whisp 2020/05/12 00:31

2020沢井えみお誕生日記念SS「えみのおいわいてりんぐ ~3」(進行豹

2020年5月5日 沢井えみお誕生日記念SS 
『えみのおいわいてりんぐ ~3~』 進行豹

第一話はこちら
https://ci-en.dlsite.com/creator/922/article/259716

第二話はこちら
https://ci-en.dlsite.com/creator/922/article/266305


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「しーるのばしょ、しーるのばしょ、しーるのば」
「そこから先は村の外にゃ。えみちゃんにはまだ早いちにゃ」

「あ! ヤマネコのやこちゃん!! こんにちわー」

「はいこんにちにゃ。ってか、どこしてこんなとこまで来ちゃったのにゃ?」

「あ、そだったそだった、あのね、えみね。おいわいてりんぐで、ちずのしーるのばしょさがしてたの」

「おいわ……あー! あれにゃ! そか、えみちゃんのお誕生日、今日なのにゃー!
にゃら~! にゃふふ! ハッピバースデーえみちゃんにゃ!」

「わ! かーどだ!!! やこちゃんありがとー!
って、これ! やこちゃんのおしゃしん! えみ! しってる!!
ありすちゃんにとってもらったことある! ぢぇきのおしゃしんだー!」

「そにゃそにゃ。やこもありすさんにとってもらったのにゃ。
やこ、カードなんてもってないから、それあげるにゃあ。
およふくつくってもらうとき、ありすさんからにたくさんとってもらったから、いちまいくらいへいちゃらにゃ」

「ありがとやこちゃん! こんどありすちゃんにたのんで、いっしょに ぢぇきとってもらおーね!」

「そりゃいいにゃ! そのときまでにえみちゃんも、ありすさんにならって、ファッションのお勉強しとくともっといいちにゃ」

「うん! えみファッションのおべんきょうするー! あのね、えみね、つぎのはるにね、いちねんせーになるからね。
すうじとかもじとかもお勉強……って、そーだった。そーだった。かーどのうらのもじは~……『は』」


  * 

「しーるのばしょ、しーるのばしょ、こんどは、うーんとー」

「見て。マコ。金魚が道路を泳いでる」

「あらあらコマちゃん、おかしな冗談。金魚じゃなくて、どうみてもひよ先生の幼稚園のえみちゃんじゃない」

「あ。言われたらたしかにそうかも」

「あ! まこちゃんとこまちゃんだ! こんにちわー!!」

「うふふっ、素敵なご挨拶ね。はい。こんにちわ、えみちゃん」

「『こんにちわー!』」

「きゃ!? どうしたのこまちゃん、出し抜けにおおきな声」

「おかしい。こまもいいご挨拶したのに、まこに褒めてもらえない」

「あはは! おかしー! こまちゃんおもしろいからすきー!」

「(……静かに照れる)――好きと言われたら仕方ない。
もっと面白い話を、特別に」

「わ、わ!? なになに!!?」

「海兵隊出身の四人の」
「こまちゃん! シモネタ禁止よ!!!」
「え”。………………」

「どしたの? こまちゃん。おもしろいおはなしはー?」

「あ、あー、えーーーー。ええと……」

「うふふ。マコはおもしろお話できないけど、
コマちゃんのかわりに、とっても素敵なお話だったらできるわよ?」

「すてきなおはなし!? えみ、それききたい!!」

「その素敵なお話は~――
じゃーん! かわいいかわいいえみちゃんが、今日お誕生日だっていうことです!」

「きゃあ! わーい! まこちゃんありがとー!」

「そう。コマもそれをいいたかった。
そうしてコマとマコからお祝いに、素敵なカードも用意してある」

「わーい! こまちゃんもありがと! わ?! このカードすごい! きらきら!
なぁに、これ」

「うふふ、それはね? アマビエの鱗。
一枚もっていたら、どんな流り病にもかからなくなる素敵なお守りよ」

「すごーい! あまびえっておさかな、おっきいんだねー!
まこちゃんがつったの? こまちゃんがあみにいれたの??」

「そりゃあもう、こまが投網をとうっ! って投げて」

「こまちゃんたらもう~。あのね? えみちゃん。
アマビエは海のあやかしなの。こまとまこの、古い古いおともだちのあやかし」

「そなんだ。おともだちのうろこ、えみがもらっていいの?」

「うん。もちろん。だいじなものだからこそ、プレゼントになる」

「って、こまちゃんってばいいとこだけもってくんだから~」

「わーい!」 まこちゃんもこまちゃんもありがとー!!
それでええっと~うらにかいてある字は~ 『お』!!!!」



  * 

「しーるのばしょ~ しーるのばしょ~……んゆ?
このしーるのばしょって~」

「あ、えみちゃん。こんにちわー。
今日は、えみちゃんのお誕生日だねー。うふふ、お誕生日おめでとお」

「あ! とこたん! ちょおどよかった!
あのね、えみね、このちずのしーるのばしょね」

「あー、ごめんねぇ。とおこ、ちずみたいなむつかしそうなの、わからないよー」

「へいき、わかるよ! えみがおしえてあげるから!
あのね、このしーるのばしょが、ありすちゃんのしんりょうじょでね。
こっちのしーるのばしょは、むらのいりぐちのやこちゃんいるとこでね、
これは、あたらしくできたりょかん――まこちゃんとこまちゃんがよくいる、
『りょかん あやかし』のしーるなんだよ」

「あー、ふーん。そっかー、じゃあ、ここにかいてあるおやまがニシノヤマで……
あれれー、そしたらこのシール。
沢井のおうちと、とおこのすんでる裏山だねぇ」

「だよね! ね! そしたらとこたん、えみのこと、おうちにつれてかえってくれる?」

「いいよお。とおこ、だってさいしょから、えみちゃんを迎えに来たんだもの」

「わーい! じゃ、せなかにのせてのせてー」

「うふふぅ。いいけど、のせてあげるそのまえに、はいこれ」

「わ! カード……わ! これとこたんのひづめのけずったやつだ!!
やったぁ!! かっこいいい!!!」

「えへへー。そんなによろこんでもらえると、とおこ、ちょっぴりてれちゃうよー」

「うらのじはなに? えっと、うーんと~~――『う』!!」


  * 

「さいごのしーるのばしょは~! えへへー!!!
ただいまとおたん! ただいまかあたん! ただいまなつはおねーちゃん!!!」

「おっかえりー! えみちゃん! ハッピバースデー! イエーーーイ!!!!」

(パン! パン! パパン!!!)

「わ! くらっかー!!! ずるーいなつはおねえちゃん!
えみもやりたいーーーー!!!」

「そう言うってわかってたよー! だから、はい!!」

「わーい! えみのくらっかーー!!!」

「おうちの中とか、夏葉に向けちゃダメだからね?
お外に向けて~!」

「おそとにむけてー」

「Go! えみちゃん!!!」
「えいっ!!」

(ぱーーーーーんっ!!!)

「わ! すごいおと~!
えみ、ちょっとびっくりしちゃった!!!」

「こんなのまだまだ、びっくりのうちにも入らないよ?」

「ふえ?」

「その説明のためにも! じゃ~ん!
これ、夏葉からのバースデーカード!!!」

「あいがとなつはおねえちゃん!
すごいかわいい!!! えみとかあたんととおたんとなつはおねえちゃんのえがかいてあるーーー!」

「えっへへ~! 夏葉先生の直筆イラスト! 裏もみて、裏も」

「とこたん!! ありすちゃんもちっちゃくかいてある!
あっ! それから字も~ 『ち』!!!」

「オッケー! とおこさんと一緒にかえってきたってことは、えみちゃん全部のカードあつめたってことだよね。
その全部の文字、並べてつなげてよんでみよう?」

「うん! えっとね、さいしょにひよせんせいにもらったのが――『え』。」

「次のこれは? 『み』。誰からもらったの?」

「おせんたくやさんのめんばーずかーど! おこんさんから!! えみね、さいねんしょうのめんばーなんだよ!」

「すごーい! いいなー! じゃ、そういうふうに、カードをどんどんならべていこー!」

「うん! パロポロちゃんにもらったのが、『ち』で、いんがめおねえさんにもらったのが、『や』――あれ、
この『や』ほかのよりちっちゃいや」

「うんうん、ちっちゃい『ゃ』だね。じゃ、全部を並べて、つなげてよむと~?」

「んと……『え み ち ゃ ん へ の ぷ れ ぜ ん と は お う ち』
――んゆ……!!!! 『えみちゃんへのプレゼントはおうち』!!!」

「大正解じゃ! さすがはわらわの、わらわと透の愛娘じゃ!!!」

「おかえり、えみ。よく頑張った! 凄いぞ!!!」

「わーい! ただいまー! とおたん、かあたん!!!」

「えみちゃんならぜったいできるって、うたれ、信じてましたぽこー!!」

「うたれちゃんもーーー!!!!!」

「と、申すかの。こんかいのオリ……おい――おいわいてりんぐ?」

「オリエンテーリング」

「さ、左様じゃ。そのてえりんぐの発案者は、誰を隠そう、うたれなのじゃ」

「そうなの!? うたれちゃん?」

「そ、そんなたいしたものじゃないですポコ~、
ただうたれ、えみちゃんにどうしてもプレゼントしたくて、
けど、うたれひとりで稼げた人間のお金じゃ、たりなくて」

「うたれちゃん、えみちゃんが一番欲しいものをプレゼントしてあげたくて。
すみちゃんのこと説得して、夏葉にもおにいちゃんにも、他のみんなにも声かけてお願いしてくれたんだよ?」

「わ! そうだったんだー! うたれちゃん! あいがと!!
あのね! えみね! おいわいてりんぐ、とってもとってもたのしくて!
かーどもたくさん、みんなにもらえてうれしいの!!!」

「その上さらに、じゃ。
えみ、うたれが頼み、みなが喜んで協力して整えてくれたえみの今年のお誕生日のおくりものじゃ。
こころしてあけてみるがよい」

「んゆ? なんだろ――おっきなはこ!!
ん――しょっ――よい、しょ――ん……ゆ――ん????
……!!!!!!!!!!!!!!」

「うふふ! やったね、うたれちゃん! えみちゃんすっごい笑顔!!!」

「らんどせる!!!! らんどせる!!! えみがほしかったらんどせる!!
あずきいろの、すっごくかっこいいらんどせる!!!!!!!!」

「……ああ、うむ。この笑顔を見るに、無理に赤を押し付けなくてよかったの。
小豆色のらんどせる、ちと突飛過ぎぬかおもうておったが」

「どう?! どう!? うたれちゃん! なつはおねえちゃん!!」

「にあってますポコ! 素敵ですポコ! かっこいいですポコ!!」

「小豆色、綺麗!!! えみちゃんにすっごくマッチしてる!!!」

「えへへー! そかなー!!!!」

「うむ。不思議なほどにしっくりくるの。
……誇り高きあかしゃぐまの娘ゆえ、赤こそが最も似合う色かと思うておったが――」

「同時にえみは、僕の娘だからさ。
小豆色が似合うのは、当然すぎると思うけど?」

「ふむ? それはいかなる理由で……」

「あ! 夏葉わかったかも!!! あのね、えみちゃん、このスマホみて。
これ、お絵かきアプリなんだけど」

「あ、あぷりだのすまほだのは、わらわには」

「画面、ってか、このパレットだけ見ててくれればいいから。
いーい? すみちゃんの赤に、おにいちゃんの黒をどんどんまぜてくと~」

「わ! えみのらんどせるとおんなじいろ!!!」

「ああ、まこと、じゃの――ふ……ふふふふふっ!
さようか、左様か! えみの一番好む色は――小豆色は!
わらわの赤と透の黒の、ふたつのまじった色であったか!」

「だねー、夏葉もいま気づいた!」

「透はそれをわかっておったのじゃの?
それゆえ、あの日のらんどせる売り場で赤を買おうとしたわらわを止め、
もう少し考えてみよう、と――」

「普段はすみに気づかせてもらってばっかりだからさ。
たまには僕も、すみ気づいてもらえたらうれしいな、って思っただけだよ」

「透……」

「すみ……」

「って、おふたりさーん! 今日の主役は誰でしたっけー???」

「っ!!!」 あ、うむ。こほん。
あー、それではの、えみ。
今更のようではあるが、あらためて」

「んゆ?」

「えみ、お誕生日おめでとう。
産まれてきてくれて――わらわの娘になってくれて。まことに、まことにありがとう、の」

「うん!!! えへへへへー! あいがと! かあたん!!!」


;おしまい

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