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お漏らしの記事 (33)

おかず味噌 2021/03/19 10:00

オススメ作品「 スカトロRPG『だっぷん奮闘記』 」

~臭いムチムチうんこをブリブリして気持ちよくなるなんて変態でござるっ!~
(「作品名」がタイトルに収まりきらなかったので、こちらで↑)


 およそ一ヵ月ぶりの「新作」を、約三か月ぶりに「続き」を、かろうじて投稿し終えたところで。
 ここは一つ。実に一年ぶりとなる「オススメ作品紹介」を、久しぶりに書かせて頂こうと思う。(「ブリブリ」煩いでござるか…?)

 さて。すぐにでも「紹介」に移りたいところだが、その前に。「手前味噌」ながらも、まずは当記事で連載中の「クソクエ」について。
 当作品はいわゆる「ファンタジー」及び「異世界モノ」における「スカトロ」を描いたものであり。その「世界観」において「某有名RPG」を雛形にさせて頂いていることは、お察しの通りであろう。
「小」についての描写を含んでおきながらも、「タイトル」を「大」のみを表わす表記にしたのは――、「某サークル様」において、すでに「同名」の「作品」が存在したという理由からだ。(当記事でも「紹介済み」)

「異界」における「登場人物」として、もはや「テンプレート」ともいえる「戦士」や「僧侶」。それら「現代」にあっては、およそ相見えることのない職業の「ご婦人」方。髪色や造形はまるで「外国人」のようでありながらも、紛れもない「異世界人」の女性。それでいて、どこか親近感を禁じ得ない彼女達の――、「RPG」などではあまり積極的に描かれることのない「排泄行為」。
 そうした秘めたるべき禁じられた「欲求」に応えるべく「作品」がまた一つ、「現世」に「現界」した。

 ところで。一口に「女戦士」といっても、そこには多様な「デザイン」が存在することは言うまでもない。
「本作」は――、(厳密にいえば、彼女たちは「女戦士」ではないのだが)本来「戦闘」に特化したはずの女性たちが自らの内なる敵と「格闘」し、まさにタイトル通り「奮闘」する様子が描かれている。


<ブリュンヒルデ>

 流麗な「金髪」と、透き通るような「白い肌」が特徴的な女性。
 筆者の描く「女戦士ヒルダ」の「豪快さ」と比較すると、どこか「繊細さ」を思わせる「クール」な見た目の彼女。
「青」と「白」を基調とした「気品溢れる」装いながらも、あくまで肌は盛大に晒され、きちんと「主張」されるべき部分は「主張」された格好。
 そんな彼女の「職業」は、「女戦士」ではなく「姫騎士」。
「高貴な身分」にありつつも「便意」に耐えきれず。やがて彼女は「紺色のブルマ」を「モコモコ」と膨らませてしまう。

<風香>

「黒髪」で、やや「活発」な印象を受ける女性。(少しばかり「幼さ」の残るその見た目は「女子」と呼んだ方がより的確だろうか…?)
「職業」としては、やはり「女戦士」ではなく「くノ一」。だが「日本古来」から続く「伝統職」である「忍者」もまた、広義に含めれば「女戦士」といえるだろう。
 そんな彼女の服装は、「機動性」を重視した「忍装束」。身体にぴったりと貼り付き、「ボディライン」をたわわに露わにする格好。そして、その下に穿くのはもちろん――、「ふんどし」であり。「尻の谷間」に深々と食い込む「Tバック」にも似た「下穿き」において、幾度となく「大小便」を垂れ流してしまう。


 他にも、「オムツ失便」「おまる脱糞」「下痢」「快楽失禁」「放尿」など――。
 倒錯した「性癖」を満たすべく、様々な「イベント」が目白押しで。
 当該シーンの「イラスト」はもちろんのこと、「効果音」がさらなる臨場感を演出し、「卑猥」で「下品(褒め言葉)」な「テキスト」は――、筆者自身も一介の「エロ書き」として思わず見習いたくなるほどに、上質な雰囲気を醸している。

「RPG」といっても「戦闘」などは一切なく、「ストーリー」はほぼ「一直線」であり、ゆえに「操作性」というものはあまり感じられないものの。
 裏を返せば、「エンターキー」を押下することで、サクサク進めることが出来るので。片手は「キーボード」に添えつつ、もう一方の手で「自前のコントローラー」を握りながら「同時プレイ」することだって可能だ。

「和洋折衷」の作り込まれた世界観と、「和洋便器」で行われる「排泄」の数々。そして何より「和洋装束」に身を包んだ、魅力的なキャラクター達による「お漏らし」。
 さらに。紆余曲折あって「ストーリー後半」では「選択肢」として「食事」を選ぶことで、翌朝の「便状態」が変化するという「やり込み要素」も盛り込まれている。

 全ての「回想」を「解放」するまで、あなたは「暴発」を堪えながらも、

――「エンディング」まで、出すんじゃない。

(と、それはまた違う「名作」の謳い文句だったか…)

 兎にも角にも。希「小」で壮「大」な物語をぜひ、ご堪能あれ!!

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おかず味噌 2020/12/30 16:00

クソクエ 勇者編「伝説の黎明 ~安堵失禁と恐怖脱糞~」

(前話はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/404264

(女戦士編はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/311247

(女僧侶編はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/357380


「村」に近づくと、「異臭」が彼の鼻腔を満たした。

「畑」の焼ける香り、「家」の燃える匂い、「肉」の焦げる臭い。
「黒煙」となったそれらが「風」に乗って、彼の元へと運ばれてくる。

 そして、辺りがすっかり「昏く」なり始めた頃。ようやく「目的地」に辿り着いた彼は、「変わり果てた」故郷の姿を目にするのだった――。


 彼は「言葉」を失った。「眼前の光景」に思わず「悲鳴」を上げそうになりながらも、けれど「声」を発することは叶わなかった。口内は「カラカラ」に渇き、喉の奥に何やら「引っ掛かり」を覚える。かろうじてそれを「呑み下す」と、胸いっぱいに「モヤモヤ」とした「黒いモノ」が広がってゆくのを感じた。それはまさしく「絶望の塊」であった。
 何とか「理解」が追いついた彼の目に「涙」が浮かぶ。「臭い」のせいもあるだろう。目に染みるような「煙」が、そこかしこから上がっている。だが無論それだけではない。彼の瞳に滲んだそれは「視界」をぼやかし、あるいは全てが「幻想」であるかのような「希望」をチラつかせるが――。瞳を閉じても尚「瞼の裏」に貼り付くその「残像」は、紛れもなくそれが「現実」であることを示していた。

「さすがに『ショック』か…?だが、こんな『景色』は世界中にありふれている」

 勇者の肩に「ポン」と手を置き、励ますように言うのはサンソンだった。あくまで彼はここが「勇者の故郷」であることを知らない。知らないからこそ、そんなことが言える。「何もここだけのことじゃない」と、彼の故郷は「ここでしかない」というのに――。

 勇者は今すぐにでも駆け出したかった。「村中」を駆け回り、背に抱えた剣を振り回したかった。彼と「出身」を同じくする、この「聖剣」を――。
 だけど彼はその場から動けなかった。果たして「どちら」に向かえばいいのか分からなかったからだ。あるいは「助け」を求める声の「方角」に向かおうと思っていたのだが。そんな「悲鳴」も、「彼を呼ぶ声」も、どこからも届くことはなかった。

「少しばかり『遅かった』かもな…」

「長めの前髪」を弄りながらサンソンは言う。彼としては「見慣れた景色」なのだろう。「取り乱す」ことも「喚き散らす」こともせず、あくまで「冷静」なまま「客観的」な「感想」を漏らす。

――イヤだ…!!その「先」を言わないで…!!

 そんな勇者の「願い」も虚しく――。

「残念だけど、『手遅れ』だな…」

 けれど、サンソンは「続き」を言ってしまう。彼の「最後の望み」すら打ち砕くように(もちろんサンソンに「悪気」はないのだが)、わずかな「希望」さえも消してしまう。

「勇者。これからどうする?」

 サンソンが訊ねる。その「意味」が勇者には分からなかった。「どうする」も何も、「やるべきこと」は決まっている。早く「村の皆」を助けなければ――。

「『この様子』だと、たぶん『依頼者』はもう生きちゃいない。それに恐らく――」

――「村人」も「全滅」だろうな…。
「全滅」?彼はそう言ったのか?何が?誰が?一体どうして、なぜそんなことが言える?まだ分からないじゃないか!!きっと「村の皆」は「避難」しているのだ。「ゴブリン」に見つからないように、じっと息を潜めて「救援」を待っているのだ。「悲鳴」が聞こえて来ないのも、それならば頷ける。「皆無事」で、だからまだ――。

 彼はそれでも尚「期待」を口にしようとする、その前に。先にサンソンが口を開いた。

「ゴブリンってのは、ああ見えてとても『狡猾』な奴らなんだ」

 サンソンは「見てみろ!」とばかりに「辺り」を指し示す。

「見張りがどこにも居ないだろう。『狩り』をする時、奴らは必ず見張り番を置くんだ」

 確かに彼の言うとおり、村の「入口付近」にゴブリンは「一匹たりとも」居なかった。

「もう引き上げた後なんだろう。奴ら『強奪』と『凌○』の限りを尽くして、それで…」

――全く、「反吐」が出るぜ…!!
 サンソンの言葉に「怒り」が込められるのを感じた。さすがの彼も「冷静」ではいられないのだろう。露わにされた「感情」に、凄まじいばかりの「鬼迫」に。「味方」であるはずの勇者さえも「圧倒」されたのだった。

「いくらか『残党』は残っているだろうが――」

――どうする?
 再び、サンソンは問う。ようやく彼にもその「意図」が分かった。
 つまりは「クエスト失敗」となっても尚、「ゴブリン狩り」を続ける意思があるのかを彼は訊いているのだ。

「皆さんは、先に帰っていて下さい…」

 勇者は言う。本来であれば「形」はどうであれ、ここまで付いてきてくれた「仲間」に「礼」の一つでもあって然るべきなのだが。普段の彼ならば、間違いなくそうしていたのだろうが。もはや今の彼には、そうした「礼節」を重んじるだけの「余裕」はなかった。

「あとは、『一人』でやりますから…!!」

「意志」を込めて彼は言う。「呼応」したかのように「聖剣」に「鈍い光」が灯る。だが「鞘越し」のそれに気づく者はいなかった。ただ一人、サンソンが何かしらの「気配」を感じたのみだった。

 勇者は駆け出す――。「目的地」を定めることなく、ただ「村の奥」へ向かって走る。

「ちょっと待て!!」

 その「背中」にサンソンが声を掛けるも、けれど彼の耳には届かず。「失われた故郷」へと分け入っていく――。

「はぁ…」
 勇者の姿がすっかり見えなくなったところで、サンソンは似合わない「溜息」をつく。彼の中に残った「一抹の不安」それは――。

――大丈夫だろうか…?きっと勇者は今以上に「凄惨な光景」を目にすることになる。

「村人の屍」「残酷に切り刻まれた肢体」「凌○され尽くした死体」。ゴブリンを相手にすると、いつもそうだ。彼も「初めて」それらを目にした日の夜は「悪夢」にうなされ、幾度となく「嗚咽」を感じて眠れなかった。
 どうしてこんな「惨いこと」が出来るのか!!「奴ら」は「人」をまるで「物」としてしか見ていない。今でも彼は、何度だって「怒り」を覚える。
 だが「彼ら」からしてみれば、「人間」もまた「同じ」なのだろう。「報酬」のため、「経験値」のためと宣い、彼が積み上げてきた「魔物」の「亡骸」の数は「百や二百」ではきかないだろう。
 あるいはその「事実」を知り――、自身も「魔物」と成り果てた者がいると聞く。そうでなくとも自らの「仕事」に嫌気が差し、人知れず「ギルド」を去った者だっている。

――彼は大丈夫だろうか…?

 いや、きっと大丈夫なはずだ。彼ならば「深淵」を覗きながらも、やがていつかはその「暗闇」を抜けることが出来るだろう。何しろ、彼は「勇者」なのだから――。

「きゃぁ~!!!」

 ふいに「悲鳴」が鳴り響く――。これまで決して聞こえることのなかった「人の声」。「助け」を求めるその「呼び声」は、紛れもなく「生存者」がいることの証。
 なぜか「その声」に「聞き馴染み」を覚えつつも。まさか「その彼女」がそのような「状況」に陥ることなどとは考えにくい。
 だが、何はともあれ「救援要請」を受けたサンソンは――、「広場」とは「反対方向」に向かったのだった。


「仲間」を置き去りにして、「一人」駆け出しては来たものの――。勇者は迷っていた。何も「道に迷った」というわけではない。何しろここは彼の「生まれ育った村」であり、凄惨に「変わり果てて」はいるものの、見慣れた景色の「面影」はそこかしこに見当たるのだった。けれど――。
「広場」まで「一目散」に駆けてきた彼は、果たしてここから「どっち」に行くべきかを迷っていた。

 まずは「自宅」に向かうべきだろうか。此度の「凶報」を知る「きっかけ」となった「依頼者」はそこにいるのだろう。年老いた「祖父」のことだ、逃げ遅れてしまった可能性だって十分ある。いやそもそも「無事」逃げることの出来た「村人」が、一体どれほどいるというのだろう。
 彼はまだ「村人」の「変わり果てた姿」を一度も目にしていない。だから、あくまで「希望」が潰えたわけではない。それでも、今や燃え尽き「黒焦げ」となった「家々」を見るに――、それがとても「儚い」ものであることは確かだった。

 それとも「ナナリーの家」にこそ向かうべきなのだろうか。「村長の家」でもあるそこには、「有事」に備えて多少の「蓄え」があるのだと聞いたことがある。(もちろん、彼がまだこの村に「居た頃」には幸い、その必要に迫られるような「事態」は一度たりともなかったのだが…)
 あるいは「村の皆」が「避難」していることも考えられる。そこに「彼の祖父」もいるかもしれない。「ナナリー」も――、今となっては「懐かしさ」さえ覚える「同年代達」も――、皆そこに身を寄せ合っているのかもしれなかった。
 ようやく彼は「目的地」を定め、少し「高台」にある「屋敷」を目指すのだった。

 それにしても。彼はこれまで「ゴブリン」に一度も「遭遇」していなかった。サンソンの言った通り、すでに「引き上げた」後なのだろうか。「クエスト」にあった「軍勢」はおろか、その「残党」にすら出くわすことはなかった。
 なんだか「不気味」だった。「ゴブリン達」は一体どこに「消えた」というのだろう。いや、あくまで彼らは「隠れている」だけなのかもしれない。建物の陰から――、あの角を曲がった先で――、息を殺して「こちら」を窺っているのかもしれない。
 それを考えただけで、彼の中に再び「臆病心」が芽生えるのだった。いかに「聖剣」に選ばれようとも、「勇者」となった今でも。自らの「性質」というのは、そう容易く変えられるものではなく――。ついこの間までは田畑を耕すことのみに従事し、「命の危険」などとは程遠かった彼にとって。すぐ近くに迫り来る「生死」というのは耐え難く、やはり目を背けていたいものだった。

 だけど、もはやそんなことも言っていられなかった。ついに「屋敷」に至る「坂道」の下まで辿り着いた彼は、そこでより一層「焦燥」を感じた。「あるもの」が見えたからである。急いで坂を上った彼は「村長の家」の「正面扉」の前に立つ。その「扉」は、

「開いて」いた――。

 あるいはそれこそ、すでに村人たちが隙を見て逃げ出したことの「痕跡」なのかもしれない。だがさらに「扉」に近づいたことで、彼は知る――。扉の「カギ」は、

「破壊」されていた――。

「村人」によるものでは決してないだろう。「鈍器」で無理やり「こじ開けた」ような「傷跡」は、「ゴブリン達」の「仕業」に違いなかった。

 すかさず彼も「半開き」となった扉をくぐる。「他人の家」に「無断」で上がることに多少の「抵抗」と、場違いな「緊張」を覚えつつ――。

――そういえば、ナナリーの家を訪ねるのは「初めて」だな…。

 と。いかに「非常時」であり仕方ないとはいえ、ならばいっそナナリーに「誘われる」ことでそれを果たしたかった、と彼は思うのだった。
 だがそう出来なかったのには幾つもの「理由」がある。いつだって彼は、ナナリーとはあくまで「人目を避けて」会うようにしていた。彼女がそう望んだわけではない。むしろ彼女は彼が「いじめられている」ことを知るたびに。「外聞」など決して構わず、すぐにその場に駆けつけてきて、怒鳴り散らしてくれたのだった。
 思わず縋りつくように、ナナリーの「後ろ」に隠れる彼を見て。「いじめっ子達」は彼のことを――、

「や~い、弱虫!!また『女』に助けてもらいやがって!!」

 と、さらに罵るのであった。それに対しても、やはり彼は何も言い返すことは出来ず。その「代わり」にナナリーが――、

「うるさいわね。いいの!○○は『優しい子』なんだから」

 そう「反論」してくれるのだった。
「優しい子」――。果たしてそれはどういう意味なのだろう。確かに彼は「家畜」を始めとする「動物」や、「虫」やさらには「草木」に至るまで。それらを決して「下等生物」だと決めつけることはなく、あくまで「対等」に接するのだった。
 だがそれは、彼に「友人」が少なかったためでもあり。それを「優しさ」と形容するのは、何だか違うような気がした。
「優しい子」――。それは「臆病者」の間違いではないだろうか。彼の「性質」に彼女なりに最大限配慮し、言葉を選んだ末のその「表現」なのではないだろうか。

 彼はひと時の「回顧」に耽る。だがもちろん、そんな場合ではない。あくまで彼女の「本心」ではなかったとしても――、たとえ彼女が自分のことをどう思っていようとも。
 彼の今「やるべきこと」は変わらないである。
「優しい」というならば、それはナナリーにこそ当て嵌まるべきもので。その彼女は今「ゴブリンの襲撃」に怯え、「救援」を求めているのだ。
 あるいは「救援者」が誰であろうと、それについては構わないのかもしれない。だが「依頼者」である彼の「祖父」が、ギルドで確かにそう言っていたのだと聞いたように。
 やはりナナリーもまた「勇者」を――、かつては単なる「愚者」に過ぎなかったその存在を――。紛れもない「彼」による「助け」を、待ちわびているのかもしれなかった。

 目の前の「階段」を駆け上る。相変わらず「気配」はなく、「物音」さえ全くしなかったが――。そこで「聞き慣れた声」による「悲鳴」を、彼は確かに耳にしたのだった。

「イヤァ~~~!!!」

「甲高い」その声に――、彼は一瞬それが彼女のものであることを疑いたくなったが。「鼓膜」にこびり付いた「残響」を何度も「反芻」する内に、それが紛れもなくナナリーの声であることを知った。
 それを「聴いた」ことで、まず最初に彼の中に浮かんだ感情は――、「安堵」だった。「良かった、生きてたんだ…」と、そう思ったのだった。だけどすぐにそれは「不安」へと変わる。「悲鳴がした」ということは、今まさにナナリーの身に何かしらの「危機」が迫っているという、紛れもない「事実」を表わしているのだ。

「二階」へと上ってきた彼の眼前には、いくつもの「扉」があった。「村の長」たる人物の「家」というのは、「屋敷」と呼ぶに相応しい「広さ」と「豪華さ」であった。
 数多くあるその「部屋」の内、果たしてどれが「正解」なのだろう。こうなればいっそ「虱潰し」に当たろうかと思い掛けた彼であったが――、ここに来てもやはり「痕跡」はあった。
 およそ半数以上の扉は「開け放たれて」いたのである。「悲鳴が聞こえた」ことから察するに――。ということはつまり、その中の「どれか」ということだろう。
 だがそれだって。開かれた扉の数もそれなりにある。もはや「時間」は限られている。早くしないと、ナナリーは。

 彼が「最初の部屋」に向かおうとした、まさにその時だった――。

「誰か、助けて…」

「微かな声」を、けれど彼は聞き逃さなかった。今度ばかりは疑いようもない。それは間違いなく「ナナリーの声」であり、彼女の「助け」を求める声であった。
 かつては彼の方からナナリーに「救い」を求め、決して声には出さずとも「悲鳴」を上げていたのだが。今度は彼が彼女を「救う番」なのだった。

 勇者は、すでに開いた扉から部屋の中へと躍り出る。あえて鳴らした「足音」によって、それを聞いた「ゴブリン達」が振り返る。
 室内には全部で「六匹」のゴブリンがいた。その「全員」が彼の方を見て、「村人」とは違うその「装い」に目を丸くしていた。
 ゴブリン達が振り向いたことで――、その「目線」の先を追って、ようやくナナリーも「何者か」の「来訪」に気づく。だがその「表情」には相変わらず「恐怖」が張り付いたままで。そこに居たのが「彼」であると分かっても尚、あくまで彼女はそれを「幻」だと思い込んでしまう。

「ナナリー!!」

 勇者は彼女の「名」を呼ぶ。そうしたことで、彼の姿が紛れもない「現実」であることを彼女は知ったのだった。

「○○…?」

 それでもナナリーは未だ「半信半疑」で。なぜ彼がここに居るのか、数月前に「町」に向かったはずの彼が、どうして「この村」に居るのか分からないという様子だった。
 あるいはここまで来る「道中」、ずっと心に決めていた「台詞」を彼は言う。

「『助け』に来たよ!!」

 あまりに「呑気」というか、馬鹿げたようなその言葉。まるでちょっと「お手伝い」に来た、とでもいうような。少しも「緊迫感」のない、あくまで「のほほん」としたようなその「口調」。
 けれど、だからこそナナリーは知った。それがまさしく、彼女にとっての「勇者」であることを――。

 勇者はゴブリン達に目を戻す。未だ「驚き」を浮かべたまま、盛大に「動揺」している彼らは――、やはりどこか「人間臭く」もあった。
「彼ら」は、勇者の手に握られた「聖剣」をぼんやりと眺めていた。それが意味することを、これから与えられるであろう「痛み」と「恐怖」を。彼らは知らぬまま――、けれど彼らの「理解」が追いつくのを待つつもりはなかった。

「うわぁ~~~!!!」

「咆哮」を上げて、彼はゴブリンに飛び掛かる。そこに「戦略」と呼べるようなものはなく、「間合い」さえも「デタラメ」で。けれど、この「数月間」に彼が培った「経験」がまさに「武器」となる。

――ブンッ!!ゴトン…。

 まずは「一匹」。彼の足元にゴブリンの「頭部」が転がる。そして、すかさず――。

――ズバンッ!!バタン…。

「二匹目」は「体部」を狙って切り倒す。だがそこで、ようやくゴブリン達も何事かを知る。すでに「屍」となった「身内」を見届け、眼前のそれが紛れもない「脅威」であることに気づく。

「キシャァァ!!!」

 醜い「奇声」を上げて、彼らは「戦闘態勢」を整える。「血気盛んな一匹」が勇者に飛びつき、彼の「視界」を遮ろうとする。だがあえなく勇者はそれを討ち取り、すぐに構え直すのだった。
「じりじり」と互いに「間合い」を保ちながら、「攻撃の瞬間」を待ちわびる。堪らない「緊張感」。けれど勇者はもう何度も、そうした「死線」を潜り抜けてきたのだった。
 最初に仕掛けたのは「三匹」だった。相変わらず「奇声」を上げつつ、同時に飛び込んでくる。「知性」のない彼らに「連携」などというものはない。ただ「闇雲」にそれぞれが飛び掛かってくる――。
 だが、それだけでも勇者は「苦戦」を強いられてしまう。かろうじて「初撃」だけは受け止めたものの、「二撃目」をギリギリで躱し、「三発目」をその身に受けてしまう。

 肩に鈍い「痛み」を感じる。焼け付くような「傷口」は「熱」を帯びて、彼の「心」さえも焼き尽くしてしまいそうだった。
 思わず勇者は膝をつく。何とか「片膝」だけに留めたものの、再び「立ち上がる」のはもはや「困難」であるかのように思えた。それでも――。
 勇者は立ち上がる。「鮮血」と共に飛び散った「決意」を体中からかき集め、心を蝕む「痛み」と「恐怖」を精一杯に振り払い、何とか膝を立てたのだった。
 勇者はその目でゴブリン達を見据える。その瞳に宿るものは「憎しみ」などでは決してない。「敵」は眼前の「三匹」などではなく、あるいは「自分自身」。それに打ち克とうとする「想い」。もはやそれこそ紛れもない「勇気」であった。

 再び、勇者はゴブリンに立ち向かう。この「痛み」が――、たったこれだけの「傷」が一体何だというのだ、と自らを「鼓舞」するように。「引き下がる」つもりなど毛頭ないのだった。そこで、ナナリーが何かに気づく。

「う、後ろ…!!あぶない!!」

 勇者がナナリーの声に反応する前に、またしても「攻撃」を浴びてしまう。「後方」からもたらせられた「一撃」。彼が後ろを振り向くと――、そこにはすでに「倒した」と思い込んでいたゴブリンが、その手に持った「斧」に彼の血を滴らせていた。
 背中に受けた「傷」は、さきほどのものとは比べ物にならないほど深かった。にも関わらず、彼はもう膝をつかなかった。「激痛」に顔を歪めつつ、「意識」を「朦朧」とさせながらも。けれどあくまで彼は「正面」を見続けていた。
「三匹のゴブリン」、その後ろには「ナナリー」がいる。彼にとってまさしく「恩人」でもあり――、「姉代わり」の存在でもある――、彼の「大切な人」が。

 勇者のその傷が「深手」であることは、もはやゴブリンの目から見ても間違いなく。だからこそ彼らはすでに「勝利」を「確信」したかのように浮かれている。

――相手が「弱者」だと知るなり、ゴブリンは「敵」を侮る。

 果たしてそれは「油断」なのだろうか、あるいは「余裕」というものなのだろうか。だがどちらにせよ、そこに「侮蔑」と「嘲笑」が混じっていることは明らかだった。
 それは(無論、決して比べるものではないのだが)「同年代達」による「いじめ」にも似ていた。彼が「弱者」であることを知り、だからこそ「強者」である自分らは「安泰」だろうと。決して「反撃」されることはなく。彼に唯一出来ることといえば、頭を垂れて「許しを請う」ことのみであると――。
 自らが「臆病者」であることを知っているから。「勇者」になどなれぬことを分かっているから。生まれ持った「性質」はもはや「残酷」なほどに彼の「運命」を縛り付け、その「身」も「心」も逃れられない「牢獄」へと捕えてしまうのである。それでも――。

「僕は、もう『臆病者』なんかじゃない…!!」

 彼は叫ぶ。自らの「意志」を表明するように。そうありたい、と「願い」を口にするように。彼は、今まさに「勇者」となったのだった――。

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おかず味噌 2020/11/29 16:00

ちょっと悪いこと… 最終話「失便と未来」

(第三十一話はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/395268

 ついに――。私は「やってしまった」。
「彼」の前で、ではなく「弟」の目の前で「お漏らし」を――。
 しかも「おしっこ」ではなく、それよりずっと恥ずかしい「うんち」を――。
 その上「健康便」ではなく、それよりずっと柔らかい「下痢便」を――。
「スカート越し」に「ショーツの中」に、思いきり「ぶちまけて」しまったのである。

「失便」「着衣脱糞」「うんちお漏らし」――。
「排泄感」「不快感」「絶望感」。
 私の「姿」を見た純君は、というと――。
「驚嘆」「憐憫」「同情」。
 その姿を「視られた」私は、というと――。
「羞恥」「背徳」「後悔」。
 それらが「綯交ぜ」となった「感情」の中で――。
「うんち漏らし」の「快感」によって――。
 思いがけず、私は「達した」のである。

 純君は私の「後始末」を「手伝う」といっておきながら――。
 私の「スカート」を捲り上げ、私の「ショーツ」をずり下ろし。
 私の「粗相の跡」を「確認」し――。
 こともあろうに、私の「うんち」を「堪能」し――。
 それから、「姉弟」としてあるまじき「行為」。
 私の「アナル」に「ペニス」を「突き立て」――。
 それによって、またしても私は――、
「果てた」のであった。

 これまで「数度」の「小・お漏らし」。
 私にとっては、すっかり慣れた「感触」とその「感覚」。
 だがそれを遥かに凌ぐ、まさかの「大・お漏らし」によって――。
 私は――、私自身は――、私の「日常」は――。
 果たして、どう「変化」していくのだろう。

 何はともあれ、私の「物語」はこれにて「閉幕」。
 それでも私の「人生」は相変わらず「続いて」いくのだろうが。
 ひとまず、一旦は「お仕舞い」。
「終わり」か「始まり」か、それすらも分からないけれど――。
 とりあえず、ここで「完結」を迎えることとなるだろう。

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おかず味噌 2020/11/20 16:00

ちょっと悪いこと… 第三十話「弟の視点 ~御恩と咆哮~」

(第二十九話はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/382975


――純君、お姉ちゃんもう出ちゃいそうなの…。

「両手」で必死に「お股」を押さえて、「涙目」になりながらお姉ちゃんは言う。

――お願いだから、「おトイレ」に行かせて…!!

 お姉ちゃんは僕に「懇願」する。昔から「お願い」するのは、大抵「僕の方」だった。いつだって、僕の欲しい「玩具」を持っているのは「お姉ちゃんの方」だったし(お姉ちゃんが持っているから欲しくなるのであって、いざ手に入るとすぐに飽きてしまうのだが)、「遊んでほしい」「構ってほしい」とゴネるのはもはや僕の「専売特許」だった。だけど「今だけ」は――。

 お姉ちゃんの「望むもの」は――、「行きたい場所」は――、僕の「方」にあった。
「廊下」の真ん中、「トイレ」の真ん前で、僕たちは向かい合っていた。僕の「後ろ」、お姉ちゃんから見ると僕を隔てた「向こう側」に「それ」はある。今、最もお姉ちゃんが求めるべき「救いの場所」が――。

「優秀な姉」を持つというのは「弟」からすると「タイヘン」なものなのだ。あからさまに「比較」されることは少なくとも、度々「お姉ちゃん」を「引き合い」に出され――、「お姉ちゃんはこうだった」とか「お姉ちゃんはこうじゃなかった」と「大人たち」は皆、ただ「姉弟」というだけで「同じだけ」の「願望」を僕に求めてくる。

「中学」に上がって「最初」の「クラス」の「担任」は、かつてお姉ちゃんを受け持ったことのある「先生」らしい。最初の「ホームルーム」の後、僕はその「先生」に――、

「松永さんの『弟』なんだね」

 と言われた。大して「珍しく」もない「名字」だが、「名簿」を見てなぜだか「ピン」と来たらしく――。数多くいる「教え子」の内、それから数年が経つにも関わらず。ただ「名字が同じ」というだけで「もしや」と思い出されるほど、それくらいにお姉ちゃんの「威光」は「健在」であるというわけだ。そして――、

「『期待』してるよ!」

 と、なぜか「謎」の「信頼」を寄せられたのだった。それを言われた僕はというと、「嬉しい」とか「良かった」という気持ちは全くなく。むしろ、盛大な「プレッシャー」に「押しつぶされそう」になっただけだった。

「親戚」やはたまた「両親」に対しても、その「恩恵」は「有効」で。それはまさしく「水戸黄門」の「印籠」のように。「偉大な姉」の残した「功績」は、あくまで僕のほんの少し先にある「足跡」として――僕が望む望まないに関わらず――僕の進む「道」を、「歩きやすい」ように「明るく照らす」のだった。(それが、実は僕を「歩きづらく」させているのは別として…)

 いつだって「家族」の話題の中心は「お姉ちゃん」にあり、そこにおいて僕はただただ「従者」の如く、まるで「助さん、格さん」のように「脇役」に甘んじるしかなかった。
 そうしていざ――最近「漫画」なんかで流行っている「スピンオフ作品」のように――僕に「スポットライト」が浴びせられると。ただ「弟である」というだけで、「過度」な「期待」は容赦なく僕に「降り注ぐ」のだった。そしてそれは僕が「大きくなる」につれて、より「分かりやすい」ものになっていった――。
 思えば、僕がある「時期」から「無意識」にお姉ちゃんを「避ける」ようになったのも、そうした「姉の七光」に「嫌気が差した」からかもしれない。

 だけど、あくまで今この「瞬間」だけにおいては――、
「立場逆転」。今や「エラい」のは「年長者」である「姉」ではなく、僕より「勉強」が出来る「大学生」のお姉ちゃんではなく、「不出来」な「弟」である僕の方だった。

 僕はお姉ちゃんを「トイレ」に行かせないよう、「通せんぼ」をしていた。

 別にお姉ちゃんを「嫌っている」わけでも、「ムカついている」わけでもない。むしろ「あんな事」があってさえ僕に対する「態度」を変えることなく、変わらず「優しい」お姉ちゃんのことが僕は「大好き」だった。でも、それとこれとは話が別なのだ。
 あくまで「いじわる」のつもりだった。似ているけれど「いやがらせ」とは違うし、ましてや「いじめ」なんかではないつもりだった。

――このままだとお姉ちゃん、「お漏らし」しちゃう…。

 ついにお姉ちゃんの口からその「言葉」が飛び出す。「お漏らし」という「四文字」。「大人」がほとんど言うことなく、ましてや決してすることのない「恥ずかしい失敗」。
 その「一線」を今、お姉ちゃんは「越えよう」としていた。
「アソコ」が「ムズムズ」してくる。「全身」から「そこ」に「血液」が集まってくるような感覚と同時に、僕の中の「意地悪な気持ち」がさらに加速し、高められてゆく――。

――ダメだよ。

 僕は短く言った。すると、お姉ちゃんの顔に「絶望」が浮かんだ。

――いいじゃん。どうせ、いつも「お漏らし」するんだから。

「皮肉」を込めて僕は言った。自分の口からも出たその「ワード」に、僕はまた少し興奮を覚えた。

――イヤだ!!恥ずかしいから…。

 お姉ちゃんは下を向く。その体は「小刻み」に震え、何度も足を組み替えたりしている。かなり「限界」が近いのだろう。
 お姉ちゃんが押さえた「スカート」のその「内側」――、その「中」の「景色」を、僕はすでに知っている。そこから「溢れてくるもの」についても、もう僕は一度視ている。
 だからこそより「リアル」に、お姉ちゃんの「我慢」がひしひしと伝わってきた。

――本当にムリ!!「おしっこ」出ちゃう!!でりゅ~!!!

 そして。ついにお姉ちゃんは「決壊」を迎えた。スカートの中から「一筋」の「水流」がもたらせられるはずだった。そこで僕は――、


「目を覚ました」のだった。


 一瞬、何が起こったのか分からなかった。ついさっきまで、確かに「廊下」にいたはずなのに、次の瞬間には「ベッドの上」にいた。あるいはこれが「瞬間移動」「空間転移」というものなのだろうか。それとも、あまりに「衝撃的」な光景を目にしたことで、僕は「気絶」してしまったのだろうか。
 だが。「記憶」を紐解くように、一つずつ順番に「思い出して」みようとすると――。所々に「空白」があり、そもそもそこに至った「過程」というものがごっそりと抜け落ちていた。それに。よくよく考えてみれば、あまりに「チグハグ」であり得ない「状況」だった。「夢」を見ていたのだと、そこで僕は初めて気付いた。

「夢」というものはどうしていつも「唐突」に、それも一番「肝心な良い所」で終わってしまうのだろう。あともう少し、ほんの一息で「クライマックス」が見れたというのに。「ラストシーン」はいつだって、手の届かない場所にあるのだ。

 僕はもう一度、「眠ろう」かと考えた。あるいは「続き」が見られるかもしれない、と淡い期待を抱いたからだ。だけど経験上、「見たい夢の続き」は決して見れないものなのだ。であるならば、まだ「夢想」が「リアル」な内に、せめて自分の「想像」で「先」を補おうと。僕は目を閉じて、瞼の裏にその「情景」を思い浮かべた。
 すでに「固く」なった「おちんちん」に手を伸ばす。それを「想像の世界」を旅する「乗り物」の「ハンドル」に見立てて、強く握りしめる。

――本当にムリ!!「おしっこ」出ちゃう!!でりゅ~!!!

 そこまで「巻き戻し」、「再生」する。聞き馴染んだお姉ちゃんの「声」で、夢の中の「発言」を「再現」する。そして、今度こそ――。

――ジョボボボ…!!!

 お姉ちゃんは「お漏らし」をした。お姉ちゃんの「スカートの中」から生み出された「おしっこ」が強かにフローリングに打ち付けられる「音」を、確かに僕は聴いたのだ。
 お姉ちゃんの「パンツ」がみるみる内に濡れ「湿った色」になってゆくのを僕は視た。(本当は「見えない」のだろうけど、想像は「夢の中」以上に「思い通り」なのだ)
 何度だって、その「瞬間」を繰り返す。最初の「一滴」が零れ落ち、やがてそれが「滝」になってゆく様子を観察する。そして、何度目かの「繰り返し」の時。お姉ちゃんの「決壊」と同時に、それに合わせるように、僕は「射精」した。

――ドクン、ドクン…!!

 全身を包み込む「気怠い」感覚と、おちんちんに残った感触。その「余韻」にしばらく浸っていた。そしてそれらが引いていくと同時に、失っていた「罪悪感」が襲ってくる。「イケないことをしている」という実感が確かにあった。

――これでもう「何回目」だろう…。

 お姉ちゃんのことを「想って」、お姉ちゃんを「おかず」にしてしまうのは――。
 その「行為」を「覚えて」からというもの、それをする時はいつだってお姉ちゃんのことを考えてしまう。「状況」は違えど、時には「テレビ」や他で見た「創作物」を頼りにしながらも、けれど「相手」はいつも「お姉ちゃん」だった。そして、「妄想」の中の「彼女」は何度だって「お漏らし」をしてしまうのだった。

 僕はきっと「オカシイ」のだろう。「家族」であるお姉ちゃんに対して「そういう目」を向けてしまい「あらぬ想像」を抱いてしまう。もはや「異常者」以外の何者でもない。僕はすっかり「変態」になってしまったのだ。
 でもそれは、何も「僕だけのせい」ではない。「お姉ちゃんのせい」だってあるのだ。「あの夜」お姉ちゃんは少し「ヘン」だった。僕の部屋に入ってきた時から、お姉ちゃんの「様子」はどこかいつもと「違って」いた。
 いや、「ヘン」だったのは僕だって同じだろう。いくら「秘密」がバレたからといってあんな「告白」を、さらにはあんな「お願い」をお姉ちゃんにしてしまうなんて――。

 あの夜の「出来事」こそ、まさに「夢の中」みたいだった。何度「正確に」思い出そうとしてみても、上手くはいかなかった。あれほど「リアル」に、僕のすぐ「目の前」にはお姉ちゃんがいて。お姉ちゃんの「お尻」に「お股」に「触れる」ことだって出来ていたのに。その「感触」を「匂い」を思い返そうとすればするほど、それらは「モヤ」が掛かったみたいに、薄い「ベール」を隔てた「向こう側」にあって、決して「触れられない」場所に存在するみたいだった。
 一つ一つの「行為」は「体験」はそれこそ「断片的」に思い浮かべられ、まさしくそれは「夢」のその「特徴」にとてもよく似ていた――。

 僕は「ベッド」から起き上がる。今日は「休み」でまだもう少し「ごろごろ」していたかったけれど、いつまでも寝ているとまた「ママ」に叱られてしまう。
 それにもう少し寝るにしたって、その前に僕には「やらなければならない事」がある。
 僕は「パジャマ」も「トランクス」も脱がずに「射精」してしまっていた。その方が「いざ」という時――急にママが僕の部屋に入ってきた時など――に「緊急回避」することが出来るし、何より僕としてはその「方法」のほうが、何かに「包まれている」ような気分がしてより「安心」するのだった。
(本当ならば「お姉ちゃんのパンツ」に出したいところだが、僕の「悪事」が「バレて」しまって以来、それは控えるようにしている)

 だけど。分かりきっていたことだが、自分の下着の中に「出してしまう」というのは、その後が「気持ち悪い」のだった。これは最近「発見」したことだが――、「精液」というのは、出た「直後」はドロドロと「ゼリー」のような感じをしているが、時間が経つと「液体」のようになってしまう。それが「トランクス」に付き、濡れてしまう。まるで「お漏らし」をしてしまったような「冷たい」感触。あるいはお姉ちゃんも「同じ感触」を味わったのだろうか。

「ベッド」を出て「洗面所」に向かう。パジャマの上からだとさすがに「濡れている」のは分からないだろうが、「臭い」はするかもしれない。それに下着を「洗っている」のを見られないようにしなければ。やはりそれも「あの夜」のお姉ちゃんと「同じ」だった。
 ゆっくりと、なるべく音を立てないように「ドアノブ」をそっと回そうとした。そこで僕は思い出す。今日は家に誰も「居ない」ことを――。

 そういえば昨日の夜、ママに聞かされていた。
「明日はパパの会社の人の結婚式に行く」のだと。
「パパ」だけでなく「ママ」も結婚式にわざわざ「お祝い」に行くということは、ママの「知り合い」でもあるのかと思い僕がそう訊くと、どうやらそうではないらしい。
「付き合いよ」とママは苦笑しながら答え、パパはなんだか申し訳なさそうに小さくなっていた。「そういうものなのか」と僕にだって少しくらいは「大人の事情」というものが理解できたが、「大人はタイヘンだな~」とやはり子供じみた感想を抱いただけだった。

 お姉ちゃんは今日も「バイト」らしく、夕方まで帰らないらしい。ということはつまり、今この「家」に居るのは「僕だけ」ということになる。
 こんな事なら、もう少し寝ていても良かったと「後悔」した。「口煩い」ママの居ないこんな日だからこそ、ここぞとばかりに「自堕落」を発揮するべきだった。
 それでも。せっかくの「休日」なのだから、もう少し「有意義」に過ごそうという気持ちがしないでもなかった。
 だがどちらにせよ、まずはその前に、僕には「やるべき事」があった。
 僕はもはや「堂々」と、誰に「遠慮」することもなくドアを開け「廊下」に出た。そこで、確かに「その音」を聞いたのだった。

――ピチャピチャ…。

 あるいは「お漏らし」にも似た「水の音」。それは「洗面所」の方から聞こえてきた。

――「誰か」いるのかな…?

 僕の「疑問」はけれど「不安」に変わることはなかった。少なくとも「家族の誰か」であるに違いないと思ったからだ。
 となると、あくまで確率は「三分の一」。それはやがてある一つの「可能性」へと絞られてゆく――。

――もしかして…?

 僕の脳内に「あの夜」覗き見た「光景」が蘇ってくる。決して「夢の中」の「出来事」じゃない。紛れもなくそれは「現実」のものだった。
 お姉ちゃんはまた「やってしまった」のだろうか。あれほど僕の前で「反省」したにも関わらず。だけど思えば、お姉ちゃんは「謝り」はしたものの「もうしない」とは言っていなかった。

「音」を立てないように「静か」にドアを閉める。「あの夜」と同じように、「抜き足」「差し足」「忍び足」で。僕は「白昼夢」を見ているかのように「その場所」を目指したのだった――。

「近づく」につれて、どうやらその「音」が「洗面所」から聞こえてくるものではないことに気づく。もう少し「奥」、それは「浴室」から届いてくるものだった。
 誰かが「シャワー」を浴びているらしい。どうして「こんな時間」に?誰もいないはずの「家の中」。あるいは「家族」ではない「誰か」を想像し、少しばかり僕は「不気味」さを感じた。
「恐怖心」を抱きつつも、けれどわずかに「好奇心」が勝った。恐る恐る、「入口」から「顔だけ」出して覗き込む――。

 曇った「摺りガラス」越しに「シルエット」が浮かび上がっている。だがそれだけの「情報」では「人物」を「特定」するには至らなかった。
 やがて「溜息」が聞こえてくる。聞き慣れた「声」。それは紛れもなく「お姉ちゃん」のものだった。だがそこで再び、僕の中に幾つかの「疑問」が浮かぶ――。

――お姉ちゃんは「バイト」じゃなかったのか。
――どうしてこんな時間に「シャワー」を浴びているのだろう。

 それについて考えている内に、やがて「シャワー」が止められ「水音」が止んだ。

――ヤバい!!

 ここに居るのが知れたら、またしても僕は「あらぬ疑い」を掛けられてしまう。
(いや、かつて僕に掛けられた「嫌疑」はあくまで「冤罪」などではなかったのだが…)

――早く、ここから「逃げ」なければ!!

「逃亡」を図る間もなく「二つ折りの扉」が開かれる。そしてそこから「伸びてきた腕」を目にした時、僕の「視線」は引き剥がせなくなり、僕はそこから動けなくなった。

 お姉ちゃんは「服を着ていた」。

「裸を見れるかも」と少なからず抱いていた「淡い期待」は、けれど「裏切られる」ことになる。「がっかりする」と同時に、またしても次の「疑問」が生まれる。

――どうして?お姉ちゃんはシャワーを浴びていたんじゃなかったのか?

 あるいは「お風呂掃除」でもしているのだろうか。お姉ちゃんのことだから――、それもあり得る。ロクに「お手伝い」もしない僕とは違い、お姉ちゃんは「家事」だって難なくこなすのだ。だけど、どうやらそれも違うらしい。

「フタ」を閉めた「洗濯機」の上には、お姉ちゃんの「パンツ」が置いてあった。

 それがそこにあるということはつまり――、お姉ちゃんは今、「下」を「穿いてない」ということだ。
「お風呂掃除」で「服が濡れる」ことを「防ぐ」ためだろうか。いや、それだってわざわざ「下着」まで脱ぐ必要はないだろう。
 幾つかの「事実」により「消去法」によって残された一つの「可能性」。それはつまり「習慣」としての「入浴」ではなく、あくまで「突発的」な「理由」によって、「必要」に迫られての「沐浴」。僕が「最初」に考えた通り、やっぱりお姉ちゃんは――。

 再び、その「想像」に思い当たったことで。さらに僕はそこから動けなくなる。またしても、お姉ちゃんは「お漏らし」をしてしまったのだろうか?これで一体「何度目」なのだろう。とはいえ、あくまでそれはお姉ちゃんの口からもたらせられた「伝聞」のみであり、実際に僕がそれを「目撃」したわけではないのだが、それでも――。
 お姉ちゃんの「自白」を裏付ける、厳然たる「証拠」として。あるいは「洗濯機の中」には今、お姉ちゃんの「下着」が、「おしっこ」によって濡れた「お漏らしパンツ」が、入っているのだろうか。

「距離」にしてほんの「数歩」。あと少し手を伸ばせば、僕はそれを「ゲット」することが出来るかもしれない。紛れもないお姉ちゃんの「粗相の証」を、「行為」の「成果物」を、この手に収めることが叶うかもしれない。
「壁の影」に隠れたまま、僕はそこから少しずつ「身を乗り出す」。すでにお姉ちゃんは「体を拭く」行程に至っているにも関わらず、「罠」にハマる「小動物」の如く、僕は「無警戒」にも「洗面所」に「足を踏み入れた」のだった。

 そこで。「浴室」から出てきたお姉ちゃんと「目が合って」しまう――。

 より「正確」にいうなら、僕とお姉ちゃんの「目線」は決して「交わる」ことはなかった。なぜなら僕の「視線」は、お姉ちゃんの「下半身」に注がれていたのだから――。

 僕の目はまさしく、お姉ちゃんの「パンツ」に「釘付け」になっていた。
「下着姿」のお姉ちゃん。淡い「水色」。僕の「物色」の「記憶」の中にはない、それは「初めて」見るものだった。
 そして――。「下着」そのものなら、それ「単体」ならば何度も「見ている」ものの。それをお姉ちゃんが「穿いている」のを見るのは、やはり「初めて」のことだった。

 僕はさっき「予め」、「射精」しておいて良かったと思った。これも最近「発見」したことなのだが――、「射精後」というのは「回復」までにそれなりの時間が掛かるのだ。
 いかに「刺激」を与えても「反応」せず、「アソコ」は「元気」にならないのだ。
 だからこそ。すでに一度「射精」を終えていたのは、まさしく「僥倖」といえた。
(もちろん「その後」にこんな「展開」が待ち受けていることなど、思わぬ「おかず」がもたらせられることなど、僕には知る由もなかったのだが…)
 あるいは「射精前」であったなら――、僕は「勃って」しまっていたかもしれない。
 お姉ちゃんの「パンツ」を目にしたことによる僕の「反応」を、「条件反射」とでもいうべき「欲情」を。パジャマのズボンの「前面」に表れた「隆起」によって、知られてしまったかもしれない。僕の「勃起姿」を見られていたかもしれなかった。

 僕の「安堵」とは別に、むしろそれについては「そっちのけ」で。僕の「視界」は相変わらず、お姉ちゃんの「そこ」で満たされていた。
「勃って」いようといまいとも「男子」であれば確実に「あるはずのモノ」が。だけど、お姉ちゃんには「存在しなかった」のである。
「考える」までもなく、それは「当たり前」だった。「保健の授業」で習わずとも、僕はそれを「知っている」。「男子」における「性器」、その「棒状のモノ」の「代わり」として、「女子」には「性器」としての「穴」が「付いている」のである。

 お姉ちゃんの「下半身」、「パンツ」のその「前面」には「何も無かった」。そこに「起伏」はなく「隆起」するものもなく。ただ「なだらか」な「見た目」をしていた。
「パンツ」の上部、その左右には「腰骨」が張り、浮き出ている。細くなった「側部」の「布」は「上半身」と「下半身」とを分かち、その真下からお姉ちゃんのか細い「太腿」が伸びている。
「腰の部分」をよく「観察」すると、「白い部分」と「やや褐色の部分」とが「境界線」を表わしていた。それは恐らく、お姉ちゃんの「穿いていた跡」なのだろう。
 その「下着」は、普段お姉ちゃんが「穿いている」ものより、いくらか「小さめ」の「サイズ」らしい。特に「派手」というわけではなかったものの、果たしてお姉ちゃんはその「小さめの下着」を穿いて、これから「どこに行く」というのだろう。確か、今日も「バイト」だと言っていたはずだ。だけど、それは「本当」なのだろうか――。

「パンツ」の上限、その「ど真ん中」には、可愛らしい「リボン」のようなものがあしらわれていた。
――「プレゼント・フォー・ユー」。
 まるで「贈り物」のような「装飾」は、あるいは誰かに「捧げる」ことを意図したものなのかもしれない。
 さらに「注視」したところで、僕は気づく。「布」と「下腹部」との「境目」、そこには何やら「モジャモジャ」としたものが「はみ出て」いることを。
 それはお姉ちゃんの「陰毛」だった。あくまで「俗称」ではあるのだが、「男子」と「女子」とでその「呼び名」は変わってくる。お姉ちゃんは「女子」だから当然、それは「マン毛」ということになる。
「パンツ」の中に「収まり」きらなかった、お姉ちゃんの「マン毛」が「数本」ばかり「はみ出して」いたのだった。

 些細な「綻び」さえ決して見逃さない、僕の鋭い「観察眼」でもって改めて「パンツ」の「中央部」を確認してみると。その「前面」が実は「なだらか」ではないことを知る。
 そこには「ぷっくり」と、「穏やか」ながらも確かな「丘」があった。「凹凸」などはもちろんない。だけど、お姉ちゃんの「ぺったんこ」の「お腹」とは違う、わずかながらも「膨らみ」があった。
 それこそまさに――、その「内奥」に「洞穴」の如く、お姉ちゃんの「性器」が存在していることの「証明」であった。

「時間」にして、たった「数秒」。その間に僕は「それだけのこと」を思ったのだった。そして間もなく僕の「思考」は、まさしく「お姉ちゃん自身」によって「遮られる」ことになるのだった――。

「純君、起きたの?」

 お姉ちゃんは僕にそう訊ねる。僕が「そこに居た」ことに少なからず「驚き」はしたものの、「どうして?」とは訊かれなかったということはつまり――。お姉ちゃんは僕が「家に居る」ことについては、あくまで知っていたらしい。

「うん、さっき起きたところ…」

 別に「嘘」はついていない。目覚めたばかり、というのは「本当」だった。あくまで「ナニをした」ことを除けば――。

「てか、お姉ちゃんどうしたの?」

 今度は僕が「質問する番」だった。

――「どうして」家に居るの?
――バイトは「どうした」の?
――「どうして」シャワーを浴びていたの?

 そこには様々な「疑問」が「一つの問い」として含まれていた。

 僕に「訊かれた」お姉ちゃんは、分かりやすく「動揺」する。その「反応」がもはや「答え」を表わしているようなものだった。
「優秀」であるはずのお姉ちゃんの「弱点」、昔から「嘘が下手」なのだ。

「いや、なんか『汗』かいちゃって。昨日の夜、ちょっと『暑く』なかった?」

 ほら、やっぱり――。
「ジュースをこぼした」とでも言えば良かっただろうに。むしろここ数日「冷え込んで」きたというのに。お姉ちゃんの「嘘」には、あまりに「無理」があった。
 何か「別の真実」を「隠そう」としているのは「明らか」だった。そして「隠したい」ということはつまり――、

――もしかして、お姉ちゃんまた「お漏らし」しちゃったの?

 僕の口が、そんな風に動こうとした時。けれど「動き出す」のはお姉ちゃんの方がわずかに早かった。
 今さらになって、お姉ちゃんはようやく「それ」に気づいたらしく。ふいに「慌てた」ように、手で「パンツ」を隠そうとする。もはや「手遅れ」であるにも関わらず。
 あるいはその「格好」はまるで――、「我慢している」みたいだった。

「あっ、ごめん…!!」
「ごめんなさい…!!」

 僕たちは「同時」に謝った。やはり似た者「同士」なのだろうか。
 それにしても。「見た側」の僕は分かるとして、「見られた側」のお姉ちゃんまでもがどうして「謝る」のだろう。
 お姉ちゃんがどう思うかは別として。僕としてはむしろ「嬉しいハプニング」であるはずなのに。(いや、それをそう感じることが「姉弟」としては「間違い」なのだろう)

 みるみる内に「羞恥」の顔を「染めた」まま――、すかさずお姉ちゃんは僕の「横」をすり抜け、そのまま「歩き去って」しまう。「洗面所」に「一人」取り残された僕は、元々の「目的」を果たすことが出来ぬまま、ただ茫然と「立ち尽くす」しかなかった。

「今日は『パパ』と『ママ』、居ないみたいだね」

 再び、戻ってきたお姉ちゃんに声を掛けられた時、僕は顔を洗う「フリ」をしていた。「洗面所」に来たのだから、何かしら「目的」が無ければ「不自然」だろう。あるいは、僕が「覗こう」としていたことが「バレて」しまうかもしれない。

「うん。『結婚式』って言ってたよね」

 水を止めて、僕は答える。
――どうして、そんな「分かりきったこと」を訊くのだろう?
 昨日の夕食の時、お姉ちゃんだってその場に居て「聞いていた」はずだ。だが質問の「意図」はともかくとして――、顔を洗い終えた僕はそれ以上することもなく、仕方なく振り返ったのだった。

 お姉ちゃんは「寝巻用」の「ショートパンツ」を穿いていた。そのために一旦部屋に「戻った」らしい。(僕としては少し「残念」だったが、まあしょうがない)

「純君、今日は何するの?」

 お姉ちゃんに訊かれる。何の「変哲」もないその「質問」に――、けれど僕は無駄に「勘繰り」を覚えてしまう。

「べ、別に…!!『ゲーム』でもしようかなって…」

 僕としてはなるべく「平静」を装ったつもりだった。だがそれこそが「余計」だった。休日の「予定」など特に決めてはいなかった。だからそこは、いつもみたいに「別に…」と答えるだけで良かったのだ。にも関わらず、僕はお姉ちゃんのその「問い」に何かしらの「疑心」を感じ取ったのだった。(ある意味でそれは「正解」だったのだが…)

「そっか…。ちゃんと『勉強』もしなくちゃダメだよ?」

 お姉ちゃんは「ママ」みたいなことを言う。だけどその「口調」はあくまで優しく、「諭す」ような「物言い」だった。というよりもむしろ「心ここにあらず」という様子で、お姉ちゃんは「別の何か」を「言いたげ」だった。

「お姉ちゃんは、今日も『アルバイト』?」

 やはり「分かりきったこと」を僕は訊ねる。

「うん…、そうだよ」

 そう答えたお姉ちゃんは、やっぱり何かを「隠している」みたいで。あるいはそれを僕に「打ち明けよう」としているみたいにも思えた。
 だけど結局、その「真実(?)」がお姉ちゃんの口から告げられることはなく、お姉ちゃんの口元がそう「形を取る」ことはなく。あくまで「真相」は分からないまま、やがて「憑き物」が落ちたみたいに。やがてお姉ちゃんの顔からは、その「気配」がすっかり「消え失せて」いた――。

「早起きは三文の得」というのは、どうやら本当らしい。(別に「早起き」でもなかったし、そもそも「得」ではなく「徳」なのだと知ったのはかなり後になってからだった)
 お姉ちゃんは僕に「お小遣い」をくれた。「夕食代」とのことらしい。「帰り」が遅くなった時のために、すでにママからも「500円」を貰っていたから「断ろう」と思ったが、今時「小銭」だけではやや「頼りなく」。お姉ちゃんが何度も「いいから!」と言うので、貰っておくことにした。
 それに。お姉ちゃんから「お小遣いを貰う」のは、何だかとても「懐かしい」ような気がして――、僕はしばらくその「千円札」を大事に「取っておこう」と思った。

「ありがとう…」

 僕が「お礼」を言うと、お姉ちゃんは「満足」したらしく。

「じゃあ、お姉ちゃんは『準備』があるから――」

 と、自分の部屋に帰って行った。

 僕も一旦、自分の部屋に戻ることにした。未だ「ズボン」と「下着」は「濡れたまま」で、すっかり「冷えた感触」は落ち着かなく、とても気持ち悪かったが。それを「処理」するためには、お姉ちゃんが「家を出て行く」まで待たなければならなかった。
「射精」からまだあまり時間が経っていないにも関わらず、下着の中で「おちんちん」が「膨らんで」きているのが分かった。ついさっき見た「光景」によって、再び「燃料」を与えられ、「そこ」が確かに「熱」を帯びていくのが分かった。

「おちんちん」を「ズボン越し」に「弄ぶ」こと「数十分」。ようやくお姉ちゃんが家を出て行った。「玄関」から「物音」が聞こえ、僕は部屋のドアを「こっそり」と開けて、お姉ちゃんの「後ろ姿」を眺めていた。(何だか、お姉ちゃんがとても「遠い場所」に行ってしまうような気がした――)

 僕はすぐさま部屋を出て「洗面所」に向かう。「濡れた下着を洗う」前に、けれどまず「洗濯機の中」を漁り始める。「イケない」と思いつつも、僕はどうしてもその「誘惑」に打ち克つことが出来なかった。
 すっかり「慣れた手順」で、一番上にある「タオル」をめくり、その下にある「それ」を容易く探り当てる。

――本日のそれは「黒」だった。

 まだ少し「温かい」、紛れもないお姉ちゃんの「体温」の残った「それ」を「広げ」、「内側」を「確認」する。

――お姉ちゃん、ごめんなさい…。

「懺悔」しつつも、あくまで「これで最期」と誓う。
お姉ちゃんの「パンツの中身」、その「お尻」の部分には――、

「ばっちり」と「ウンスジ」が付いていた。

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おかず味噌 2020/11/06 16:00

ちょっと悪いこと… 第二十八話「私の視点 ~因果と応報~(7)」

(第二十七話はこちらから↓)
https://ci-en.dlsite.com/creator/5196/article/382971


彼は「入口」に肩をもたれながらこちらを――、「お漏らし」した私を――見ていた。そこが「女子トイレ」であるにも関わらず。
 彼の「顔」には――、どのような「表情」も浮かんではいなかった。だからそこから「感情」を読み取ることは難しかった。
 それでも――。私は「震えて」いた。「ローター」のせいでも、体が「冷えた」せいでもない。もっと「奥底」から沸き上がるそれは――、「恐怖」だった。

「ごめんなさい、私やっぱり…」

 何かを問われる前に、まず「言い訳」をする。言いながら――、私の「下半身」からはまだ「おしっこ」が「ポタポタ」と滴っていた。
 それから「数秒」の――私にとってはもの凄く「永く」感じられた――「沈黙」の後、彼はようやく「声」を発した。

「また、『お漏らし』しちゃったんだね?」

「呆れた」ように、私に問う。

「はい…。また『我慢』出来ませんでした…」

 もはや「定番」となった「やり取り」を交わす。すっかり「慣れた」はずの「会話」も、けれどやはり改めて口に出されると――、何度だって「羞恥」はこみ上げてきた。
 すると突然、彼は私に「近づいて」きた。「大股」で私の元へと歩み寄り、そのまま私を「個室」へと追いやり、それから手早く「カギ」を掛けた。

 果たして彼が「怒って」いるのか、あるいは「興奮」しているのか、私には判らなかった。いや、これは恐らく――。

――ドン!!

 と、彼は私のすぐ横の「壁」に手を突いた。初めてされた、これがいわゆる「壁ドン」というやつだろうか。と、「呑気」なことを私は思った。

「結衣、言わなかったっけ?」

「低い声」で彼に「問い詰め」られる。私はそれに「答える」ことが出来なかった。

「今日は『外でお漏らし』するって、言ったよね?」

 そうだ、そもそも「私から」言い出したことなのだ。それなのに――。

「言いました。でも、やっぱり『恥ずかしくて』…。それに――」

「他の人に『迷惑』掛かるから…」と、消え入りそうな声で私は呟いた。
 私の「真面目さ」は最後の最期になって「私自身」を――、私の「素行不良」を――、決して「赦して」はくれなかったのだ。

「そう思うなら、ちゃんと『我慢』すれば良かったじゃん!」

 彼は私に「無理難題」を押し付ける。

「だって…」

 私だって、ここまで「精一杯」、もはや「限界」まで「我慢」したのだ。だけど――。

「あんなに床『びしょびしょ』にして――」

――「清掃」の人の「迷惑」までは考えなかったの?
 言われてみれば確かに――、そこまでは頭が回らなかった。そこは「トイレ」であり、すぐ目の前に「便器」があるにも関わらず。それなのに私は「間に合わなかった」のだ。いや、あるいは仮に「間に合っていた」としても、果たして私はきちんと「便器」でそれをしただろうか。

「自分でスカート捲って、見せてごらん!」

 彼に言われた通り、私はロングスカートを「たくし上げ」――、「お漏らしショーツ」を見せつける。「ぴったり」と「お尻」に「股間」に「貼り付いた」ままのショーツ。「生温かさ」も徐々に「冷やされ」、何だかとても気持ちの悪い「感触」――。

 すると彼はおもむろに、私の「ショーツ尻」を撫で回し始めた――。

「こんなに『濡らし』ちゃって…。そんなに『我慢』してたの?」

 彼は私の「お漏らし度合」を観察する。しっかりと触って、「濡れ具合」を確認する。彼の手が「触れる」度に、ショーツが「くっついたり」「剥がれたり」を繰り返す――。

「はい…」

 彼は私の「お尻」を「愛撫」する。「ゆっくり」と、それからやがて「陰部」へと向かう――。

「『汚い』ですよ…?」

 彼は答えない。あくまで「無言」のまま、もはや「おしっこ」で濡れることも厭わず、やがて「ショーツの中」へと「指」を滑り込ませる――。
 彼の指が「固いもの」に触れ、それを取り出す。私の「中」に秘められた「ローター」だった。

――ヌポンッ…。

 微かな音を立てて、「役目」を終えたそれが引き抜かれる。すっかり私の「体温」に馴染んだそれを、彼は指で摘まんで私の「眼前」に持ってくる。

「見てごらん!」

「物体」の「表面」が何やら「光って」いる。「濡れている」せいだろう。何しろそれは「発射口」付近にあったものなのだ。だから当然のことだった。だが――。
 彼の「指」は「ローター」から「何か」を「採取」する。「親指」と「人差指」を一度くっつけて、それから離す。

――ヌチャ…。

「粘着質」な音。彼の指は「糸」を引いていた。「ヌラヌラ」と光るそれは「おしっこ」じゃない。その「液体」は紛れもなく――、私の「発情」の「証」だった。

「これは何?」

 意地悪く、彼は問う。分かっている癖に、あくまで彼は私の口からそれを言わせたいらしい――。

「『本気汁』です…」

 どこでそんな「言葉」を覚えたのだろう。自分でも分からなかった。言ったそばから、思わず「赤面」してしまう。

「そっか、結衣は『お漏らし』で『興奮』しちゃったんだね」

 彼に「知られて」しまう。「粗相」による「欲情」を悟られてしまう。

「俺も――」

――「興奮」してきちゃった…。
 少し「ツラそう」に、彼もまた「自白」する。見ると、「ズボン越し」でもはっきりと分かるくらい「隆起」していた。彼の「そこ」もまた「ツラそう」だった。
 彼に「請われる」前に、自らの「意思」で私は動く――。果たしてそれは「慈愛」から来るものなのだろうか、あるいは「母性」にも似た感情なのだろうか、あるいは私自身の単なる「興味」によるものなのか――。
 私は彼の方を向き直して、彼の前でしゃがみ込む。「ベルト」に手を伸ばしてそれを緩めて、次に「ファスナー」を下ろす。さらに「はっきり」と「下着越し」に彼の「モノ」が「顔」を出す。私は下着すらもずり下げた――。

 わずかな「抵抗」を感じつつも、ついに彼の「イチモツ」が姿を現す。「飛び出した」ことで、それは「上下」に揺さぶられた。
 こうして「まじまじ」と見てみると、やっぱり彼のは「大きかった」。「どっしり」とした「重さ」のような――、「くっきり」とした「陰影」のようなものが浮かび上がっている。「ペニス」について、最後に見た「記憶」を呼び覚ます。それは「弟」の「モノ」だった――。

 純君の「可愛らしい」それとは大きく異なっている。まず「サイズ感」が違う。そして「形状」さえも。こんなことを言うのは純君に申し訳ないが――、彼のように「皮被り」ではなく、それは「ズル剥け」の「おちんちん」だった。
 一見して「醜悪」なその「塊」は、けれど私に「本能的」な「欲求」を呼び起こさせる。それが私の「そこ」に「差し込まれる」のことを――、はっきりと「予感」させる。

 だがその前に。まずは口での「愛撫」を試みる。しっかりと口を開いて――、口の中に彼の「ペニス」を誘う。「口内」が彼の「モノ」で満たされる。
 相変わらず「ヘンな味」だった。だけどそれはほとんど「無味無臭」だった。ここでも「純君」を引き合いに出してしまうけれど。「純君の」には「包茎」ゆえの「恥垢」が付いていたのに対して、「彼の」にはそうした「汚れ」のようなものはなかった。
「不快さ」は全くなく、ただ「先っちょ」から「溢れ出す」ものを「すする」と、微かな「苦み」を感じるのみだった。

――じゅるる、じゅぼぼぼ、ぶちゅるんっぱ!!

 盛大に「音」を立てながら――、「愛しさ」さえも感じつつ――、彼の「おちんちん」を「しゃぶる」。「三回目」の「フェラチオ」。少しは「巧く」なっただろうか――。
「裏すじ」にも「舌」を這わせ、「玉」も「竿」も丁寧に均等に舐める。その「動作」が「正しい」のかは分からない。あくまで「見様見真似」というか――、「手探り」のまま「愛撫」は続けられる。そして――。

――モゴッ!!!

 突如として、彼は「ペニス」を私の口に深く「差し入れる」――。同時に私は「呼吸」を奪われてしまう。

――「息」が出来ない…!!

「生命の危機」すらも感じる。私は彼の脚を強く叩き、「降参」とばかりに「タップ」する。だが彼は私を「離して」はくれなかった。
「嗚咽感」がこみ上げてくる。「吐き出したい」けれど、彼の手はしっかり私の「頭部」を「固定」し、わずかな「自由」さえも「許して」はくれなかった。

――ボフッ!!!

「ペニス」と「口」との間に微かな「隙間」が空き、そこから「嗚咽」じみた「汚い音」が漏れる。「腹部」が「脈動」し、同時に自然と「下腹部」に力が込められてしまう。

――ジョボロロ…!!!

 気がつくと、私は再び「失禁」していた。全てを「出し切った」と思っていたけれど、それでもわずかに残っていた「おしっこ」が「漏れ出た」のだった。
 すでに「お漏らし」によって「濡れたショーツ」に「受け止める」力はもはやなく、「押し出される」ように「おしっこ」が流れ出す――。

――ピチャピチャ…。

 足元のタイルに跳ね返り「パンプス」を濡らす。そして、ようやく私は「解放」されたのだった――。

「また、『お漏らし』しちゃったね」

 またしても「羞恥」の言葉が掛けられる。未だ「呼吸」の整っていない私を、彼は強引に「立ち上がらせる」。私に「向き」を変えさせ、彼は私の「後ろ」に立つ――。
 彼は――、私の「お尻」に顔をうずめた。またしても「お漏らし」をしたばかりの、「直後」の「ショーツ」に顔を押し付ける。
 彼の鼻が「割れ目」に当たる。「頬骨」が「口元」が、確かな「痕跡」へと誘われる。

「うん、すっごく『おしっこクサい』!!」

「水から上がった」みたいに、「浮上」した彼は言う。私の「匂い」を彼に「知られて」しまう――。

「言わないで…ください…」

 私は「恥ずかしさ」を吐露し、「拒絶」を口にする。だけど本当は――、それほど「嫌」ではなかった。

「ほら、ここ。『濡れてる部分』とはっきり分かれてるよ?」

 今度は「目」で――、「視姦」される。「お漏らしの跡」を「観察」されてしまう。
 彼に言われて見ると、確かに「染み」は「顕著」だった。
「水色のショーツ」は、主に「下半分」だけが「濃く」なっていた。だが思ったよりその「範囲」は広く、「お尻部分」はもはや「全滅」に等しかった。きっと二度目の「失禁」のせいだろう。
 今日、この「色」を「選んだ」ことを――、私は「正解」だと思った。
「淡い色」であることによって「小便染み」が「くっきり」と浮かび上がっている。微かな「黄ばみ」すらも「はっきり」と――、私の「ショーツ」は「証拠」を表わしている。あるいは「黒」なんかだと、こうはいかないだろう。

 彼は再び、私の「ショーツ」に顔を近づけた。だけど今度は「うずめる」のではなく、あくまで少しばかり「距離」を取った状態で「舌」だけを伸ばす――。
 そして。まるで「テイスティング」するみたいに、彼は「私の味」を確かめる――。
 それについての「感想」を――、彼は口にしなかった。

 彼は私の「ショーツ」を脱がせ始めた。
「腰」に手を掛けてまずはずり下ろし、そして私の脚から引き抜く。「片足」ずつ上げて、私もそれに「協力」した。
 そうして。「お漏らしショーツ」を、彼に「剥ぎ取られて」しまう。私から奪い取ったそれを彼は両手でしっかりと「握り」ながら、「雑巾」のように「絞る」――。

「ボタボタ」と、「ショーツ」に「吸収」された「おしっこ」が「溢れ出す」。
 それはまるで「お漏らし」のように――。

――こんなに…。

 目の前で「疑似的お漏らし」を見せつけられ、私の「剥き出し」の「股間」は「熱く」なる。ささやかな「微風」も、けれど私を「冷ます」には足りなかった。

 そして、彼はおもむろに私の「唇」を奪った。彼の「舌」が「口内」に侵入し、私の「舌」に「ねっとり」と「絡んで」くる。ついさっき、私の「ショーツ」を――、「尿」を味わったはずのそれと――、私は自分の「おしっこ」と「キス」をしていた――。

――苦い…。私の「おしっこ」、苦いよ…。

 それに「クサい」。紛れもない「アンモニア臭」。それこそまさに、私の「おしっこ」なのだ。「香り」と「味」を確かめてしまう。彼は――、そして「純君」も――、こんなものを「飲まされて」いたのか。
 私は少しばかり「反省」する。いかに「興奮」の末とはいえ、たとえ「愛」があろうとも――、こればかりはどうしようもないくらいの「不快感」に違いなかった。

「もう、そろそろ…」

 私は「告白」する。「曖昧」な言葉で、けれど「明瞭」に申し出る――。

「待って。しっかり『ほぐして』からじゃないと!」

 そう言って彼は私の、


「お尻の穴」を舐め始めた――。


――やっぱり「そっち」なのか!!
 私は「絶望」に打ちひしがれる。彼の「興味」は分かっていた。だけど今日は――。

「今日はその…『後ろ』じゃなくて、『前』の方が…」

 尚もめげずに、私は「こっち」を「懇願」する。
 だが、私の「願い」が聞き届けられることはない。あくまで彼はすでに「照準」を定めている。私の「尻肉」を拡げ、その奥にある「穴」ばかりを攻め続ける――。

――また、「うんち」が付いたりしてないだろうか…。

 細やかな「心配」も、けれど今はそれどころではない。それにきっと大丈夫なはずだ。そして、そんなことよりも――。

 このままでは「埒」が明かない。多少「不埒」であろうとも、ここまで来ればもはや「背に腹は代えられない」。今度こそ「はっきり」と、より「直接的」な言葉で言わなければ――。

「『オマンコ』に、入れて下さい!!」

 私はついに言ってしまう。その「響き」に掻き立てられる「焦燥」のようなものを感じながらも――、今やすっかり慣れ親しんだものになりつつあった。

「『オマンコ』、して下さい!!」

 その「単語」を、今度は「動詞」へと「活用」させる。そんな「用法」は本来ないのだが――、それを言うならそもそも「辞書」に載っていない「俗称」なのだ。

 ようやく私の「懇願」を聞き入れる気になったのだろうか。彼の「執拗」な「執着」が留められる。「お尻の穴」から口を離し、その口で彼は言葉を発する。だが――。

「でも、結衣の『アナル』。『ヒクヒク』してて、すごく可愛いよ?」

「可愛い」と褒められることに「慣れていない」私は、この期に及んで「取って付けた」ようなそんな「賛美」にさえも、分かりやすく「狼狽」してしまう。
 そうなのかもしれない。だが、たとえそうだとしても――。

 彼は昨日、確かに「約束」してくれたのだ。明日は「オマンコ」に「入れる」、と。
 あるいはそれもまた言い出したのは私の方であり、私が勝手に盛り上がってしまっていただけなのかもしれない。それでも、彼は「いっぱい突いてあげる」と、「どちらを」とは言わないながらも、話の流れから「そちら」であることはもはや「確定」だったのにも関わらず。それなのに――。

 これでは「約束が違う」ではないか。確かに、先に「約束」を「違えた」のは私なのかもしれない。「外でのお漏らし」――、私は「寸前」になってそこから「逃げ出して」しまったのだ。だがそれにしたって、この「反故」はあまりに――。

 私は次に何を言うべきかも分からず「返す言葉」を失ってしまったことで、「理解」が得られたと思い込んだ彼は「アナル舐め」を「再開」する。
 そこで彼は、何かに「気づく」――。

「あれっ?もしかして結衣、今日『うんち』した?」

 ついに「指摘」されてしまう。今朝「したこと」を知られてしまう――。

「ちょっと、『うんちクサい』よ?」

――またちゃんと「拭けなかった」の?
――それとも、こっちもちょっと出ちゃった?

 彼は私の「羞恥」を煽る。だけどそちらについては求めていない。あくまで、私が今「望んで」いるのは――。

「しました!朝、してきちゃいました…!!」

 私は答える。「嘘」をつくことはいくらでも出来たはずだ。だけど彼が「指摘」するからには、何かしら「証拠」のようなものを感じ取ったのだろう。
――どうして…?
 私は確かにちゃんと「拭いた」。にも関わらず「付いて」しまったのだ。だから私は「洗い」、きちんと下着を「替える」までしたのに――。
――それなのに、まだ「付いて」しまうのか。
 私は自分で自分が嫌になる。どうしてここまで私の「お尻の穴」は「緩い」のだろう。いや、それはそもそも「彼のせい」なのだ。彼が「そっち」でしたりするから。
「あの晩」、きちんと「性器」でしていれば――、私は今頃そんな「悩み」を抱えることも――、もはやとっくに「処女」さえも「捨てる」ことが出来ていたはずなのに。

「あれっ?『トイレ禁止』って言ったよね?」

 彼は目ざとく、私の「瑕疵」に言及する。確かに「禁止」はされたし、私も甘んじてそれを飲んだ。今朝「トイレ」に行く際、私だってわずかに「迷い」はしたのだ。だけど。

――だって、こっちは「漏らす」わけにはいかなかったから…。

「おしっこ」だけなら「秘めて」おきたいところだった。だけど「うんち」は――、それだけは、どうしても――。
 そんな「乙女」の「事情」など、彼は知る由もないのだろう。いや、あるいはそれを分かった上で尚、あえて「そちら」の「羞恥」さえも私に与えるつもりなのだろうか。

「どうして、しちゃったの?」

 彼は問う。「理由」を――。「どうしてなのか」と。
 私は――、答えたくなんてなかった。だけど、「答える」しかなかった。

「だって、『うんち』は漏らすわけにはいかなかったから…」

「内心」の言葉を――、「心境」をそのまま吐露する。「正直」に私は答える。

「そっか、『うんち』は『我慢』出来なかったんだね?」

 そうじゃない。いや、そうなのか?いや違う。あくまでそっちは私の望む「お漏らし」ではないというだけの話だ。「我慢」は出来たはずだ。だけど――。
 もし朝しておかなかったら、今頃――。私は「そっち」さえも「漏らして」しまっていたのだろうか。「尿意」と「便意」の「ダブルパンチ」によって、「挟み撃ち」に遭っていたのかもしれない。「ローター」の「刺激」はあるいは「うんち」さえも「催させた」のだろうか。

「『お仕置き』しなきゃね!」

 彼は言う。果たして何に対する「お仕置き」なのだろうか。私が「禁」を「破った」ことによるものなのだろうか。だけどそれなら、私にだって言いたいことはある――。

「もう止めて!!!」

 私の声が「個室」に響き渡る。彼は「動き」を止めた。

「どうして…、どうして『そっち』ばっかり…!!」
「私は『普通』にしたいのに!!」
「『今日こそは』って思ってたのに…。それなのに!!」

 次々と、「本音」がこぼれ出す。私は思わず「泣き出して」しまいそうだった。あまりの「情けなさ」によって――。

「ごめん…」

 彼は謝ってくる。さすがに「行き過ぎた」と思ったのだろうか。それでも――。

「でもやっぱり俺――」

――結衣の「お尻」に「興味」あるんだ!!

 私の「お尻」が――、「魅力的なんだ」と「熱弁」を振るう。まるで「そこ以外」は「魅力的ではない」と言われたみたいだった。私の「処女マンコ」になど「興味はない」と告げられたみたいだった。
 それでも、私の「反応」が芳しくないのを見て取って、彼は――。

「今日は、こっちでしようか!」

 いじらしく、私の「そこ」を指で弄りながら言う。完全に「片手間」とも思える、雑な「愛撫」だった。にも関わらず、私の「そこ」はまるで「水を得た魚」の如く、今も尚盛大に「涎」を垂らし、わずかな「刺激」すらも余さんとするように「キュッ」と彼の指を愛おしそうに「締め付ける」のだった。自らの「体」でありながら、私にはそれが許せなかった。「パブロフの犬」のように、「人参をぶら下げられた馬」の如く「条件反射的」に、「エサ」に抗えない「家畜」になったような気分だった。

「おっ!こっちはもう『準備万端』みたいだね~!!」

「おどけた」口調で彼は言う。「ほら、入れるよ」と、「真意」はそちらにはないにも関わらず、彼は「ペニス」を押し付けてくる。
 ようやく、私の「悲願」が叶えられる。それなのに――。

 だが、もう遅かった。もはや私の「プライド」は「ズタボロ」だった。かつて、あれほどまでに「望んで」いた「喪失」を、けれど今ばかりはどうしても「死守」したいような気持ちになっていた。あるいは「処女」としての、最後の「意地」なのだろうか。

「もう…いいです!!」

 私は彼に言い放ち、気がつくと「個室」を「飛び出して」いた――。


続く――。

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