おかず味噌 2020/05/26 15:11

いじめお漏らし 復讐編

(「予讐編」はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/266388


「お前、『何様』」のつもりだよ?」
 真紀は問う。あるいは噂に聞いただけの「元ヤン」の彼女の当時の「口調」が蘇ったようだった。
 京子は思い出す――。決して「逆らえる存在」ではなく、「スクールカースト」においても特殊な「地位」を与えられ、特別の「権限」を与えられながらも、それでも断じて彼女に「危害」を加える存在ではなかった者たちのことを――。
 今思えば――、それは「非行」に走る彼ら彼女たちの中に唯一残った「矜持」であり、たとえ「行為」としては外れようとも「人」としての「道」だけは踏み外すまいとする、その者たちの最低限の「ルール」らしかった。(とはいえ、カーストの「最下位」に位置し、自らの「矜持」と「ルール」さえ全うすることのできない京子にとって、彼女たちのその「感覚」はとても理解できるものではなかった)
 だが、その「なぜか自分に対しては『無害』な存在」であるはずの「彼女」が。今では――、この状況においては――、まさに「率先」して自分のことを「貶めよう」としている。「『弱い者いじめ』を嫌う」と言っておきながら――もちろんその「宣言」を「実行」できる者が少ないことは知っている――やはり、「強者」としての立場を存分に発揮している。その事実に、京子の「理解」と「倫理」は追いつかなかった。
 京子は「返答」することができなかった。いや、真紀のそれは便宜上「問い掛け」の形を取っているというだけで、もはや彼女は「返事」なんて求めていなかった。それはただの「決意表明」であり、「犯行声明」に過ぎなかった。これから、京子に「危害」を加えることの――。

「絵美」
 真紀は「号令」を掛けた。小さく短く。けれど決して「逆らえない」ような、低い声色で。それまで「硬直」していた絵美は、「指示」を与えられることでようやく自らの「役目」を認識する。慌てて京子の腕を掴み直した。
 綾子の方は――、まだ動ける状態ではなかった。すでに自分と京子との「格付け」は済んでいる。いかに「虎の威」を借ろうと、「狐」のように俊敏に動くことはできない。いまだにその場に立ち尽くしたままだ。だが、たとえ「一人」欠けようとも――、そんなことは真紀には何の問題でもなかった。
「離しなさい!離してよ!!」
 京子は最後の「抵抗」を試みる。絵美の腕を振りほどき、引き離そうとする。最初は「命令口調」で、次には「懇願」へと変わる。それでもまだ彼女の中に微、「反抗」の意思は微かに残っていた。だがそれも、やがて――。

――バチン!!

「渇いた音」が響きわたる。京子は一瞬、何が起きたのか分からなかった。頬に「衝撃」が走る。「ビリビリ」と痺れたような感触は、「ヒリヒリ」とした痛みに変わる。
 真紀に「ビンタ」をされたのだと、京子は気づいた。だがやはり――、彼女には理解が追いつかなかった。
――どうして…!?
 その疑問は「行為」に対するものというより、その「動機」。どうして、「部下」であり「後輩」であり「年下」であるはずの彼女が、「上司」であり「先輩」であり「年上」であるはずの自分に対して、そんなことができたのかという疑問だ。
 その行為は、京子の「前提」を「根底」から覆すものだった。
「『上下関係』は絶対」「『暴力』反対」という、人間社会における当たり前の「ルール」が通用しない状況――。
 いかに「強引」な方法であろうと、「力づく」でも京子を従わせようとする、明確な「敵意」。それが「物理手段」として、彼女の眼前に現れたのだ。
 その「一撃」によって、京子は完全に「反逆の意思」を失ってしまった。あとはただ「服従」するのみだった――。

「こっちが『下手』に出ているからって、いい気になりやがって――」
 真紀の口から吐かれた言葉に、すでに「立場」なんてものは無関係だった。
「お前のそういう『態度』には、いつもウンザリさせられてたんだよ!」
 続く言葉は、不満の吐露。爆発――。
「今まで、『先輩』だから?まあ勘弁してあげてたけど――」
 さすがの私も今回ばかりは「プチン」ときたかも。そう言って真紀は、チラと綾子の方を窺った。未だに「硬直」が解けることのない彼女の方を。
「そんな『弱いものいじめ』ばっかして楽しいわけ?」
 真紀は問う。綾子を「代弁」するように。「弱いものいじめ」、彼女は言った。「三対一」、こんなにも「寄ってたかって」おきながら、あくまで自分が「正義の側」だと主張する。京子は「五人組」の「正義のヒーロー」を思い出した。「敵側」はいつだって「一人」だ。
「しかも、あんな『嫌がらせ』をするなんて――」
 最低。真紀は断言した。心底「軽蔑」したような視線を、京子に向ける。
「お前のせいで、綾子は…」
 やや真紀の口調が弱まる。声が抑え気味になる。その先を言うことは「憚られる」というように。
「人前で…『する』のがどんだけ恥ずかしくて、情けないか…」
 お前だって、分かるでしょ!?最後の部分ははっきりと、真紀は言った。綾子が何を「する」のか、何を「してしまった」のか、何の「こと」を言っているのか、さすがに京子にも分かった。「お漏らし」だ。確かにその気持ちは彼女にも十分理解できる。現に彼女自身もその「羞恥」から逃れたいがために、これまで抵抗してきたのだ。
「だから私は――私たちは、お前も『同じ目に遭わせてやる』って決めたの」
 くしくも、その感情はやはり、京子にも十分に理解できるものだった。
「しかも、お前がするのは――もっと『恥ずかしい』方」
 真紀は少し愉しそうに言う。
「絶対人に見られたくない、ましてや『後輩』」の前でなんて耐えられない」
「大」の方だよ。真紀は言い放った。その表情の中に、京子は彼女の本来持つ「性質」を確かに読み取った。圧倒的な「加虐者」としての顔を――。

「てか、もうそろそろ『限界』なんだろ?」
 真紀は訊ねる。試すように、京子の「具合」を測るように。やはりとても愉快そうに。
「とっとと出せばいいじゃん。この『糞お漏らし女』」
 今度ばかりは、より「直接的」な表現を用いる。まだ訪れていない「未来」を断言してみせる。けれど、このままいけばきっと――。それは「未定」ではなく「確定」だった。
――本当にヤバいかもしれない…。
 京子が自らの「結末」を悟ったのとほぼ同時、次の瞬間――。

――ゴゴゴゴ…!!!

 三度、京子の腹が「振動」する。それはもはや「予兆」などではない。とても乗り越えられないような「大波」が、再び彼女の前に迫る。
 京子は拘束されていない方の手で腹を押さえ「前屈み」になる。必然、京子の「尻」が突き出される格好になる。「排便」に備えるように。だが、まだ出すわけにはいかない。
 京子のタイトスカートの「巨尻」が「強調」される。それは決して「安産型」などではなく、二十代の頃の「不摂生」と三十代の「不始末」が祟った「だらしない尻」だった。ただでさえキツいスカートが、その「体勢」によってさらに「パツパツ」に張る。「出口」を求めて、「解放」されたがっている。
 そんな京子の「無様な姿」を見て取って、真紀はゆっくりと「後ろ」に回り込む。より彼女の「惨めさ」を観察できるよう「特等席」へと移動を開始する。
 真紀は京子の背後に立った。
「かわいそうに。そんなに出したいんだ~」
 心にもない言葉を口にする。
「じゃあ、手伝ってやるよ!!」
 何を思ったか、真紀は京子の「腰」に手を掛ける。京子の体が「びくん」と反応する。そして――。

 真紀は一気に京子の「スカート」をずり下ろした――。

 とはいえ、それはあくまで「京子側」における錯覚にすぎず。実際は彼女の「デカすぎる尻」に引っ掛かってそう簡単には「脱がせられない」のを、真紀が強引に力づくで「脱がした」のだった。
 足元に、京子の「スカート」が落ちる。あるいは「個室内」であれば当然とも思えるその行動も、「人前」でしかも「誰かによって」脱がされたものとなれば話は違う。
 京子はスカートを脱いだ――脱がされた。たとえ「自発的」であろうとなかろうと、「能動的」だろうと「受動的」だろうと、「結果」は変わらない。彼女は「強○的」にその「格好」にされる。
 そのことで当然――、京子の「スカートの中」は「剥き出し」になる。「ストッキング」を穿いているとはいえ――、その薄い「布越し」でもはっきりと分かる彼女の「ショーツ」が――。
 それを「見た」瞬間――、真紀は「呆れた」ような「渇いた」笑いを漏らした。「失笑」と呼べるものである。自分でそうしておきながら、あまりに「身勝手」にも思えるが、それは仕方のないことだった。
「てか、そんなの履いてたんだ~」
 真紀は言う。「意外」とでも言うように。だがそれは確かに「意外性」を含み、「ギャップ」ともいうべき「色」だった。

 京子は「真っ赤」な下着を穿いていた――。

「レース生地」の「セクシー」さを全面に押し出したような「原色」のショーツ。ただ「衣服を汚さないため」とか「隠すため」ではなく、あるいは「他の目的」をもって選ばれたような下着。
 それは「ショーツ」と言うような「ファッション性」を帯びたものではなく、「パンツ」と呼ぶような「機能性」を重視したものではなく、「パンティ」と言うべき「行為性」を前提としたものだった。
「お前さ~、いつもこんなの履いてんの?」
「呆れた」ような口調で真紀は言う。「長野の癖に」とでも言いたげだった。
「うわっ!!何これ~」
 真紀に続いて、それを確認した絵美が言う。
「めっちゃ『期待』してんじゃん?」
 絵美は、その下着を京子が穿いている「意図」を勝手に推察する。「男に見せるため」という彼女自身もそうである「理由」を、等しく京子にも当て嵌め、やはり「長野なんかが」と見下す。
 だが、京子にとってこの下着を穿いているその「真意」は違っていた。彼女は主に「勿体ないから」という理由でこの下着を着用していた。決して「そういう展開」を期待していたわけでも、自分が「そうなる」ことを望んでいたわけでもない。
 確かに、この下着を買った「当時」を思い返せば――、いくらかそういう「淡い期待」を抱いていなかったわけでもない。だが結局、幸か不幸か「その機会」が得られることはなかった。
 京子はこの下着を――、「まだ見ぬいつかの男性」のために、それに備えるために買ったのだ。決して安い買い物ではなかった。それなりに「ハイブランド」の下着というのは、やはり「それなりの」値段がするものだった。
 たとえ「活躍の場」が与えられずとも、だからといって「そのまま捨てる」のは大いに気が引けたし、かといって「タンスの肥やし」にしておくにはあまりに「勿体ない」気もした。
 結局京子は、この「高い下着」を「普段使い」することにした。たとえ誰かに「見せる」機会は無かろうと――、それでもその「機能性」については十分「期待」ができる。
 京子は、長年この下着を「愛用」していた。何度も穿いては脱ぎ、その度に「洗って」を繰り返した。幾度となく、「拭き残し」や「チビり」によって「汚し」ながらも、やはり「洗う」ことで元通りにした。
 そうして十何年も「穿き続ける」ことで――、いつからか彼女はこの「パンティ」に、ある種の「愛着」のようなものを感じていた。だがそれは同時に、そのパンティを「摩耗」させることにも繋がっていた――。
「てか、何この下着?『バブリー』?」
 絵美は近年流行った「芸人」によってもたらせられた、決して「当時」は使われなかったであろうと「ワード」を口にする。もちろん、京子自身もその「時代」の人間ではない。だが、彼女の言わんとしていること、そこに含まれている「嘲り」は十分に理解できた。
――せいぜい好き勝手言うがいい。
 京子は思った。「羞恥」はすでに与えられているが、それでもまだそれは「小さな」ものだ。決して「大きな」ものではなく、「気づかれる」ことによるいわば「中くらい」のものでもない。彼女は「そのこと」に気づかれないよう願った――。

「てか、コイツの尻めっちゃ『震えて』んだけど?」
 真紀はさらなる「発見」をする。確かに京子の尻は「小刻み」に振動していた。内から湧き上がる「欲求」に耐えるために――。真紀はそれを見逃さなかった。
「必死に『頑張っちゃって』、『漏れそう』なんですよね?センパイ」
 絵美の「呼び名」を真似する。「皮肉的」に。「加虐心」を込めて。
「ていうかもう、ちょっと『漏らして』るんじゃないですか?」
 ここにきて、「敬語」を用いる。それがある種の「揺さぶり」になることを彼女は「本能的」に知っている。そして――。
「どれどれ――」
 そうして真紀は「予想外」の行動に出た――。
 震える京子の「腰」を掴み、彼女の「抵抗」を奪っておきながら――、何と真紀はあれほどまでに「嫌悪」する京子の「尻」に、

 顔を「うずめた」のだった――。

 京子の尻に、予期せぬ「感触」が訪れる。「柔らかい」ような、けれど「鼻筋」が当たることで「固く」、少し「痛い」ような感覚が現れる。
「な…にっ!す――」
 驚きのあまり、抗議の言葉を「最後」まで言うことができない。まさか真紀がそんな「行動」に出るなんて――、京子は「想定」すらしていなかった。
「理解」を求めるために、「意図」を知るために、絵美の方を見る。けれどそれは彼女にとっても「予想外」であるらしかった。むしろ彼女自身も「仲間」である真紀の「暴挙」に驚き、あるいは若干「引いている」みたいだった。
 容赦なく、真紀は京子の尻を「まさぐる」。「臀部」に「頭部」を押し付け、「両手」で「位置」を調整し、「割れ目」に「鼻」をこすりつける。「異物感」は「衝撃」となって真紀の「尻」を、その奥に「あるもの」を「刺激」し、「欲求」を呼び起こそうとする。
 真紀の「息遣い」がストッキング越しに、パンティ越しに伝わってくる。くすぐったいような、どこか「快感」さえ思わせるような「感触」。息が「吹きかけられ」、それから彼女は大きく息を「吸い込んだ」。そして――。

「クッサ!!!」

 真紀は「叫んだ」。同時に京子の尻から、顔が離れる。
 真紀は述べた。まるで「小学生」のような「感想」を。「配慮」のない「率直」な意見を。京子のその「部分」の「匂い」が、「香り」ではなく「臭い」であることを――。
 その声は京子の耳に届いた。彼女は「赤面」するしかなかった。それが自分に向けられた「罵声」であることを、受け止めるしかなかった。
 その声は絵美の耳にも聞こえた。彼女は「クスクス」と笑った。そうすることで「同調」し、「一緒」になって京子を「罵倒」する。よくある「いじめ」の「典型」だった。
 慌てて京子はいまだ自由である方の手――右手――で、自分の尻を隠し、押さえる。だが、それは「今さら」だった。すでに「嗅がれて」しまった後なのだ。「情報」はすでに「与えられて」しまった。京子を「からかい」、「蔑む」べき「材料」を「明け渡して」しまった。
「マジで、クサすぎ…」
 やや「冷静」になって、改めて真紀は言う。だが京子自身が冷静でいられるはずはなかった。
「てか、すでに『漏らして』んじゃないの~?」
 真紀は「疑惑」を口に出す。あたかも「客観的事実」であるかのように。
――そんなはずはない…。
 京子は「反論」する。そこには確かな「実感」があった。まだ――、今のところはまだ「出ていない」――はず。彼女は「排泄」のその感触を思い出し、まだそれが訪れていないことを確認する。それは「圧倒的事実」だ。だがやはり「自信のなさ」が、わずかに買ってしまう。だからこそ反論を「口に出す」ことができず、「心の中」に留めた。
――でも、もしかしたら…。
「弱気」なまま、「可能性」について考えてみる。「原因」があるとするならば、あの時――。

 綾子に「突き飛ばされて」、壁に手をついて何とか「バランス」を保った。まさに「危機一髪」だった。けれどその「反動」で京子は――。
「おなら」をしてしまったのだ。
 それは京子にとって「思わぬ」出来事だった。「不可抗力」だった。一瞬の、気の「緩み」。括約筋が「お留守」になってしまった。それによって肛門から放出された「ガス」。
 だがそれ自体は「一過性」のものであり、すでにその「汚れた気体」は霧散している――はず、すでに京子の尻から「消えて」いる――はず、だ。「ガス」とは情報の「集合体」でありながらも、決して視認できない「事実」に他ならない。
 問題はその瞬間――、「ガスではないもの」まで放出されたのではないか?という可能性だった。
 十分にあり得る「可能性」だった。なぜならその「行為」は、京子の「意思」から離れたものであり、「意識」の及ばないものだったのだから。まさに「アウト・オブ・コントロール」だったのだ。
 盛大な「破裂音」の中に、「湿った」ような音は紛れていなかっただろうか。「熱いガス」にまみれて、パンティの「濡れる」感触はなかっただろうか。京子には判らない。
 京子は今すぐ――たとえそれがもはや「手遅れ」であろうと――自分のパンティの「中身」を確かめたい、という衝動に襲われる。だがやがて、その「確認」は「外部」の者によってされることとなる。そこには、さらなる「羞恥」が待ち受けていた――。

「脱がして、『確かめて』みたら?」
 絵美は「提案」する。良い「アイデア」だというように。それは「悪魔の囁き」のようだった。だが、そこに「救い」なんてものはなかった。
「そうだね~。ちゃんと『出た』か、『オムツ』の中を調べてあげないと!」
 真紀はまたしても、次の「嘲り」を思いつく。京子をまるで「幼子」のように扱う。可愛がる。だが、そこに「慈愛」のようなものは一切感じられなかった。
「ほら、動かないの!『赤ちゃん』」
 京子は必死に抵抗する。「右手」で尻をかばう。「もうこれ以上は――」と自らの尊厳を死守する。
「絵美、押さえて」
 真紀は絵美に「指示」を与える。絵美は「返事」するでもなく、「首肯」するでもなく、「行動」によって了承を示す。「左手」のみならず、「右手」にも拘束が及ぶ。強引に尻から手を引きはがされ、それによって「無抵抗」な京子の尻が現れる。それでも尚、わずかに残った「防備」さえも奪い去られようとしている。
 真紀の手が再び、京子の「腰」に触れる。彼女は探っている。「肌」と「布」との「境界線」を。やがてそれを見つける。そして――。

 京子の「防備」が――「ストッキング」と「パンティ」が一緒になって、一気に下ろされる。
 京子の「たるんだ」腹と尻に引っ掛かり、それによって「抵抗」を感じながらも、彼女の「衣類」は剥ぎ取られた。ちょうど「臀部」と「陰部」を露わにしたところで、「太腿」の辺りでそれは留められる。
 京子の「尻」は、「衆人環視」に晒された。近年全く「日の目」を見なかった部分が、「日の下」に供された。
 京子は「覚悟」する。直後、どのような「直射日光」を浴びせられるのか、不安に怯えながらもただ「待機」しておくことしかできなかった。
 一秒、二秒――。京子は待った。できることなら今すぐ、衣類を戻すか手で覆い隠すかしたかったが、絵美に両手を拘束されているためそれは叶わなかった。
 五秒、六秒――。京子は「焦らされた」。あるいはこの「放置」もまた、彼女たちが自分に与える「羞恥」のレパートリーなのかもしれなかった。
 九秒、十秒――。そこまで待っても、やはり「裁き」は与えられなかった。「猶予」だけが与えられ、「執行」は保留されたままだ。「結末」がもたらされないことで、京子の中で「不安」と「恐怖」だけが増大していく。「死刑囚」のような心境だった。

 真紀は「言葉」を失っていた――。
 彼女のした行為、その「意図」は明らかだった。全ては京子をさらなる「羞恥」に追い込むこと、ただそれだけが「目的」だった。
 これから関係を持つ「男性」の前であればまだしも、決して「人前」に晒すことのない「秘部」を暴かれること。しかも「同性」に、「部下」や「後輩」に「観察」されること。その「惨めさ」たるや真紀自身、想像に難くない。
 だが、真紀は「仕打ち」をそれで終わらせるつもりはなかった。さらにその先、さらなる「辱め」を彼女は求めていた。
 真紀は京子の「尻」を眺め、せいぜいこんな風に言ってやるつもりだった。
「うわっ!汚ね~!!」
 と。その続きは、あとは「勢い」任せだった。真紀は自分の口からどんな罵声が、「アドリブ」が飛び出すのか、それを期待していた。
 たとえ、京子の尻が予想に反して意外と「キレイ」だったとしても、真紀は「酷評」するつもりだった。「汚れて」いようといなかろうと、「汚な」かろうとそうじゃなかろうと、彼女はあくまで自分にとって都合のいい「結果」とするつもりだった。全ては「言ったもん勝ち」なのだ。
 今や、この場の「主導権」は自分が握っている。真紀にはその自負があった。自分が「カラスは『白』だ」と言えば「白」になるように。京子のパンティが「茶色」といえば、それはまさしく「茶色」なのだ。「真実」なんてもはやどうだっていい。「事実」はいくらだって捻じ曲げることができる――。
 実際、「さっき」はそうした。真紀が嗅いだ京子の尻は、別に「クサく」なんてなかった。いや、「無臭」であったかといえば決してそうではない。そこには独特の「匂い」があった。それは京子「独自」の匂いなのか、あるいは女性であれば誰でもする「類」の匂いなのか――自分の尻だって似たような匂いがするかもしれない――はたまた年齢を重ねたことによる「仕方のない」ものなのかは分からない。だがその匂いは決して、「あれ」の臭いではなかった。京子はまだ「漏らして」などいなかったのだ。
 それでも真紀は言い放った。「悪臭」だと言い切った。大袈裟な「演技」ができたのも、やはり「勢い」のためだった。たとえ「嘘」であろうと、京子に羞恥を「与えられる」のであればそれで良かった。これは「復讐」なのだ。

 けれど、真紀の口は動かなかった。「ポカン」と口を半開きにしたまま、言葉を失い続けていた。その理由は――、

 京子の尻があまりにも「汚かった」からだった。

 それはある意味、真紀の望んだまま、その通りだった。だがそれは彼女の想像を、「酷評」すらも超えた代物だった。「低評価」を押すことさえ、憚られた。それほどまでに「醜かった」――。
 京子の尻は「デカかった」。それは「巨尻」と言うのとも、あるいは「豊満」と言い換えるべきとも違った。単に、醜く「膨らんで」いた。「脂肪」がたっぷりと付き、今までタイトスカートの中に収まっていたのが不思議なくらい「巨大」だった。その癖、多くの「若者」がそうであるような「張り」は少しもなく、ただ「重力」に任せてそれに抗う力もなく、「垂れ下がって」いた。
 だがそれ自体は少なからず「意外」なものではなかった。何たって京子の年齢は自分より、「十つ」も上なのである。それはある意味「仕方のない」こととも言えた。けれどそれは「醜さ」を表す上での、ほんの「前触れ」に過ぎなかった――。
 たっぷりと脂肪のついた「霜降り」の尻。「セルライト」すら浮かび上がった、その「頬っぺた」。そこには幾つもの「シミ」が出来ていた。どうして紫外線のあまり当たらないその部分に、そのような「斑点模様」が形成されるのか、真紀には理解できなかった。あるいはそれも「加齢」によるものなのだろうか。ある種「打ち身」を思わせるようなその「マダラ」に彼女は「哀れさ」を感じつつも、少なからず「同情」を禁じ得なかった。そして――、やがて自分もそうなってしまうんじゃないか、と「恐怖」と「危機」さえ感じた。
 さらなる「極めつけ」は、京子の尻の「割れ目」だった。真紀が一番「観察」し「確認」したいその部分は――、けれどあまりよく「見えなかった」。
 そのことに、真紀はやや戸惑う。すでに下半身は「剥き出し」なのだ。「隠すもの」はもはや何もない。その上、京子が抵抗したことで皮肉にも、尻が「突き出される」格好になっている。いわば「観察しやすい」体勢なわけだ。
 さすがに綺麗な「ピンク色」ではないと思ってはいた。やはり「加齢」によって、あるいは「経験」によって、「黒ずんでいる」だろうとは予想していた。それすらも京子にとっては「恥辱」の材料に――、真紀にとっては「嘲笑」の燃料に――、なる「はず」だった。
 けれど、京子の「アナル」は見えなかった。「何か」によって覆い隠されていた。最初は「影」だと思っていた。たるんだ尻による「陰影」だと思い込んでいた。だけど、違った。

 それは、京子の「ケツ毛」だった――。

「割れ目」にびっしりと生えた、「群生」した「密林」だった。無遠慮に「自生」したそれらが京子の「割れ目」を覆い、「ジャングル」の奥地を隠していた。
 それを「知った」真紀は、そのことに「気づいた」彼女は、ただ純粋に「絶句」した。とてもじゃないが「罵倒」の言葉など浮かんでは来なかった。それは想像を「絶する」ものだった。同時に「疑問」がもたらされる――。
――どうして、ここまでなるまで放っておいたのか…?
 いくら「鈍感」な彼女であろうと、さすがに気づいただろう。それならばなぜ「剃ろう」と思わなかったのだろうか。「剃る」ことが余計に「恥ずかしかった」から?あるいは人に見られる機会などないと、「油断」していたのだろうか。どちらにせよ、「生えていない」真紀にとっては理解不能の「心境」だった。「ケツ毛が生えている」というのは、一体どんな気分がするものなのだろう?彼女には想像することしかできなかった――。
 あれほど「無精」に生えていれば、さすがに「違和感」があるだろう。まず第一に下着に触れる――、下着の中で「蠢く」。その「異物感」といったら、決して無視できるものではない。しかも――。
 あれだけ「無秩序」に生えていれば。確実に「付く」はずだ――。何が「付く」かについては、真紀はあまりはっきりとは言いたくない。彼女の「心配」を筆者が代弁するならば――、それは「大便」だ。
 それは日常的に「どうしようもなく」排出されるものだ。「排泄」するべきものだ。そしてその「行為」に至ってはやはりどうしようもなく、誰だって少なからず「余韻」とも言うべき「余剰」を残すものだ。だがそれをキレイに「拭き取る」ことで、人は――あるいは「女性」は、自らの「生物的側面」を隠すことが叶う。そうすることで――、女性としての「清廉さ」を、あるいは「清純さ」を保つ。それはいわば「尊厳的儀式」なのだ。
 けれど。いくらなんでも、あれほどまでに「不純物」があれば――、話は別だ。いくら「拭いても」、どうしたって「不潔物」は残ってしまう。「毛」にまとわりつき、尻の付近に「留まる」ことになる。「汚物」がそのままに、「付着」され続けることになる。
 それはもはや「お漏らし」と――、やや譲歩するならば「チビった」のと変わらない。下着の中に「うんち」を抱えたままの状態なのだ。後は「大量」か「少量」か、それのみが「論点」である。だがそのどちらも、「汚れている」ことに変わりはない。どちらにせよ「羞恥」を抱え、「尊厳」を失ってしまっていることに変わりはない。

 あれだけ「毛」を生やしているのだ。「排泄」する部分に。どうしたって「汚物」は付いているに違いない。いくら「拭いて」も、決して「拭い」きれないものが――、京子の「肛門」には付着している。真紀は「嗚咽」を感じずにはいられなかった。
彼女はその尻を「嗅いだ」のだ。
 だが京子の「尻」には、そのような「異臭」などなかった。「異物感」はなく、「汚物感」もなかった。それが真紀には不思議だった。(京子が「便秘中」であることなど、真紀には知る由もない)
 あるいは京子は――、あれだけ「ケツ毛」を生やしておきながら――、見事に「尻を拭く」ことに成功しているのだろうか。どうして「無事」でいられるのか、真紀には「不可思議」でならなかった。
 真紀自身にとっても、「付着物」については「悩みのタネ」だった――。
 真紀には当然「ケツ毛」は生えていない。肛門付近は「ツルツル」だった。にも関わらず――、なぜかショーツが「汚れて」しまう。具体的に言うならば――、「うんすじ」を付けてしまう。ちゃんと「拭いた」と思ったのに、やはり「拭き残し」がある。あるいは「下剤」や「浣腸」を日常的にすることで、もしくは昔付き合った彼氏の「趣味趣向」によって「拡張」されてしまったことで、そうなってしまったのかもしれない。
 だが京子の尻はそれにしては――、ケツ毛が生えているにしては――、あるいは自分と比べても明らかに――、「汚れて」はいなかった。
 それもまた真紀にとっては、「衝撃の事実」に他ならなかった。

「うわっ!キモっ!!」
 沈黙を破ったのは、絵美の「声」だった。真紀を代弁した「言葉」だった。
 絵美は京子の「前方」にいた。だから見えなかった。京子の「汚尻(おけつ)」が。見ていないからこそ、言えたのだ。そう真紀は思った。「直視」してしまった彼女とは違う。
 だがしかし、「見ていない」のならば――どうしてそんなことが言えたのだろう。京子の尻が「醜い」ことを、どうして絵美は知っていたのだろう。あるいは彼女も自分と同じように、「予め」罵倒の「文句」を用意していたのかもしれない。「ネタ」を「仕込んで」おいたのだ。
 それにしては、絵美の演技はあまりに「迫真」だった。「真」に「迫って」いた。まるで「目撃」したかのような、「リアル」な反応だった。
 絵美は「何か」を見ていた。嘲笑の「在り処」を見つけたみたいだった。その「視線」の先を、真紀は「目線」で追った――。

 絵美のその言葉は、自然と口から出たものだった。
「用意」していたわけでも「予想」していたわけでもなかった。それは「想定外」に他ならなかった。
 真紀は京子の下着を脱がした。それは絵美が「提案」したものだった。けれどまさか彼女が本当にそうするなんて――、「予想外だった」。
 いや、これは「言い訳」だ。確かに絵美は「煽って」いたのだから。今さら自分だけ「罪」を逃れることなんてできない。とっくに「同罪」であり、すでに「共犯者」だった。それでも、いまいち絵美は「主犯」にはなりきれなかった。あとは真紀が全部やってくれる、そう彼女は信じていた。「罵声」は真紀が用意してくれる。自分は「嘲笑」でそれに「乗っかる」だけで良かった。けれどその「目論見」は外れた――。
 絵美は「見てしまった」のだった。当然、彼女の「視点」からでは京子の尻は見えない。「観察者」は真紀に委ねられた。彼女の望んだ「結果」、けれどどうしたって「反射的」に目で追ってしまう。「脱ぐ前」と「脱いだ後」、その変化を見守ってしまう。
 京子は「見た」。パンティを脱がされた、京子の「前面」を。必要以上に「生え揃った」――いや「育ち過ぎた」、彼女の「陰毛」を。彼女の性格のように「太く」「ねじ曲がった」、その体毛を――。
 それ自体は「嫌悪感」を覚えるほどのものではなかった。「濃い」か「薄い」かの違いはあれど、絵美にだって「生えている」ものである。全く「手入れ」がされていないことについては確かに「謙虚」の無さを感じたが、それも京子の「年齢」を考えれば「仕方のない」ことかもしれない。もはや人に「見られる」心配も、その必要もないのだ。そうした「情事」からとっくに「上がって」しまった「売れ残り」。すでに、そうした「エチケット」さえ失ってしまった「年増」。(もちろん全ての三十路の、あるいはそれ以上の年齢の女性がそうであるとは思っていない)それが絵美が京子に与えた「評価」だった。

 絵美は思わず目を逸らしたくなった。けれど出来なかった。むしろ「興味津々」にそれを眺め続けた。自分もいつかこんな風になってしまうのだろうか?いや、そうならないように気を付けなければ、と京子の「無様さ」を「反面教師」にして、自らの「戒め」とするように――。
 そこで、絵美は「気づいて」しまった。京子の「陰毛」のその先、その下にあるものに。彼女の「秘部」と下ろされた「下着」とを「繋ぐ」存在に。

 京子の股間は「糸」を引いていた――。

 彼女の「意図」したものではないだろう。むしろ「予期」さえしていなかったことかもしれない。京子の股間は「濡れて」いた。「密林」を醸成する地域の多くがそうであるように、彼女の「地帯」もまた「湿り気」を帯びた「亜熱帯」だった。
 京子は「気づいて」いないことだろう。きっと突き出した尻にばかり、「気を取られて」いることだろう。今すぐにショーツを履き直し、尻を隠したがっているに違いない。だがそんな彼女の「思い」は、自分が彼女の手を拘束していることで叶えられない。けれど代わりに、決して絵美の「触れられない」、決して「触れたがらない」場所だけが唯一「抵抗」を見せていた。
 自らの下着に「離れ難さ」を感じるように、「名残惜しさ」を感じさせるみたいに。京子の股間は「追手」を放っていた。京子の「愛液」が手を伸ばしていた。
「ぬらぬら」と半透明に光る、その「液体」。本来であれば「潤滑油」としてのその存在はけれど、彼女自身の思わぬところで「分泌」されてしまったらしい。
 京子は「興奮」を覚えているのだろうか。そうでもないと説明できない、そうと誤解されてもしょうがないものだった。あるいは「恐怖」によって、その「緊急回避」としてのものかもしれない。だがどちらにせよ、それが「痴態」であることに変わりはなかった――。

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