有坂総一郎 2022/03/04 14:30

娯楽と税収外収入

古代ローマ帝国では娯楽が国家安定のために大きな役割を果たした。

そう、パンとサーカスという奴だ。

1500~1700年頃を規準に話を作るとすれば、この時期で最もカネを掛けずに手持ちの資産で運用可能な娯楽は二つ。

御前試合と競馬だろう。

前者に関しては個人競技であるから各領邦(貴族領地)代表というそれで良いだろうし、場合によっては富士総合火力演習みたいな形でのものでも良いだろう。派手であればあるほど国民士気を向上させるし、観覧券の収益も上がるし、それを目当てに集まる群衆への露天商の売り上げから場所代と消費税を調達可能になるだろう。

ただ、これは定期的に行うにしても総火演モドキの場合は広大な演習場を必要とするし、一度に使う弾薬兵糧が大きな負担になる。まぁ、それでも収支がプラスになれば良いのであるが。

また、観客動員能力という点で、間違いなくインフラ強化が必要になるだろう。中央政府軍だけでなく領邦軍も参加となれば、その移動に耐えうる交通網の整備は必須であるし、また地方からの観客の集客に耐えうる旅館の充実が不可欠だ。

よって、これは大量輸送手段たる鉄道がないと難しいと言わざるを得ない。

御前試合の発展でのそれであっても、軍部隊の移動はなくとも、闘技場や観客収容能力が必要になるのは変わらない。まぁ、かかるコストは比べるまでもなく低負担であるが。ただし、リターンも少ないと言わざるを得ない。

しかし、総火演モドキの場合は、高コストであっても、リターンは非常に大きい。観客による経済活動の恩恵は大きいし、何より、定期的に実戦形式の訓練を観客のカネで賄えるのだから国防予算の助けにもなる。

次に競馬だ。

競馬の場合、用意すべきは馬場と競走馬数十頭だ。この程度は近衛軍/禁軍/政府軍が常備しているものであるから初期投資はほぼゼロだろう。

第一回開催こそ賞金は持ち出しになるだろうが、第二回以後については掛け金によって賄えるであろうから、定期的に開催してその掛け金からの収益を国庫へ還元して税収外収入を増やすという策だ。

ローコスト・ハイリターンである。

恐らく、各領主なども似たようなことを始めそうだから、国営事業として主要直轄都市においてのみ開催することで各領主の懐が温かくならないようにする必要があるだろう。

また、農閑期に輓曳(ばんえい)競馬を実施させることで地方農村の農業外収益を出すようにするというのもアリだろう。

この競馬政策の目論見は二つある。

中央競馬の場合、軍馬量産と品種改良。地方競馬の場合、輓馬の普及と品種改良。どちらも軍事力や農業生産力の拡大に寄与する。これは史実に倣った形での馬匹の発展を目論んだものである。

まぁ、騎兵戦力がどこまで有効であるかは微妙なのだが、それでも、自動車やそれに相当する輸送能力がないのであれば、一番リスクがなく、効率が良い手段が馬であるのは間違いない。

それに軍部と農村の支持を得やすいから実施のハードルが著しく低く、やろうと思えば即日実施可能であることが最大の利点であり、関係者にとってデメリットがない。まぁ、あるとしても賭け金を失う側くらいなモノだ。そんなのは自己責任だ。

また、これも集客力が大きいから経済活動の起爆剤になるしね。

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