有坂総一郎 2023/06/14 18:30

防弾チョッキと綿布

防弾チョッキと綿布

先のアンケートで提案があったもので一つ注目しているのが、防弾チョッキである。その中で綿の価格が上がるというイベントについて補足があったのだが・・・・・・。

割とこれ、30年代という時期を考えると日米関係に大きく影響を与える代物なんだわ。

日本は繊維産業を中心に工業化を明治期に推進し、大正、昭和初期においては欧米におけるシェアを相当獲得し、特に大英帝国におけるブロック経済政策に大きく影響を与えている。あまりの低下価格と品質の向上と製品数で欧米資本のそれよりも市場に流通しすぎたせいで貿易摩擦を生み出していたのだ。

なにも、日本が満州や支那へちょっかい出したことだけが大英帝国の機嫌を損ねたわけではないのだ。80-90年代の自動車貿易摩擦と同じことを実際に大恐慌前後でやらかしていたわけだ。しかも、これで困るのがインドという植民地経営を行う上でとんでもないダメージを受けてしまうというのが大英帝国をキレさせた原因の一つである。

そして、ついでに言えば、支那事変の要因にもなっているのも実はこの紡績関係なのである。在華紡というものをご存知であろうか?

文字通り、支那に在る紡績会社(工場)だ。これが支那人や支那各政治勢力にとって気に入らない存在でもあったのだ。

在華紡の資本は当然日本資本であり、その輸出先は日本であり、それを綿布として製品化して欧米へ輸出しているのだ。どこかで聞いたことがある内容だが、90-10年代頃に家電メーカーが外国から部品を買ってきて国内で組み立て販売しているそれと同じだ。

なんだろうな、バブル以後の経営者のやっていることは戦前に失敗したことを繰り返しているだけじゃないのかな?それであの巨額な報酬得て、従業員を安価にこき使うとか無能と言っていいのじゃないかね?

まぁ、そんな無能だから次々と破綻していったんだと思うよ。

話が逸れた。

さて、その綿布を含む繊維産業だが、「このはと」世界でも健在であるし、主要産業の一つである。まぁ、当然この世界でも貿易摩擦を起こしてはいるが、それはそれとして内需拡大で対処していることになっている。好景気だからファンション産業はそれなりに内需で回せる部分はあるしね。

そこでだ、アメリカも自前の南部産綿花とそれを基にする紡績業はあるけれども、日本産のそれで壊滅的打撃を受けている。

そこで、急激に増える需要、それも安価であることが望ましいそれをまかなうために日本からの綿製品の輸入を拡大することになると考えられる。

確かこの時期のアメリカ産綿花の品質があまり良くないはずだから、なおのこと需要が供給を上回るだろう。

そうなった場合、日本が供給することで日米間の経済活動は活発化するのだが、さて、大魔王がそれを座視するのかという問題がある。

ぶっちゃけね、在華紡が支那人に嫌われたのは安価に綿花を入手し、安価な労働力で安価な綿糸を作っていたことなんだよね。それって、やろうと思えば、米帝資本で上海周辺でやればいいわけよ。

まぁ、在華紡の中心は北支であるわけだが。綿花畑が北支に集中しているからのはずだけれども、中支でもやれんことはないはず。ほら、プランテーション奴○労働でやればいいわけよ。

だけれど、それってどうなんだろうね?少なくとも、年単位で考えないとすぐにやれるわけではないから、結局は自前の南部綿か日本綿を使うことになる。場合によってはインド綿かも知れないけれども。

場合によっては要らん火種になりそうだなぁと思ったりしている。でも、日米開戦の十分な理由にはなるんだよなぁ。

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