【魔法少女ロンパース】

女の子だったら誰でも憧れる魔法少女、私はある日、魔法少女になってしまった。
少し予想とは違った姿だったけど…

私の名前は三野瞳子、18歳だ。
身長は160cmと平均的だが、胸は母親ゆずりの巨大サイズ、顔は…特別美人というわけでもない平凡な女子である。
体重は秘密だけど、いい感じのムチムチ具合とだけ言っておきましょう。
そんな私が何故魔法少女になったかと言うと、その日学校帰りにコンビニに立ち寄ってお菓子でも買おうかなと思っていた時、いきなり眩しい光に包まれて気がついたらこの姿になっていたのだ。
「えっ!?なにこれ?どういうこと?」
突然の出来事で混乱する私だったが、どうやら変身した瞬間に周りの人には見えなくなる魔法がかけられているらしく、騒ぎになることはなかった。
私の姿は、ネットで調べたところ、ロンパースと呼ばれるもので、優しい布でできたレオタードのようなものだった。
お股の部分がボタンで開くようになっているのが不思議だけど。
わけもわからないでキョロキョロしている私の足元に小さな生き物がやってきて言った。

「やあ!僕の名前はキュウ太だよ」
「きゃあっ!」
びっくりして思わず叫んでしまった。
その見た目はネズミに似ていて、耳が丸く尻尾があった。色はピンク色。
大きさは50センチくらいだろうか。
「驚かせてごめんね、僕は君をサポートするためにここにいるんだ」
「サポート?」
「そうさ、君の願いを一つ叶えようじゃないか」
「いきなりね…」
いきなり願いと言われても困ってしまう。タダより高いものは無いというし…
それに……
(こんな格好じゃ外にも出られないわ)
恥ずかしくてたまらない。
そもそも何で魔法少女なのか意味不明だし、しかもロンパースなんて……。
せめて普通の服ならよかったんだけど。
「遠慮はいらないよ、どんなことでもいいから言ってみてよ」キュウ太と名乗ったネズミに似た生き物が言う。
「うーん、それじゃあ……まずはこの姿をなんとかしてほしいかなぁ」
「それは無理」
「あきらめるの早いよ!」

即答されてしまった。
「だってそれが君の本当の姿なんだもん」
「本当の姿…?」
ちょっとショックを受けてしまう。
確かによく見るとちょっとかわいいかもしれないけど、胸のあたりとか体のラインがはっきり出すぎていて恥ずかしい。
お尻はいったいどうなっているんだろう…
「大体、私をいきなりこんな姿にして、何をさせようと言うの?もう元の体に戻れないんじゃないの?」
「大丈夫、戻る方法はちゃんとあるよ」
「本当!?教えて!」
「簡単さ、悪い奴らをやっつけて世界を平和にすればいいんだよ」
「悪いやつら?」
強盗とか、ポイ捨てする人とか、そういうのだろうか…?
「悪い奴らってのはね、人間じゃないんだよ」
「えっ?」
「君たちが理解しやすい言葉で言うと、幽霊かな?ほら、そこのお店にもいっぱいいるだろう?」
「嘘っ!?」
コンビニ店内を見回すと、店員さんの横を通り過ぎていく白い影が見える。
私は驚いて後ずさった。
「安心していいよ、あいつらは襲ってきたりしないから」「そうなの?」
ほっとしてレジカウンターの方へ歩いていくと、横を通り過ぎる時にそっと手を合わせてみた。
すると驚いたことに、手が透けて向こう側の景色が見えてしまった。
本当に実体がないらしい。
「わかったかい?君はこの姿になったら幽霊を見ることができる。そして、退治することもできるようになったんだ」
「でも私武器持ってないし、どうやって戦えばいいのかしら」
「心配はいらないよ、君の頭の中に戦い方が流れ込んでくるはずだから」
そんな簡単に言われても。
「ちなみに、僕は変身できないから助けてあげられないけど、アドバイスはできるよ」
そして、キュウ太はかわいらしいカードを出す。
「これは魔法少女に渡される、ロンパカード!幽霊を倒すごとにベビィポイントが貯まるよ!集めると願いが叶うんだ!」
なにその微妙なシステム……。
「とりあえず、街にいる幽霊を探してみようか!」
こうして、魔法少女になってしまった私の幽霊退治が始まったのだった。


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