吸音)──
それって、いったいどういう効果が……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)」

「なるほど、グルテン──叩いて伸ばしていくうちに、グルテンがどんどんつながりあって──
それでピザ生地に粘りとコシが生まれる……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)──えっ!?」

「ボク!? ボクがやるの? それ──
けど……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)──ああ、いや」

「……やってみたい。失敗しても平気っていうなら──
ボクも、自分でピザ、つくってみたい」

「(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)──あ、ほんとだ。生地、もっちりしてるけどベタつきとかない。
これを──うん。憎たらしいヤツの顔面に叩きつけるつもりで──わかった」

;SE バチン!!!
「『っ!!!!!!!!!!!!!』」

「うっわ! これ、結構きもちいいね!
え? ……ああいやいや、特に誰のこともイメージだなんてしてないよ?
財務局の金融検査官の顔なんて、ボクがイメージするわけもないじゃないか」

;SE バチン繰り返し(継続)
「ふふっ、けど! (呼吸音)(呼吸音)
これ、楽しい──(呼吸音)(呼吸音)し、
爽快! だよね──(呼吸音)(呼吸音)
かなり、実際──(呼吸音)(呼吸音)」

「ストレス、解消──(呼吸音)(呼吸音)
手作りピザ、セミナー、だとか──(呼吸音)(呼吸音)
ワンチャン、ふふふ──(呼吸音)(呼吸音)
ビジネス、チャンスに──(呼吸音)(呼吸音)」

;SE stop
;7/左 ”あ”で→;7/左(密着)
「っと……ああ、うん。このくらい叩いたら、まとめてまるめなおしてあげる。
ええと、いったいどういう感じに……(呼吸音)──あ」

;7/左(密着)
「ありがと……ふふふっ。これ、いいね。
手、重ねあってピザ生地こねこねするのとか、さ──」

;7/左(密着囁き) ”ふふっ!”で →;7/左
「恋人同士のバースデーだよね。あったかですごく幸せで。
ほんのちょっぴりだけはエッチで──ふふっ!」

「で? 次は……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)──
ああ、なんだ、もう生地の準備はいいのか。残念」

「この生地は──ふんふん、発酵させるんだ。
あ、ってか、そうか。発酵だとかそういうの、焼酎づくりの工程にもあるもんね。なるほど」

「あんがい真闇さんのピザづくりのスタートって、その辺の研究にあったのかもって、いまちょっと。
もしもそうなら──(呼吸音)(呼吸音)──うーん、ボクももうちょっと視野を広げて、
金融の現場意外から金融に関する学びを見つけるとかもありなのかもしれないね──って」

「ごめん、つい自分の考えにふけっちゃって。
発酵待ちの間に──なるほど! 具材を洗ったり切ったりして、並べ方も考えておけばいいのか」

「その辺は日々姫の得意そうな──(呼吸音)(呼吸音)──ああ、やっぱり。
そうなんだね、右田家では分業でピザをつくるんだ。
生地作りは真闇さん、トッピングは日々姫って」

;7/左 “あ”で ;7/左→;1/前 (双鉄が正面にまわりこんで、顎クイ)
「いいなぁ、すごく美味しそうで綺麗そう、右田家のピザ。
ボクも一回食べてみたい……(呼吸音)(呼吸音)(呼吸音)──あ」

「…………だね。このピザだって、『右田家のピザ』になるんだ。
もうすぐ──あと三ヶ月もしないうちに……(呼吸音)」

「ん……(静かで長めのキス音)…………ふ、ぁ──」

「……もう、ダメじゃないか双鉄。こんなに甘いデザート、ピザの前に食べさせるだなんて」


;1/前 “っていうかさ”で→;7/左
「っていうかさ、双鉄。ピザ、これから週一……か、それが無理でも、二週間に一回くらいは、一緒にやかない?
双鉄とボクの、『ニュー右田家ピザ』。真闇さんと日々姫にふるまって、ボク、びっくりさせてみたいんだ」

;7/左 (短い呼吸)で →;7/左 (密着)
「(呼吸音)(呼吸音)──オッケー? あはは! それじゃあ約束!
『ゆーびきーりげーんまん、うーそついたら (短い呼吸)』」

;7/左 密着。囁き
「嘘をつくなら、騙されてあげる。
ボクがキミを嫌ってしまう──その間なら、何度でも」

;7/左
「ふふっ! 約束をまもってくれるなら嬉しいよ。
って、いけない! ぼやぼやしてたら、具材の準備をする前に発酵が終わっちゃうね。っと──」


;SE 冷蔵庫から具材をどさどさ、まな板の上に乗せる
「ね、双鉄。せっかくだから乗せたいもの、ひとつずつ順番に選んでいかない?
あんまりごちゃついてもおいしくないから……そうだな、三品目ずつ、合計6種の具材になるまで、順番に交代交代で」

「オッケー? それじゃ、どっちが先に選ぶか決めよう。
いくよー、じゃんけん!
『最初はグー! じゃんけんぽん!!』」


;おしまい

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

whisp 2020/06/02 21:31

まいてつ:稀咲読み聞かせ『きつねのみそしる』+キャンペーン&クーポン活用情報!(進行豹

こんばんわです! 進行豹でございます!!!

あやかし郷愁譚の購入特典で
https://www.dlsite.com/maniax/promo/ayakashinostalgia

『まいてつ読み聞かせボイスドラマ』 全7話

が、18作品コンプリート特典としてついてくることになりました!!!

内訳は以下の通りです!

・日々姫 「長靴をはいたネコ」
・ポーレット 「犬が言葉をなくしたおはなし」
・れいな 「炭鉱の白犬」
・ふかみ 「うさぎのもちつき」
・凪 「清柾公(せいしょこ)さんの虎退治」
・真闇 「ネコ岳の猫」
・稀咲 「きつねのみそしる」



でもって本日!


『あやかし郷愁譚 ~いんがめ ほゆる~』がリリースされ!

ほゆるちゃんには! 『whisp作品80%オフまとめがいクーポン』が付随してくるため!!

いかの恐るべきコンボで、上記「18作品コンプリート特典」が、驚くべき安価でゲットできることとなりましたのです!


その手順です!!!


/////////////

【初手】

『あやかし郷愁譚 ~いんがめ ほゆる~』
https://www.dlsite.com/home/work/=/product_id/RJ282631.html

を購入する。

なにか値引きクーポンとかもってたら、それを適用すると更にお得



【2手目】
80%オフクーポンが配給されてるのを確認してから

『10本まとめ買い4400円セール』の中から、

A:あやかし郷愁譚作品を17本以上
https://www.dlsite.com/maniax/campaign/matome202005?keyword=あやかし郷愁譚&group1[0]=music

と、
キャンペーン全対象作品
https://www.dlsite.com/maniax/campaign/matome202005?group1[0]=music

からその他お好きなのを、『「A」とあわせて20本』になるようにカートにいれる


【3手目】
購入時に80%オフクーポンを適用する。
すると、(4400円+4400円)* (1-0.8)=『1760円』 で、上記18特典をすべてゲットできてしまう


/////////////


のでございます!!!!

「まいてつ」も! 「ものべの」も!!! サントラも大増量ディスクもボイスドラマ群も画集も! です!!!!

おそらくここまで空前絶後な規模のキャンペーン+割引コンボはなかなかないのではないかと思いますので!

「これからあやかし郷愁譚聞き始めるよ!」という方だけでなく
「『まいてつ』『ものべの』やってみたい! という方におかれましても、ぜひぜひご活用ご検討いただけましたら幸いです!!


と、いうことで台本紹介!

本日は「まいてつ」けもみみランジェリー安眠読み聞かせボイスドラマシリーズ全7作品の大トリ!

稀咲先輩の 『きつねのみそしる』でございます!!!

稀咲先輩の読み聞かせの話であると同時に、稀咲先輩生涯(いまのとこ)たったいちどだけの「読み聞かせしてもらったときの思い出話」でもございます!

ぜひ!



///////////////
;稀咲、きつねランジェリー特典ボイスドラマ
;『稀咲読み聞かせ「きつねのみそしる」』
;進行豹 v100_2016/12/21_v110_161222


;以下、セリフは全て稀咲
;タイトルコール

「宝生稀咲、きつねランジェリー抱きまくら特典ボイスドラマ
『稀咲の読み聞かせ『きつねのみそしる』」


;本編


「……ふぅ。疲れた。
キミも、一日お疲れ様だね」

「約束のもの、持ってきたよ?
急に読み聞かせなんてねだられるから、
少し、苦労をさせられた」

「ああ――ボクは、あまり経験がないんだ。
その、『読み聞かせをしてもらう』ということのね」

「だけど、たった一度だけ。
父に読み聞かせてもらったことがあって――」

「あるいは、覚えていないくらい昔に。
それこそ、赤ちゃんだったときとか。
もっとたくさん、読み聞かせてもらってたのかもしれないけれど」

「だけど、ボクが今記憶してるのは、
たった一度の読み聞かせだけ」

「それも、ふふっ――
まぁ、父らしいお話でね。
だから、覚えているのかもしれないけど」

「ボクも一緒に横になる。
そうしながら、キミに、読み聞かせてあげたい」

「だって、さ……甘えたいんだよね?
読み聞かせなんて、急にねだってくるってことは」

「いいよ、甘えて。ボクにだけは。
ボクだけが知ってるっていうのもね、
フフっ、なかなかに優越感なんだ」

「キミがほんとは、
こんなに甘えっこだってこと」

「だから、優しく読んであげる。
といっても――さっきもいったけれど、
読み聞かせてもらった経験自体、あまりないんだ」

「正直、上手にできるとは思えない。
でも君のため。
愛情をたっぷりこめて、大切に読む」

「君とボクとの赤ちゃんが産まれてきたときの――
ふふっ、予行演習にもちょうどいいしね」

「それじゃあ、読もうか。
目を閉じて? ボクの声に――甘えて、聞いて?」

「『きつねのみそしる』」



;以下読み聞かせ

『ある山奥に、きつねとたぬきが住んでおりました』

『きつねとたぬきは 友達でした。
きつねはこまめでめんどうみが良く、
たぬきはずぼらでめんどうくさがりでした』

『きつねには得意がありました。
けものとでも鳥とでも虫とでも、だれとでもなかよくできるのです』

『たぬきには得意がありました。
山のものでも、川のものでも、地面の下にあるものでも、
おいしいものをたくさん知ってて、もっとおいしくお料理できるのです』

『ある日のことです。
きつねのおうちにたぬきが遊びにやってきました』

『「お誕生日おめでとう」
会うなり、たぬきはいいました。
「お誕生日のお祝いに、ひとつおくり物をしたいのだけど、
なにがいいかな」』

『きつねはよろこんで答えます。
「どうもありがとう たぬきさん、
たぬきさんちのおいしいものを、どうかごちそうしてくださいな」』

『たぬきはしょんぼり、おなかをかきかき答えます
「ごちそうしたいのはやまやまだけど、
いまは食べ物を切らしてる。
干したコンブしか残ってないんだ」』

『キツネはえっちら、いい匂いのするカメを持ってきます。
「それならここに味噌があるから、味噌汁作ってくださいな。
みんながおいわいにきてくれるから、たあんとできたらうれしいな」』

『「味噌汁でいいならよろこんで。
きみんちでいちばん大きななべて、たあんとこしらえてあげるから」
たぬきは急いでいえにかえって、干したこんぶを持ってきます』

『大きなお鍋にいっぱいいっぱいのみずをはり、
干したコンブをその中にいれ、火にかけ、ぐつぐつ煮込みます』

『「おいしいおだしがとれたかな。
味噌をときいれ味噌汁つくろ」』

『「味噌とくまえに たぬきさん。ひとつおしえてくださいな。
この中に、おいしいものをいれるなら、なにがいっとうよろしいかしら」』

『「たったひとつならきのこがいいよ。
しめじを いれるとおいしいね」』

『そこヘトカゲがお祝いをしにやってきました。
きつねは、すぐさまトカゲにお願いしてみます。
「まっくら森のリスのところで、
しめじを たあんと たのめるか、ひとつ訪ねてくださいな」』

『「おまかせください、ごあんしん。
きつねさんのお誕生日のお祝いに、ご用をつとめてまいりましょう」』

『トカゲがしゅるしゅる はっていきます。
もどるときには、リスといっしょ。
リスは しめじでいっぱいの かごをせおってまいります』

『「きつねさん、お誕生日おめでとう。
おいわいなにかと悩んでいたが、しめじがほしけりゃあげましょう」』

『きつねはしめじをうけとって、
たぬきにどうぞと渡します。
たぬきはぽおんと、おなかをひとつならします』

『これは上等、よいしめじ。
さっそくおなべにいれようね』

『干したコンブとしめじがはいって、ぐつぐつ、ぐつぐつ。
おなべがだんだん煮立ってきます』

『「おいしいおだしがとれれたかな。
味噌をときいれ味噌汁つくろ」』

『味噌とくまえにたぬきさん、ひとつおしえてくださいな。
この中に、おいしいものをいれるなら、なにがいっとうよいかしら』

『しめじがあるなら ごぼうがいい。
ごぼうをいれるとおいしいね』


『そこヘミミズがお祝いをしにやってきました。
きつねは、すぐさまミミズにお願いしてみます。
「しめった土のもぐらのところで、
ごぼうを たあんと たのめるか、ひとつ訪ねてくださいな』

『「おやすいごよう、ひともぐり。
きつねさんのお誕生日のお祝いに、おつかいをしてまいりましょう」』

『みみずがにょろにょろもぐっていきます。
もどるときには、もぐらといっしょ。
もぐらはごぼうでいっぱいの かごをせおってまいります』

『きつねさん、お誕生日おめでとう。
おいわいなにかと悩んでいたが、ごぼうがほしけりゃあげましょう』

『きつねはごぼうをうけとって、
たぬきにどうぞと渡します。
たぬきはぽんぽこ、おなかをふたつならします』

『これは上等、よいごぼう。
さっそくおなべにいれようね』

『干したコンブとしめじとごぼうが、ぐつぐつ、ぐつぐつ。
おなべがだんだん煮立ってきます』

『「おいしいおだしがとれたかな。
味噌をときいれ味噌汁つくろ」』

『「味噌とくまえにたぬきさん、ひとつおしえてくださいな。
この中に、おいしいものをいれるなら、なにがいっとうよいかしら」』

『「ごぼうとにんじん なかよしこよし。
にんじんをいれるとおいしいね」』

『そこヘちょうちょがお祝いをしにやってきました。
きつねは、すぐさまちょうちょにお願いしてみます。
「かわいた野原のウサギのところで、
にんじん たあんと たのめるか、ひとつ訪ねてくださいな」』

『「いい風ですし、よろこんで。
きつねさんのお誕生日のお祝いに、ご用事たしかに引き受けましたわ」』

『ちょうちょがひらひらて風にのります。
もどるときには、ウサギといっしょ。
ウサギはニンジンでいっぱいの かごをせおってまいります』

『「きつねさん、お誕生日おめでとう。
おいわいなにかと悩んでいたが、ニンジンほしけりゃあげましょう」』

『きつねはニンジンうけとって、
たぬきにどうぞと渡します。
たぬきはのおなかは、ぽんぽこぽん。
[三度'さんど]、たからかにひびきます』

『これは上等、よいニンジン。
さっそくおなべにいれようね』

『干したコンブとしめじとごぼうとニンジンが、ぐつぐつ、ぐつぐつ。
おなべがだんだん煮立ってきます』

『「おいしいおだしがとれたかな。
味噌をときいれ味噌汁つくろ』

『味噌とくまえにたぬきさん、ひとつおしえてくださいな。
この中に、おいしいものをいれるなら、なにがいっとうよいかしら』

『ニンジンときたら さといもがほしい。
さといもあれば ごちそうだ』

『そこヘスズメがお祝いをしにやってきました。
きつねは、すぐさまズズメにお願いしてみます。
「しずかなお山のイノシシのところで、
さといもたあんと たのめるか、ひとつたずねてくださいな」』

『「おやすいごよう、ひとっとび。
きつねさんのお誕生日のお祝いに、わたしがお願いしてきます」』

『ズスメはちゅんちゅく飛んでいきます。
もどるときには、イノシシといっしょ。
イノシシはさといもでいっぱいの かごをせおってまいります』

『「きつねさん、お誕生日おめでとう。
おいわいなにかと悩んでいたが、さといもほしけりゃあげましょう」』

『きつねはさといもうけとって、
たぬきにどうぞと渡します。
たぬきはのおなかはぽんぽこぽこぽん!
空の上までなりひびきます』

『「これは大きく素敵なさといも。
さっそくおなべにいれようね」』

『干したコンブとしめじとごぼうとニンジンとさといもが、ぐつぐつ、ぐつぐつ。
おなべがだんだん煮立ってきます』

『「おいしいおだしがとれれたかな。
味噌をときいれ味噌汁つくろ」』

『たぬきは火からお鍋をおろし、
お味噌をちろちろ ときいれます』

『そうしても一度お鍋を火にかけ――
あまぁいあまぁいお味噌のにおいが、
きつねさんのおうち いっぱいにひろがります』

『「さぁできた。
きつねさんのお誕生日のお味噌汁!」』

『たぬきの声に、みんなわあっと、
お鍋にかけよりかこみます。
けれどもすぐに、あれれと首をかしげます』

『イノシシが えんりょをせずにいいました。
「おいたぬきどん。これは味噌汁じゃないだろう。
どこをどうみても芋の味噌煮だ」』

『鍋をどれどれと覗き込み、たぬきもびっくりぎょうてんです。
「なんとびっくり、味噌汁つくったら芋煮にバケた!
さすがきつねの味噌汁だ」』

『みんなそうかと感心します。
なるほどきつねの味噌汁ならば、どんな料理にもバケそうです』

『「さぁさぁみなさん、冷めないうちにいただきましょう」
きつねの声に、めいめい、ごはんの準備です』』

『きつねとたぬきとトカゲとリスと、
みみずともぐらとちょうちょとウサギ、
スズメとイノシシ、みんなそろって
「いただきます」
お鍋をわいわい、つつきます』

『そのおいしいこと、たのしいこと。
みんなにこにこ、おなかいっぱいになりました』

『「きつねさん、お誕生日のおいしいうたげに、
おまねきくださりありがとう」
「こちらこそ、おいしいお祝いをありがとう」』

『トカゲとリスが、かえるみちみち話します。
「しめじをもってきただけで、こんなごちそうたべられて、
おおいにもうけた、とくをした」』

『みみずともぐらが、かえるみちみち話します。
「ごぼうをもってきただけで、こんなごちそうたべられて、
おおいにもうけた、とくをした」』

『ちょうちょとウサギが、かえるみちみち話します。
「ニンジンもってきただけで、こんなごちそうたべられて、
おおいにもうけた、とくをした」』

『スズメとイノシシ、かえるみちみち話します。
「さといももってきただけで、こんなごちそうたべられて、
おおいにもうけた、とくをした」』

『みんながそれぞれ帰っていくと、
きつねもたぬきにお礼をいいます』

『「本当にありがとうたぬきさん。
お祝いにきてくれたのに、
はたらかせちゃってすまなかったね」』

『「みそしるつくるくらいなら、はたらいたうちにはいらない。
干したコンブをひとかけで、こんなごちそうたべられて、
おおいにもうけた、とくをした」』

『たぬきもおうちにかえっていきます。
あとかたずけをきちんとすませ、きつねもにっこりわらいます』

『「みんながあんなによろこんだ。おおいにもうけた、とくをした!」』

『「とっぴんぱらりのぷう」』


;読み聞かせここまで


「ふふっ――おしまい、だよ」

「このお話を探し出すのが大変だった。
なにせ、ほら。ビジネス雑誌のバックナンバーだ」

「父に聞いても、すぐには思い出してくれなくてね。
『きつねがタヌキと一緒に、
いろんな動物から食材をもらって、芋の味噌煮を作るお話』
っていってもさ、全然ダメで」

「ダメどころか、
『ウチの娘は頭を強く打ちでもしたのか』って顔で見るんだ。
だからボクも、意地でも思い出させたくなってね」

「一生懸命頭をひねって、
思い出したことをかたっぱしから伝えてみて」

「それで――
『大いにもうけた、得をした』っていったらさ、
とたんに父が! 『ああ、そんな話もあったなぁ』って」

「ははっ、あの人らしいよね。
それで、本人も読みたくなって、
秘書に探させたらしいんだ」

「けどね、秘書さんも忙しい。
なかなか見つけてくれなくて」

「待ちきれなくてさ。
……キミを待たせ続けたくもなかったし。
それで日々姫に、古本の探し方を教わったんだ」

「古本って、買ったことがなかったんだよ。
最新の、業務に関係してくる出版物をチェックするだけでも、
ボクの乏しい読書時間は、すぐにいっぱいになっちゃうから」

「で。日々姫から話がつたわって、他のみんなもそれぞれ、
あれこれ教えてくれて」

「最終的にはポーレットだった。
彼女は、やはり――
こういってはなんだけれども、マニア、なんだね」

「[蛇'じゃ]の道は[蛇’へび]とはあのことだ。
マニア特有のつながり、っていうのかな?
古本屋さんから古本屋さんに話がとおって――」

「最終的には、なんと福嶋の古本屋さんからのお取り寄せだ。
廃刊になった、しかもビジネス雑誌の古本なんて、
まったく需要がなくなるんだなと、つくづく思った」

「そりゃそうだよね、
廃刊になってるビジネス書。
そこに書かれたビジネス成功のコツだとか?
なんの説得力ももたないもの」

「けれど、ボクにはこの一冊は有益だった。
たぶん――どんな成功者の記したビジネス書より」

「だってさ、みんなが探してくれたんだ。
ボクのために――それこそ、『キツネのみそしる』みたいに」

「そう考えたら……
あの人――父が、たった一回の読み聞かせをしてくれた理由も、
なんとなくわかるような気さえしてきた」

「教条的、だよね? このお話は。
たぶん、なにかの童話だか民話だかを下敷きにして、
『大人のためのビジネス童話』に仕立て直しをしたのかな?」

「いろんな教訓、詰め込んであるんだと思うんだ。
例えば、――例えば。
『優秀なリーダーの存在は、
個々の仕事を和ではなく積とすることができる』とか?」

「でなければ、
『うまく働かせるコツは、
仕事の総量を負荷を感じない単位まで切り分けることにある』とか」

「上司が部下に読ませて、したり顔で聞いたりもできそうだよね。
『さて、このお話でもっとも“儲けて得をした”のは誰だと思うかね?』とかさ」

「答えを聞いたら、またどドヤ顔で、
『ほう、そう考えた理由は?』って聞くんだ。
直接の上司にいたら……ちょっと対応が面倒かもしれないけど」

「でもさ、銀行では――どこの会社でもそうなのかな?
結構いるんだ、そういう、例え話で仕事のお説教をしたがるタイプ」

「自分たちを、戦国武将に見てたりとかも多くない?
『部長はノブナガタイプだな』とか」

「それで仕事が楽しくなるならなによりだ。
けど、危ないとも思う。
一度でも型にハメてしまえば、どうしてもその眼鏡で見てしまう」

「ノブナガタイプにふさわしい言動の印象だけが強化されて記憶され、
そうでないものは無視されるようになる――とかね」

「その結果、『本人』をきちんと見なくなる。
タイプだけで判断し、パターンで処理しようとしてしまうようになる」

「危ない、よね。
効率的といえば効率的ではあるのかもしれないけれど――」

「だけど、人はそんなに単純じゃないから。
装いもするし、嘘もつくし――
思いもかけぬ美しさを見せてくれることだって、ある」

「タイプだけをみて、そういうところが見えなくなったら……
っと、と。いけない。
ボクもどうやら例外にもれず、この手の話が大好きみたいだ」

「父もあのころは若かったから――
ひょっとしたなら、ボクを相手にそういう話の……
いわば、実験? したかったのかもしれないね」

「ボクももちろんこどもだったけど……
まぁ、たぶん相当にマセてたし――
父はさ、ボクの頭の良さを、ずいぶんと過大評価してるから。昔から」

「だけど、結局はこどもだし。
夜でねむいし、うとうとしてるところに、あの話だろ?」

「もう、思うのはきつねの味噌汁のことばっかりさ。
『しめじおいしそう、ごぼうおいしそう、にんじんおいしそう、さといもおいそう』って」

「で、ドロンとばけての芋煮だろう?
それは食べたい、こどもだったら、誰だってたべたくなるよ」

「それが、顔に出てたのかな?
父は、なんにも聞かなかった。感想ももとめなかった。
ただ……ああ、そうだ。撫でたんだ」

「とてもめずらしいことだから、
『おっきなおてて』ってびっくりした。
大きな手で、ボクの頭をやさしくなでて、『おやすみ』っていって」

「ふふふっ、そうだ。思い出したよ。
次の日の晩御飯は、里芋の味噌煮――ううん、きつねのみそしるで!
ボクはね、生まれてはじめて、『食べ過ぎておなかが苦しい』っていうのを経験したよ」

「あー、いいね。読み聞かせはいい。
いろんなことを思い出して……少し、こどもに帰れるみたいだ」」

「……ふふっ、今日のキミはあまえっこのあかちゃんだからね。
食べたくなっても、むしろ、当然のことだと思うよ?」

「というか、ボクも。食べたくなるってわかってた。
だから、材料は買ってある。明日は少し早く帰って、一緒に、“きつねのみそしる”を作ろう。
作ってたべよう。おなかいっぱい」

「……しあわせ、だよね。そういうのって」

「たくさんの幸せをを感じさせてくれることを、
“いいおはなし”の基準だと、仮に定めるならさ。
『きつねのみそしる』は、いいお話だ。ボクにとっては、間違いなく」

「キミにとっても、そうだとうれしい。
いつか産まれる――きっと授かる、ボクと、キミの、赤ちゃんにとっても」

「……ふぁ――あ――ちょっと、しゃべりすぎたかな。
それに、読み聞かせにも集中しすぎちゃってたみたいだ」

「目、しょぼしょぼしてまぶたが重いや。
このまま、眠るよ、キミのとなりで」

「おやすみなさい、大好きなひと。
一緒に明日を迎えることを、ボクは誇りに、うれしく思う」

;チュ=リップ音
「ん…………(ちゅっ!))」

「キミのとなりだ。
寝てしまうのがもったいないけど――
こうして一緒に眠れることも、しあわせだから」

「さん、にぃ、いちで、一緒にまぶたを閉じるとしよう。
それじゃあ、いくよ? 『さん、にぃ、いち、それっ!』」

「……ふふ、まっくらだ。
だから、感じる。キミの心音。キミの体温。キミの体臭、息遣い」

「ボクのも、キミに伝わってるよね。
少しでも、キミの眠りをつつめるのなら――うれしいな」

「それじゃあ、今度こそ――言葉も、とじるよ」

「おやすみなさい。大好きなひと」



;終

///////////////



というわけで、読み聞かせ7本! すべて台本ご紹介いたしました!

上記キャンペーン+クーポンコンボをご活用で、できたらぜひぜひ! お耳からも物語! 読み聞かせ! ご堪能いただけましたらうれしいです!!!

次回はTG様の日々姫ASMRの台本紹介して。

そしたらそのつぎはレイルロオド・マニアックス書こうかな? とか思ってます!

ひとつひとつ順番に、ですね!

がんばります! ご期待ください!

それでは!!!

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

whisp 2019/10/17 22:42

記念日動画「10/17 貯蓄の日(稀咲)」台本 (進行豹

こんばんわです! 進行豹でございます!!

10/17は「貯蓄の日」

貯蓄といえば、もちろん稀咲しかいないでしょう!!!!!

ということで、稀咲が貯蓄のコツについてと、
貯蓄の日の由来についてとをクールに可愛く聞かせてくれる記念日動画!


https://twitter.com/maitetsu_ps/status/1184819501444943873?s=20

のシナリオを執筆いたしました!!!

ぜひぜひご確認くださいましです!


台本も以下においときますので、特に外国語話者の方などの
ご翻訳の助けとご活用いただけましたらうれしいです!

よろしくお願いいたします!!

/////////////////


;10/17
【稀咲】
「十月十七日は貯蓄の日。なんでこの日が貯蓄の日なのか?
以外や以外、その由来は、日ノ本の神道(*1)にあるんだ」

【稀咲】
「今年一年で収穫された穀物やお酒を、神様に捧げ奉る――神嘗祭'かんなめさいっていうお祭りが開かれるのが今日で、そこから、貯蓄の日が制定された。
貯蓄、してる? 毎月収入の10%を積み立てていくだけでも、きっと将来の備えになるよ?」



(1)「神道」: Shintoism / https://ja.wikipedia.org/wiki/神道
(
2)「神嘗祭」 : https://ja.wikipedia.org/wiki/神嘗祭

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

« 1 2 3

月別アーカイブ

記事を検索