ぶるがり屋 2022/11/27 23:48

鎌倉殿の13人 45話 の感想

鎌倉殿の13人 45話
「八幡宮の階段」の感想です。


見逃し・同時配信 - 鎌倉殿の13人 - NHK

【作】三谷幸喜
【音楽】エバン・コール
【出演】小栗旬、新垣結衣、菅田将暉、小池栄子、片岡愛之助/坂東彌十郎、宮沢りえ、大泉洋、西田敏行 ほか
(C)NHK

鎌倉殿の13人

 建保七年一月二十七日 雪降る鶴岡八幡宮の階段で
呪いが墜ちる、皆の頭上に

源仲章、天下を取る男

 大きく時代が移り変わり、その中で見事立ち回り、最高権力を握る!
政敵を追い落とし頂を登る寸前、笑いが堪えきれない仲章がまー可愛いやら滑稽やら(笑
でも運命のいたずらと人違いで斬られ、無様に逃げ転んで、寒いと叫んで死ぬ。
あまりに見事な雑魚悪役の死にっぷりで、人間臭さの塊で、ちょっと好きでしたよ。

審判の日、下された天命とは

 実朝は、太郎のわがままを聞いた。
生きたい理由は山ほどある。
それでも、自分のものでない罪で、自分の死を以ってでも贖いたい、受け入れたいと願う。
それは善性だ、だけれども。
鎌倉の呪いそのものになってしまった公暁には届かず、救われないんだ。
誰も、救われないんだ…

 審判を受け入れ、自分の天命を選びとってしまった実朝の優しさが、救われなさが、辛いですよ。

 紀行で映される実朝を祀る寺の姿に、「武衛」の文字が。
あれは誰が書いた、誰の為のものなのだろう。
鎌倉の罪が詰まった、あの言葉を。

その名は公暁、今も歴史の教科書に名が残る者の名

 愚かでなかったとは言えない。
罪が無いとは言えない。
それでも、ずっと押し込められてきた青年の、やっと言葉に出せた本当の誇りと苦しみに胸が突かれ、涙が出そうでした。

 武家の名、源頼朝の血、頼家の無念。
ああ、なんてこと。
全て北条義時たちが鎌倉を守る為、御旗に立て、奪ってきたものじゃないですか。
それらが積もり積もって、最悪の形で鎌倉に報われた。

 あまりに遣る瀬無い結果、だけど、確かに名は残ったよ、公暁。
これが罪なのか呪いなのか、分からないけど。

闇の沼のほとりで

 惨劇を知りながら、麓で眺める三浦義村と北条義時。
全てが終わって、本当の気持ちを糾す幼馴染、親戚、旧友、盟友、だった2人。
奪う気だったのか、殺す気だったのか、何処まで、何処まで。

 三浦義村が衿を直す。
「あっ!」と声を漏らしてしまいました。
義村もずっと願い叶わず苦しんでいた野望をついに諦めた瞬間でもあり、義時がそれでも縋りたかった友はもう居ないと知った瞬間でもあったのですね。

 人生を全て捧げて、掛けて、
権力を握り、ほしいままとなって、そこに喜びは無いと理解して。
残った2人は幼馴染でももうなんでもなく、
闇の魔王と、古幹部。
本当に、本当に、救いが無い……

北条姉弟、頼朝を継ぐ2人

 頼朝の願いを、最後の望みを聞いたのは北条政子と義時。
その意志を継いで鎌倉を守ると決めて、はや20年。
どれだけ犠牲にして、どれだけ失い、傷つけてきたのか。

 血と闇の沼の上に立つ鎌倉幕府。
鎌倉の罪を一身に抱いた実朝と、鎌倉の呪いを一身にまとった公暁の、結末。
頼朝の血を引き継いだ最後の2人の最期。

 政子が守りたかったものは何だ。
義時が守りたいものは、本当に残っているのか。

頼朝が掲げた髑髏は、虚ろな呪いだったのに。
頼朝はもう、何処にも残って居ないのに。

僕らの泰時

 今回も大事な主君を救えませんでしたが……
それでも真っ正直に抗い、不足を少しづつ知っていく姿が眩しいですよ。

 泰時は救いで願いですが、頼朝の願いと呪いから解き放たれた所に居るから、だと思うのです。
義時が全てを犠牲にしてまで成ろうとしているもの、求めているものの、先に有る希望だと。

トウの役割

 子が孫が、自分たちの選択の結果、みんな死んだ、居なくなった。
逃げようとして自分の罪を知らされた。
死のうとした政子を止められるのは、誰か。

 実衣の役割だったかもしれませんが、次回を考えると無理なのですよね。
そこで、権力から武家社会から遠い女性が、ほんの些細な、普通の言葉を告げた。
祖母が孫を守るのに理由は要らないように。
人が自殺を止めるのに、理由は要らない。

 殺されて殺して殺して、殺せないトウ。
政子の悲痛な鳴き声の下、千鶴丸から始まった呪いの連鎖は、止められるのかもしれない。
この地獄のような鎌倉の中で、たった一つの救い。
そう思わせてくれる情景でした。

三善康信はまだ辞められない

 大事な主君であり愛弟子の実朝に、己の加担した罪を告白し、そのまま亡くなられて。
心破れる中でも役割を全うし、次の時代も繋ぐ老人。
ああ、この老人は、優しいだけじゃ無く、この時代を生き抜き鎌倉を産んだ、鬼でも有るんだなぁ。
義時と同じ、鬼になんてなりたくなくて、それでも大事な人々のために鬼となれる人なんだなぁ。

 救われて、報われて欲しい。
でも義時と同じ罪を犯してきた彼は、救われてはいけないのかもしれない。
うう、辛い……。

義時の願い、運慶の答え

 殺して殺して殺して、一人止められた惨劇を止めず、殺した、殺した。
友はとうに無く、一心同体との姉とも断罪の言葉を吐いて、妻を嘲り遠ざけ、愛息子は願いどおり牙を剥く。
時房も朝廷関係は反論する(笑

 頼朝が最期近くまで天に縋ったように、義時ももう天に仏に縋るしか、無いのでしょう。
そこで運慶を金で動かすのがまた救いが無いよ義時!

 迷いがない、ひどい顔になったもんだ。
いつか運慶が良い仏を彫って、義時を救って欲しいと願ったのはいつだったか。
こんな経緯になってしまうとは。

 ただ運慶の底を見たつもりの義時ですが、やっぱり金で動いたとは思いません。
まー世界最低レベルのひどい顔も彫りたいかもしれませんが(笑
 運慶の彫る義時は、神か仏か、悪鬼か仁王か。
闇の沼で真っ黒に汚れた義時の、誉にはならないでしょう。
それでもやっぱり、救いになって、欲しいなぁ。

地獄が終わると思った?

 ずっと息を飲む45分でした。
でもこれから実衣の子・阿野時元の乱から承久の乱が有るのですよね……
義時が心休まる時は、来るのか。
本当に今年でこの物語が収まるのか(笑
怖い。
怖いけど、楽しみです。

この記事が良かったらチップを贈って支援しましょう!

チップを贈るにはユーザー登録が必要です。チップについてはこちら

月別アーカイブ

限定特典から探す

記事を検索